32 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/26(土) 23:28:15.13 0
ホテルを後にし、タクシーにかおりさんを乗せる。
「楽しかったよ。気を付けて帰ってね〜バイバイ☆」
つとめて明るい。それがかおりさんだ。
こんな状況であっても、ここまで優しく、明るいのか。
タクシーが見えなくなるまで、手を振った。
かおりさんの残り香のするスーツ。
嫁にばれないように、すぐにクリーニングださないといけないな・・・
なんて考えながら、タクシーを拾い家に帰った。
34 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/26(土) 23:33:13.23 0
仕事納めの後の忘年会で起きた、ふとしたサプライズ。
家に帰り、風呂に入る。もう酔いも覚めていた。
『さっきのことは、夢なのか?』
風呂に入りながら、そう考え込む。考えれば考えるほど、生々しい映像が
フラッシュバックする。手に残る感触や、鼻に残る匂い、耳に残る声、
音・・・すべてがリフレインする。
風呂から出て、寝室に行く。そこには何も知らない嫁が、幸せそうな顔で
寝ていた。胸の奥のほうが、チクリと針で刺されたような気がした。
35 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/26(土) 23:41:30.96 0
正月は嫁の実家で過ごすことが通例になっている我が家。
例に漏れず、嫁の実家に向かう。
義祖父母の家を大掃除した後、徐々に体調が悪くなる。
結局40℃近い高熱になり、正月含めてずっと寝込んでいた。
高熱でうなされる中で見る夢は、かおりさんのことであった。
お互いの気持ちを、体を重ねる中で言い合ったこと。
あの言葉は、あの態度は、あの行動は本物なのだろうか。
それとも、あのような不貞を働いたために体調不良になっているのだろうか。
そんなことを考えても何もよくはならない。
結果、年末年始の5日間で体重が7kg減っていた。
36 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/26(土) 23:57:58.09 0
正月明け、仕事始めの日の朝。
とにかく気まずかった。
どんな顔をして、どんな声で、どんな話をすればいいのだろう。
普段何気なくしていること。無意識の行動。
でも無意識を意識すると、人間は思考が止まるようだ。
しかし無情にも、時は来る。
出勤の時間がくる。会社へと向かう。
37 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 00:11:10.45 0
うちの会社の仕事始めは、あるイベントから始まる。
イベント会場へと向かう車内。
カーステレオから流れる恋や愛を歌った曲の歌詞が耳につく。
イベント会場が近づく。
かおりさんに会いたい。
しかし、会うのが怖い。
話したい…けど、何を話したらいい?
会いたい…けど、会って何をする?
相容れない矛盾だらけの思考。
会場に着くと、ちょうどかおりさんも到着したところのようだ。
車からお互い降りて、
「明けましておめでとう☆」
『明けましておめでとうございます!』
重なるように同じ言葉を放つ。
なぜかそれが無性にうれしかった。
38 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 00:18:10.13 0
イベント会場へと向かう中、後輩と合流する。
挨拶以降、まともに会話が続かない2人…
というか自分にとってはこの後輩の存在はありがたい。
イベント中、ハイスコアをとってみんなとハイタッチするかおりさん。
自分ともハイタッチするが…どこかぎこちなかった。
隣にいても会話がなく、変な雰囲気だった。
離れたいような気もしたが、機を見て
あの夜のことを聞きたいとも思っていた。
『あの夜は、幻想ではなく真実だったのですよね?』と。
40 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 01:11:48.46 0
すいません。今日はこのへんで中断します。
書いている内容があまりに細かくなりすぎないか心配ですが、
可能な限りいろんなことを書いていきます。
質問等あれば、答えられる範囲内で答えます。
また明日の夕方、再会します。
41 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 01:14:08.26 0
明日楽しみにしてるよ♪
42 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 11:47:45.31 0
ちょっと時間があるので、少しだけ書いていきます。
イベントも無事に終わり、初詣に向かう。
この時には先輩や上司もいたため、かおりさんとの距離も少し置けた。
お詣りし、おみくじを引く。
大吉。恋愛運は、相手が来るから待っとけみたいな内容だった。
神さま…あなたは本当にいらっしゃるのですねwww
ちなみにかおりさんも大吉だったようで、みんなに大吉カップルとバカにされた。
43 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 11:54:02.85 0
会社に戻る。
後輩がオードブルや飲み物をミーティングルームに並べる。
仕事始めは、お昼から飲むのが我が社の通例。
ただ、仕事がある人は仕事するし、偉い人らは挨拶まわりに出る。
また、女性陣は早めに帰ったりしていた。
ある程度食事も済み、社長や専務は挨拶まわりにでた。
残された上司や先輩が盛り上がる中、かおりさんは仕事をしていた。
『これはチャンスか?』
かおりさんの机は、ミーティングルームから最も離れていた。
誰も来ないだろうし、2人きりになる絶好の機会だった。
44 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 12:34:00.01 0
盛り上がるミーティングルームから、ゴミを捨てるフリをして抜け出す。
かおりさんはパソコンに向かって何やら作業をしていた。ゴミをまとめた後、
かおりさんの隣の席に座る。至って普通に、至って平然に、これまでと変
わらぬよう、自然に。
「あれ?ゆうじくん、みんなと飲まないの?」
かおりさんが問う。
『自分、正月に体調崩したんで…ちょっとあーいうのは今は遠慮しときます(笑)』
本音は、あなたと話がしたいんだ。
かおりさんこそ、もう食べないんですか?とか、他愛もない会話を続ける。
しかし、そんな会話を望んでこの席に座ったわけじゃない。
かおりさんの仕草、匂い、声…隣の席にいるだけで、心臓の鼓動が増す。
そろそろ本題に移るぞ…そう決心した自分。
だが次の瞬間にかおりさんが放った言葉に、またも思考停止を命じられることになる。
45 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 12:42:05.07 0
「ごめんなさい!」
突然、頭を下げ謝るかおりさん。
自分は、何がなんだかわからなかった。
どうやら、かおりさんも色々と悩んでいたらしい。
嫁さんとラブラブな後輩を喰ってしまったこと。
会社の人と、こんな風になってしまったこと。
社内でも優秀な人材である後輩を、仕事以外で悩ませるようなことをしたこと。
かおりさんも正月中は反省しっぱなし。唯一こんなことを相談できる女友達に
言ったところ、とにかく謝れと言われたらしい。仕事始めのイベントで会った
時も、なぜか自分が怒っているように感じたとか。
うわ…めっちゃめちゃカワイイやん…率直に、そう思った。
50 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 20:55:02.92 0
遅くなりました。再開いたします。
かおりさんの謝罪により、一気に緊張が解ける。
『いや、別にそんな・・・謝ることないっすよ!』
「ごめんね。ゆうじくん・・・本当に、ごめんね!」
それでも謝り続けるかおりさん。
社内ではあったが、いろいろな話をした。
51 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 20:57:50.81 0
かおりさんは、どうしても酔うとムラムラして近くにいるタイプの人間を
誘ってしまうらしい。独身の頃は、朝起きたらホテルで知らない人
(後から知り合いの知り合いだと判明)が隣に寝ていたこともあったそうだ。
これがビッチってやつか。その時の話を聞いて、自分は素直にそう思った。
屈託のない笑顔で、明るくそういったことを話すかおりさん。
『また今度、よろしくお願いしますよwww』
自分が冗談っぽく言う。
「機会があればね☆」
テヘっと笑い、かおりさんが言った。
ただ、この会話をし終えた段階で、『たぶん、もう無いだろうな』と感じた。
根拠は無い。革新も無い。
でも、なぜかその時はそう強く思った。
52 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 21:04:52.85 0
すいません。革新→× 確信→○です。
時刻は17時30分。自分はその日、用事があり定時に帰った。
帰り際、かおりさんに『お疲れ様です!』と声をかけた。
すると、かおりさんはボソッと何かを言ってきた。
いつもの挨拶とは違う言葉。
会社のドアから半分体を出してはいたが、もう一度戻る。
『かおりさん、今なんて?www』
かおりさんは、一回で聞き取ってほしかったのか、
また言うのが恥ずかしかったのか、紅潮させてこう言った。
「・・・また、明日・・・会おうね☆」
別になんてことない普通の言葉。誰にでも言える言葉。
でも、今の自分たちには普通以上の言葉であった。
53 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 21:13:03.24 0
帰りの車内。帰り際にかけられた言葉を反芻する。
「・・・また、明日・・・会おうね☆」
そりゃ、会社の人だ。明日も会うに決まってる。
特に意味はない。普通の挨拶。でも意味がないとは考えられない。
明日からどうすりゃいいんだ。
また正月の時のように、モンモンとしだした。
帰って嫁と話していても、どこか落ち着かない。
嫁だってかわいい。気も利くし、いつも笑顔で支えてくれる。
自分にはもったいなくらいの嫁だ。
気持ちの高揚感と罪悪感が交差する。
嫁の笑顔に対して、自分は笑顔で返せていたか不安だった。
54 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 21:19:37.71 0
飯を食って布団に入って寝る。すると、必ずといっていいほど朝は来る。
20代中盤では業務が過密すぎて、会社に行きたくないって気持ちもあった。
毎日のルーティンワーク。こんなんでいいのかって葛藤する時期もあった。
でも今は違う。朝が来れば会社に行ける。かおりさんに会える。会社に行く
ことに対して、これほどモチベーションが上がったのは入社した時以来だった。
足取りが軽い。しかし、どこかソワソワしている。早く行きたいが、
早く言ったところでかおりさんはいない。普段通りの時間に、普段通りの
テンションで、普段通り挨拶しながら出社する。車の中でそう思いながら、
会社の駐車場を後にする。
55 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 21:27:15.83 0
会社の自動ドアを通る。心臓はバクバクと音をたてていた。入口の最も近い
位置に、かおりさんの席がある。これまでなら、別に見なかった。おはよう
ございますと言いながら、タイムカードに打刻する。しかし、その日は違った。
自然と視線が動いた。
かおりさんと目があった。
その顔は、熟れたりんごのように真っ赤だった。
その瞳は、恋する乙女のような輝きと潤いに満ちていた。
『おはようございます。』
「・・・おはよう☆」
お互いがお互いに、言葉を介さなくとも伝わってきた。
自分もかおりさんも、お互いを好きだってことを。
56 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 21:35:41.64 0
かおりさんの連絡先は知っていた。電話番号だけ。
知った理由は、自分の結婚式に出てほしいと電話するため。
自分が結婚式を挙げる時期、かおりさんは諸事情により長期間、
会社を休んでいた。
でも、電話をかけようとは思わない。会社にいるときに、たくさん話をすれば
いいんだと思っていた。社内にある唯一の給湯室。そこに誰が入っていくかは、
かおりさんの席からは丸見えだ。だから、自分がコーヒーでも飲もうと
給湯室に行くとかおりさんが必ずやってきた。そこでする会話なんて、
他愛もないものだった。
昨日、子供がなにしたとか、旦那がこんなこと言ったの酷くないとか、
この服買ってきたんだ〜かわいいでしょ?みたいな、これまでとそんなに
変わらない会話だった。
>>次のページへ続く
ホテルを後にし、タクシーにかおりさんを乗せる。
「楽しかったよ。気を付けて帰ってね〜バイバイ☆」
つとめて明るい。それがかおりさんだ。
こんな状況であっても、ここまで優しく、明るいのか。
タクシーが見えなくなるまで、手を振った。
かおりさんの残り香のするスーツ。
嫁にばれないように、すぐにクリーニングださないといけないな・・・
なんて考えながら、タクシーを拾い家に帰った。
34 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/26(土) 23:33:13.23 0
仕事納めの後の忘年会で起きた、ふとしたサプライズ。
家に帰り、風呂に入る。もう酔いも覚めていた。
『さっきのことは、夢なのか?』
風呂に入りながら、そう考え込む。考えれば考えるほど、生々しい映像が
フラッシュバックする。手に残る感触や、鼻に残る匂い、耳に残る声、
音・・・すべてがリフレインする。
風呂から出て、寝室に行く。そこには何も知らない嫁が、幸せそうな顔で
寝ていた。胸の奥のほうが、チクリと針で刺されたような気がした。
35 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/26(土) 23:41:30.96 0
正月は嫁の実家で過ごすことが通例になっている我が家。
例に漏れず、嫁の実家に向かう。
義祖父母の家を大掃除した後、徐々に体調が悪くなる。
結局40℃近い高熱になり、正月含めてずっと寝込んでいた。
高熱でうなされる中で見る夢は、かおりさんのことであった。
お互いの気持ちを、体を重ねる中で言い合ったこと。
あの言葉は、あの態度は、あの行動は本物なのだろうか。
それとも、あのような不貞を働いたために体調不良になっているのだろうか。
そんなことを考えても何もよくはならない。
結果、年末年始の5日間で体重が7kg減っていた。
36 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/26(土) 23:57:58.09 0
正月明け、仕事始めの日の朝。
とにかく気まずかった。
どんな顔をして、どんな声で、どんな話をすればいいのだろう。
普段何気なくしていること。無意識の行動。
でも無意識を意識すると、人間は思考が止まるようだ。
しかし無情にも、時は来る。
出勤の時間がくる。会社へと向かう。
37 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 00:11:10.45 0
うちの会社の仕事始めは、あるイベントから始まる。
イベント会場へと向かう車内。
カーステレオから流れる恋や愛を歌った曲の歌詞が耳につく。
イベント会場が近づく。
かおりさんに会いたい。
しかし、会うのが怖い。
話したい…けど、何を話したらいい?
会いたい…けど、会って何をする?
相容れない矛盾だらけの思考。
会場に着くと、ちょうどかおりさんも到着したところのようだ。
車からお互い降りて、
「明けましておめでとう☆」
『明けましておめでとうございます!』
重なるように同じ言葉を放つ。
なぜかそれが無性にうれしかった。
38 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 00:18:10.13 0
イベント会場へと向かう中、後輩と合流する。
挨拶以降、まともに会話が続かない2人…
というか自分にとってはこの後輩の存在はありがたい。
イベント中、ハイスコアをとってみんなとハイタッチするかおりさん。
自分ともハイタッチするが…どこかぎこちなかった。
隣にいても会話がなく、変な雰囲気だった。
離れたいような気もしたが、機を見て
あの夜のことを聞きたいとも思っていた。
『あの夜は、幻想ではなく真実だったのですよね?』と。
40 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 01:11:48.46 0
すいません。今日はこのへんで中断します。
書いている内容があまりに細かくなりすぎないか心配ですが、
可能な限りいろんなことを書いていきます。
質問等あれば、答えられる範囲内で答えます。
また明日の夕方、再会します。
41 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 01:14:08.26 0
明日楽しみにしてるよ♪
42 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 11:47:45.31 0
ちょっと時間があるので、少しだけ書いていきます。
イベントも無事に終わり、初詣に向かう。
この時には先輩や上司もいたため、かおりさんとの距離も少し置けた。
お詣りし、おみくじを引く。
大吉。恋愛運は、相手が来るから待っとけみたいな内容だった。
神さま…あなたは本当にいらっしゃるのですねwww
ちなみにかおりさんも大吉だったようで、みんなに大吉カップルとバカにされた。
43 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 11:54:02.85 0
会社に戻る。
後輩がオードブルや飲み物をミーティングルームに並べる。
仕事始めは、お昼から飲むのが我が社の通例。
ただ、仕事がある人は仕事するし、偉い人らは挨拶まわりに出る。
また、女性陣は早めに帰ったりしていた。
ある程度食事も済み、社長や専務は挨拶まわりにでた。
残された上司や先輩が盛り上がる中、かおりさんは仕事をしていた。
『これはチャンスか?』
かおりさんの机は、ミーティングルームから最も離れていた。
誰も来ないだろうし、2人きりになる絶好の機会だった。
44 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 12:34:00.01 0
盛り上がるミーティングルームから、ゴミを捨てるフリをして抜け出す。
かおりさんはパソコンに向かって何やら作業をしていた。ゴミをまとめた後、
かおりさんの隣の席に座る。至って普通に、至って平然に、これまでと変
わらぬよう、自然に。
「あれ?ゆうじくん、みんなと飲まないの?」
かおりさんが問う。
『自分、正月に体調崩したんで…ちょっとあーいうのは今は遠慮しときます(笑)』
本音は、あなたと話がしたいんだ。
かおりさんこそ、もう食べないんですか?とか、他愛もない会話を続ける。
しかし、そんな会話を望んでこの席に座ったわけじゃない。
かおりさんの仕草、匂い、声…隣の席にいるだけで、心臓の鼓動が増す。
そろそろ本題に移るぞ…そう決心した自分。
だが次の瞬間にかおりさんが放った言葉に、またも思考停止を命じられることになる。
45 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 12:42:05.07 0
「ごめんなさい!」
突然、頭を下げ謝るかおりさん。
自分は、何がなんだかわからなかった。
どうやら、かおりさんも色々と悩んでいたらしい。
嫁さんとラブラブな後輩を喰ってしまったこと。
会社の人と、こんな風になってしまったこと。
社内でも優秀な人材である後輩を、仕事以外で悩ませるようなことをしたこと。
かおりさんも正月中は反省しっぱなし。唯一こんなことを相談できる女友達に
言ったところ、とにかく謝れと言われたらしい。仕事始めのイベントで会った
時も、なぜか自分が怒っているように感じたとか。
うわ…めっちゃめちゃカワイイやん…率直に、そう思った。
50 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 20:55:02.92 0
遅くなりました。再開いたします。
かおりさんの謝罪により、一気に緊張が解ける。
『いや、別にそんな・・・謝ることないっすよ!』
「ごめんね。ゆうじくん・・・本当に、ごめんね!」
それでも謝り続けるかおりさん。
社内ではあったが、いろいろな話をした。
51 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 20:57:50.81 0
かおりさんは、どうしても酔うとムラムラして近くにいるタイプの人間を
誘ってしまうらしい。独身の頃は、朝起きたらホテルで知らない人
(後から知り合いの知り合いだと判明)が隣に寝ていたこともあったそうだ。
これがビッチってやつか。その時の話を聞いて、自分は素直にそう思った。
屈託のない笑顔で、明るくそういったことを話すかおりさん。
『また今度、よろしくお願いしますよwww』
自分が冗談っぽく言う。
「機会があればね☆」
テヘっと笑い、かおりさんが言った。
ただ、この会話をし終えた段階で、『たぶん、もう無いだろうな』と感じた。
根拠は無い。革新も無い。
でも、なぜかその時はそう強く思った。
52 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 21:04:52.85 0
すいません。革新→× 確信→○です。
時刻は17時30分。自分はその日、用事があり定時に帰った。
帰り際、かおりさんに『お疲れ様です!』と声をかけた。
すると、かおりさんはボソッと何かを言ってきた。
いつもの挨拶とは違う言葉。
会社のドアから半分体を出してはいたが、もう一度戻る。
『かおりさん、今なんて?www』
かおりさんは、一回で聞き取ってほしかったのか、
また言うのが恥ずかしかったのか、紅潮させてこう言った。
「・・・また、明日・・・会おうね☆」
別になんてことない普通の言葉。誰にでも言える言葉。
でも、今の自分たちには普通以上の言葉であった。
53 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 21:13:03.24 0
帰りの車内。帰り際にかけられた言葉を反芻する。
「・・・また、明日・・・会おうね☆」
そりゃ、会社の人だ。明日も会うに決まってる。
特に意味はない。普通の挨拶。でも意味がないとは考えられない。
明日からどうすりゃいいんだ。
また正月の時のように、モンモンとしだした。
帰って嫁と話していても、どこか落ち着かない。
嫁だってかわいい。気も利くし、いつも笑顔で支えてくれる。
自分にはもったいなくらいの嫁だ。
気持ちの高揚感と罪悪感が交差する。
嫁の笑顔に対して、自分は笑顔で返せていたか不安だった。
54 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 21:19:37.71 0
飯を食って布団に入って寝る。すると、必ずといっていいほど朝は来る。
20代中盤では業務が過密すぎて、会社に行きたくないって気持ちもあった。
毎日のルーティンワーク。こんなんでいいのかって葛藤する時期もあった。
でも今は違う。朝が来れば会社に行ける。かおりさんに会える。会社に行く
ことに対して、これほどモチベーションが上がったのは入社した時以来だった。
足取りが軽い。しかし、どこかソワソワしている。早く行きたいが、
早く言ったところでかおりさんはいない。普段通りの時間に、普段通りの
テンションで、普段通り挨拶しながら出社する。車の中でそう思いながら、
会社の駐車場を後にする。
55 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 21:27:15.83 0
会社の自動ドアを通る。心臓はバクバクと音をたてていた。入口の最も近い
位置に、かおりさんの席がある。これまでなら、別に見なかった。おはよう
ございますと言いながら、タイムカードに打刻する。しかし、その日は違った。
自然と視線が動いた。
かおりさんと目があった。
その顔は、熟れたりんごのように真っ赤だった。
その瞳は、恋する乙女のような輝きと潤いに満ちていた。
『おはようございます。』
「・・・おはよう☆」
お互いがお互いに、言葉を介さなくとも伝わってきた。
自分もかおりさんも、お互いを好きだってことを。
56 :名無しさんといつまでも一緒:2013/10/27(日) 21:35:41.64 0
かおりさんの連絡先は知っていた。電話番号だけ。
知った理由は、自分の結婚式に出てほしいと電話するため。
自分が結婚式を挙げる時期、かおりさんは諸事情により長期間、
会社を休んでいた。
でも、電話をかけようとは思わない。会社にいるときに、たくさん話をすれば
いいんだと思っていた。社内にある唯一の給湯室。そこに誰が入っていくかは、
かおりさんの席からは丸見えだ。だから、自分がコーヒーでも飲もうと
給湯室に行くとかおりさんが必ずやってきた。そこでする会話なんて、
他愛もないものだった。
昨日、子供がなにしたとか、旦那がこんなこと言ったの酷くないとか、
この服買ってきたんだ〜かわいいでしょ?みたいな、これまでとそんなに
変わらない会話だった。
>>次のページへ続く