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私が初恋をつらぬいた話
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39 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 15:13:46.70 ID:LUqPOmqkP
きゅんきゅんしながらみてるよ〜


40 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 15:14:21.63 ID:+beSXCVE0
ありがとうございます。


文化祭当日。私達の公演は14時から。

一曲限定と条件を提示してしまったが為にトリを持たされるという事を、私はその日の朝に初めて知らされた。

友人達は恋人とデート状態だったので、ただ一人何もする事が無い私は適当にその辺を見回ると、喧騒から逃げるように屋上に向かった。

やっぱり引き受けるんじゃなかった…


激しく後悔しつつ屋上のベンチに座り2時間くらいボーっとしていると、堺先生からのメールが鳴った。

「高校に着きました。今、どこにいますか?」

単純に歌を見に来るだけだと思っていた私はあまりに早い到着に驚いて、呆けていた頭も一瞬で吹っ飛んだ。

「何もする事が無くて、B棟の屋上に居ます。」

久しぶりに会えるドキドキと恥ずかしさで一人ソワソワしていると、返事を返してから15分くらいで、先生は屋上に現れた。

私に気がついた先生は、ニコニコしながら懐かしそうにこちらに歩いてくる。

昔と何も変わらないその姿を見て、心臓がドクンとなった。


「お久しぶりです、元気でしたか?」

「先生こそ、元気でしたか?」

自然と笑みがこぼれる。

「色々あったけど元気ですよ。…渚さんは変わりましたね、見違えましたよ。」

「先生はあまり変わりませんね。」


見違えたという言葉に不思議な心地良さを感じながら、数年ぶりの先生の柔らかい声に身も心もトロけていた。


43 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 15:16:26.37 ID:+beSXCVE0
久しぶりに会えた嬉しさに胸が一杯になって、何を話せばいいのか解らなくなった私は、さっきまで座っていたベンチにまた腰を下ろした。

先生も同じように、私の隣にチョコンと座る。


昔とは何かが違う心地良い沈黙の後で、今度は私から話しかけた。

「…先生って大変ですね。数年であっちに行ったりこっちに行ったり。」

私がしんみりそう言うと、先生はフフっと笑いながら小さくフルフルと首を振った。

「そうでもないですよ。元々引越し好きなんで、丁度いいです。」

「引越しが好きとか、変わってますね。」

私が笑うと、先生はちょっと照れた様に頭をかいた。

「よく言われます。でもどんなに快適な部屋に住んでいても、またすぐ引っ越したくなっちゃうんですよ。」

「ずっと同じところに居るのが苦手なんですか?」

「いや、そういう訳じゃ無いんですけど、部屋が変わると気分が変わるというかなんというか…」

「模様替えのようなもの?」

「そうですね、多分そういう感覚なんだと思います。」

引越しが好き…という事は、またすぐ違う所に行ってしまうのだろうか…

「じゃあまたすぐ、他の学校に移動したりするんですか?」

「いや、僕が好きなのは あくまで部屋を変えるって事ですから。」

「そうなんですか。」

「です。自分の好きな地域の中で、部屋だけを変えるんです。今回戻ってきたのも、自分から希望出したんですよ。ここが好きだから。」

先生はニコっと笑った。


ここが好き、自分から希望を出した…

別に私に会いたくてなんて言われてもいないのに、何故だか その様な事を言われた感じがして、また心臓がドキッとした。





44 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 15:18:14.95 ID:+beSXCVE0
れか他愛の無い話を途切殿途切れにていると、然私を呼び出す校アナウンス流れ

ハッとがついて時をみると、もう13時半

先生に会えれていた私は、本番の最の音わせすっかり忘尿れていたのだ

、渚さん呼出してましたよね?

は驚い私を見た

「…最後のリハーサル忘てました

先生尿珍しくきな声で笑う、早行きなさいと私の肩をポンといた。

「ごめんなさ行ってきま

、ではまた後で。」

呼びされた恥ずかさと、先生に触れられたドキドキで耳熱くなっいるのじながら、私いで職員と向かっ


45 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 15:19:25.94 ID:+beSXCVE0
遅れたものの、リハーサルも無事に終了。スタンバイの為に会場に向かう。

会場となっているのは来賓玄関前のだだっ広い玄関ホール。

その場所は3階まで大きな吹き抜けになっていて、そこでストリートライブ形式で行われる予定だった。


14時になり公演スタート。

最初こそまばらだった観客達は、一年生の数名が歌い終える頃には相当な数になっていた。

ここまで観客が増える事を予想していなかった私は、やっぱりまた激しく後悔していたのであった。

あと一人で自分の番となった時、私は初めて知り合いを探して観客達の顔を見渡した。


一番前に友人達数名。その少し後ろに友人達の家族がチラホラ。

が、先生の姿はない。

あれ?っと思って上に目をやると、先生は2階からこちらを眺めていた。

ちょうど歌うときに立つ場所の真正面。

なんでよりによってソコなんだ…しっかり見えちゃうじゃないか…と心の中でツッコミを入れていると、すぐに自分の番は回ってきた。


46 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 15:20:44.86 ID:+beSXCVE0
促されるまま、皆の前に立つ。

私は観客達の顔を見ないようにしながら、緊張を抑える為に2.3回深呼吸をすると、準備OKの合図をした。

声の無いせーので、歌い始める。


歌いながら少し上に目線をやると、先生と目が合った。

いつもより少し真剣な顔で、でもやっぱりニコニコしながら先生は私をじっと見ていた。

途端に頭が真っ白になって目が離せなくなる。

甘酸っぱくて恥ずかしかった歌詞は、いつのまにか私の気持ちと同調して、気がつくとただ淡々と先生にだけ聞かせているかのように歌っていた。


歌い終わりホッと一息深呼吸して一礼すると、シーンとしていた会場は割れんばかりの拍手に包まれた。

途端に我に返って恥ずかしくなり、私は逃げるように早足で その場から立ち去った。

真っ赤な顔で一目散に屋上を目指す。

無意識に先生だけ見て歌っていた事が凄く恥ずかしく、なんであんな事になっちゃったんだろうと後悔で自分を責めた。


屋上について携帯を開くと、友人達からメールが来ていた。

良かったよ〜凄かったよ〜周りの人も褒めてたよ〜という お褒めの言葉に少しだけ嬉しくなってニヤニヤしていると、渚さんっと堺先生の声がした。

「やっぱりここにいた。」

ニコニコしている先生と目が合うと、また私の顔はカーっと熱くなった。


47 :名も無被検体774号+:2012/06/07(木) 15:20:52.22 ID:L9GcuA1Wi
いいね〜ニニヤながらます


49 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 15:22:24.92 ID:sMVE+LP3i
wktkしながらみてるー!


50 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 15:22:27.80 ID:+beSXCVE0
ありがとうございます。


「凄かった。他の子達には悪いけれど、ずば抜けて一番上手でしたよ。」

先生はニコニコしながら言う。

私はブンブンと首を振った。

「そんな事無いです、私はそんなに上手じゃないです。」

恥ずかしさに下を向く。

何だか気持ちが高揚しすぎて、なぜか自然に目が潤んでしまう。

耳まで真っ赤にした私の様子にハハっと笑うと、先生は私の頭をポンポンと撫でた。

「恥ずかしがらないで、自信を持って。」

聞き覚えのある懐かしい言葉に一瞬だけ間を置いて、私は思わずクスっと吹き出した。

「先生、前もそういってくれましたね。」

「そうでしたっけ?」

目が合うと、なぜか私達はアハハと笑い合った。

いつもと変わらない先生の様子に、いつの間にか私の心は落ち着きを取り戻していた。

「さて、それじゃ そろそろ僕は帰りますね。」

「はい、今日はどうもありがとうございました。」

「じゃあまた。」

先生が小さく手を振って背を向ける。

中学2年の頃に止まってしまった時間が、また動き出す音がした。





51 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 15:24:20.92 ID:+beSXCVE0
文化祭で久々の再会をしてから、私と先生のメールの回数は徐々に増えていった。

今日はこんな事があったよ。とかありきたりな内容だったけれども、一日の終わりに毎日メールするのが当たり前になっていた。

私は人生で2度目の、充実した穏やかな毎日を過ごしていた。


が、しかしその平和が脅かされる日は、突然にやってくる。


冬休みが始まった日。

終業式を終えて家に帰ると、普段から滅多に帰って来る事のなかった母が、台所で鼻歌まじりにご飯の用意をしていた。

ビックリしてどうしたの?と聞くと、母は満面の笑みで私を抱きしめるとこう言った。

「なぎ〜、私ね〜再婚する事にしたの〜♪〇〇さんっていってね〜凄く優しいのよ〜♪今日から一緒にココで暮らすからよろしくね〜♪」

あんまり突然の告白で面食らっていると、母はまた鼻歌を歌いながら調理に戻った。

「ちょ、どういうこと!?なんでそんな事になったの!?」

呆けている場合じゃないと、焦って聞き返す。

「どうこうもないわよ〜♪赤ちゃんが出来たからね、一緒に暮らすのよ〜♪もうすぐ弟か妹が生まれるの〜♪なぎも嬉しいでしょ?♪」

「赤ちゃん!?」

「そうよ〜♪おめでたいのよ〜♪〇〇さんも もうすぐ帰ってくるからね〜、仲良くしてね〜♪」


まるで宇宙人と話しているみたいだった。

突然 相談もなく勝手に決められても困ると話しても、なんで〜?どうして〜?としか母は言わない。

話にならない…

そう諦めて自室に戻ると、言いようの無い疲れがどっと押し寄せて、私はしばらく何も考えられずにベッドに突っ伏しているしかなかった。


52 :名無き被検774号+:2012/06/07(木) 15:26:00.05 ID:+beSXCVE0
夕飯時。

から呼ばれてリビンくと、の言って〇〇さんという人は、もについて簿

の間にか眠ってたらしいは、そのが家にたこもまっがついていなかたのだ。

便、この〇〇ん♪かっいパパが出来てよかった

目のートを浮かべな、一度も見ることくそう言った。

世辞にもっこいいい23.4位の、やたらとガタイのいい…風にいうと明かにDQな男は、を上から下までギロ目つきでっくりめると、

「…………よろしく。

愛想に挨をした。


「………」

無言た。

地獄のようなが始瞬間だった。


54 :名も無き被体774号+:2012/06/07(木) 15:27:26.30 ID:L9GcuA1Wi
めて

獄ってええええ


55 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 15:28:09.32 ID:LUqPOmqkP
(´;ω;`)思春期なのに…


56 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 15:28:16.99 ID:+beSXCVE0
母は18歳で未婚のまま私を産み、今まで水商売で家計を支えてきた。

支えてきた…とはいいつつも、

家は母の父母から相続した古いながらも一軒家だったので、実質かかっているお金は大したことは無かったらしい。

私が中学生になった頃には、週に1.2回帰ってきて、当面の生活費を無造作にテーブルに置いては また出て行く…という生活を送っていた。

どうせ男のところにでも行っているのだろう…薄々はそう感じていたが、まさか急に再婚などと言われるとは思ってもいなかった。



男を紹介された次の日。

男が日中仕事に出かけたのを見計らうと、私は籍を入れるつもりなら構わないが、男と養子縁組をすることだけは絶対に嫌だと母に抗議をした。

名字が変わるのが嫌だった訳じゃなく、ただ単純にあの薄気味悪い男の名字を名乗る事も、戸籍に入る事も嫌だったからだ。

私が一気にまくし立てると、母はニヤニヤしながらあっそう?じゃあそうするわ♪とだけ言った。


家庭環境は変わったが、それからも先生とは何も変わらずに、普通にメールをしていた。

もっと早く相談していれば良かったのだが、その当時の私は自分の汚い家庭環境を見られるのが何よりも嫌で、何も変わりない素振りをしていたのだった。




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