俺は、まあそういう可能性も考えてはいた。
そもそも彼女との恋愛関係の道は
ほぼ閉ざされていたのだから俺には関係の無い話だ。
だが、彼女の言っていた「長続きしない」という言葉を信じていた。
それに、エロトークを俺としているような女の子が
なんで別に彼氏をつくるんだろうと思ったりもした。
ただ、判断は任せるが、別に彼女はビッチかというとそれとも違うように思う。
真剣な相手がいればその人の事を大事にするのだろう。
ただ、それはそれとして決めたラインを超えなければ異性とエロ話もするんだろう。
彼女いわく、今度の彼氏はそれなりに良い感じで付き合えているらしい。
俺は嫉妬心からなのか、相手の事を聞いた。
大雑把に言えば彼女の地元(名古屋らしい)の友人の紹介で
知り合って、意気投合したらしい。
名古屋に勤める普通の会社員で、遠距離恋愛とのことだ。
向こうもオタク趣味はあり、気もあっていると。
俺はそれでも彼女が別れることをどこかで期待していた。
自分の彼女にならないのはともかく、誰かの彼女になるのが悔しかった。
今の自分の『彼女の気軽な友人』という特別感?みたいな
優越感みたいなものを失いたくなかったんだろう。
彼女との電話は時折していたが、やはり回数は減ったし、内容も
エロゲのトークをするのと同じような感覚で楓ちゃんは彼氏とのデー
トの話とかをしてくる。
俺はそれを聞くたびにチクリと来るものがあったが、彼女とのつながり
を絶つのもいやだったので ずるずるとエロゲトークだけをする男になった。
エロゲトークも興奮はするがそれでもマンネリはマンネリだ。
それに彼氏との関係の相談について振られると、やはり『良い友人』
の立ち位置を崩したくない俺は聞き役というか的確ではないにしても
彼女の望むような答えを言ったりして感謝されつつ、彼女の仲をとり
もっているようにすらなってしまった。
正直この時期は地獄だったと思う。ぬるい地獄。
縁を切ってしまえば楽になれるが、切りたくない。でも進展は無い。
そんな生殺しのような半年間だったと思う。
そしてそんな時に、楓ちゃんから電話が来た。
彼氏からプロポーズされたそうだ。
俺は頭が真っ白になった。
長続きしない女の子なんじゃないのかよ。
と突っ込みたくなったが、今回の彼氏が当たりだったんだろう。
ただ、それを聞くと、俺があの時告白していれば俺の彼女に出来たの
かもしれないという考えが頭をよぎってきて息が苦しくなった。
彼女と出会って2年近くが経ってこの日が一番辛い日だった。
立場としては おめでとうと言うしかない。
彼女も断るつもりは無いらしい。
俺は電話を切った後に布団に包まって泣いた。
俺はそれから時折よみがえる後悔の気持ちに悶々としながら2月近くをすごした。
彼女との電話はしていたが、もうオナニーなんて気分じゃなかった。
それでも友人の立場を手放したくないというバカッぷりだった。
だが、彼女がある日俺に言った。
翌月に3日だけ出張で東京に来ると言うのだ。
その時に、もし良かったら食事くらいはしないかと。
俺は浮気になっちゃうよーと言って見たが、別に食事だけだしと
彼女は平然としていた。断る選択肢が無かった俺は本当に情けないと
思う。
それでも、写メ1枚無い彼女をせめてあと1回くらい見たかった。
そして、俺は会社に有給を申請した。
それからの1月はどうしようかと悶々とする日々だった。
いまさら婚約解消などできるわけも無いだろうし。
そもそも会って何を話したらいいのか分からなかった。
そんな状態のまま待ち合わせの日が来た。
待ち合わせた場所は都内の某所。大きな歓楽街というほどではないが
それなりに店も宿も娯楽施設もある。俺はまた待ち合わせの1時間前
には現地にいた。
彼女は予定通りの時間に現れた。
かれこれ1年以上ぶりに見る楓ちゃんは髪型こそ変わっていたが、
スタイルも可愛さも変わっていなかった。
それだけで泣きそうになった。
3日の出張の最終日だそうで、食事が終わったら新幹線で帰るらしい。
店は俺が選んだのだが、おしゃれな店など知らないので居酒屋だった。
値段だけは高めの店で個室を選んだ。
会話の内容は当たり障りのないものや、お互いの近況、俺としては
おそらくはこれで最後だろうと思っていたが何を話すのがいいのか
わからないまま時間が過ぎる。
そして目立ったことが無いままにチャージの時間が過ぎた。
時間は夜の8時。8時半の電車で帰るらしい。
楓ちゃんは、店を出た後に俺と少し雑談をした後、
電車があるからと急ぎ目にありがとねと言って駅に向かおうとした。
俺はそこで頭が真っ白になって彼女を追いかけた。
ご…ごめんなさい; 予想以上に長くなってしまって…
今読んでいる方はいるでしょうか?
もしいなければちょっと朝の7時くらいまで眠ろうかなと思っています。
もしだれかいて、5分以内にレスがあるようでしたらこのまま書き続けます。