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部活中に普段近寄らない側溝のようなトンネルに入っていくと、、、
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25 :本当にあった怖い名無し:2024/12/14(土) 16:15:30.35 ID:kD6z4wqZw
Aの家に着くまでにも、誰にも会わなかった。

信号機はあるけど、車は走ってないし、民家から電気もついてない。

とにかく静かで怖い。


Aの家に着くと、鍵が締まっていた。

Aは、玄関横の植木鉢の下を探る。

いつもは そこに自宅のカギがあるはずなのだが、ない様子だった。

結局、家には入れずじまい。


Aは「そっちの家行く?」と聞いてきたが、俺は もうこれ以上、誰もいない街を歩くのが嫌で断った。

俺んちも、基本的に両親共働きで家に鍵がかかってるし、カギは部室にある荷物の中にあったのも理由。


俺とAは、結局学校に戻った。

そして、近所に交番があることを思い出した。

さっき、側溝ので、同級生に声をかけてきた警察官の人がいるところ。

何かの避難訓練だとしても、警察ならいるはずだと思った俺たちは、走りながら向かった。

もうそのころには、日はだいぶ沈んでいて、街灯の明かりだけが頼りだった。



26 :本当にあった怖い名無し:2024/12/14(土) 16:15:57.77 ID:kD6z4wqZw
交番に付くと、交番も締まってた。

電気もついてないし、使われている気配がない。


Aは交番の扉を蹴り飛ばす。

俺は内心「もっとやれ!」と思った。

怒った警察官が出てくることを期待した。

けど誰も来なかった。


俺とAは学校に戻り、職員室にある電話から、110番したり、親の携帯に電話を掛けたりした。

けど、呼び出し音は鳴るが、誰も出なかった。

もうこのころになると、内心2人とも「あの側溝を通り抜けて、別の世界に来たんじゃないか?」というようなことに薄々気づいていた。





27 :本当にあった怖い名無し:2024/12/14(土) 16:16:49.94 ID:kD6z4wqZw
そして、そのことを口に出して話しあい、もう一回、あの団地の裏にある側溝に入って、学校側の側溝に出れば戻れるんじゃないか……

とか、そんな意見でまとまった。

あまりにオカルトじみた話で、最初は馬鹿にしていたけど、もうこんな状況になると、2人ともその説を信じ切っていた。


けど、外はすっかり暗くなっていて、もう出歩きたくなかった。

何か、得体のしれない化け物が出歩いているんじゃないか……とか、そんな考えが脳裏を駆け巡っていた。


けど、Aは「誰もいないなら、関係ないやんけ」と言って、職員室から使えそうなものを集めていった。

懐中電灯と、使われてなさそうな上着。

あとは、武器になりそうということで、掃除に使うホウキを手に取っていた。



28 :本当にあった怖い名無し:2024/12/14(土) 16:17:18.74 ID:kD6z4wqZw
Aは、俺の分の上着も探してくれていた。

大人サイズのジャージだった。


俺は、もうこの段階になると怖くてほとんど動けなくて、動いているAが、今にも化け物に見つかって、襲われるんじゃないかとヒヤヒヤしてた。

もしそうなったら、俺は動かずに、じっとしていよう……と、卑怯な考えをしていた。


Aは「腹減たなぁ」と言って、職員室をあさり続けて、非常食用の乾パンと水を見つけ出してた。

Aはそれを食いながら、俺にも渡してきたが、俺は食欲なんて一切なくて、一口も食べられなかった。

とにかく、この静かな世界で物音を立てるのが怖くって、ずっとこのままうずくまっていたかった。

だけど、Aが「今から団地の方から戻ってみよう」と言い出した。




29 :本当にあった怖い名無し:2024/12/14(土) 16:23:06.97 ID:kD6z4wqZw
俺は、明日の朝まで待とうと言ったが、Aは理解してくれず、1人で向かおうとするので、俺は嫌々ついていった。

俺もホウキを持った。

2階にある家庭科室から、包丁を持ってきたかったが、夜の校舎を歩き回るのが怖くて、Aには言わなかった。


俺とAは校舎を出て、なるべく物音を立てないように団地の方角に進んだ。

で、団地に近づいたあたりで物音がすることに気づいた。

「人がいるかもしれないっ!」という歓喜の気持ちもありつつ、逆に「何か化け物がいるんじゃないか」という考えも出てきた。

そして団地に到着して、その考えが多分、後者なんじゃないかと思い至った。



30 :本当にあった怖い名無し:2024/12/14(土) 16:23:34.98 ID:kD6z4wqZw
団地は3棟あるんだが、そのうち2つの建物の各部屋には電気がついていて、人の気配……というかしゃべり声や生活音なんかも聞こえてきた。

あまりにも異様な光景だった。

いままで、あれだけ誰もいなかったのに、どうしてここだけ人の気配がするんだ。

今まで、あれだけ人の気配を懇願していたのに、今は、その人の気配が怖くて怖くて仕方がなかった。


それは、Aも同じ様子だった。

何も言わなくても、多分、お互い同じことを考えていた。

息を殺して、2人とも動かないようにしていた。


側溝に入るためには、団地の側を通らなくてはいけない。

絶対に見つかる。

俺は、足がすくんで動けなくなった。





31 :本当にあった怖い名無し:2024/12/14(土) 16:24:18.99 ID:kD6z4wqZw
その後、団地を隠れながら見ていて、「有樽神ゞ団地」という表札を見つけた。(名前はうろ覚え)

なんか、近隣の地名でもないし、読めないしで、気持ち悪いと思ったのを覚えてる。


暫くして、Aは「俺行くわ」と言った。

俺は、物音を立てたくなかったので、首を横に振って制止したが、Aは「戻って、元通りだったら、助けに来る」と言って、忍び足で側溝の入り口に向かっていった。

俺は、その光景を近くに隠れて見ていた。




32 :本当にあった怖い名無し:2024/12/14(土) 16:24:58.15 ID:kD6z4wqZw
この後のことは、あまり思い出したくないので、省略して書きます。


結局、Aは側溝に入るためフェンスに登ったのですが、ガシャンと物音がした。

途端、団地の声がピタッとやんだ。


Aは、急いで側溝に入っていった。

そのあと、団地から数人の人が走って出てきた。

ガタイのいい男が2人と、普通の成人男性っぽいのが3人くらい。

で、側溝の方に入っていった。


俺は、あまりの恐怖で過呼吸になって、自分の口を手で押さえながら、必死で静かにしていた。

もう、側溝の方は見ることもできなくて、暫く その場にうずくまっていた。

その間、心の中で「南妙法蓮華経 南妙法蓮華経」と連呼してた。

死んだお祖母ちゃんとお爺ちゃんに、助けてくださいと祈り続けてた。



33 :本当にあった怖い名無し:2024/12/14(土) 16:25:48.74 ID:kD6z4wqZw
どれくらい時間がたったかわからないけど、もう一回団地の方を見て、外に誰もいないことを確認した。

団地からは、また声が聞こえ始めてて、俺たちが来る前の状況になっていた。


1人になった俺は、この団地の側から離れたくて、どこに行くか考えた。

正直、学校も自宅も怖くて、最終的に

近所にある神社に行くことにした。


毎年、初詣に行く神社。

俺は、ガクガク震える脚で、物音を立てないように、死に物狂いで神社にまで行った。

周りに物音はないか、とにかく確認しながら道を進んだ。



34 :本当にあった怖い名無し:2024/12/14(土) 16:26:48.07 ID:kD6z4wqZw
で、なんとか神社に到着した。

社務所?っていうのか分からないけど、人が住んでいそうな部分には目もくれず、神社の御社殿(?)の中を覗いて、誰もいないことを確認してそこに隠れた。

側溝を抜けてから、今までで一番安心できた。

心の中では、ずっと「南妙法蓮華経 南妙法蓮華経」と唱え続けていた。

けど、安心もあって、気づいたら壁に寄りかかりながら、いつの間に寝落ちしてた。




>>次のページへ続く
 
カテゴリー:不思議・怖い話  |  タグ:オカルト・ホラー,
 


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