僕が、その声をきくようになるのは、何度も彼女としてからなのに。
あの男は、僕よりもうまいのか?
それとも、あの男はすでに、彼女と何度もやっているのか?
男の声はだんだん高ぶり、そしてアァ・・・と果てた。
あまり長くなかった。僕と同じくらいか。
しかし、行為はまだ終わらなかった。
しばらくすると、また男の情けない声が聞こえ始めた。
僕は聞き続けて、
あ、いま入れられたな、とか、
だんだん出し入れが速くなってるな、
とか状況を分析していた。
それが終わっても、まだ限界が来ないようで、
間隔が空いた後に再びはじまっていた。
ひたすら自慰にふけった。
ベッドに横になって、彼女がなめてくれたときと
同じ体勢になってずっと。
もう股間が痛くなっても収まらなかった。
外が明るくなってきたころ、ようやく眠くなった。
寝て、起きたら昼1時を回っていた。
大学はもうさぼった形だ。
そのときになって、僕はようやくパソコンをつけようと思った。
彼女からメールが来ていないかと。
そしたら・・・来てたΣ(゚Д゚;)
喉がつまるような思いをしながら、それを開けた。
僕は、許す気まんまんだった。
許すというか、彼女は僕の全てだった。
彼女が僕に戻ってきてくれるなら、何でもよかった。
・・・件名なし、内容なしの空メールだった。
念のため、反転すると文字がでるかとか、
何か仕掛けがないか確かめたが、何もなかった。
意味がわからなかった。
君に話すことはもうないよ、ということなのか。
謝るつもりはないよ、ということなのか。
しかしそれならメールを送ってくる必要自体がない。
逆にこのメールに返信ちょうだいということなのか。
でも、いつも自分から動いていく彼女の性格から、
他人に返信をよこさせるような行動は想像できなかった。
苦悩するまま夜になって、
ふと、ゲームにログインしてみようと思った。
ゲーム内で、僕と、彼女との友人登録は削除されていなかった。
彼女はログインしていた。
(登録していると相手の状態が分かる。片方が友人登録を削除すると、
もう一方もたぶん削除される。)
しかし、いつも僕がログインするとチャットで話しかけてくる彼女は、
一向に話しかけてこなかった。
僕も話しかけるのが怖かった。
いつも待ち合わせしているゲーム内の場所にいっても、
彼女は来なかった。
僕のブログに、彼女のコメントがつくことはもうなかった。
僕は悲嘆にくれた。
------ 後半終わり。