眠れないから ぼくと彼女の話 思い出す
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大学の部活の新歓で会ったとき、彼女がぼくに一目惚れをした
ぼくは彼女とよく話した
一緒にお昼を食べて、一緒に勉強をして、1年生の夏休みに一緒に花火を見に行った
花火の帰りに行った安い居酒屋からぼくと彼女のお付き合いは始まった
2人で飲み慣れない酒を飲み、真っ赤になった顔を笑いあった
その日の別れ際、あしたになったら覚えてない、とか言わないでね
彼女はそう言ってニコニコしながら人ごみに消えていった
夏休みが明けて学校に行くと、彼女が友だちに囲まれてた
バレないように横を通り過ぎようとしたけど見つかって2人そろって散々な質問攻めにあった
その日の夕方、彼女を家によんだ
オムライスが食べたいというのでつくってあげた
ケチャップで彼女の名前をかいたら彼女は大喜びしていた
食べ終わると、ぼくたちに沈黙が訪れた
ぼくは彼女の目をじっと見た
彼女もぼくの目をじっと見ていた
外はいつの間にか暗くなっていたけど、部屋の電気はついていなかった
ぼくらは最初のキスをした
その次の日曜日、彼女が家に来た
映画を借りてきて昼間から缶ビールを飲んだ
彼女が今日は泊まっていくと言ったあとは、映画の内容なんてほとんど入ってこなかった
その日、結局ぼくらはひとつになりそびれた
彼女は痛がったことを申し訳なさそうにしていて、他にできることをしたいと申し出た
狭いシングルベッドの上でお互いの肌の感覚を楽しみながら眠った
次の日2人で授業に出た
ぼくがクシャミをすると彼女は風邪ひいたんじゃない?と小さな声で言って笑った
冬になると2人でぼくの家で過ごすことが多くなった
さすがに気が利かなさすぎるだろうかと思って、イルミネーションを見に行こうと誘ったこともあったど、彼女は寒いから嫌だと言った
だからぼくらはクリスマスも近所のスーパーで買い物して家でゆっくりケーキを食べただけだった
でもその日は、ぼくらが初めて ひとつになれた日になった
彼女はぼくの下で泣いていた
ぼくが急いで謝ると、幸せだと言って目を潤ませたまま微笑んだ
ぼくは意味が分からんと笑って彼女を抱きしめた
彼女の誕生日にはペアの指輪を買ってあげた
ぼくの誕生日には ぼくの好きなバンドのライブチケットをもらった
ぬるま湯のような幸せな日々に浸かりきっていて、ぼくは知らず知らず調子に乗っていた
ぼくの誕生日におめでとうと言ってくれた女性が彼女の他にもう1人いた
高校時代に憧れていた先輩だった
ずっとアタックを続けた結果、卒業式の直前に1ヶ月だけ付き合ってくれて、ぼくを男にしてくれた人だった
何度かメールのやり取りをするうちに、会う約束を取り付けてしまっていた
駅で先輩と待ち合わせて、店に向かった
先輩が予約してくれていた店はオシャレなカフェのような雰囲気の店で、ビールが1000円する店だった
先輩と高校時代の思い出話をしながら、薄暗い照明の中で彼女と違う長い髪や、深い黒をした瞳、厚い唇、そしてふっくらとした胸に意識を奪われていった
店を出てから先輩は2軒目に行こうと言った
ぼくが頷くと先輩は子どものように喜んで、ぼくの腕をとって歩き始めた
一瞬 頭の中でもう1人のぼくが、こんなところを誰かとに見られたら どうするんだと咎めたが、鼻先を先輩の髪の香りにくすぐられ、なんかもうどうでもよくなった
どんどん繁華街から離れるので、どこへ行くのかと聞くと先輩の部屋だと言った
ぼくは繋いでいた手を離し、先輩を見た
先輩はぼくの方を見ないまま、彼女と別れて私と付き合ってよと言った
ぼくは、今は返事ができないと言って謝り、先輩に背を向けて駅へと向かった
酔いは完全に醒めていた
電車に乗ってから携帯を確認すると、何も知らない彼女からバイトが終わったと報告のメールがきていた
ぼくはおつかれ、と返事をして携帯をしまった
ぼくは先輩への返事もできぬまま、罪悪感から彼女と接しにくくなってしまった
幸か不幸か、彼女は女の勘というものが鋭くなかった
なんとなく よそよそしいぼくを責めることなく、自分の行動ばかり省みていた
苦手だった料理を克服するといって料理教室に通い始めたり、胸が大きくなるという体操を覚えたり、ぼくが一度でも不満を口にしたことについて全て改善しようとしているようだった
先輩とは告白の返事をせぬままに、なんとなく連絡を続けていた