激しくGJ!
「嘘、嘘でしょ…当てずっぽうでしょ?」
彼女は懇願するように俺に聞いた。
俺は少し間を置いてから
「藤原だろ?」って答えた。
彼女は冷めた目で俺を見つめ「何で?何で?…」
と繰り返し、俺が答えないのがわかると…
「信じられない!」って席を立った。
俺も伝票を取り後を追いかけたが、
支払いをしている時に彼女は走り出した。
レジを打つ間が待てなくて「これで足りるよね?」って財布から
3、4万を抜き出しマネージャーに渡して後を追った。
エレベーターは既に降りていたので階段を必死にかけ降りた…。
階段を必死に降りながらも後悔していた…と思う。
正直、記憶がなかった。
一階に辿りつき、辺りを見回したがエレベーターホールには人影もなく、
エレベーターも止まっていた。
どっちだ?と飛び出した瞬間…
ドキドキ
光るモノが目に入ったと思ったのと同時に衝撃が襲った。
身体が跳ねた感覚と暖かい水のような流れと悲鳴や怒声が聞こえていた。
どうやら跳ねられたらしい。
記憶がそこで途切れた。
意識が戻ったのは救急車の中だった。
左目がぼやけていたが彼女が泣きながら救急隊員と話をしていた。
死ぬのかな?このまま死ぬのかな…
意識が朦朧としていたから断片しか思い出せなかったが、
彼女の名前を呼んだような気がする。
救急隊員が何か言ってる…
覚えてないが、受け答えはしっかりとしたらしい。
そのまま「寝かせて…」俺は気を失ったような眠ったような状態になった。
はっきりと意識が戻ったのは
次の日になってからで俺の両親も彼女の両親も来ていた。
結局頭を強く打っての脳滲透だったのと、
右手首を折っただけだった。
アチコチ痛いしすり傷は沢山あった。
精密検査と療養の為に五日間入院したが、後は通院にした。
事故の相手は徐行に近いスピードだったが
一方通行を逆走してしまい慌ててその区間を通り過ぎようとしていたらしい。
事故後の交渉等は父親に任せたので割愛します。
仕事が手につかねえ、紫煙。
暫くは右手が使えなかったが、
俺は左利きだったので問題なかった。
仕事にも影響なく、すぐに戻った。
彼女から状況だけ聞いたが、彼女は俺が支払いをしている間に
化粧直しをしていたらしい。
それに気付かずに俺は慌てて追いかけたのだが、彼女はマネージャー
からキチンと釣りを貰ったとの事だから、それも本当の話なんだろう。
彼女がエレベーターを待ってる間に俺が事故に遭ったらしく彼女は泣き
叫んでいたそうだ。時間の感覚とかがズレていて、今でも思い出せません。