>>527の続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
一年が過ぎ、二年が過ぎ…俺は深夜のバイトがローソンからサンクス
へ移りながらも、新車のローンを抱えて一生懸命働いていた。
定職に就こうと思えば就けたけど、何となく、毎月3万のローンが払
えればいいかな、って。実家にいると、別に金も大して必要じゃないし。
ただ、彼女の家と彼のアパートの周辺だけは、自分の中ではずっと、
立ち入り禁止区域のままで。でも、親同士は少しずつ雪解けを始めていた。
向こうの親とは、俺は一切会う事も会話する事もなかったけど。
『今日、恵理ちゃんのお母さんと会ったわよ』
『あっそ』
…無邪気に話し掛けるお袋の言葉は痛かった。その名前はもう忘れさ
せてくれ、本当に。でも、俺はただ拗ねていただけなのかも知れない。
白馬の王子様じゃないけどさ、彼女が直接謝りに来て、仲直り出来る
かも知れない、なんて。でも、仲直りと言うか、会って話す気は更々
無かったけど。悲劇のヒロイン気取って、ずっと篭ってた感じか、俺は。
俺はバイトと家の往復と言う、単調な日常の中で、少しずつ病んでい
たんだと思う。バイトの休みの日はよく、夜中に家を抜け出して、
134号線をスッ飛ばしてました、江ノ島方面へ。
160キロとか平気で出してたけど、オービスは無かったみたい。
交番のある交差点付近は減速しましたが。暇な時って、部屋にいても
落ち着かなくて。グルグルと意味も無く歩き回ったりしてて。
車を運転してると、何となく気が晴れて。
このまま死ねるかな…なんて、何回か考えたり。
でも、自殺願望って言える物ではないです。
俺は千葉にいた一年で、すっかり「放浪癖」が楽しくなったらしい。
家に帰って来てから2年間、家具らしい家具は買わなかった。
部屋には、俺の服がハンガーに掛けてあったり、畳んで置いてあったり。
大き目のバッグの中には、俺の持ち物がほとんど入っていて。
それから、布団。ベッドは家出の前にバラして処分しちゃったから。
俺が家を出た後、部屋を見た両親はかなり驚いたらしい。
家具がない、って。発つ鳥跡を濁さず…
それが礼儀と言うか、何と言うか。自分でも律儀だと思う。
本当に何もない部屋で。いつでも家出出来ます、みたいな。
自分でも、生活感がないと言うか、またいつか別の場所に行ってみた
いな…なんて、漠然と考えていたんだと思う。
特に息苦しい生活、とか、この街にいると彼女の事ばかり思い出して
鬱になる、とか、そんな風には思ってなかったけど。
ただ、本当に微かな感情だけど、やっぱり俺、ここには長く住めないな…と。
ま、もう28歳だし、親ど同居ってのは実際辛い。
顔を合わせる分、余計な心配やら何やら色々と掛けてるみたいで。
時々、簡単な会話すら苦痛になる瞬間もあったり。特にストレスなん
て意識はなかったけど、立派なストレス持ちですね。
元々友人も少なくて、その少ない友人ですら、千葉にいた一年で、完
全に断ち切れてしまって。バイトをしてなかったら、完全に引き篭も
りです。
バイト仲間って言っても、友達には程遠い関係。どんな表情でも作り
笑いに見えて、行く度にいつ辞めようか、いつ辞めようかって、
そんな事ばかり。
去年の夏の話です。
雑誌棚に、搬入された雑誌を並べていました。
ガテン「Uターン特集」…パラパラっと見て、
あ、これいいな、って。
バイトの帰り際に買って、部屋で黙々と読みました。
もう、居ても立ってもいられなくて。
不思議な衝動と言うか、読み耽る内にワクワクが止まらない。
って、俺はつくづくガキだな…ちょっと鬱。
ま、新天地カモーンな訳です。俺、行かなくちゃいけないかも、みたいな。
頭の中ではもう、家出計画策定です。でもどこへ行くのかは謎。
とにかく、別の世界で新しい何かをしないと…と。
一瞬、裸の大将と気持ちが通じ合いました。そんな気がします。
絵は描けないけど、オニギリは好きだし。
芦屋雁之助さん、ご冥福をお祈り申し上げます。
俺は本気で、野に咲く薔薇の様に生きたいと思いました。
でも、すぐに飛び出す勇気もない俺。屁タレです…。
東に行くか、西に行くか…悩みました。
東と言えば、もう千葉には行ったし、雪とか、寒い所は嫌だな、と。
なら、西?でも、大阪まで行くのはどうも、とか。
そんな感じで、半年ぐらいズルズル悩んでました。
勿論、行った先の就職の事も考えて、
就職情報誌も毎週毎月買ってましたけど。
Uターンってのが流行ってるんですね。
俺はUターンじゃないんですけど。
田舎は神奈川だし。結局、クリスマスが過ぎた頃、静岡にしようと。
名古屋大阪と東京の間を取って、静岡。
温かそうだし、石垣イチゴあるし、お茶の国だし。
静岡っていい所だよな…俺の夢も膨らみます。
勿論、そんな単純な動機ではないですけど。
観光案内所の営業事務募集を見て決意した訳で。
すぐに応募しました。
年明け早々、履歴書郵送、電話面接、
日帰りで直接面接…って、今年の1月の話です。