展望台での露出
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そのとき、もう一方の人が声をかけたんです。近づいてきていた男の人は「そうですね。せっかくですから」といって、クルマから遠ざかっていく気配がしました。
私はほっとしたというか、全身の力が抜けてしまうのを感じました。
そして、展望台への階段を登っていくふたつの足音。
革靴を履いているらしく、耳を澄ますとかつんかつんと音が聞こえてきました。
足音はだんだんと上にのぼっていきました。
すぐにワンピースとサンダルをつけて逃げだそうとしたのですが、運転席の狭いスペースに潜り込んでいたので、なかなか出ることができませんでした。
それにからだの力も安堵感から脱力したまま、思うように動くことができませんでした。
しかし彼らがいつ戻ってくるかもしれないのです。
動かないからだにむちうって、なんとか運転席に座ることができました。
さっきの人たちのクルマが反対側にとまっているだけで、誰もいませんでした。
そっとドアを開けて外に出ました。
下から展望台の上の様子はわかりませんでした。
「戻ってくる前に」
脱ぎ捨ててあったワンピースとサンダルを拾い、サンダルを履きました。
それからワンピースを着ようとしたときです。
彼らが展望台の階段をおりてくる靴音が聞こえてきたんです。
あせってしまって、ワンピースをはおる暇もありませんでした。
ワンピースを助手席に投げ入れ、キーをまわしました。
彼らの話し声がだんだんと近づいてきました。
私は裸のまま、ものすごい勢いで発進し、登り口をくだっていきました。
彼らもたぶんその音に驚いたと思います。誰もいないと思ったのに、下で突然クルマが発進したのですから。
「ひょっとしたら追いかけてくるかも」
私は新たな不安にとらわれました。
ですから、途中で停車せず、裸のまま運転席に座って坂道を下っていったのです。
今考えてみると、もしもこのとき対向車があったら。そう考えるとぞっとします。
けれども幸い誰にも会うことなく、下の道路までたどりつきました。前後ともクルマはありませんでした。
運転席でワンピースを着ようとしたのですが、狭くてうまく着ることができませんでした。
それで危険とは思ったのですが、いつまでももたもたしているよりはましと考えて、いったん外に出てワンピースをはおりました。
また中に入り、クルマの中でボタンをとめました。
そのとき、おなかの下、つまりあそこのボタンがとれているのに気づきました。どこかでとれてしまったようです。
しかしそのときはそんなことを気にしている余裕などありませんでした。前後を一応確認し、急いで発進しました。
ワンピース一枚とはいえ、服を着ているというだけで、こんなに安心するなんて。
ハンドルを握りながら、ついいましがた自分の身にふりかかったこと、というか自分がまいた種なのですが、が頭の中によみがえってきました。
もしほんの数秒、クルマに戻るのが遅かったら。
恐怖がこみあげてきました。
駐車場で彼らとはちあわせになってしまったらと考えると、まともに運転できなくなって、路肩に駐車して気持ちをおちつけるのに時間がかかりました。
帰り道はアパートまで一直線でした。
途中、どうしてもトイレに行きたくて、コンビニに入りましたが、店員の人に変に思われはしなかったかと心配でした。
アパートに帰るとまだ昼過ぎでした。ほんの少ししか露出をしていなかったのです。しかし私にとっては大冒険でした。
長くなってしまいました。また、いろいろと懺悔していきたいと思います。
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