それでも「あなたを愛してる。あれは無理やりなの」
と言って欲しかったのかも知れない。
***
会社から帰ると、妻は「お帰りなさい」と言って迎えてくれた。
今ではこういう、当たり前の光景がとてもうれしく、安堵感を覚える。
いつも、会社から帰る道、
「妻はいないかもしれない」と考えてしまう。
そう思いながら開ける玄関の虚しさ。
そして、「お帰りなさい」と言ってくれる妻を、
いることの安堵感。言葉では言い表せない。
スーツを脱ぎ居間へ行った。
チラリと朝、置いてきたビデオを見た。
朝から置いてきたままの位置にあった。
妻は見ていないようだ。
ゴハンを食べ、風呂に入り、
ありきたりだけど、幸せな時間を過ごした。
しかし、頭の中では、このビデオを妻に見せるべきか、
見せないべきか、悩んだ。
どっちにしても結果としては、同じになるだろうと思う。
見せてもみせなくても何ら状況は変わらない。
ならば、妻に変に気を持たせるよりも見せないで、
私が知らないフリをしているのが一番だと判断し、
ビデオは見せないようにした。
夜、ベッドに入った。
妻を求めたが、妻は優しく拒否した。
口でいいから、と言ったがそれも拒否されてしまった。
じゃあ手でもいいから、とお願いしたが、
なおさらイヤだと拒否された。
妻にしてみれば、私とのお子様のような
セックスには興味はなくなってしまったのかもしれない。
愛情はまだ、あると思うが、
セックスと愛情は別なのだろうか。不安がよぎる。
しかし、その不安が、更に私の性欲を興奮させる。
この年になってもヤリたいと思う自分に驚く。
どうしても妻を感じて射精したかった私は、
妻に「じゃあ、自分でするから、見ててくれないか?」と尋ねた。
妻は、最初の私のミジメな自慰姿を思い出すから
イヤだと言ったが、私はどうしても納まらず
パジャマを脱いで全裸になり妻に近寄った。
妻は悟ったらしく、黙って私のペニスを見ていた。
自分でシコシコ・・・・・とペニスを擦る。
「はぁ、はぁ・・・」と声を出す。
その横で、一言も言わず無言でペニスを見つめている妻がいる。
情けなさで後輩の顔が脳裏をよぎる。
完璧に負けた気がした。後輩は妻を狂わす。
私は、妻一人すら満足させることができない。
今やっている自慰さえ、自分しか満足できない。
妻は服を着たまま私を見ているだけだ。
濡れてもいないだろう。
「はぁ、はぁ・・・・イ、イクよ・・・・、
いいかい?」と妻に聞いたが、返答はなかった。
私は、無言でペニスを見ている妻の目をみながら自分のお腹に射精した。
***
それでも、毎週火曜日は妻は抱かせてくれることもあった。
それ以外は、たしかに妻は疲れている。
水、木は後輩は我が家へ来て妻を抱くし、
金、土、日は妻は、後輩のアパートで、複数の男達にもてあそばれる。
もはや、妻の体を見る機会は主人の私より他人の方が多い。
そして後輩が会社を辞めた。
携帯電話も代えているらしく、
後輩とは連絡を取ることも、
顔を見て文句をいう事もできなくなった。
数日間、会社を無断欠勤してから辞めたらしい。
しかし妻は、彼が無断欠勤した日は家にいたので、
その辺りは、彼の無断欠勤の理由はよく分からなかった。
ただ単に会社に嫌気が差したんだろう、
くらいにしか考えていなかった。
何回目かの週末が過ぎたころ、会社から短期の出張を命じられた。
月曜日の朝から行って、金曜日の夜に戻る。
会社の命令なので絶対だが、そうすると、
土曜、日曜は妻は後輩のところへ行くため、
丸々一週間会わないことになる。
なんとかして断りたかったが、無理だった。
以前、長期の出張を断ったため、今回は断れなかった。
会社でもヤル気を失い、成績も上がらなくなっていた。
当時は同期の中でも出世頭だったのに、
抜かれることも増えてきた。
そういう事もあり、引き受けざるを得なかった。
妻はというと、なんとか理性を保ち、週末をクリアーしている、
といった状況で、わずかな細い一本の糸が切れると、
理性をかなぐり捨て、快楽というドロ沼にハマるような危ない表情だった。
そのため、今回の出張は、
かなりリスクが高いということは間違いなかった。
妻に「今度の月曜から、金曜まで出張に行くから」と話をした。
「えっ!?・・・・・」と声にならない返事をした。
妻から「どうしても・・・行くんですか?」と聞かれた。
妻もその一週間で自分がどう変わるのか予想できるのだろう。
歯止めの利かない体になり、快楽をただただ、
むさぼり、家庭を顧みない、
肉奴隷に堕ちる事を想像したのだと思う。
***
出張初日、新幹線に乗り、目的地へ向かった。
見送りの妻は、涙目で私を見ていた。
私も胸が苦しくなった。
妻が「あの・・・・」と何かを言おうとしていたが、
タクシーが来て聞きそびれてしまった。
夜、自宅へ電話を入れてみた。
しかし・・・・・・妻は電話にでなかった。
後輩と連絡が取れない今、
妻の携帯に電話するしか方法がない。
妻の携帯に掛けようかとも思ったが、
後輩のところではなく、例えば、実家へ戻っているとか、
友達の所へ行ったとか、もっと言えば
具合が悪くなって早めに寝てしまったとか、
そういう場合、妻を信用していないような気がして、
すぐには電話をかける気にはなれなかった。
ビールを何本飲んでも酔いが回らない。
頭は妻の事ばかり。
自宅へ電話して1時間くらい経った頃、再び自宅へ電話した。
しかし、電話には誰もでなかった。
ガマンできなくなり、妻の携帯へ電話を入れてみたが・・・・・・。
電源が切れていた・・・・・。
どうする術もなく、妻あてにメールを送り、
妻の裸体を思い出しながら自慰をして、
初日は眠りについた。
次の日、仕事を済ませ、ホテルへ帰って
シャワーを浴び、ソファーで飲んでいると
妻からメールが来ていることに気付いた。
「昨日はごめんなさい。彼のお友達とホテルにいます。」
と入っていた。
(彼の友達?)
私はその言い方が気になった。
彼(後輩)はいないのか?
「電話できないのか?」とメールを返した。
すぐに返事が返ってきたが
「今は、無理。あとで掛けれるようなら掛けます」
という内容だった。
初日と今日(二日目)。妻は、どこで、誰に、
一体何をされているのか、非常に気になる。
妻と私を繋ぐものが妻の携帯(メール)しか
無い今、どうすることもできない。
3日目、今日くらいは、妻から電話が掛かってくるかも、
と朝から携帯を気にして仕事をしていた。
昼飯どきに一度「どうしてる?どこにいる?心配だ」
とメールを送った。
この日は、取引先の人から飲みに誘われたが、
とてもそんな気もなく、丁寧にお断りした。
ホテルに帰っても妻からの電話、メールは無かった。
こうなると1時間、1分がものすごく長く感じられる。
逆に飲みにでも出てたほうが、気が楽だったかもしれない。
もう一度「電話できないのか?」
とメールを打ったが返事は来なかった。
四日目の夜。
妻の身に何かあったのか?
後輩やその友達から電話を掛けさせてもらえないのか?
その辺が分からない今、捜索願でも出そうかと真剣に悩んだ。
明後日には帰れる。待ち遠しい。
一日千秋の思いとはまさにこのことだと思った。
妻の事を考えて悶々とする毎日。
帰りにレンタルビデオで人妻モノのAVを借りてきた。
また長くなりそうな夜。
それでも見て時間を潰そうと借りてきたものだ。
早速部屋のデッキに差し込んで、人妻モノをボーッと見ていた。
不思議なことに、悶々としているにも関わらず、ペニスは勃起しなかった。
妻でなければいけないのか?
それとも、もはや多少のことでは興奮しなくなったのか?
体がアブノーマルに染まってしまったのか?
無理にペニスをしごいても、立つことはなかった。
夜も遅くなり、寝ようかと思っていたころ、電話がなった。
妻からだっ!と瞬時に期待し携帯に飛び掛るように電話に出た。
「・・・・もしもし。あなた・・・・。」
涙が出そうだった。思わず、
「なんだ!?どこにいるんだ!?何やってるんだ!?」
と矢継ぎ早に質問した。
「うん・・・・・。あのね、私・・・・・もうダメみたい・・・・・・。」
***
「ダメってなにが?何が?何があったんだ!?説明してくれ!」
しつこく妻に問いただした。
「うん・・・・。私もよく分からないんだけど、
彼(後輩)の知り合いに、人妻を売買する人がいて、
彼、無理やり借金を背負わされて、
その借金の返済に、私の体が売られたみたい」
私は、何がなんだかよく分からず、返事に困っていた。
「それでね、彼はもういないの。
会社を辞めて実家に戻ってるみたい。
今は、アオキさんっていう人が私を調教してるの」
「ち、調教?」
「・・・・・。本当はもう1ケ月くらい前から、
アオキさんとは会っていて、いろいろされていたの・・・・。
それで、あなたが居ない1週間は、
本格的に私を調教するって・・・・。」
妻は泣きながら話をしていた。
しかし、妻の話だけでは詳しいことは分かりません。
とにかく妻の周りで変化が起こっていたのだけは分かりました。
あまりの驚きに返事が出来ない私に妻は更に言いました。
「月曜日は、マンションの一室で知らない人に売られたわ。
一晩。火曜日も。だから連絡取れなかったの。
昨日と今日はアオキさん達に調教されてます」
さっきまでAVを見ても反応しなかったペニスが、
妻の言葉だけで、ビクンビクンと反応を示し始めた。
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