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不気味な場所に迷い込んだ話
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22 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 15:19:28.28 ID:exs5tcAx0
>>20
なんと

プリント回して見たら行方不明のケースかな?

小学生らしい大ポカ


23 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 15:20:58.93 ID:XzvFwQtP0
目が覚めてきた3世はアミを川に落としチョウもバッタも捕まえられなかったと聞いて怒りに怒り出した

自分は のんきに寝ていたくせに都合のいい奴である

しょうもない蛾しか捕まえられず地図をなくすというお先真っ暗な状態になり 救いを求めダイチに「ここからお寺への行き方わかるよね?」と訪ねたが

ダイチは ものすごく情けない顔をしていた

いよいよ大変な状況になってきた

今から川を下って小学校には戻れるが、そんなことをしたら最下位は確実

今ほど携帯も主流じゃなかった時代なので、4班が学校に帰ってることを知らない先生達は慌てて地域一体を探し回るだろう

それにお花見には付き物の食べ物を何か用意しているに違いない

そして1位の班から順に多めにもらえるシステムに違いない

だとしたら なんとしても最下位だけは避けたい



24 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 15:26:07.30 ID:XzvFwQtP0
必然的に、このまま勘で進むしかなくなった

名前は同じだが犬猿の仲の2世と3世が険悪なムードになり ダイチは一番後ろで情けない顔をしている

ここは班長として班員達を無事ゴールに導かねばならない

地図で見ればたしか右上にあったんだから、とりあえず川を もう少し上のほうまで登り右に曲がってまっすぐ行けば それっぽい寺が見えるんじゃないか

近くに行けば木の看板くらい道路沿いに刺さっているはずだ

そう信じてコンクリートの舗装が途切れた川沿いの道を登っていった

班員も誰かに付いて行くしかなく、黙々と後ろを歩いていた




25 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 15:32:53.03 ID:XzvFwQtP0
さっそく「登って右理論」に欠点が発見される

もう少し道が続いているかと思いきや、もう かなりの草むらで先に進めないのだ

ここから まっすぐ上って行っても、山のほうに行ってしまう

迷った末に田んぼを越えた遠くに民家が見えるのを発見し、あそこらへんになら道があるだろうと賭け

どうにか そこまで移動しようということになった

土手の坂を一人ずつ滑らないように踏ん張りながら降り、溝を飛び越えて田んぼと田んぼの間にある細い道を恐る恐る進む

草が茂っているため足元がよく見えず、道が続いているかと思えば大きな穴があり

危うく脚が はまって転びかけた

民家までの かなりの距離を平均台を渡るように神経を集中し スニーカーを泥まみれにしながら なんとか四人全員渡りきった



26 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 15:39:45.77 ID:XzvFwQtP0
さて到着したのはいいが、まったく見たことのない民家だ

中が丸見えのボロボロの廃屋や、人が住んでいるのか怪しい古い民家、傾いた電信柱に古い選挙ポスターが貼ってある

路地はあるが これがどこに続いているのかも分からない

小学校のある地区を上中下に分けると、上にゴールのお寺中に小学校があり下にナツキ3人の家がある

ダイチの家は どこかわからないが、寺の場所は知っていても ここらへんにはあまり詳しくないらしい

小学校より上には滅多に行かないので、歩いて30分もかからない場所でも全く土地勘がないのだ

わずかに坂になった路地の奥を覗いてみると、また まっすぐ山に向かって続いているようだ

ここからでも本格的に山に上がる草木の生い茂った道が見える

右に曲がれるかは分からないが、ここしか道も無いので寺までの道が続いていることを祈りながら皆黙って坂を上り始めた



27 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 15:45:08.88 ID:exs5tcAx0
心細いなあ


28 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 15:46:17.34 ID:XzvFwQtP0
望みも空しく、右に曲がれそうな道は見当たらなかった

このまま直進するわけにも行かず、引き返すと言い出そうかと迷っていたとき

突然ダイチが「ここ!!」と叫んだ

何が?とナツキ1〜3世は口々に訊ねたが ダイチは ただただ「ここ!!ここ行く!!」と興奮して叫ぶばかり

ダイチの指差した道は坂の傾斜が少しきつくなっており、両側に枝葉を広げた木が黒々とそびえ薄気味悪い空気が流れていた

こんなところに行くのは気が引けるが、ここから逆向きに帰ろうにも来たことの無い路地

田んぼのあぜ道を通り坂を上って川沿いの道に出て、そこからまた学校に引き返すのは疲れた小学生にとって途方も無く遠く思えた

皆が立ち尽くす中、「ここからお寺に繋がってるんだな」と呟いた2世が一人で坂に向かって歩き出した



29 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 15:51:03.16 ID:KDh8w63P0
ふむふむ


30 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 15:53:12.15 ID:XzvFwQtP0
一人が歩き出せば付いていくしかないのが小学生の性

ダイチもすぐ2世を追いかけ、本気で行くのかよと3世が後に続いた

1もどうしようもないので一番後ろを付いていこうとして一度後ろを振り返ると はるか遠くに ちいさくなった小学校の赤い屋根が見えた

上り始めた坂は陽も当たらず ひんやりと湿った空気で背筋の冷えた1は 最後尾にいるのが怖くなり2世の後ろまで走った

左側は坂にはなっているが ほぼ崖のように険しく、右側は下ると水が枯れた小川の跡があった

崖の下に生えている見たこともない草を眺めながら恐る恐る上っていると これまたはじめて見るものが目に入った

道沿いに幾重にも積まれた石だった




31 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 15:54:06.38 ID:lN/iek580
2世かっこいいな


32 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 15:58:18.27 ID:XzvFwQtP0
平たい石が何年も前から積まれていたように道沿いに置かれてある

誰も寄り付いたことがなさそうなこの山道まで来て こんなことをした人がいるのか

漠然とだが何故か人間のしたことに思えず、背筋が凍った

周りはただ前を見て黙々と坂を上っている

1一人がこれを見てしまったが、周りに報告する気にもなれなかった

しかし このまま上っていくのも気が引け、2世に「もう降りない?」とおっかなびっくり声をかけたが「もうちょっとだけ」と振り向かないまま ずんずん進んで行っている

もう余所見をしないよう足元だけを見ながら2世のあとに付いていったが ふと今度は左側に積み上げられた石を見つけてしまった

両側から挟まれたようでもう心臓が止まりそうだった



33 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 16:04:32.24 ID:XzvFwQtP0
「なんだあれ」と後方から3世の声が聞こえた

3世も石を見たらしい

声色からして怯えているようだった

もしかしたら2世も気付いていたのかもしれないが、ただ無言で坂を上っていた

ここまで上っても右側に進めそうな気配は一向に無く、なぜダイチがここだと言い出したのかも分からないまま 2世の進む道を付いていった

手に汗をかき、ただ うつむいて歩いていたところで、2世が急に足を止めた

何も喋る気になれず、2世が何か言うのを皆待っていた

2世はこちらを振り返らないまま、「行き止まりだ」と言った



34 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 16:12:58.93 ID:XzvFwQtP0
顔を上げると2世の先には古びた小さいトンネルがあった

奥は先が見えないほど真っ暗で、じっとりと湿った感じがする黒さだった

錆びた柵で中には入れないようになっており、全体にコケが茂ってレンガが深緑色になりツタが這っている

やっと引き返せると内心ほっとしたとき、生ぬるい風がトンネルから吹き抜けるのを感じた

ふと気配を感じて崖のある前方上を見ると、チラホラと見えていた石がコケを生し数え切れないほど崖の上に積み上げられていた

その一つ一つが人間のようで、得体の知れない集団に見下ろされているようで おかしな気配と威圧感に耐えられず即座に後ろを振り返って走りだした

皆いっせいに その積まれた石に気付いたらしく、誰からともなく走って坂を下りはじめる


皆無言で、しかし全力で坂を駆け下り、足の速い2世と3世に追い抜かれながらも 自分が一番最後を走ってはいけないと脅迫観念のように感じ本気で走った



35 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 16:21:22.40 ID:XzvFwQtP0
坂を降りきろうとしたところで、なぜか上ってきた先生と鉢合わせになった

後ろには他班の生徒が こちらを覗いており、一気に緊張が解け班員から笑顔がもれた

他の班は すでにお寺にゴールしていたらしく、4班の到着を待っていたところ 遠くの川沿いの道から降りている1達を発見し、そろそろ到着かと思っていたら来ないので 探しに来たらしい



その後 意外とすぐ近くにあったお寺で ほとんど残っていなかったお菓子を食べ 皆で一番大きな道を通って学校に戻った


その間4班の中で特に会話はなく、誰も石のことは言わなかった


お寺では怖くて聞けなかったが学校に戻ったことで少し気が 大きくなりアミを無くしたことを謝るため一人職員室に向かった際、先生に石のことを聞いてみることにした



36 :名も無き被検体774号+:2012/11/25(日) 16:26:47.74 ID:exs5tcAx0
ふむふむ



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:不思議・怖い話  |  タグ:面白, 青春,
 


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