しばらくすると妻が震える声で言った
「本当にごめんなさい。あなたには何とお詫びしたらいいかわからない」
床に額をこする妻の姿を見て、俺は泣きそうになった。
幸せな家庭を築くことが幼いころからの夢だったのに それがガラガラと音をたてて崩れていくのがわかった
2人目は本当にお前の子なのか…?
「なんで浮気なんてしたの?」
精一杯の声を振り絞って聞いてみた
妻は いっそう強く肩を震わして、しゃくりをあげながら
「あなたが完璧すぎて私は必要とされてないと思った。寂しかった」
と答えた
自分は主婦なのに家事ができなくて、俺に負担ばかりがかかってるから 自分は相手にされないと思ったらしい
これまじなら辛すぎるなw
寝取られなんてレベルじゃねーわ
「なんだよそれ……」
俺は疲れていた。
すべて夢ならとさえ思った
「本当にごめんなさいぃぃ」
妻は涙と鼻水をボロボロと垂らしながら叫んでいた
「ごめん、ちょっと色々と考えさせてね」
それしか言えず、俺は部屋に籠もった
24年一緒に過ごしてるんだから
浮気された後でも夫婦やってたってことだよな?
なんかせつないな…
普通に考えれば離婚だろう。
ただ子どものことを思うと それはしたくなかった
俺の両親はあまり仲の良い夫婦ではなかったので、
自分のような惨めな思いは子供にさせたくなかった
ただやっぱり妻を二度と愛する気にはなれなかった
ある程度、考えをまとめてから妻のもとへ向かった。
妻はぼうっと掃除機をかけていた
俺「君はこれからどうしたい?」
嫁「私には何も言う権利はありません。あなたの言うことに従います」
妻は俺の挙動に敏感になっていて、すごくビクビクしていた
俺「俺は離婚だけはしたくない」
俺の家庭への思いを述べた
妻はまた泣き出した。
子供の話をするたびに自分がしたことの罪悪感で潰されていた
俺はすべて話したあとに
「ただこれは俺の考えだ。君が別れたいなら構わない」と言った
妻は何度も首を振りながら
「あなたさえ許してくれるなら、償わせてほしい」
と頭を下げた
これで終われば良いのかもしれないが、俺は妻に言わなければならなかった
「ただ、君と僕は夫婦ではない。あくまで子供たちの親として一緒に生活するだけだよ」
「たしかに僕にも問題があったかもしれないけど、やっぱり君のやったことは許せない」
「子供たちがいなくなれば それで僕たちの関係も終わり。それでもいい?」
妻は何度も何度も頷いていた
俺と妻の話はそれで結審した。
佐藤夫婦は離婚した。
慰謝料については丁重にお断りした
そしてあと一つ重要な赤ちゃんの問題については 俺は誰の子であろうと自分の子として育てると言った
佐藤夫は もしも自分の子供なら養育費だけでも払わせてくれといったが俺は断った
そして
「子供とあなたは無関係な人間でいてくれ、将来においても一度も会わせる気はない」と告げた