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片想いしてたら学校辞めることになった
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61 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 03:53:21.88 ID:fL/K5C7Z0
二年から三年にかけての春休み中3.11の地震が起こった

実はSの住まいは福島県内にあって、隣県の学校へ電車で通ってた

原発からは30km以上離れていて、停電中だけど無事だって事を友人経由のメールで知った

おそらくは彼氏の仕事の都合で、避難するつもりは無いようだった



62 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 03:56:32.16 ID:fL/K5C7Z0
当時どんな気持ちだったのか、上手く思い出せない

ただ、単なる級友の一人にすぎない自分には何もできないっていうのが すごく悲しく、情けなかった



63 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 03:59:22.58 ID:fL/K5C7Z0
多分 あの頃から自分の心は軋み始めていた

震災の影響で例年より少し遅い4月の中ごろ、Sとは再会した



64 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 04:03:47.59 ID:fL/K5C7Z0
自分と目が合った瞬間、ぱっと明るくなったSの表情がまだ忘れられない

その顔を見て自分は何か理由のない恐れを感じた

怖くなって俯いた

Sの周りに彼女の身を案じる級友達が集まっていった

しばらくそれを眺めて、自分はその場を離れた



65 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 04:06:53.57 ID:fL/K5C7Z0
その日は新学期の説明会だけだったので 終わった後はすぐに帰った

授業は次の週の月曜からだった

体調が悪かったのか、よく憶えていないが その日は休んで学校に行かなかった




66 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 04:10:26.42 ID:fL/K5C7Z0
火曜日に学校へ行った

前日に休んだ自分のことを、Sは案じてくれた

「何となくやる気が出なくて…」とか何とか答えたと思う

震災の事はSに聞けなかった

Sとは何かうまく話せなくなっていた

どうでもいいことを たまに少し話すだけだった



67 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 04:13:27.56 ID:fL/K5C7Z0
帰り道にSと合えるだろうか、そしたらきちんと話せるだろうか

そんなことを考えながら帰り道を歩いていた

Sとは会わなかった



68 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 04:15:20.05 ID:fL/K5C7Z0
次の日は神社のそばで携帯をいじりながら小一時間くらいぼーっとしてた

別のクラスメイトが一人通っただけだった



69 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 04:20:17.44 ID:fL/K5C7Z0
なんだか元気が出なくて常に気持ちが悪い毎日だった

学校では三年生の最後に資格試験を受けて卒業する

皆 その試験に向けてそれぞれ頑張ってるみたいだった

自分は学校から帰るとネットをするか眠るかだった



70 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 04:22:33.34 ID:fL/K5C7Z0
ある日の帰り際、同級生の車に乗り込むSの姿が見えた

>28の小太りオサンの車だった



71 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 04:24:46.84 ID:fL/K5C7Z0
オサンと楽しそうな表情で話していた

次の日、車の助手席から嬉しそうな顔でこちらに手を振っていた



72 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 04:30:36.28 ID:fL/K5C7Z0
胸の奥がとにかく気持ち悪くて どうしようもなかった

次の日はとても家まで帰れる気がしなかったので車を持っている同級生に送ってもらった

その同級生は近くにいたSにも「乗っていく?」と声をかけていた

Sは「○○さん(オサンのこと、以下O)に送って貰うから大丈夫です。」

「花見に連れて行ってもらったんですけどもう散っていて…」

とかそんな事を話していた



73 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 04:34:10.26 ID:fL/K5C7Z0
とにかく気分が悪くてただ眠っていたかった

学校も休みがちになった

(重い教科書持って歩くのも大変だもんな)

(あの子がいいんだから、それでいいじゃないか)

そんな風に思うようにした




74 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 04:40:13.99 ID:fL/K5C7Z0
学校に行くと友人Hが心配してくれた

H「最近休んでるけど大丈夫?」

俺「気分悪くてw 5月病かなw 6月になればきっと大丈夫だよw」

本音は言えず、適当に強がって見せると横からオサンOが

O「自分を誤魔化してるからだ。だから苦しいんだ」

何も言えなかった。胸苦しさが強くなるだけだった



75 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 04:42:44.03 ID:fL/K5C7Z0
そんなこんなで、6月始めの金曜日

この日が学校に行く最後の日になった



76 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 04:52:12.96 ID:fL/K5C7Z0
三コマ目の授業の準備をしていると後ろから

S「教科書忘れてしまって…」

なんて話している声が聞こえてきた

Sの隣は友人H、忘れた教科書をHに見せてもらうつもりみたいだった



78 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 04:58:34.44 ID:fL/K5C7Z0
授業の中頃、プリントが配られたので渡されたプリントをSに回そうと振り返った

一つ後ろの席でSがHの体にべったりと寄り添って教科書を覗き込んでいた

彼女が彼氏に甘えてるような感じだ

Hのほうは硬い表情をしている



79 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 05:05:05.68 ID:fL/K5C7Z0
教室のさらに後ろのほうから視線を感じた

オサンOが眼を見開き、身を乗り出してこちらを凝視していた

(ああ、そうか…)と思った

・自分の予想:
S又はOの作戦。俺の心を揺さぶって行動を起こさせようとしている。
Hは無関係。Oはこちらの反応を観察してる?
それともSの行動に驚いているのか?

Oの思惑はイマイチ分からなかった。

その時は前者かと思えたけど、今思うと後者だったかもしれない。

心が冷えていった



80 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 05:09:14.41 ID:fL/K5C7Z0
授業が終わって、自分はすぐに席を立ってトイレへ外の空気を吸ってボーっとしていた

(終わったな…)とかそんなことを感じていたのかも

教室に戻ろうと廊下を歩いていると少し前をSが歩いていた

片手をブラブラ動かして、何か不自然な歩き方

後ろに自分がいるのも分かっているような感じだ



81 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 05:13:52.41 ID:k9HWxFTv0
なんか複雑だなあ…結局俺たち男はなにに関しても自らアクションしないとダメなんだろうね

例えイケメンだって会話もしないで恋人ができるわけない


82 :名も無き被検体774号+:2013/09/02(月) 05:15:31.47 ID:fL/K5C7Z0
(何か話しかけて欲しいんだろうな…。でも何を言えばいいんだよ…)

何も思いつかないし、そもそも話なんてしたくない

少し後を歩きながら そんな事を考える

教室に入るドアは三つある。

一番後ろ、中頃、一番前のドア。

Sは自分たちの席に近い中頃のドアから入るみたい

Sの姿を見るのが嫌で自分は先に一番後ろのドアから入る




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カテゴリー:男女・恋愛  |  タグ:青春, 胸キュン,
 


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