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98 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 19:53:31.26 ID:mR9MWEUH0.net
俺「なぁ」
美凪「ん〜?」
俺「絵を描くこと、楽しいよ」
美凪「やっぱり楽しいでしょ〜?」
俺「美凪が絵を描いているのを見ると、そう思う」
99 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 19:53:48.19 ID:mR9MWEUH0.net
俺自身からこんな言葉が出るなんて思ってなかった。
正直にこの言葉を言うのは、中学時代に初めて好きな子に告白した時よりも緊張した。声も震えてたし、酷い響きだったと思う。
でも、その声にさっきの曖昧さは一切と言っていいほど無かった。
100 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 19:54:08.54 ID:mR9MWEUH0.net
怪我で陸上を辞め、仕方なく入った美術部。
本当は高校でも走りたくてしょうがなかった。
好きでもないことを楽しいとは思えなかった。
走ること以外をすることは辛いこともあった。
だが、たったの2日で否定し続けてきたものの魅力に惹き込まれている。
これは紛れもなく美凪のおかげだろう。
絵の技術を教えてくれたのが中嶋先生なら、絵の楽しさを教えてくれたのは美凪だ。
101 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 19:56:05.19 ID:mR9MWEUH0.net
無事100スレに到達。
キリも良いので少し休憩します。
まだ長く続くと思いますが、完結まで良ければ付き合ってください笑
質問や希望にもできる範囲で答えます。良ければどうぞ笑
ただの思い出話に付き合ってくれてありがとうございます。
102 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 20:01:03.97 ID:AKdGRNNO0.net
おつかれー
俺「なぁ」
美凪「ん〜?」
俺「絵を描くこと、楽しいよ」
美凪「やっぱり楽しいでしょ〜?」
俺「美凪が絵を描いているのを見ると、そう思う」
99 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 19:53:48.19 ID:mR9MWEUH0.net
俺自身からこんな言葉が出るなんて思ってなかった。
正直にこの言葉を言うのは、中学時代に初めて好きな子に告白した時よりも緊張した。声も震えてたし、酷い響きだったと思う。
でも、その声にさっきの曖昧さは一切と言っていいほど無かった。
100 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 19:54:08.54 ID:mR9MWEUH0.net
怪我で陸上を辞め、仕方なく入った美術部。
本当は高校でも走りたくてしょうがなかった。
好きでもないことを楽しいとは思えなかった。
走ること以外をすることは辛いこともあった。
だが、たったの2日で否定し続けてきたものの魅力に惹き込まれている。
これは紛れもなく美凪のおかげだろう。
絵の技術を教えてくれたのが中嶋先生なら、絵の楽しさを教えてくれたのは美凪だ。
101 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 19:56:05.19 ID:mR9MWEUH0.net
無事100スレに到達。
キリも良いので少し休憩します。
まだ長く続くと思いますが、完結まで良ければ付き合ってください笑
質問や希望にもできる範囲で答えます。良ければどうぞ笑
ただの思い出話に付き合ってくれてありがとうございます。
102 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 20:01:03.97 ID:AKdGRNNO0.net
おつかれー
103 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 20:53:49.49 ID:2vEKdq7Kd.net
青春だなぁ
104 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:06:07.69 ID:mR9MWEUH0.net
ただいま戻りました。
続けたいと思います。
105 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:11:27.79 ID:mR9MWEUH0.net
民宿に帰ると、既に皆も部屋に居た。
吉田「やっぱり今日も絵描いてたんだろwww」
佐野「ほんと珍しいよな、そんなにその子絵うまいんか?」
俺「なんだよ全部知ってるじゃんwww そう。めちゃくちゃ上手い。負けたのがちょっと悔しくてさ。」
吉田「お前そんな負けず嫌いだったか?女の子と話したいだけだろwww」
俺「んなことねえよwww」
106 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:11:51.76 ID:mR9MWEUH0.net
2人ともご自慢のギターとメガネを手入れしながら俺を茶化してくる。
吉田と佐野は高校からの付き合いだから美凪に勝負に負けただけで何回も絵を描いているのは不思議に思ったんだろう。
樋口は中学からの付き合いだから、俺が陸上部だったことも、怪我をした事も、負けず嫌いな事も全部知っている。もしかしたら樋口なら今の俺の絵に対する気持ちも察しているのかも。
107 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:13:09.37 ID:mR9MWEUH0.net
吉田のギターをBGMに会話が弾む。
なぜか佐野が部屋で冷やしてるキュウリを食べながら、風鈴の音を聴く。
たまに女子も部屋に来て、トランプしたり。
そんな日常が、いつもより余計に楽しく思えた。
108 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:14:11.27 ID:mR9MWEUH0.net
今日も食事や風呂、ミーティングを終えた。
やっぱり俺の絵は褒められた。こっそりと描いた美凪の人物画は提出しなかったけど。
中嶋先生「イッチ、絵に目覚めたか?www」
と聞かれた時はやっぱりビクッとしたが。
自由時間はやっぱり皆と馬鹿なことやって楽しんでたけど、消灯時間前にどうしてもしなければならないことがあった。
109 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:15:12.91 ID:mR9MWEUH0.net
部屋から出て渡り廊下を歩き、民宿のおばさんがいる食堂へ再び訪れた。渡り廊下の夜風が涼しくて気持ちが良い。
食堂で机を拭いていたおばさんを見つけた。
110 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:16:04.78 ID:mR9MWEUH0.net
俺「あのー、おばさーん!」
おばさん「イッチくんじゃないの、どうかした?」
俺「美凪ちゃんって分かりますか?あの、よく下の公園で絵を描いてる。」
おばさん「あら、イッチくん美凪ちゃんと仲良くなったの?」
俺「昨日、公園で出会ったんです。」
おばさん「また美凪ちゃん絵描いてるんだ〜 あの子、絵凄い上手でしょ?」
俺「はいwww 美術部ながらぼろ負けですよwww 美凪がおばさんによろしく伝えてって言ってたので。」
111 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:16:29.14 ID:mR9MWEUH0.net
おばさんは50歳くらい。歳の割に若く見えるし優しいから、去年から美術部の皆とは仲がいい。
俺が入学する前からも毎年うちの美術部が夏休みに合宿に来てるらしく、美術部宛に毎年年賀状を書いてくれる。
112 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:18:56.98 ID:mR9MWEUH0.net
おじさん「美凪ちゃんなぁ……小さい頃にお母さん亡くしてからずっと絵を描いてんだよ。だから寂しくないようにしてやりたくて、娘みたいに可愛がってんだよ。」
おばさんと話してると、おじさんもやってきて話に加わった。おじさんも50歳くらい。ヒゲが特徴的な強面だが、意外と気さくで優しい。
そして、美凪がお母さんを亡くしていたことを知る。美凪を思い出すと何となくわかった気がする。
113 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:19:16.36 ID:mR9MWEUH0.net
お母さんがくれた筆やイーゼルを遺品として大切にしているからあんなに年季が入っていたこと。
小説や音楽の趣味もお母さんから教わったからかもしれないということ。そして、なんのために絵を描いていたのかということ。
おじさんとおばさんは少し寂しそうな顔をしていた。少し空いた窓からは、ヒグラシの鳴き声が聴こえてきた。
114 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:21:16.26 ID:mR9MWEUH0.net
おばさん「私たちの息子はもう上京したから、美凪ちゃんは本当に娘みたいなものなのよ。たまにおばさんの似顔絵も描いてくれるの。」
と、水彩で描かれたおばさんの絵を見せながら笑っていた。見てわかったが、やっぱり美凪の絵だった。
たった2日間で、やっぱり美凪の絵の魅力に惹き込まれている。その絵を見て確信した。
115 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:21:44.62 ID:mR9MWEUH0.net
俺「俺、絵を描くこと、特に好きじゃなかったんです。でも、美凪を見てると、絵を描きたくなります。」
おばさん「そもそもイッチくんは合宿なんだからサボらず描かなきゃダメでしょwww」
俺「それもそうっすねwww」
とツッコミを入れられる。
その後も おじさんとおばさんとの雑談を楽しんだ。机拭きをちょっと手伝ったり、食堂のテレビを眺めたりしながら。消灯時間も近いため、そろそろ部屋に戻ろうか。
116 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:22:25.12 ID:mR9MWEUH0.net
おばさん「美凪ちゃんに、またいつでもおいでって伝えてくれる?」
俺「もちろんですよー」
と最後に言葉を交わし、食堂を後にした。
117 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:23:58.94 ID:mR9MWEUH0.net
美凪、お母さんのこと大好きだったんだろうな。
美凪自身も寂しいだろうに。それでもお母さんの筆とイーゼルであそこまで絵を描き続ける美凪は、怪我とはいえ、走ることを諦めた俺の何億倍もかっこよく思えた。
俺「あいつらにジュースでも買ってってやるかなー」
と独り言を呟き、外の自販機へ向かう。
やっぱりまだヒグラシが鳴いていた。
4人分のサイダーを抱え早足で部屋へと帰る。
118 :名も無き被検体774号+:2021/08/14(土) 21:35:03.19 ID:mR9MWEUH0.net
3日目からは、朝から公園へ向かった。以前の俺からしたらありえない事だが。
そして、美凪は本当に毎日ここにいるんだろう。まだ午前中なのに東屋では美凪が絵を描いていた。
美凪「イッチ、今日は午前中から?サボらないの?」
俺「もういいんだよ。絵を描くこと楽しいって昨日言っただろwww」
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