東大に入りたがっていた女性を指導した経験を話す
俺が19歳の時、ネット上で家庭教師先の募集をしていたから、時給もよかったし応募した。
一時間4000もらえるということで遊びたい盛りの俺にはとても魅力的だった。
その女性は、武蔵小杉に暮らしているということで、武蔵小杉で指導をすることになった。
女性は30くらいのおばさんで保険の営業をやっていたらしくお金があった。
お金を払っているんだから、と俺にお茶汲みや掃除をやらせていたが今考えると疑問がわく。
年上にしかも敬語で指導するということで、緊張したし うまく出来そうな気が全くしなかった。
話を聞くと東大の医学部に入りたいらしい。
理1の俺でいいのかと聞くと、まぁいいとの事であった。
早速勉強を見てみたが、数学も英語も壊滅的でほとんど何も知らない状態であった。
基本的に東大の2次試験の点数配分は、
数学 120点
英語 120点
国語 80点
理科 120点(二科目)
となっている。
理数系科目が全く出来ない俺は、
数学 40/120点
英語 80/120点
国語 60/80点
理科 70/120点(二科目)
こんな感じで点数をとって、センターとあわせて合格点+10点程度で合格した。
理1、理2だと大体全科目の合計が5−6割とれれば合格できるので、上記のような戦略が成り立つ。
しかし、理3だと7割5分が合格ラインの相場だ。
つまり、上記のように数学が苦手だから文系科目と共通の問題だけをするなんて選択肢は基本的にはNGだ。
基本的には全科目7割レベルを目指さなければならない。
wktk
まず、英語。
おばさんは単語帳をやったことをアピールしていたが、長文になると全く解けていなかった。
よむのが遅く、長文のポイントも何も理解していなかった。
その辺は、これから努力して よくしていけば良いが、最大の問題は俺の話を聞かないことであった。
俺「ゆっくり解いてもいいですから、最初は答えを全部理解するところから始めましょうか」
おばさん「答えを理解しても、違う問題が出たときに役に立たないじゃない」
俺「そんなことありませんよー(この人 問題のパターンが何万パターンあると思ってるんだ…^^;)」
おばさん「答えよむより次の問題解くわ」
俺「あ、そうですか…」
次の問題も全く解けない。当たり前だ。
まず、時間がかかってもいいから長文の内容を舐めるように理解する。
それを20も30も続けていく。
そうすると少しずつ解けるようになっていき、100も長文を解く頃にはスピードが倍速になる。
勉強とはそういうものだろう。
おばさんは単語帳をよく暗記していたが、それは努力のようで努力とは違う。
おばさんの得意なことは、ヤマザキパンの工場員のように、全く同じ理解レベルでできること。
つまり、頭に汗をかかないことを、ずーっと続けていくことなのだ。
それに対して勉強は、全く理解できないことを、時間をかけて解きほぐしていくことで、次のステップに進む。
それは、単語を暗記していくような作業とは根本的に異なるのだ。
と、心の中で思ってはいたものの、19歳の俺は30歳のおばさんに逆らう気力は無かった。
今だったら、私の指導方針とあわないですので・・・なんて言えるかも知れないが、4000円という時給に目のくらんだ19歳は絶対受からないだろうと思いつつ、おばさんの勉強に付き合うことにした。
次に数学。
おばさんは数学が苦手だった。
苦手というか中学生の数学以来、何も理解していない感じであった。
まずベクトルの概念も微分も分からない。
基本問題 d(y^2)/dy=2y くらいは解けるが、ちょっとひねった三角関数の微分は もうお手上げだった。
暗記はしてるか、根本的に何も理解していない。
そして、出来ない問題に×をつけたまま放置する。
それだけでも唖然としたが、「成績あがらないんだよねー」という台詞にも愕然とした。
答えの出し方も覚えずにこの人は どうやって成績を上げるつもりなんだろう。
(てか、答えよまずに解けるようになるつもりがあるのか…。)
自分で数学の解き方を発明するつもりだろうか。
勉強した時間とか解いた問題数に満足覚えるタイプなんだな