『今度の土曜日、仕事の関係でちょっと昼から出るわ!
帰りも接待で飲むから遅くなると思う。』
嫁は快諾した。でも、事実は違う。
この日、かおりさんが昼過ぎに美容室に行って、夜は友人と飲むだよね☆
って言っていたのを聞いていた。その間はフリータイムで、子供たちは旦那
さんに任せて久しぶりにショッピングモールで服でも見ようかな〜☆
かわいいの買っちゃうぞ☆とも言っていた。
『じゃあ、その美容室と飲みの間の貴重なフリータイム、自分にくれませんwww?』
よくもそんなことを言う勇気があったな、と自分でも思う。これがいわゆる
ラリ期ってヤツだったんだろう。当然、かおりさんも快諾。
「ゆうじくんからの休日のお誘い、珍しい〜☆うれしいよ!ちゃんと付き合ってね☆」
ええ、しっかりと付き合わせてもらいますとも。
心は決まっていた。
とりあえず、付き合うまでの話は今日で完結させますので。
いったん、パソコンから離れます。
予想以上に早く用事が済みました。再開します。
仕事ということになっているため、あまりラフな格好では行けない。
Yシャツとチノパンにジャケット。カジュアル過ぎず、フォーマル過ぎず。
ってか、本当はデートだもんね。
待ち合わせの場所に向かう。ショッピングモール近くの裏路地にあるコンビニ。
かおりさんから連絡が来る。
「美容室終わったから、移動するね〜♪」
「早く来ないと、買い物行っちゃうぞ☆」
心をくすぐるメールだ。待ち合わせのコンビニに着く。
初めて見た、私服姿のかおりさん。やっぱかわいい系なんだ・・・ポケッと見とれる自分。
「ちょっとコンビニで買い物しない?」
かおりさんに誘われるまま、車を止めてコンビニに入った。
イラッシャヤセコンニチハーー!
コンビニに入る。でも、こういうのって不味いんじゃないの?
一応、知り合いもいる地域なので周りを見渡す。そんなにお客さんはいない。
何を買うかわからないので、カゴを持つ自分。
「私さ、やっぱこれ飲まないとちょっと恥ずかしくて・・・」
かおりさんがカゴにビールを2本入れる。
自分と過ごした後は友人と飲みに行くって言ってたし、特に問題はないか。
「ゆうじくん、何飲む?」
『自分は・・・かおりさんを(友人と約束した居酒屋に)送らないといけないんで、これで♪』
ノンアルコールビールを選ぶ。
「あ、乾杯してくれるの?うれしい〜☆」
はた目から見たら、ただのカップルだろう。違いは、自分の左の薬指だけに
指輪がされていること。ここらへんは、いまだ理性や罪悪感からか かおり
さんといる時も外せない。結論を言うと、結婚指輪は最後まで外さなかった。
そのほか、ちょっとしたお菓子も買う。
「じゃ、どこ行く?前のところ(忘年会の時のホテル街)遠いよね〜・・・」
「あ、あそこホテルじゃなかったかな・・・?」
「あ、やっぱここホテルだね!ここ入ろう☆」
かおりさんの誘導で車を走らせると、そこにはホテルがあった。今考えると、
なぜあんなところにホテルがあることを知っていたんだろう。このときは
まだ、かおりさんの経験値の底が見えなかった。ソファーに座り、
ぎこちない2人。テレビをつけて、映画をみる。
「とりあえず、飲んでいいですか〜?」
『あ、すいません・・・飲みましょう!缶、開けてあげますよ。』
プシュ!!カンパーイ!!
「やっぱビール最高〜♪・・・じゃ、もっと最高なこと、する・・・?」
たった一口。それってアルコール必要っていうのか?突如、ソファーで
イチャイチャが始まる。美容室特有のコンディショナーの匂い、かおりさん
自体の匂い、そしてビールの匂い。それだけで、こっちは酔っ払いそうだった。