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借金のカタに取られた元カノの話
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72 :名も無き被検体774号+:2013/03/01(金) 01:08:09.25 ID:zQz8VRX70
>>66
おれも田舎出身だけど、結婚は両家の為にするもので

女は24すぎて売れ残りはゆるさん!っていう感じだわ。

おかんもいろいろ大変だったらしい。


65 :1 ◆U72pfJf7kg :2013/03/01(金) 01:02:46.53 ID:PH/p6D4G0
>>63 大丈夫ですよ。仕方のないことですから。

>>64 ですね。貧乏人は我慢しろと。


何回かの電話で分かったのは、彼女の結婚生活が初めから成り立っていなかったこと。

戸籍上は本妻だけど実際は愛人扱いだったらしい。

それに反発した彼女は家に帰ることなく旅館の一室で生活していて 家では旦那が愛人とその子供と生活していたそうな。

なんということ……金持ちならなんでも許されるのかよ……なんだか悔しい。

そんなことが分かったある日曜の夜、彼女との電話を終えて眠ったオレは夢を見た。

これまで何度も何度も繰り返して見る夢……彼女との別れの朝のこと……

~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~



67 :1 ◆U72pfJf7kg :2013/03/01(金) 01:04:17.75 ID:PH/p6D4G0
初心者マークを貼ったレンタカーに荷物を積んでいると彼女が走ってきた。

ユキ「ハァハァハァ……どうして……黙って行っちゃうの……?」

オレ「……」

何か言おうと思ったけど言葉が出なかった。

駆け落ち事件以来、オレは彼女との一切のコンタクトを禁止されてた。

だから進学で街を出ることになったこともオレからは伝えてない。

無言で黙々と積み込み作業を進めるオレをみて彼女も無言で手伝ってくれた。



69 :1 ◆U72pfJf7kg :2013/03/01(金) 01:05:09.66 ID:PH/p6D4G0
やる気のなさが荷物にも現れているようで、こんなんで生活できるのか?というくらい少ない荷物。

だから作業なんてあっという間。


ユキ「……もう行くの?」

オレ「ああ……」

ユキ「……じゃあ……これ……」



70 :1 ◆U72pfJf7kg :2013/03/01(金) 01:06:21.20 ID:PH/p6D4G0
運転席に座るオレに彼女は小さな紙袋を手渡す。

中を見ると見慣れた包み……彼女の手作り弁当……これまでは当然のように受け取って何も考えずに食べてたけど、それも今回で最後だと思うと涙が出そうになった。

彼女は というと目に涙をいっぱいに浮かべながら必死で笑顔を作っていて その表情は言葉では言い表せないくらい切なかった……

オレ「いつも、ありがとう……」

ユキ「いつでもいいから……お弁当箱……」



71 :1 ◆U72pfJf7kg :2013/03/01(金) 01:07:36.96 ID:PH/p6D4G0
これが最後とは考えたくなかったから、オレはわざと「いつも」と言ってみた。

彼女も同じ気持ちだったのか「いつでも」と答えてくれた。

いよいよお別れ。

もう二度と会うことはないだろうと思いながらエンジンキーを捻る。

二人の気持ちがわかるのか車は咳き込むばかりで始動しない……

何度も試すけど動く気配がない……いっそこのまま……

とか考え始めたら 彼女が窓越しにオレの首に抱きついてきた……



73 :1 ◆U72pfJf7kg :2013/03/01(金) 01:10:01.07 ID:PH/p6D4G0
ユキ「……お願い……私も※※※※」

ブルルルーン……エンジン始動……

彼女の言葉の後半はエンジン音に掻き消された……

聞こえなかったけど内容は想像がつく。

直接この耳で聞かなくてよかったと思った。

もし聞いてしまったら自分を抑えられなくなっていたと思うから。



75 :1 ◆U72pfJf7kg :2013/03/01(金) 01:11:17.41 ID:PH/p6D4G0
オレは黙って彼女の手を解くと前を見据えたまま車を進める。

ゆっくりと動き始めた車のサイドミラーを覗くと泣き崩れて地面に座り込む彼女の姿が映っていた……

そして それがどんどん小さくなっていく……

号泣状態で叫びながらハンドルを握るオレ……

「ウォォォォーーーー!!!」


~~~~~~~~~~
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76 :1 ◆U72pfJf7kg :2013/03/01(金) 01:12:43.00 ID:PH/p6D4G0
いつもここで目が覚める。

なぜかと言うと……眠っているハズなのに実際に泣き叫んでしまうから……

あの時、どうして彼女を連れ去らなかったんだろう……

そればかり考える……


その後の行動はいつも一緒。ほとんど物のない部屋にポツンと置かれた小さなカラーボックス。

部屋の中で唯一、モノを飾ることができるスペースには例の弁当箱が引越し当初からずっと置いてある。

オレは心が折れそうになると、その弁当箱を眺めるクセがついてしまった。

女々しい男だと思う……

そして眠れないまま朝が来て、いつものようにつまらない一日が始まる……



77 :名も無き被検体774号+:2013/03/01(金) 01:13:01.89 ID:EqY3tIRzO
泣いた


78 :1 ◆U72pfJf7kg :2013/03/01(金) 01:14:21.33 ID:PH/p6D4G0
>>77 すいません。


しばらくすると続いていた彼女との深夜の電話が滞るようになる。

こういうのは一度詰まると後がやりにくい。

彼女から電話があると思っていた時にないと次にこちらから電話しにくい。

そして、その次にも電話がなければ もうこちらから掛けることは難しい。

なんといっても彼女は人妻だから……

内心すごく気になるんだけど、どうしようもない。

ひょっとしたら旦那と和解して うまくいっているのかもしれないし。



79 :1 ◆U72pfJf7kg :2013/03/01(金) 01:15:32.96 ID:PH/p6D4G0
ウジウジしていたところにコウジからメールがあった。

「出張でそっちに行くから一緒に飲もう」という内容。

「深夜スタートになるぞ」とだけ返信しておいた。



80 :1 ◆U72pfJf7kg :2013/03/01(金) 01:16:26.44 ID:PH/p6D4G0
コウジの出張当日。

夜の10時を過ぎたくらいに電話が着信。オレはまだ会社にいた。

コウジ「よお〜、カズ! 今から大丈夫かぁ?」

能天気な声。もう飲んでるな?

オレ「いいぞ。って、いったいお前は今どこにいるんだよ?」

意外に近くのホテルを予約していることがわかったから、

とりあえず田舎者の酔っ払いにウロウロされるよりは オレが動いた方がいいと思って 既にできあがっているコウジとホテル近くの居酒屋へ繰り出すことに。



81 :1 ◆U72pfJf7kg :2013/03/01(金) 01:17:39.92 ID:PH/p6D4G0
同窓会以来といっても、その日は ほとんど一緒にいなかったから何年ぶりになるんだろう。

卒業後に1度くらい飲んだことがあったような気がするが気のせいかもしれない。

サラリーマンらしく仕事の愚痴から始まりそのうち話題は……


コウジ「その後、彼女と連絡は取ってるのか?」

オレ 「誰のことを言ってる?」


コウジ「決まってるだろ? ユキちゃんだよ」

オレ 「ああ……まあな……」


コウジ「……そうか……実はな……俺、彼女に告白したことがあるんだわ……」

オレ 「はぁ!?」



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:人生・生活  |  タグ:青春, 純愛,
 


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