先生を好きになった話
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54 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 12:03:08.65 ID:HXEO5afsa.net
次の日は土曜日だった。
集中治療室に入院していた俺は面会の1つも医者と俺の承認制だった。
10時頃、看護師から面会要請が来た。
看護師「Mさんっていうご家族が来てるけどどうする?」
なんとなく誰かは想像がついた。恐らく子供の家族だろう。
俺は「大丈夫です」と伝え、5分ほどで家族が入ってきた。
案の定、あの時の子供とご両親だった。
M父「この度は多大なるご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。お詫びのしようもございません」
来るならご両親は土下座して謝罪してきた。
子供は今にも泣きそうな顔で横に佇んでいた。
俺「大袈裟です、やめてくださいw ぼくは全然平気です。息子さんに怪我がなくてよかったです。
不安になっちゃうと思うのでお子さんの前で土下座はやめてあげてください」
息子は俺の手足や顔を見ながらずっと固まっている。
怖がるかと思ったが話しかけた。
俺「ぼく、名前は?」
子「Cです」
俺「Cくんか。怖くなかった?痛くなかった?」
子「怖かった」
俺「そうだね。お兄ちゃんもスピード出してたから悪いんだけどね、道路に出る時はちゃんと右と左をしっかり確認するんだよ。約束してくれる?」
子「うん、指切りする」
子供が指を差し出したことに気づいた看護師が慌てて俺のところにきて腕を動かしてくれた。あの時のは ありがとう看護師さん
俺「約束だからね」
子「うん、指切りげんまんry」
しかし腕を動かす様子を見ていたM両親は何かを察したようで、母だけがCくんを連れて外に出た。
M父が深刻そうな顔で俺の横に腰掛けた
M父「集中治療室と聞いて大変なことになっていると想像はついたけど、状態はどうなってるんでしょうか」
俺「一時的に体が麻痺しているだけです。
いつか治るとは言われてますが時間は少しかかるみたいです。
みんな大袈裟にしてるだけなので気にしないでくださいw」
M父「ご両親にお会いしたいからぼくの連絡先をテレビ台の上に置いておきます。自宅と勤務先と携帯番号を書いておきますのでお伝え下さい」
俺「わざわざ遠方まで来ていただいて何のお構いもできなくて申し訳ないです」
M父「それはこちらの台詞です。目を離さないよう気をつけます。申し訳ございませんでした」
怪我の嘘をついたことは部屋にいた看護師に「あんなの見たら惚れる」と褒められてちょっと照れた。
しかし間髪入れずまた面会要請が来た。
看護師「Sさんて方来てるよ。先生だって」
R先生の苗字だった。
55 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 12:17:01.31 ID:HXEO5afsa.net
当然承認し、すぐに駆け足音が聞こえた。凄い勢いでドアが開いた。
R先生「Aくん」
俺「Rちゃん来てくれたんだ」
看護師は「何かあったらナースコールしてもらってね」とニヤニヤしながら出て行った。
後で聞かれるのと看護師内で変な噂をされることは覚悟した。
先生は俺の手を握りながら泣きそうな目をしていた。
R先生「体、動かなくなったの?」
俺「大丈夫。すぐには無理だけど治すから」
R先生「めちゃくちゃ心配したよ!家で泣いちゃったw金曜日でよかったw」
確かに目の周りが少し赤かった。
そんなに大切に思ってくれているとは思わなくて驚いた。
俺「心配かけてごめん。あと、さっき看護師がニヤニヤしながら出て行ったから多分今頃ナースステーションは盛り上がってると思う」
R先生「やめてよw恥ずかしいw」
先生はカバンの中から包みを取り出した。
俺「なにそれ?」
R先生「お守り。今年のバレンタインはチョコレートと交通安全のお守り渡そうと思ってたのに何てことをw」
俺「バレンタインにはまだ早いよねw」
R先生「ここ遠いから頻繁に来れないw ご両親いるのに しょっちゅう来てても変に思われるしw それに こんだけ早ければ1番でしょw」
俺「バレンタイン当日に渡して1番争うならわかるけどwチョコレート食べたいけど手が使えないから」
R先生「じゃあ食べさせてあげるよ」
先生は包みを開け、チョコレートを取り出した。
俺「恥ずかしいってwいいよw」
R先生「遠慮すんなw 嬉しいだろw」
本当に嬉しかった。これならしばらく手足動かなくてもいいなって思ったw
先生との時間は本当に幸せで他のことを考える余裕がなくなるほど満たされた。
56 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 12:24:28.55 ID:HXEO5afsa.net
午後からは両親が面会に来ることになっていたため、病院の昼食の時間もあるので先生は1時間も滞在せず帰っていった。
猛烈に寂しくなった。
昼食時には看護師が4人もやって来て質問攻めにあった。
そういう類の話が好きなのは察しがつくが。
他の先生や両親が来たときに変なこと言うなよと釘を刺して会話に付き合った。
1人の看護師が「あの目は絶対俺くんのこと好きな目だよw 女だから分かる」とか言ってた。
馬鹿言うなよと笑ったが、内心かなり動揺した。
先生が俺のこと好きとかありえないだろと思いつつも若干鵜呑みにして期待した。
しかしその後、先生はなかなか面会には現れなかった。
57 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 12:39:20.00 ID:HXEO5afsa.net
ところどころID変わってるスマン
スマホから投下しててPC以外はよくわからないから許して
3月になり卒業式シーズン、夜間高校の先輩も何人か卒業するが まだようやく手が動き出した頃で出席できなかった。
その週の土曜日、R先生がようやく来てくれた。
R先生「ごめんAくん全然来れなくて」
俺「まあこの時期忙しいだろうから仕方ないって思ってたよ」
R先生「うん、卒業式もそうなんだけどね…」
先生は寂しそうな顔をした。嫌な予感はしたが俺がここでテンパっても仕方がない。現実を受け止めようと覚悟し、先生をまっすぐ見た。
俺「異動?」
R先生「…うん」
俺「どこ?」
R先生「○市」
俺「遠いね。引っ越すの?」
R先生「そうだね。今のアパートは解約する」
俺「寂しくなるけど俺はRちゃんのこと忘れないよ。たくさん思い出できたし頑張れる」
R先生「遠すぎて本当に会えなくなっちゃうし面会も来れなくなる」
俺「大丈夫。冷蔵庫開けて大きい包みが入ってるから取り出して」
それはホワイトデーのお返しに用意しておいたチョコレートを入れてある箱。先生の名前も書いておいた。でないと見舞品泥棒の妹に食べられるからw
俺「お返しだよ。いつもありがとう」
R先生「やばい泣いちゃう!w」
俺「ネットで調べて母さんに買ってもらったけどねw手作り無理だからw」
R先生「開けるね」
先生は静かにそして丁寧に箱を開け始めた。
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次の日は土曜日だった。
集中治療室に入院していた俺は面会の1つも医者と俺の承認制だった。
10時頃、看護師から面会要請が来た。
看護師「Mさんっていうご家族が来てるけどどうする?」
なんとなく誰かは想像がついた。恐らく子供の家族だろう。
俺は「大丈夫です」と伝え、5分ほどで家族が入ってきた。
案の定、あの時の子供とご両親だった。
M父「この度は多大なるご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。お詫びのしようもございません」
来るならご両親は土下座して謝罪してきた。
子供は今にも泣きそうな顔で横に佇んでいた。
俺「大袈裟です、やめてくださいw ぼくは全然平気です。息子さんに怪我がなくてよかったです。
不安になっちゃうと思うのでお子さんの前で土下座はやめてあげてください」
息子は俺の手足や顔を見ながらずっと固まっている。
怖がるかと思ったが話しかけた。
俺「ぼく、名前は?」
子「Cです」
俺「Cくんか。怖くなかった?痛くなかった?」
子「怖かった」
俺「そうだね。お兄ちゃんもスピード出してたから悪いんだけどね、道路に出る時はちゃんと右と左をしっかり確認するんだよ。約束してくれる?」
子「うん、指切りする」
子供が指を差し出したことに気づいた看護師が慌てて俺のところにきて腕を動かしてくれた。あの時のは ありがとう看護師さん
俺「約束だからね」
子「うん、指切りげんまんry」
しかし腕を動かす様子を見ていたM両親は何かを察したようで、母だけがCくんを連れて外に出た。
M父が深刻そうな顔で俺の横に腰掛けた
M父「集中治療室と聞いて大変なことになっていると想像はついたけど、状態はどうなってるんでしょうか」
俺「一時的に体が麻痺しているだけです。
いつか治るとは言われてますが時間は少しかかるみたいです。
みんな大袈裟にしてるだけなので気にしないでくださいw」
M父「ご両親にお会いしたいからぼくの連絡先をテレビ台の上に置いておきます。自宅と勤務先と携帯番号を書いておきますのでお伝え下さい」
俺「わざわざ遠方まで来ていただいて何のお構いもできなくて申し訳ないです」
M父「それはこちらの台詞です。目を離さないよう気をつけます。申し訳ございませんでした」
怪我の嘘をついたことは部屋にいた看護師に「あんなの見たら惚れる」と褒められてちょっと照れた。
しかし間髪入れずまた面会要請が来た。
看護師「Sさんて方来てるよ。先生だって」
R先生の苗字だった。
55 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 12:17:01.31 ID:HXEO5afsa.net
当然承認し、すぐに駆け足音が聞こえた。凄い勢いでドアが開いた。
R先生「Aくん」
俺「Rちゃん来てくれたんだ」
看護師は「何かあったらナースコールしてもらってね」とニヤニヤしながら出て行った。
後で聞かれるのと看護師内で変な噂をされることは覚悟した。
先生は俺の手を握りながら泣きそうな目をしていた。
R先生「体、動かなくなったの?」
俺「大丈夫。すぐには無理だけど治すから」
R先生「めちゃくちゃ心配したよ!家で泣いちゃったw金曜日でよかったw」
確かに目の周りが少し赤かった。
そんなに大切に思ってくれているとは思わなくて驚いた。
俺「心配かけてごめん。あと、さっき看護師がニヤニヤしながら出て行ったから多分今頃ナースステーションは盛り上がってると思う」
R先生「やめてよw恥ずかしいw」
先生はカバンの中から包みを取り出した。
俺「なにそれ?」
R先生「お守り。今年のバレンタインはチョコレートと交通安全のお守り渡そうと思ってたのに何てことをw」
俺「バレンタインにはまだ早いよねw」
R先生「ここ遠いから頻繁に来れないw ご両親いるのに しょっちゅう来てても変に思われるしw それに こんだけ早ければ1番でしょw」
俺「バレンタイン当日に渡して1番争うならわかるけどwチョコレート食べたいけど手が使えないから」
R先生「じゃあ食べさせてあげるよ」
先生は包みを開け、チョコレートを取り出した。
俺「恥ずかしいってwいいよw」
R先生「遠慮すんなw 嬉しいだろw」
本当に嬉しかった。これならしばらく手足動かなくてもいいなって思ったw
先生との時間は本当に幸せで他のことを考える余裕がなくなるほど満たされた。
56 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 12:24:28.55 ID:HXEO5afsa.net
午後からは両親が面会に来ることになっていたため、病院の昼食の時間もあるので先生は1時間も滞在せず帰っていった。
猛烈に寂しくなった。
昼食時には看護師が4人もやって来て質問攻めにあった。
そういう類の話が好きなのは察しがつくが。
他の先生や両親が来たときに変なこと言うなよと釘を刺して会話に付き合った。
1人の看護師が「あの目は絶対俺くんのこと好きな目だよw 女だから分かる」とか言ってた。
馬鹿言うなよと笑ったが、内心かなり動揺した。
先生が俺のこと好きとかありえないだろと思いつつも若干鵜呑みにして期待した。
しかしその後、先生はなかなか面会には現れなかった。
57 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 12:39:20.00 ID:HXEO5afsa.net
ところどころID変わってるスマン
スマホから投下しててPC以外はよくわからないから許して
3月になり卒業式シーズン、夜間高校の先輩も何人か卒業するが まだようやく手が動き出した頃で出席できなかった。
その週の土曜日、R先生がようやく来てくれた。
R先生「ごめんAくん全然来れなくて」
俺「まあこの時期忙しいだろうから仕方ないって思ってたよ」
R先生「うん、卒業式もそうなんだけどね…」
先生は寂しそうな顔をした。嫌な予感はしたが俺がここでテンパっても仕方がない。現実を受け止めようと覚悟し、先生をまっすぐ見た。
俺「異動?」
R先生「…うん」
俺「どこ?」
R先生「○市」
俺「遠いね。引っ越すの?」
R先生「そうだね。今のアパートは解約する」
俺「寂しくなるけど俺はRちゃんのこと忘れないよ。たくさん思い出できたし頑張れる」
R先生「遠すぎて本当に会えなくなっちゃうし面会も来れなくなる」
俺「大丈夫。冷蔵庫開けて大きい包みが入ってるから取り出して」
それはホワイトデーのお返しに用意しておいたチョコレートを入れてある箱。先生の名前も書いておいた。でないと見舞品泥棒の妹に食べられるからw
俺「お返しだよ。いつもありがとう」
R先生「やばい泣いちゃう!w」
俺「ネットで調べて母さんに買ってもらったけどねw手作り無理だからw」
R先生「開けるね」
先生は静かにそして丁寧に箱を開け始めた。
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