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厨房3年の夏
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世の中が隅の隅まで弱肉強食で成立していることが、からっきしわかっていない。

勉強の仕方だってそうだ。ぼくは参考書を買う金にさえ困っていたよ。

だから教科書のこまかいところまで何度も目を通した。

でもぼくは東大に落ちた。もし予備校に行けていたら、と今でも考える。

世界は不平等にできている。それを認めるのが生きるということだ。

そこから少しでも、のしあがろうとするのがぼくの生きる意味でもある。

ぼくは政治家の娘と結婚する。母には悪いが、養子に入る。

いつかかならずぼくも政治の世界に加わってやるつもりだ。

そして少しでも社会的な不平等をなくすために尽力するよ。

いくら底辺で騒いだところで、決して何も変わらないからね。


だいたいこんなようなことをTさんは言った。

あるいは もっと深いことを話していたのかもしれない。けれども おれが理解できたのは このぐらいである。

きついパンチだった。おれが殴ったのを数百倍にして返された思いだった。精神的なパンチ。自分の未熟さが恥ずかしかったよ。

彼女がおれではなくTさんに惚れるのがよくわかった。


「今日の君は実にいい目をしている。こんなことになったら たぶん今日で家庭教師も終わりだろうけど」

そう言うとTさんはにやりと笑った。

「ぼくが君に教えたかったのは受験のテクニックや勉強法などではない。常在戦場の精神。もし ぼくのような未熟な男が君に何かを教えられるとしたら、このことしかない。

受験の知識などすぐに忘れてしまえ。でも常在戦場は忘れるなよ。男なら逃げないで闘え」


Tさんは握手をするような感じで手をだした。

ぼくも手をだそうとすると、その平手がぼくの頬を打った。

じいんとした耳に、一発ぐらいお返ししてもいいだろ、というTさんの声が聞こえた。

たしかに痛かった。大人になる痛みだった。



別れぎわ、もう会うことはないと思うと何かお礼の言葉を言いたかった。決めゼリフみたいな。

だが、そこはおれの厨房精神が邪魔をするのよ(w

自分でもどうしてこんなことを聞いたのかわからない。

「なんで彼女のあそこの毛を剃ったりしたんですか」

Tさんはきょとんとした顔をしている。意味がわかると、

「見たのか?」

ニタァと実にいやらしそうに笑う。
「いやあ、ちょっとやりすぎたかな」と豪快に笑うTさんを見ていると、バカ負けしたというか、この人にはかなわない、ほんとはケダモノなんじゃないかと思えてきた。

同時に、そんなところこそがTさんの愛すべき長所のような気もして、「やりすぎですよ」といつのまにかおれも笑っていた。



夏休みが終わった。

あの一夜のことは、どちらも酔っていて覚えていないことにする、そんな暗黙の了解のようなものがおれと彼女のあいだに成立した。

受験も近づき、恋愛どころではないというクラスの雰囲気に呑まれて、おれと彼女も疎遠になっていった。

いつだったか、彼女がおれをじっと見つめてきたことがあった。

たしか理科の居残り実験で二人きりになったときだった。

なにか用?とたずねると、

「○○、なんか変わったね」。

どこがとたずねると、全体的にとのこと。

「なんか男らしくなったよ」

「最近、女子のあいだでちょっとした噂になってるんだよ、○○のこと」

「でも、おれは今でも……」

と彼女を見ると、さあ、実験、実験とはぐらかされた。


翌春、おれと彼女はそろってトップの県立高校に入学した。

合格発表の日、おれと彼女は はじめてキスをした。

ひっぱたかれるかと内心おびえていたが、意外にすんなりとうまくいった。

このあとの話はとりたてて、ここに書くことはないように思う。

ふつうの高校生カップル。喧嘩もすればキスもする。

しかし二人のあいだではTさんのことは長いことタブーになっていた。

おれの人生ににとってTさんはもっとも強い影響を与えた人であり、おそらく彼女にとってもそうであるはずなのだが……。

 
カテゴリー:人生・生活  |  タグ:青春,
 


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