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戦い
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本当に自分勝手だと、今思い出しても自分が嫌になります。

あっ、ごめんなさい。今まで聞いてもらえる人がいなかったので、べらべらと1人話してしまいました。」


話を聞いている間、奥さんが若い教師に手ほどきをしている姿が浮かび、その奥さんが今、目の前にいる事で、不謹慎にも私の物が頭を持ち上げ出したので、慌てて質問をしました。


「いいえ、話辛い事まで話して頂いて、ありがとうございます。

1つ いいですか?奥さんはご主人を愛しておられた、しかし他にも好きな人が出来た。そうですね?

私には その感覚が分からないのですが?」


「説明し難いのですが、私は あの人を愛していました。どちらを取るかと言われれば、迷わずあの人を取ります。1番失いたくない人でした。

でも、先生の事を好きになってしまいました。いえ、好きだと勘違いしてしまいました。

1番好きなあの人は、あの人で、そのままの関係を保ち、その他に恋人がいる。

罪悪感も有りましたが、それ以上に魅力が有りました。

許されない事は分かっていましたが、ばれなければ、このままでいたいと思ってしまいました。

私は、駄目な人間です。あの人が私を許せないのも仕方が無い、最低の人間です。

一生懺悔しながら生きていきます。」


「ありがとうございました。野田さんと元に戻れるといいですね。」


「それは無理だと思っています。でもあの人だけを思って生きて行こうと思います。それが私に出来る、唯一の償いです。それより、私に聞きたかった事とは?」


「いいえ。もう充分教えて頂きました。ありがとうございました。」


「いいえ、こちらこそ。変なご縁ですが、また愚痴を聞いてください。本当に申し訳ない事を致しました。」


私は、奥さんが妻と似ていると思いました。
不倫した切欠や、相手の年齢など違う所は多いのですが、考えていた事や、少し前の奥さんと今の妻の状況は同じだと思いました。

また、野田と私の立場や考えも似ています。


しかし野田を許す事は出来ません。

状況は同じだったとしても、妻と関係を持った野田を、許す事は出来ません。

しかし、奥さんの話を聞いて、妻と元の関係に戻りたいのなら妻を許す。許せないなら別れる、という決断をしなければいけないと思いました。

今の状態が続けば、私も妻も壊れてしまいます。



何も言わずに出たので、家に帰ると妻は泣いていました。野田の所に何かしに行ったと思っていた様です。

私の顔を見るなり抱きついて来ました。あれ以来 私に抱きついて泣いている妻は、初めてだと思います。この時は、妻への憎しみも忘れ、いとおしく感じました。


暫らくして妻は慌てて私から離れ。

「ごめんなさい。つい・・・・ごめんなさい。ごめんなさい。」

その夜、寝室で向かい合って座り。

「俺は、美鈴を愛している。愛しているが 許せない。愛しているから 許せないのかも知れない。

でも、このままでは駄目だと思った。俺も忘れる様に努力して、美鈴を許したい。

しかし、それには、この間、聞きたかった事が引っ掛かっている。

やはり美鈴とあの男だけしか知らない事が有っては出来ない。二人だけの秘密、2人だけの思い出が有っては出来ない。

もう一度聞くが、全て教えて欲しい。

何を気にしているのかと馬鹿にしてもいい。俺には大事な事なんだ。」


妻は、何度も頷きました。

「あいつと関係を持ってから、会うと どんな話をした?どんなセックスをした。

詳しく教えて欲しい。詳しく教えてくれないと俺の中で、嫌な想像が どんどん大きくなって行く。」


「話は・・・仕事の事とか・・・同僚の事・・・・・お互いの家庭の事・・・・・。セックスは・・・・。」


私は、穏やかに話すつもりでしたが、苛立ってきました。


「そんな事を聞きたいのじゃない。

ホテルでセックスをする時に、仕事の話をしていたのか?違うだろ?

言い難いのなら、俺が言う事に返事をしろ。分かったか?」


妻が頷いたので。

「セックスをする時、あいつは愛していると言ったのか?お前も言ったのか?

前戯が長いと言っていたが、それだけで何回も達したのか?

我慢出来なくなって、お前から あいつの物を欲しがった事が有るのか?

安全日には、中に出された事も有るのか?

バスルームでした事も有るのか?

毎回あいつの物を その口で銜えたのか?

お前が上になった時は、いつもみたいに自分で腰を使ったのか?

達しそうになった時は、その事を大きな声で伝えたのか?」


妻は、私の質問に、消え入りそうな小さな声で、全てにハイと答えました。

私は悔しくて、涙が出そうになりましたが、質問を続けました。


「俺が、以前ラブホテルで、バイブを買ってみようと言った時、お前は怖いから嫌だと言ったよな?

そんな変態みたいな事は嫌だと怒ったよな?
あいつには使われただろ?

バイブでも何回も達したのか?

俺には嫌だと言いながら、どうして あいつにはさせた?」


「最初、嫌でした。でも無理やり・・・・

私は身動きが取れなくて・・・・・

2回目からは、怖くなくなって・・・・・

ごめんなさい。」


「身動きが取れないと言う事は、縛られていたと言う事だな?

すんなり縛られたのか?抵抗しなかったのか?

縛られて感じていたのか?」


「許して下さい。課長との秘密を持ちたい訳じゃ有りません。

あなたに知られるのが怖い。そんな淫らな私を知られたくない。

やはり私には言えません。ごめんなさい。ごめんなさい。

許して下さい。他の事は何でもします。聞かないで。許して・・・・・・・・・。」


妻は、激しく泣き出し、何を言っても狂ったように泣いて聞き出せません。

これが逆の立場で、私が不倫していて この様な事を聞かれたとしても、ここを触って、次にこうして、彼女はこう反応してなどと話す事は出来ないと思います。

また、相手が話せば許すと言っても、気分を悪くさせる事は分かっているので話せないでしょう。

しかし聞きたい。怒りや寂しさが増すのは分かっていても、気になって仕方が無いのです。

この事は、無理だと思った私は、もう1つ気になっていた事を聞く事にしました。


「セックスの事はもういい。今日はここまでにしておく。

ただ、もう少しだけ教えてくれ。

旅行に行った時、腕を組んで歩いたか?

肩を抱かれて歩いたのか?

ずっと夫婦の様に振舞っていたのか?

宿泊名簿にも夫婦として同じ苗字を書いたのか?」


やはり妻は、何度も頷きました。

セックスの事は勿論ですが、なぜか寂しさは この事の方が大きかったです。


「もうあいつの事を忘れる事が出来たか?

まだ努力している途中なのか?

まだ好きなのか?

毎日俺にこれだけ責められて、まだ俺とやり直したいと思っているのか?

正直に教えてくれ。」


妻は、顔を洗いに行き、気持ちを落ち着かせて戻ってきました。しかし私の正面に座るとまた涙がこぼれ、涙声で話し出しました。


「課長と付き合い出してから、夜1人になると罪悪感に潰されそうでした。

あなたと一緒に過ごす休日は尚更で、もう止めなければいけないと、いつも思っていました。

そう思っていても止める事が出来ず、その内 嘘をつくことに慣れてしまい、そんな自分が嫌で罪悪感は増すばかりでした。

あなたに知られた時、あなたを失うという恐怖感に教われましたが、こんな生活から抜け出す事が出来ると、少し気が楽になったのも覚えています。

私のしてしまった事を思えば、やり直して欲しいとは言えません。ただ別れたく無いです。このままでもいいから 失いたく有りません。

あなたに責められても、それは当然だと思っています。一生責められても、仕方が無い事をしてしまったと思っています。

ただ時々・・・・・・・・・。」


>>次のページへ続く
 
 


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