戦い
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この質問は昨年から何回もしています。答えも ほとんど同じです。
嘘でも妻に“あなたを愛しています。”と言って欲しいだけかも知れません。
自分に自信が無く、そう言われないと、不安なのかも知れません。
私も結婚前は、愛の無いセックスもしました。
最近も、野田の別れた奥さんと、そうなれる事を期待していました。
愛が無くても快感を得られる事は知っています。
しかし、男のエゴかも知れませんが、女である妻が、愛も無いセックスで快感を得る事は許せませんでした。
愛も無しに男の所に通う女では、あって欲しく有りませんでした。
そうかと言って、野田との間に愛が有れば、もっと許せないのでしょうが。
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5月28日(金)の7
以前は私が責めて泣かせていても、妻が涙を流している姿を見ると心が痛みました。ところが今では、慣れてしまったのか、さほど感じなくなっています。
私は意地に成っているだけで、妻への愛情が醒めてきているのかと、考えている自分に寂しさを覚えました。
別れるかどうかは別にしても、もう元の夫婦には戻れないと思うと、昔の事が頭の中を巡ります。
付き合っていた頃、初めて結ばれた時、結婚式、子供が生まれた時、子供が手を離れて行った時、色々な事が頭の中を通り過ぎて行きます。
「美鈴、昔は楽しかったな。
子供が生まれ、子供達と動物園へ行ったり、遊園地へ行ったり。
この家族がいれば、他には何もいらなかった。
美鈴や子供達が笑っていれば、他には何も望まなかった。
子供達が成長して、手を離れていった時は寂しかったが、喜ばなければいけないと、自分に言い聞かせた。
まだ俺には美鈴がいると思った。美鈴だけを見て、生きて行こうと思った。
でも美鈴は違っていたんだな。美鈴には俺だけでは無かったんだな。
昔に戻りたいな。昔を懐かしく思うのは、歳を取った証拠かもな。
昔には戻れない、以前の夫婦には戻れないと分かっているのに・・・・・・・・・・・。」
昔を思い出し、つい出てしまった言葉が、結果的に妻を責める事になってしまい、妻は、近所に聞こえるのでは無いかと思うほど、大きな声で泣き出しました。
妻が泣き止むのを待っていて、野田の事を思い出し、野田の服とセカンドバッグを抱えて玄関を出ると、野田は片方の手で股間を隠し、もう一方の手で口を覆って隅の方に蹲り、身を隠しています。
“これが あの雄弁で強気だった野田か”と思えるほど、野田は小さく見えました。
その姿を見た時、私の家庭を、私の人生を無茶苦茶に壊した男なのに、妻を辱め、その妻を奪い去ろうとしている男なのに、何故か哀れに思えました。
しかし、優しい言葉は掛ける気にならず、持っていた物を投げ付けると。
「野田、いつから転勤になる?いつ向こうへ行く?」
「来月の・・8日に・・・・日本を発とうかと・・・・・・。」
私が部屋に飛び込んでから、野田の声を聞いたのは初めてです。
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妻の所に戻ると、妻は、まだ激しく泣いていたので、頭を冷やす為にもシャワーを浴びようと、服を脱いでいると、ドアの外に人の気配がしました。
「美鈴、今日は洗ってくれないのか?」
妻は、裸のまま入って来て、ボディーソープを付けたスポンジで、私の身体を力一杯擦りながら泣いています。
いつも通り最後の場所は手で洗ってくれ、泡をシャワーで洗い流すと、何も言わず俯いていたので、
「今日は、最後のサービスは無しか?」
それを聞き、妻は むしゃぶりついて来ました。
精一杯、私にサービスするつもりで、一生懸命してくれているのですが、流石に今日は、私の物も反応しません。
「もういい、気持ち良かった。美鈴もシャワーを浴びて来い。」
まだまだ知りたい事が有り、寝室で待っていましたが妻は来ません。
余りに遅いので様子を見に行こうと思った時、バスタオルを巻いただけの格好で妻が入って来ました。
「遅かったが何をしていた?まだ聞きたい事が有ったが、今日はもう寝よう。」
すると妻は、私の質問には答えないで、立ったままバスタオルを下に落とし。
「あなた、抱いて下さい。こんな私ですが抱いて下さい。一生のお願いです。今夜だけは どうしても抱いて欲しい。無茶苦茶にして欲しい。」
私の返事も聞かずに、飛び掛るように私を押し倒し、乱暴に私を裸にすると、夢中で体中に舌を這わせて来ます。
私は呆気に取られ、妻のしたい様にさせていました。
妻の執拗な攻撃で、今日は無理だと思っていた私の物が反応を示すと、妻は上に跨り、自分で中に収めると、凄い勢いで腰を使って来ます。
この時の妻は鬼気迫る物があり、達して胸に崩れ落ちても、またすぐに起き上がり、腰を使って来ます。
私が一度放出したにも関わらず、妻の物と私の出した物で、べとべとになった物を、また口に含み、これでもかと言うぐらい舌を使い、また元気にすると腰を沈めて来ました。
--------------------
5月29日(土)の1
昨夜は、何がどうなったのか分からないぐらい私も興奮し、達しても、達しても求めて来る妻に、私も激しく応戦したせいか熟睡してしまい、目が覚めると昼前でした。
隣で寝ていたはずの妻の姿は無く、家中探しましたが何処にもいません。
窓から外を見ると妻の車が有りません。
訳が分からず、水を飲もうとキッチンへ行くと、先程は気付きませんでしたが、テーブルの上に1枚の便箋を見付けました。
〔あなた、ごめんなさい。
私もずっと昔の事を思い出していました。
私も昔に戻りたいと思いました。
あなたに出会った時から、現在までの自分と向き合っていて、その時 私は、気付いてしまいました。
あなたの言う通り、心のどこかで課長に抱いて欲しくて、アパートに行っていたと気付いてしまいました。
そんな筈は無いと、またその事を打ち消したのですが、シャワーを浴びながら考えていると、色々な事が分かって来ました。
昨年 あなたを裏切ってしまい、あなたに許してもらえたのに、今年になってからも、あなたがいない夜、何回も課長との行為を思い出して、自分で慰めていた事も分かりました。
いいえ、分かっていたのに今まで、そんな事は無いと、自分で自分を否定して来ました。
結局、昨年から、ずっと あなたを裏切り続けていたのです。
言われた通り、今回も私は、脅されて無理やりされたと、自分に言い聞かせていただけで、本当は気持ち良くなりたくて、被害者を装いながら通っていたと、はっきりと分かりました。
でも、本当にそれまでは、脅されたから仕方無かったと思っていました。私は被害者だと思っていました。
こんな事を書いてから、信じてもらえないでしょうが、私が愛しているのは、あなただけです。
課長との行為に溺れてしまった私ですが、愛しているのは、あなただけです。
あなたを愛しています。
それだけは信じて下さい。
自分のしてしまった事に気付いた以上、もうあなたの目を見る事は出来ません。
本当は、人生最後の瞬間は、あなたに手を握り締めていて欲しかったのに、それも自分で駄目にしてしまいました。
あなたと出会えて良かった。
あなたと夫婦になれて良かった。
あなたの妻で凄く幸せでした。
今まで本当にありがとう。愛しています。〕
この便箋は、何箇所か文字が滲んでいます。
私の頭に“自殺”という文字が浮かび、昨夜の妻を不思議に思いながらも、気が付かなかった事を悔やみました。
妻の携帯に電話しても、電源が切られています。
こんな緊急事態でも、詳しい内容までは話せず、夫婦喧嘩をしたら出て行ったと、妻の実家や、子供達の携帯に電話をしましたが、妻は何処にもいません。
いつ出て行ったのかさえ分からず、今向かっている可能性も有り、もしも そちらに行ったら連絡が欲しいとだけ言い、警察に行くと、
「夫婦喧嘩で、それも今朝いなくなったばかりでしょ?一応探しますが、心配無いと思いますよ。」
私が真実を話せず、便箋も見せなかったので無理も有りません。
野田の所には行っていないと思いながらも、アパートに急ぎました。
野田は私と分かると、ドアを開けてくれなかったので、もしや?と思いましたが、妻がいなくなった事を言うと、ようやく中に入れてくれました。
野田に便箋を見せると、野田の表情は見る見る変わり、
「私も心当たりを探します。」
そう言って、すぐに誰かに電話し、
「君の所に、美鈴君は行っていないか?
そうか。実は今、ご主人から連絡が有って、親戚で不幸が出来たそうなのだが、
携帯を切ったまま忘れているらしくて、何処に行っているのか分からないそうなんだ。
もしもそちらに行ったら、すぐ私に連絡をくれ。」
流石 野田です。咄嗟の嘘が上手だと、こんな時にも感心してしまいます。
野田の所には、来ていないと思いながらも、微かな期待を持っていたのですが、慌てようから、野田も妻の所在を、本当に知らないのだと思いました。
野田は、見つかり次第 すぐに連絡すると言い残し、唇が腫れた顔と、まだ梳かしていないボサボサの髪のまま、また誰かに携帯を掛けながら車で出て行ってしまいました。
その後 私も、心当たりを探し回りましたが、妻は見つかりません。
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5月29日(土)の2
辺りが暗くなり出した頃、私は海沿いにある公園に向かっていました。
ここは私が妻にプロポーズをした場所です。
野田のアパートを出た時、思わない事も無かったのですが、そんなドラマの様な事は無いと思い、後回しにしてしまったのです。
公園へ着くと、もう真っ暗でしたが、駐車場の一番奥に妻の車が止まっているのを発見しました。
しかし、まだ喜べません。
一度立ち寄ったものの 車をここに置いて、また何処かに行ってしまった可能性も有ります。
最悪、海に入ってしまった事も考えられます。
何組かのカップルに、変な目で見られながら探し回っていると、1人でベンチに座っている、妻らしい人影を見付け、静かに近付いて前に立つと、顔を上げた妻は人目も憚らず、急に泣き出して抱き付いて来ました。
しばらく、ベンチに座り、昔の事を思い出しながら、真っ暗な海を見ていましたが、気が付くと妻は、右手でしっかりと私の上着の裾を握っています。
「俺達の家に帰ろうか?」
妻は、ゆっくりと頷き、心配なので1台は、置いて行こうと言う私に、もう大丈夫だからと言い残し、自分の車に乗り込みました。
家に着いても何を話していいのか分からず、キッチンのテーブルを挟んで、向かい合ったまま黙っていると、その時、携帯が鳴り、
「心当たりは全て探したが、見つからない。すまない。これも全て私のせいだ。美鈴さんに、もしもの事が有ったら・・・・・・・・・。」
それを聞き、妻は むしゃぶりついて来ました。
精一杯、私にサービスするつもりで、一生懸命してくれているのですが、流石に今日は、私の物も反応しません。
「もういい、気持ち良かった。美鈴もシャワーを浴びて来い。」
まだまだ知りたい事が有り、寝室で待っていましたが妻は来ません。
余りに遅いので様子を見に行こうと思った時、バスタオルを巻いただけの格好で妻が入って来ました。
「遅かったが何をしていた?まだ聞きたい事が有ったが、今日はもう寝よう。」
すると妻は、私の質問には答えないで、立ったままバスタオルを下に落とし。
「あなた、抱いて下さい。こんな私ですが抱いて下さい。一生のお願いです。今夜だけは どうしても抱いて欲しい。無茶苦茶にして欲しい。」
私の返事も聞かずに、飛び掛るように私を押し倒し、乱暴に私を裸にすると、夢中で体中に舌を這わせて来ます。
私は呆気に取られ、妻のしたい様にさせていました。
妻の執拗な攻撃で、今日は無理だと思っていた私の物が反応を示すと、妻は上に跨り、自分で中に収めると、凄い勢いで腰を使って来ます。
この時の妻は鬼気迫る物があり、達して胸に崩れ落ちても、またすぐに起き上がり、腰を使って来ます。
私が一度放出したにも関わらず、妻の物と私の出した物で、べとべとになった物を、また口に含み、これでもかと言うぐらい舌を使い、また元気にすると腰を沈めて来ました。
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5月29日(土)の1
昨夜は、何がどうなったのか分からないぐらい私も興奮し、達しても、達しても求めて来る妻に、私も激しく応戦したせいか熟睡してしまい、目が覚めると昼前でした。
隣で寝ていたはずの妻の姿は無く、家中探しましたが何処にもいません。
窓から外を見ると妻の車が有りません。
訳が分からず、水を飲もうとキッチンへ行くと、先程は気付きませんでしたが、テーブルの上に1枚の便箋を見付けました。
〔あなた、ごめんなさい。
私もずっと昔の事を思い出していました。
私も昔に戻りたいと思いました。
あなたに出会った時から、現在までの自分と向き合っていて、その時 私は、気付いてしまいました。
あなたの言う通り、心のどこかで課長に抱いて欲しくて、アパートに行っていたと気付いてしまいました。
そんな筈は無いと、またその事を打ち消したのですが、シャワーを浴びながら考えていると、色々な事が分かって来ました。
昨年 あなたを裏切ってしまい、あなたに許してもらえたのに、今年になってからも、あなたがいない夜、何回も課長との行為を思い出して、自分で慰めていた事も分かりました。
いいえ、分かっていたのに今まで、そんな事は無いと、自分で自分を否定して来ました。
結局、昨年から、ずっと あなたを裏切り続けていたのです。
言われた通り、今回も私は、脅されて無理やりされたと、自分に言い聞かせていただけで、本当は気持ち良くなりたくて、被害者を装いながら通っていたと、はっきりと分かりました。
でも、本当にそれまでは、脅されたから仕方無かったと思っていました。私は被害者だと思っていました。
こんな事を書いてから、信じてもらえないでしょうが、私が愛しているのは、あなただけです。
課長との行為に溺れてしまった私ですが、愛しているのは、あなただけです。
あなたを愛しています。
それだけは信じて下さい。
自分のしてしまった事に気付いた以上、もうあなたの目を見る事は出来ません。
本当は、人生最後の瞬間は、あなたに手を握り締めていて欲しかったのに、それも自分で駄目にしてしまいました。
あなたと出会えて良かった。
あなたと夫婦になれて良かった。
あなたの妻で凄く幸せでした。
今まで本当にありがとう。愛しています。〕
この便箋は、何箇所か文字が滲んでいます。
私の頭に“自殺”という文字が浮かび、昨夜の妻を不思議に思いながらも、気が付かなかった事を悔やみました。
妻の携帯に電話しても、電源が切られています。
こんな緊急事態でも、詳しい内容までは話せず、夫婦喧嘩をしたら出て行ったと、妻の実家や、子供達の携帯に電話をしましたが、妻は何処にもいません。
いつ出て行ったのかさえ分からず、今向かっている可能性も有り、もしも そちらに行ったら連絡が欲しいとだけ言い、警察に行くと、
「夫婦喧嘩で、それも今朝いなくなったばかりでしょ?一応探しますが、心配無いと思いますよ。」
私が真実を話せず、便箋も見せなかったので無理も有りません。
野田の所には行っていないと思いながらも、アパートに急ぎました。
野田は私と分かると、ドアを開けてくれなかったので、もしや?と思いましたが、妻がいなくなった事を言うと、ようやく中に入れてくれました。
野田に便箋を見せると、野田の表情は見る見る変わり、
「私も心当たりを探します。」
そう言って、すぐに誰かに電話し、
「君の所に、美鈴君は行っていないか?
そうか。実は今、ご主人から連絡が有って、親戚で不幸が出来たそうなのだが、
携帯を切ったまま忘れているらしくて、何処に行っているのか分からないそうなんだ。
もしもそちらに行ったら、すぐ私に連絡をくれ。」
流石 野田です。咄嗟の嘘が上手だと、こんな時にも感心してしまいます。
野田の所には、来ていないと思いながらも、微かな期待を持っていたのですが、慌てようから、野田も妻の所在を、本当に知らないのだと思いました。
野田は、見つかり次第 すぐに連絡すると言い残し、唇が腫れた顔と、まだ梳かしていないボサボサの髪のまま、また誰かに携帯を掛けながら車で出て行ってしまいました。
その後 私も、心当たりを探し回りましたが、妻は見つかりません。
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5月29日(土)の2
辺りが暗くなり出した頃、私は海沿いにある公園に向かっていました。
ここは私が妻にプロポーズをした場所です。
野田のアパートを出た時、思わない事も無かったのですが、そんなドラマの様な事は無いと思い、後回しにしてしまったのです。
公園へ着くと、もう真っ暗でしたが、駐車場の一番奥に妻の車が止まっているのを発見しました。
しかし、まだ喜べません。
一度立ち寄ったものの 車をここに置いて、また何処かに行ってしまった可能性も有ります。
最悪、海に入ってしまった事も考えられます。
何組かのカップルに、変な目で見られながら探し回っていると、1人でベンチに座っている、妻らしい人影を見付け、静かに近付いて前に立つと、顔を上げた妻は人目も憚らず、急に泣き出して抱き付いて来ました。
しばらく、ベンチに座り、昔の事を思い出しながら、真っ暗な海を見ていましたが、気が付くと妻は、右手でしっかりと私の上着の裾を握っています。
「俺達の家に帰ろうか?」
妻は、ゆっくりと頷き、心配なので1台は、置いて行こうと言う私に、もう大丈夫だからと言い残し、自分の車に乗り込みました。
家に着いても何を話していいのか分からず、キッチンのテーブルを挟んで、向かい合ったまま黙っていると、その時、携帯が鳴り、
「心当たりは全て探したが、見つからない。すまない。これも全て私のせいだ。美鈴さんに、もしもの事が有ったら・・・・・・・・・。」
「ちょっと待て。連絡が遅れたが 少し前に見つかった。美鈴は無事だ。」
野田は、怒った声で“どうしてすぐに”と言い掛けましたが、“良かった。そうか。良かった。”と言って他は、何も聞かずに電話を切ってしまいました。
「美鈴。これから俺達は どうなるか、どうすれば良いのかまだ分からんが、こんな事だけはするな。こんな事は許さん。一生お前を怨むぞ。」
「ごめんなさい。もうしません。ごめんなさい。
あなたや子供達の顔が浮かんで、私には出来ませんでした。
1人では怖くて出来ませんでした。私はずるい女です。
あそこにいれば、あなたが来てくれると思いました。あそこで待っていれば、必ず迎えに来てくれると信じていました。
本当に ずるい女になってしまいました。」
悪く考えれば、最初から、死ぬ気など無くて、これも妻の計算通りだったのかも知れません。
しかし私は、そこまで妻が変わってしまったとは、思いたく有りませんでした。
安心したせいか お腹が減り、朝から2人とも何も食べていなかった事を思い出し、インスタントラーメンを2人で作って食べていると、
家の前で車の止まった音がしたので、こんな時間に誰だろうと思い、窓から覗くと、
それは私が少し援助して、娘が買った古い軽自動車で、助手席からは息子も降りて来ました。
娘は、入って来るなり。
「お母さん、帰っているの?帰っているのなら電話ぐらいしてよ。」
娘と息子は険しい顔で座り、携帯をテーブルの上に置き、
「お母さん。これはどう言う事?どう言う意味?」
俺の所にも来たと言う、息子の携帯メールを見ると。
〔ごめんなさい。お母さんはお父さんを裏切ってしまいました。あなた達を裏切ってしまいました。
取り返しの付かない事をしてしまいました。
あなた達の母親でいられる権利を、自分で放棄してしまいました。
お父さんの事をお願いします。
こんな母親でごめんね。ごめんね。〕
その時、娘が、
「お父さんを裏切ったって、まさか・・・・・・・そうなの?お母さん、そうなの?」
子供達が来てから、ずっと俯いていた妻は顔を上げ、私の目を見詰めて涙を流しました。
私も そんな妻が心配で、妻の顔を見ていると、2人の様子を見ていた息子が、
「なんだ、心配して損した。親父、勘弁してくれよ。脛をかじっていて言い難いけど、俺達も忙しいんだ。夫婦喧嘩は2人でやれよ。子供まで巻き込むなよ。」
娘がまた妻に何か言おうとしましたが、息子がテーブルの下で娘の足を蹴りました。
それは妻にも分かったと思います。
娘は、大きな溜息をつくと、
「そうね。心配して損したわ。お母さんは家をすぐに飛び出すし。
お父さんはお母さんの姿が、少し見えないだけで大騒ぎだし。
お母さん、今日のガソリン代と、高速代はお母さんが払ってよ。」
そう言うと、私を見詰めながら涙を流している妻の前に手を出しました。
すると息子も手を出したのを見て、娘が、
「途中で食べたハンバーガーも私が出したし、あんたは何も払っていないでしょ?」
「俺だって、バイトを途中で抜けさせてもらったから、半日分のバイト代は、もらう権利は有る。」
娘と息子が言い争いを始めましたが、わざとそう振る舞ってくれている事は分かっていました。
知らない内に、2人は大人になっていた様です。妻だけでなく、私も救われた気持ちでした。
今日は遅いから泊まっていけと言うと
“そうするか。”と言う息子に、今度は娘がテーブルの下で息子の足を蹴り
“明日もバイトで夜の方が道も混んでいないから。あんたも明日バイトが有るでしょ。”
と言って席を立つと、妻は、慌てて自分の財布からお金を出し、泣きながら2人に渡していました。
子供達も赤い目をして帰って行ってしまいましたが、これも私達に気を利かせた事は、言うまでも有りません。
子供達の成長に感謝しましたが、これで問題が解決した訳では有りません。
私の中では、これで元の夫婦に戻れるほど、簡単な問題では有りませんでした。
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5月30日(日)の1
前夜は一睡もしていなかったのか、妻はベッドに入ると すぐに寝てしまい、私の横で寝息をたてています。
私も一度は眠ったのですが、疲れているはずなのに、早くに目が覚めてしまい、その後、寝付かれずに、妻との事を考えていました。
私にとっての夫婦とは何なのか考えていました。
勿論、婚姻届を出した時から、法律上 夫婦で有る事は間違い有りません。
しかし、お互いに相手に対する愛情がないと、それは、ただの共同生活者だ。
たとえ実際には束縛していなくても、夫婦なら相手を束縛したい気持ちが有って当然だ。
育った環境も違い、お互い1人の人間だから、考えや方が違うのは仕方ないが、時には自分を殺して、お互いに歩み寄るのが夫婦だ。
片方の気持ちが離れた時、離婚届は出さなくても、それはもう夫婦では無い。と思っていました。
それともう1つ。
長い結婚生活、間違いの1度や2度は有るかも知れないが、気持ちまで相手に行かなければ、夫婦でいられる。とも思っていましたが、
私を愛していても、妻の身体が他の男を求めてしまった今、この考えは、私に都合の良い考えだったと気付きました。
風俗など私が妻を裏切る事は有っても、妻に限って、私以外の男と関係を持つ事は、考えられなかったからこそ思えた事だったのです。
人間と同じ様に、夫婦と呼べるのかどうかは分かりませんが、多くの生物は、子孫繁栄の為の生殖行為をしたものが、夫婦の様な形をとります。
1度その様な行為をしただけで死んでいく者も有りますが、前回とは違う相手と、行為を行う者も少なく有りません。
それは、より強い、より良い子孫を残す為だと思います。
当然、夫婦の関係は セックスだけでは有りません。それ以外の部分の方が大きいかも知れません。
お互いに納得して、セックスレスでも仲の良い夫婦でいられる方もみえますし、歳を取り、その様な行為が出来なくなっても、夫婦でいられます。
しかし、人間も1つの生物だと考えると、子供に恵まれたかどうかは別にしても、以前、私達は間違い無く夫婦でした。
ところが、妻の身体が野田を選んだとしたら、妻の雌の部分が野田に惹かれたとしたら、今は野田と妻の方が、夫婦に近いのでは無いかと思えるのです。
ただ、人間は、他の生物と違い、遊びも覚えました。子孫を残す為だけにセックスをする訳では有りません。
私も今では、子供を作ろうと思って交わった事は有りません。それどころか、子供が出来てしまわなかったか心配な時も有ります。
しかし、そこまでの過程は遊びでも、男が女の中に入り、腰を振っている瞬間は、子孫を残そうとする生殖活動その物ではないかと思えるのです。
これらは私の夫婦感です。
勿論 人それぞれで、10人いれば10通りの考えが有ります。それらを否定するつもりは有りません。
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