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数年前、自殺しようとしてた俺が未だに生きてる話
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74 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 03:45:43.08 ID:MmTYItc1.net
俺の左側には画面のレイがいて、右には首つりヒモがぶらさがってた。その間に挟まれて、俺は文字通りどっちつかずの中間にいた。
首をつるのは もう怖かった。
けど、レイの言う正しさを知るのはもっと怖い気がした。でも、そのどちらも振り切り、一人で立つことなんか俺にできるはずもなかった。
静まりかえった一人の部屋で、俺は首つりヒモに背を向けた。
75 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 03:52:03.83 ID:MmTYItc1.net
「いま、起きた」
レイの質問には答えず、とりあえず俺は そう打ち込んだ。
「それで?」
レイは一瞬で打ち返してきた。そんなことはどうでもいいって感じで。
76 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 03:59:24.42 ID:MmTYItc1.net
「あのさ」
俺は精一杯レイの機嫌を損ねないように言った。
「聞いてもいいかな。どうして俺なんかを助けてくれるの?」
「その質問には昨日答えたはず」「私は問題を解決したいだけ」
どんだけだよって思うほど、レイのタイピングは早かった。そして、毎度どきっとするようなことを言う。
「それに〈助ける〉は間違い」「問題解決があなたを〈助ける〉ことになるかどうかは、わからない」
77 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 04:00:23.34 ID:MmTYItc1.net
「えっと、それって・・・・・・」
「その通りの意味」「それ以上も以下もない」
そして、毎度にべもない。
俺の左側には画面のレイがいて、右には首つりヒモがぶらさがってた。その間に挟まれて、俺は文字通りどっちつかずの中間にいた。
首をつるのは もう怖かった。
けど、レイの言う正しさを知るのはもっと怖い気がした。でも、そのどちらも振り切り、一人で立つことなんか俺にできるはずもなかった。
静まりかえった一人の部屋で、俺は首つりヒモに背を向けた。
75 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 03:52:03.83 ID:MmTYItc1.net
「いま、起きた」
レイの質問には答えず、とりあえず俺は そう打ち込んだ。
「それで?」
レイは一瞬で打ち返してきた。そんなことはどうでもいいって感じで。
76 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 03:59:24.42 ID:MmTYItc1.net
「あのさ」
俺は精一杯レイの機嫌を損ねないように言った。
「聞いてもいいかな。どうして俺なんかを助けてくれるの?」
「その質問には昨日答えたはず」「私は問題を解決したいだけ」
どんだけだよって思うほど、レイのタイピングは早かった。そして、毎度どきっとするようなことを言う。
「それに〈助ける〉は間違い」「問題解決があなたを〈助ける〉ことになるかどうかは、わからない」
77 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 04:00:23.34 ID:MmTYItc1.net
「えっと、それって・・・・・・」
「その通りの意味」「それ以上も以下もない」
そして、毎度にべもない。
78 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 04:10:59.29 ID:MmTYItc1.net
「わかったよ」
俺は答えた。というより、これ以外の返答は思いつかなかった。
それに、今の俺は相手をしてくれる人がいるだけで素直に嬉しかった。それが得体の知れない誰かでも。
引きこもってから、ずっと誰とも話してなかったんだ。当然だっただろう。こんな、無機質な会話でも・・・・・・
けど、レイは何を思ったのか、突然言った。
「問題を解決したいだけ、その言葉に嘘はない」「けど、私の本心も言っておく」「信じてもらえないかもしれないから、もしそうなら言う意味なんてないけれど」
79 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 04:15:14.31 ID:MmTYItc1.net
続けざまに文字が流れてから、少し沈黙するような間が開いた。
「なに」、そう俺が打つ前に、再びレイが言う。
「だから、これは自己満足」「信じてくれなくていい」
「なに」
ここで俺がやっと打ち込んだのと、レイの台詞は同時だった。
「生きる価値のない人間なんていない。あなたには生きる価値がある」
80 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 04:35:17.69 ID:MmTYItc1.net
俺は間抜けにも、パソコンの前でぽかんと口を開いた。
そのあと、ふふっと(実際はもっとキモい感じだと思うが)思わず笑った。
〈俺には生きる価値なんてないんだ〉
それは昨日、俺が言った台詞だった。
けど、画面の向こうの誰ともわからん人に急にそんなことを言われても信じられるどころか、突拍子もなさすぎて真面目に受け取ることさえできない。そう思わないか?
レイもそれを十分わかっていたんだろう。だから、信じてくれなくていい、自己満足だ、とあんなに予防線を張ったんだ。
あのとき、レイを素直に信じることができたら、どんなによかっただろう。いまはそう思う。
81 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 04:42:06.40 ID:MmTYItc1.net
「ありがとう」
現実には どんな反応をしたにせよ、俺は文字ではそう偽った。だって ほかになんて言えばいい?
そっか、俺にも生きる価値があるんだ、気づかせてくれてサンキュな!・・・・・・キャラ的にも空気的にも、これじゃ絶対おかしい。
「別に」
俺の感謝をどう受け取ったのか、レイは簡潔に答えた。
けど、どうせ信じてないくせに、そう見透かされてる感じがした。変だよな、画面から気配なんて感じ取れるわけがないのに。
83 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 04:54:05.85 ID:MmTYItc1.net
〈あなたには生きる価値がある〉
そのときの俺は、レイの言葉を信じることなんかできないと思ったけど、それでもその台詞で、彼女に対する信頼みたいなものが芽生えたんだと思う。
どうして俺なんかに関わってくれるのか?
レイはその質問にきちんと答えてくれたとは言いがたい。
けど、少なくとも悪意を持って接触してきたんじゃないって
俺のためを思ってくれてるんだって、ほんの少しだけど、そう思えたんだ。
82 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 04:49:38.65 ID:yBwDyG9I.net
まさかとは思いますが、この「レイ」とは
84 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 05:03:26.49 ID:MmTYItc1.net
>>82
霊だったのです!!
・・・・・・って、そんなわけあるかいっ(テンションおかしい)(あれ、違う?)
「自殺は、自分で自分を殺すことじゃないじゃないわ」「殺されることよ」「いじめっ子に殺されるの」
「そうかな」
「そうよ」「さっきの言葉、私は本気だから」
「なに」
「生きる価値のない人間なんていないってこと」「あなたも、いじめっ子も、それぞれ一つの命」「同じだけの価値がある、命」
86 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 05:12:17.07 ID:MmTYItc1.net
「同じだけの価値がある・・・・・・とは思えないけど」
卑下じゃなく、そう思ったから俺は言った。
「命は平等ってよく言うけど、でも」
アメリカ大統領の命と俺の命が同じ価値のはずはない。
「・・・・・・アメリカ大統領?」
「え、・・・・・・なんとなく出てきただけ」
「あなた、バラク・オバマだったの?」
「だから違うって!」
「でしょうね」「私は大統領の話なんかしてない」
「あなたと、いじめっ子の話」
87 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 05:21:13.16 ID:MmTYItc1.net
「それでも、あいつらのほうが俺より」
そこまで書いて、俺は苦しくなった。
昨夜、自殺していたら、今日は俺の通夜だった。
いじめられっ子で、引きこもりだった俺の通夜に、一体誰が参列しただろう。
いや、生徒が死んだんだ。学校はクラスの生徒を参加させるに違いない。けど、それは形だけだ。俺の死を本当に悲しむやつなんていない。
両親は悲しんでくれるだろうけど、それだけだ・・・・・・
88 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 05:30:51.49 ID:MmTYItc1.net
「事情が事情だし、あなたの葬式には大勢の生徒が参列するわね」「それなら、いじめっ子の葬式に来るのは どれくらいだと思う?」
「クラスの奴ら、みんなじゃないかな」「あと先生も」
「じゃ、あなたと同じじゃない」
「違う。俺のに来るのは形式だけだけど、あいつらのは・・・・・・」
「本心から?」
「そう」
「でもそれって、そんなに大事なことかしら」
89 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 05:40:19.59 ID:MmTYItc1.net
「大事なことって・・・・・・」
大事に決まってるだろ。ってか、それが一番大事なことだ。
俺は身構えた。レイが突拍子もないことを言い出す気配を感じたからだ。
そして、それは その通りになった。
「他人の心なんて自分がどうにかできるわけじゃないし、見えないし、どうだっていいことよ」
91 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/05(土) 11:33:58.46 ID:MmTYItc1.net
「どうでもいいなんて、そんなことないよ」
控えめに、俺は逆らった。
心は確かに目に見えないかもしれないが、感じることはできる。その証拠に、俺はいじめてくるやつだけじゃなく、遠巻きにしてる奴らの視線にだって傷ついていた。
あいつらの心が、俺を傷つけたんだ。
「どうでもよくない」
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