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「娘さん下さい!」って言いに行くww
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1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 14:08:34.74 ID:4QDc0c6v0
俺さ、今日の夜にさ、彼女の母親に「娘さん下さい」って言いに行くんだw
ようやく・・ようやくなんだ。
んで今さガチでさ緊張してるんよ
だからさ、ちょっとこれまでの事を書いていきたいとおもうんだ。聞いてくれよ、な?w
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 14:09:21.78 ID:4QDc0c6v0
俺は今年28になるおっさん。
大学卒業して就職した先をすぐに辞めてプーになりしばらくして ようやく見つけた仕事先で安定してきたので春先に彼女にプロポーズをした。
彼女は21になる普通の女性(仮名:ユウ)
特段綺麗だとか、可愛いとか、スタイルがいいだとか、性格がいいとかじゃないんだけど。
でも一つだけ、一般の人とは違う。
彼女は高度の難聴者。
人の声は ほとんど聞こえません。
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 14:10:35.00 ID:4QDc0c6v0
出会ったのは随分前の話。
だから話が曖昧になるかもしれないけれど そこは・・すまん。
俺は大学に入学してからは福島から上京して一人暮らしするようになった。
仕送りも少しもらってたんだけど なんだかんだで金はそれ以上に必要になる。
親の負担を少しでも軽くしようって孝行心もあった。
そこでバイト。近くの個別指導塾の講師。
正直面倒だったんだけど金のためだと週3くらいのペースで入っていた。
塾講師やったことある人は結構いると思うんだが、最初は研修みたいな形で先輩講師と一緒に授業をしてた。
そこは1対2の塾で小学生から中学生まで教えていた。
んでバイト初日。
欠席が出てマンツーマンの授業。マジで後悔した。
『普通』の生徒の授業をするもんだと思っていたからな。
教室長に「今日見る生徒・・難聴者の生徒さんでね。一応言葉は話せるけど声は聞こえないからなるべく筆談でお願い」って言われた。
なんだそれwって思いながらも生徒の下へ。
机の上にテキストと筆箱を出してボーっと前も見ながら座る女の子。
それがユウとの出会いでした。
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 14:12:12.83 ID:4QDc0c6v0
近づいたけど なんか俺には気づいてない。
「初めましてw」
ついつい耳が聞こえないのを忘れてそんなことを言ってしまったw
声にではなく存在に気づいたようで軽く会釈をしてきた。
見た目からは全く判断できない。
白のカチューシャをしたその子は円らな瞳を俺に向けたんね。
ホント見た目は普通の女の子。白のワンピースを着ていたのを今でも覚えている。
それと一番の印象は綺麗な髪だった。肩まで伸びた黒髪。今も昔も髪型は変わらない。ストレートの黒髪。
その髪の毛の間から覗く補聴器。ああ、そういえばこの子は耳が聞こえないんだった。
そんで、無神経にもほどがあったんだが俺は自分の耳を指して「聞こえないんだっけ?」なんて言ってた。それも彼女には聞こえないのになw
そしたユウは「はい」って言った。
たぶん動作で分かったんだろう。
意外にも はっきりとした口調だったことには驚いたね。
俺は少しドギマギしながら彼女の隣に着いた。
それと同時にユウはノートとテキストを開いた。
「ここからここまてがしゅくたいてす」
ん?
「しゅくたいてす」
あー、宿題ね。
やっぱなんか発音がおかしい。これが難聴者なのかと。
今でこそ『難聴』について詳しくなったものの、この時はマジで焦ったw
幼稚園生、いやそれ以下が話すような喋り方を時たまするからね。
それに声がちょっと大きい。
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 14:13:10.74 ID:4QDc0c6v0
難聴者にも色々ある。
一般的に生まれつき耳が聞こえない人、音声言語(喋り方みたいなもん)を取得する前に耳が聞こえなくなった人を『ろう者』、取得後に耳が聞こえなくなった人を『難聴者』、『中途失聴者』なんて言う。
そしてユウは『高度』の難聴者として障害者手帳も持っている。
高度ってのは70デシベル〜90デシベル以下が聞こえない難聴者だ。
彼女の耳には怒鳴り声さえも届かない。耳元で大声(結構本気)を出してようやく聞こえるそうだ。
100デシベル以上でも聞こえない人は『ろう者』と認定されるんだけどね。具体的に言うと飛行機の音とか地下鉄とかだな。
んでユウは5歳のときに頭部の打撃と強度のストレスが理由で失聴した。
ようするに音声言語の獲得している最中に耳が聞こえなくなった。
そのせいで『発話障害』も持つようになる。
ユウの発話障害は『聴覚性構音障害』と呼ばれるもの。
舌足らずの人いるだろ?サ行が弱いとか、濁音、半濁音が弱い人って。簡単に言えばそれ。
彼女は『ダ行』が特に弱い。完全に点を抜かしてしまう。
それと言葉を短く言う(単語によりけりだけどね)、学校を『がっこ』、先生を『せんせ』って言うような具合。
中学校からろう学校に通い始めたから訓練はしたようで この頃と比べたら今の発音、発声は格段に良くなった。
ダ行はどうしても弱いが短く言う癖は減った。
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 14:15:40.07 ID:4QDc0c6v0
すまん・・話が逸れた。
宿題が解かれているノートを覗いたら他の講師の文字が書かれていた。
赤で書かれた講師の言葉に彼女はこれまたペンで答えている。
いやー、こんなんで授業が成り立つのかよと思ったねw
ああぁ・・俺もこんな授業しなくちゃなのかぁ・・って正直ダルかった。
取り敢えず○付け。
んで途中で気づく。小数の計算?え?小学校六年だよな・・。ゆとりってこの事?まさかな。
はっきり覚えてる。彼女は小学四年生の問題を解いていた。しかも出来は五分五分。
「えっと・・あまり分かってない?」ってまた音声発信。
慌ててノートに書き込む。
彼女は曖昧な反応。
俺は授業の要領分かってなかったし、先輩講師もどっかいっちゃってるし・・。
取り敢えず間違ったところを見て何がどう間違っているのかチェックした。
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 14:17:07.63 ID:4QDc0c6v0
なんてことはない。要は基本が理解していなかっただけ。
なんとなくの理解で済ませてしまっているようだった。
俺は一から教えた。次の単元とかお構いなしにね。
彼女も最初は無表情で淡々と俺の説明を見ては解いていた。間違いがあるとなるべく丁寧に解説した。
彼女も次第に理解してきてチャレンジ問題もこなした。
ふむ、理解力はいいじゃない。
自分で作ったちょっと意地悪な問題もあっさりとこなしやがった。なんかムカついたw
「そんな簡単に解くなよーw」なんてノートに書いたら初めて笑った。笑ったというよりも照れたような感じだった。
後半になると お互い少し慣れてきたのか世間話。
まぁ、小学生と大学生がする世間話だから たかが知れているけどさ。
映画の話で盛り上がった。小学六年生なのにめっちゃ知ってるw
俺も映画は結構好きだったから授業そっちのけで盛り上がったw
小学生と話が合うってのもなんだけどな。ユウは最初の印象とは違いよく笑う子だったよ。
最後に「せんせ」と言われて手渡されたものがある。彼女が今でも大好きなリンツのリンドールホワイト。
「いっこあげる」
俺は甘いもの好きじゃないんだが笑顔で受け取った。
そして出口まで見送る。
チョコをほお張りながら彼女は帰っていった。
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 14:20:31.10 ID:4QDc0c6v0
授業後に教室長に「授業どうだった?」って聞かれた。
「いやーw大変でしたw」
「でも良かった」
「どういうことですか?」
「あの子ね、他の先生だと態度が全然違うんだよ」
「へぇ・・」
「悪い子じゃないんだけどね、人によっては全く反応しないんだ」
そんな生徒を新人に回すなwって思ったけど黙っておく。
「彼女があんな笑ってるの初めてみたよ」
「そーなんっすか?w」
「これからも頼むね」
「はぁ・・」
それからユウの担当は俺になった。
>>次のページへ続く
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