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私が初恋をつらぬいた話
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152 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:38:57.67 ID:+beSXCVE0
卒業式を間近に控えたある日。
久しぶりの学校から戻ると、玄関には男物の綺麗な革靴が置かれていた。
中から母の嬉しそうな話し声と、男の人の声がする。
いつの間に男引っ掛けたんだ…?
そう思いながらリビングに入る。
母はもの凄い笑顔で私を見た。
「なぎお帰り〜あ、この人ね、なぎを迎えに来たんだよ〜」
はぁ?っと思いながら男を見る。
私と歳がそう変わらなく見えるチャラい感じの男が、これまた物凄い笑顔で私に頭を下げた。
つられて私も小さく頭を下げる。
「あー娘さん!お母さんに似て美人ですねー!これならもう余裕でオッケーっすよ。」
母と男が楽しそうに笑った。
「…迎えって何?」
かったるく母に聞く。
「なぎのね、面接してくれるんだって〜だから今から一緒に行ってきて〜♪」
はぁ?っと声に出すと、すかさず男が会話に入ってくる。
「いや〜お母さんとは昔っからの知り合いでね、渚さん…でしたっけ?就職に失敗して困ってるって電話が来たもんだから。」
「そうそう〜電話したの〜♪」
「それならウチで働くのはどうかなぁ?って思って、ウチの店長に話してみたんっすよ。」
「そうそう〜♪そしたらね〜、じゃあ今日面接に来いって言ってくれたみたいで〜」
母と男は楽しそうに話を続ける。
「そうなんすよ。だから今から一緒に来て、面接受けてください。店長待ってますから。」
153 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:40:35.38 ID:LUqPOmqkP
なんだよ…うそだろ…
どうなっちゃうんだよ…
卒業式を間近に控えたある日。
久しぶりの学校から戻ると、玄関には男物の綺麗な革靴が置かれていた。
中から母の嬉しそうな話し声と、男の人の声がする。
いつの間に男引っ掛けたんだ…?
そう思いながらリビングに入る。
母はもの凄い笑顔で私を見た。
「なぎお帰り〜あ、この人ね、なぎを迎えに来たんだよ〜」
はぁ?っと思いながら男を見る。
私と歳がそう変わらなく見えるチャラい感じの男が、これまた物凄い笑顔で私に頭を下げた。
つられて私も小さく頭を下げる。
「あー娘さん!お母さんに似て美人ですねー!これならもう余裕でオッケーっすよ。」
母と男が楽しそうに笑った。
「…迎えって何?」
かったるく母に聞く。
「なぎのね、面接してくれるんだって〜だから今から一緒に行ってきて〜♪」
はぁ?っと声に出すと、すかさず男が会話に入ってくる。
「いや〜お母さんとは昔っからの知り合いでね、渚さん…でしたっけ?就職に失敗して困ってるって電話が来たもんだから。」
「そうそう〜電話したの〜♪」
「それならウチで働くのはどうかなぁ?って思って、ウチの店長に話してみたんっすよ。」
「そうそう〜♪そしたらね〜、じゃあ今日面接に来いって言ってくれたみたいで〜」
母と男は楽しそうに話を続ける。
「そうなんすよ。だから今から一緒に来て、面接受けてください。店長待ってますから。」
153 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:40:35.38 ID:LUqPOmqkP
なんだよ…うそだろ…
どうなっちゃうんだよ…
154 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:40:43.06 ID:+beSXCVE0
何だか碌な予感がしない。
「…嫌です。」
私はキッパリ断った。
私がそう言うと、男はさっきまでの笑顔から一変、今度は物凄く険しい顔をした。
「…困るんすよねぇ来てくれないと。わざわざ店長まで待たせてますからねぇ。」
男がギロリとした目で、私と母を交互に見る。
母は焦った様に私に叫んだ。
「さっさと行って来ればいいの!早く用意して!」
行かなきゃ何だかエライ事になりそうだ…
私は諦めて頷いた。
直ぐに部屋に戻って制服から着替える。
下に戻ると もうすでに男は消えていた。
「早く行って〜外の車で待ってるって〜」
私は母を無視して外に出ると、男が待っている車に乗った。
156 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:42:44.07 ID:+beSXCVE0
20分くらい走った車は、小さな雑居ビルの前で停まった。
「オレ、車置いてくるんで ちょっとここで待っててください。」
私は言われるがままに降りると、辺りを見渡した。
場所は地元で有名な風俗街。
何となく予想通りの光景に、私は特に驚く事も無く男を待った。
「いや〜お待たせしました。じゃ、入りましょっか。」
直ぐに戻ってきた男に促され、私はビルに入った。
ビルのタバコ臭い空気が気持ち悪い。
階段を降りてすぐの扉を開けると、男は「てんちょ〜〜〜!」と大声で叫んだ。
男の後に続きながら、部屋全体を見回す。
部屋の真ん中に小さいステージがあって、その周りにはフカフカの少し汚いソファが並べられている。
ステージ脇の小さな扉から、ガラの悪そうなヒョロリとした男が顔を出した。
「あ、店長!連れて来ましたよ〜。」
男がヘラヘラと笑いながら言うと、店長らしき男はじろりと私を見た。
そしてヘラ男を手招きで呼び寄せ、なにやら小声で話をしはじめた。
へラ男は何度か頷くと、走って私の元に戻ってきた。
157 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:44:36.80 ID:+beSXCVE0
「今からそこのステージに立って、少しだけ歌ってもらいますね〜」
私はビックリしてヘラ男に聞き返す。
「歌ですか?」
「そうっすよ〜なんでもいいんで、テキトーに歌ってください。」
私は促されるまま、ステージの上に立った。
適当に、当時流行っていた曲を歌う。
歌い始めて早々に店長は私を止めた。
「わかった。歌はもういいから、脱いで」
言われて思わず体が固まった。
「ほら、早く脱いで。下着もね!」
ヘラ男の焦った様な声がする。
あぁ…やっぱりこうゆう事か……私はなかば半笑いで服を脱いだ。
店長とヘラ男は、じーっと私を見ている。
不思議と、恥ずかしいとも嫌だとも思わなかった。
「OK、それならいけるね。もう帰っていいよ。」
店長はそういうと、またさっき出てきた部屋に戻っていった。ヘラ男が嬉しそうに近づいてくる。
「いや〜よかったね!あ、もう服は着ていいよ。家まで送るね。」
私はまた、そそくさと服を着た。
158 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:46:53.17 ID:+beSXCVE0
「渚さん、来週卒業式っすよね?終わったら連絡ください。待ってますから。」
私を家の前で降ろすと、ヘラ男はそう言った。
私は返事をせずに車のドアを閉めて、さっさと家に入った。
「おかえりなぎぃ〜♪どうだった〜〜〜??」
上機嫌で話しかけてくる母を無視して、足早に部屋に戻る。
久しぶりに部屋に鍵を掛けると、私はベッドに突っ伏した。
母がまた、わざわざ私の部屋の前まで来てギャーギャー叫んでいる。
私は鬱陶しくなって、MDのイヤホンを耳に付けた。
もうこのまま消えてなくなっちゃいたいな…
ひたすら そんな事を考えながら、目を閉じた。
159 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:49:02.55 ID:luzV68/p0
読んでて辛い。
>>1のペースで、辛くなったら休み休みでもいいので頑張ってください。
160 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:50:10.63 ID:+beSXCVE0
>>159
大丈夫です。皆さん、優しいですね。ありがとうございます。
卒業式が終わる。
当たり前のように、母は出席しなかった。
友人達は皆、泣いていた。
式が終わってすぐに少しだけ懇親会のようなものが予定されていたのだが、私はそれに出る事無く高校をあとにした。
家に戻るのが なんとなく嫌で、あてもなく街中をブラブラ歩く。
街の賑やかな喧騒が耐えられなくて、私は人気の少ない小さな公園に向かった。
その公園は地元では有名な心霊スポットで、街を一望出来る綺麗な場所なのに、普段から誰も近寄ることが無かった。
どっかりとベンチに腰を下ろす。
私は携帯の電源を落とすと、ただボーっと空を眺めた。
思えば最初は天国、最後は地獄の高校生活だった。
先生と再会出来た事、大事な友達が沢山出来た事……色々な思い出が、頭を駆け巡る。
何だか疲れちゃったな……
そう思いながらボーっとしていると、空はあっという間に暗くなっていった。
>>次のページへ続く
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