どうやら怪我や事故ではないらしいが詳細は伏せられた。
弟は自宅謹慎を食らったらしい。親とっしょに弟が帰ってきた
喧嘩かとも思ったが弟にそれらしい傷はなかったし。
喧嘩ごときじゃせいぜい自室謹慎だ。
帰ってきた弟は死刑囚のような顔をしていた。明日にでも殺されるような。
まぁ俺アスペだしと自分に言い訳して
「おい。なにがあったー?」って聞いてみた。アホである。
弟は生きてるのかも怪しいような声で
「彼女が妊娠したかもしれない。」
と呟いた。
殴った。即座にだ。弟の顔を殴った。
弟の彼女は俺のクラスメイトだ。仲が悪かったわけでも嫌いだった訳でもない。比較的趣味も会うし話してて楽しい女の子だった。
何回も殴った。弟は抵抗しなかったしただ声を漏らさないように泣いてた。
これだけだと俺有り得んくらい暴力的に見えるけど事件を抜粋して書いてるからね?
普段はそこそこ温厚だと自負があるからね??
弟は俺より先に童貞を卒業した。殺意だった。殺してやろうと思うほど憎かった。
当時俺は彼女がいなくて寂しかったんだ。
しかも妊娠?ゴム無しだと?喧嘩を売っているのかと思った。
母親は俺を止めた。その制止も虚しく殴り続けた。高校生の俺の力には到底及ばない。
馬乗りになって殴った。
やめなさい!せいや!!やめなさ..やめろ!!!」と母親もキレた
俺は母親を押しのけ
「こころぉぉぉぉー!!君がッ!泣くまでッ!殴るのを辞めない!!!!」
と殴り続けた
こころは既に泣いていたが童貞の恨みはこんなものではなかった
拳も痛くなりしばらくして殴るのをやめた。
俺は母にビンタされて弟は泣きながら部屋に戻って行った。
非童貞め。お前に人権はないと思え。必ずどん底に突き落としてやると決意した。
もうどん底かもしれないが。
結局 妊娠はしていなかった。
しかし施設の介入もあり弟と彼女は破局。
弟は自宅謹慎のまま中学校を休んだ。
いいザマだ。
兄を越えようとした罰が下ったのだ。
しかし。冬休みに入ると弟は朝早くから外出することが増えた。
俺はグレたと思ったが どうやら彼女に会いに行っていたらしい。
俺達は兄弟は県でも南に住んでいて彼女は北部に住んでいたため朝に出て昼に着くようだ。
たまたまだ。本当にたまたま施設の職員が弟と彼女のデートに出くわした。
この件に俺は一切関与していない。
弟と彼女の自宅謹慎が伸びた。
どうやらまだ想いあっているらしい。しぶとい事だ。
そんな俺に転機が訪れた。
彼女が出来た。とっても可愛い子だ。ネットで知り合ったがお互い顔も知っていたし。話しててキュンキュンした。
そして遠距離恋愛を続けた。年始お年玉が出たのでそれを使って彼女に逢いに行くことにした
弟はまだ家から出ては行けないらしい。
俺は嫌がらせを思いついた。
ルンルン気分で弟の部屋に行き
「こころ!頼む!デートのコツをおしえてくれ!!俺彼女なんていた事ないしわかんないんだ!お前だけが頼りだ」と泣きついた。
数ヶ月前ボコボコに殴ったことはとくにわだかまりにならず弟は
「今の俺にそれを聞くんか?」と呆れた調子で言った。
もちろん今の弟にこの質問をすること自体嫌がらせだがそれはまだまだ序の口だ
相変わらず呆れた口調で「で?なにがしりたいわけ?」と言った。
ハッ、非童貞め。しゃしゃりやがって 上から目線でものを言うんじゃねぇよ。
心の中で悪態をつき こういった
「例えば w w w w どうやったら見られたらあかん人にデート先でばったり会わへんか教えてくれよ w w w w w w 」と全力で嘲笑しつつ煽ってやった。会心の出来だ。自信作。これまで生きてきてこれほどの意地悪を言ったことがあっただろうか。あぁ、俺はきっと地獄へ行くことが決まったに違いない。
だが今はそんなことどうでもいい
目の前に座りゲームをしていた弟が殺意。どす黒い感情を前面に出した眼で俺を睨んでいる。最高の気分だった。
死んだ後に地獄に行こうが今この瞬間に天に召されるような感覚だった。
爽快
痛快
愉悦
恍惚
色々な感情が混じった声で俺は腹を抱えて笑った。
弟は俺を蹴った。それもまた面白おかしい。蹴るしかない。なぜなら全ては自分が悪いのだから w w w w