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幼なじみとの馴れ初め
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「昨日ね〜子供の頃の写真を見てたんだ〜」

ケーキを食べ終えると、香織はそう話した。

「ふ〜ん・・・」

「そしたらね〜俊ちゃんが水溜りで転んで、ベソかいてる写真が出てきたの〜」

「そんな事、あったっけ?」

「覚えてな〜い?3年生の時だったかな・・・ウチの庭で転んでさ〜」

「そうだっけ・・・」

「お母さんに服脱がされて、素っ裸なの!」

「嘘だ〜!」

「嘘じゃないよ!写真あるもん!」

そう言うと香織は、押し入れから古いアルバムを取り出し、俺の横に座った。

「ほら〜っ!これだよ〜」

確かに俺、素っ裸になってベソかいてる。

「ほらね。」

勝ち誇ったような香織の顔。

「こんな写真、いつまでも持ってんなよ」

「だって俊ちゃん、ベソかいて可愛いんだもん」

香織はそう言うと、その写真をまじまじと見た。



「香織ちゃんだって、面白い写真、隠してんじゃないの?」

「見たい?」
香織はそう言うと、尚も俺に近付き、肩を並べるようにして、アルバムのページをめくった。

「俊ちゃんって小さい頃、ホント小さかったのに、今は背が高くなったよね〜」

時々写ってる俺の写真を見ながら、香織はそう言った。

「今も・・・男にしては高くはないよ・・・」

「でもこの頃って、あたしより頭一個分小さいんだよ」

「だね・・・」

いつしか香織と俺の肩は、ぴったりとくっついていた。

でも俺は、あえて気付かない振りをした。気にしてしまうと、恥ずかしさに耐えれそうになかったから。

香織は気付いてたんだろうか?

肩がくっついてる事に。俺のそんな思いに。



「こっから先は、見せてあげない」

そう言って香織は、アルバムを閉じた。

「乙女の秘密があるもんね〜」

「あっ!ズルイ!」

そう言って香織の方を見た時、すぐ側に香織の顔があって驚いた。

慌てて目を伏せた俺。

「ねぇ俊ちゃん・・・」

香織の呼び掛けに、再び顔を上げた俺。

目の前に香織の顔。

「あたしの事・・・キライかな?」

「キライな訳・・・ないじゃん・・・」

「ホントに?」

「あぁ・・・」

「じゃ何であの時、あんなに大声出して否定したかなぁ?」

「だって・・・俺なんかと・・・香織ちゃんが嫌かと・・・」

目を伏せて呟いた俺の唇に、温かくて柔らかい感触が急に。

「あたしの・・・ファーストキスだかんね」

目の前の香織が笑った。勿論俺もそうだったけど。

「ケーキの・・・味がしたよ」

そう言って笑う香織。

「俊ちゃん・・・ケーキの味、分かった?」

「いや・・・」

「え〜っ!?マジで?」

「うん・・・」

「じゃ俊ちゃん・・・今度は俊ちゃんが・・・ねっ?」

目を閉じた香織の唇に、俺はそっと唇を重ねた。

確かに香織の言うように、イチゴのケーキの味がした。

でもイチゴのケーキよりも、今この瞬間、香織と唇を重ねあってる事のほうが、俺にとっては嬉しい事だった。

「2回もしちゃったね」

そう言って笑う香織。

「あぁ・・・」

「俊ちゃん、何であたしの顔見ないの?」

「だって・・・」
「何よ?」

「恥ずかしいのと・・・」

「何?」

「胸が・・・見えてる・・・」

前屈みになった香織の襟元から、しっかりと谷間が見えていた為、俺は香織の方を見れないでいた。

「えっちぃ〜」香織はそう言い、一瞬だけ体勢を変えたが、また前屈みに戻った。

「ホントは見たいくせに」

きっと香織、俺を見て笑ってる。だから尚更、俺は香織を見れないでいた。


左手をふいに、香織に取られた。

香織は両手で俺の手を掴むと、それを自分の胸に持っていった。

初めて触れる、柔らかい感触。

「あたしも・・・恥ずかしいよ・・・」

その言葉に香織を見ると、香織も赤い顔をしていた。

「直接・・・触っていいかな?」

コクリと頷く香織。


だが襟元からは手が入らず、俺はパジャマのボタンに手をかけた。

「全部は・・・ダメ。恥ずかしいから・・・」

上2つだけボタンを外し、俺はそこから手を入れた。

もっともっと柔らかい感触。

香織は時々、「アッ・・・」とか「ウッ・・・」とか声を洩らした。

俺は香織に、3度目のキスをした。

香織は俺の頭を抱いてきた。

俺も胸から手を外すと、香織の腰を抱いた。

この日、一番長いキスだった。


「Bまでしちゃったね」

香織の部屋を出る俺の耳元で、香織がそう囁いた。

「あぁ」

俺は短く答えた。

玄関まで見送ってくれた香織が、

「明日・・・一緒に行こうね」と言った。

「それから・・・」

「なに?」

「香織ちゃんよりも・・・香織がいいな」

香織はそう言うと、赤い顔をして舌を出した。



1学期が終わり、香織は高校を退学した。

陸上を辞めた為に特待生ではなくなり、学費も高く距離も離れた学校ではなく、近くて安い高校に通いなおす為だ。

始業式の日、俺の高校に転校生が入った。

勿論香織だ。

結構可愛い香織は たちまち、数名の男にアタックされたらしい。

でも香織は「彼氏います」と、全て断った。

その彼氏が俺だなんて。

この事実は程なく、我が校の「7不思議」に数えられる事になった。


>>次のページへ続く
 
カテゴリー:男女・恋愛  |  タグ:青春, 胸キュン,
 


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