水遣り
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「・・・・・」
「佐伯と居る時、お前はいつも電源を切っているようだな」
「あっ、あれは部長がお客と話している時は電源を切っておくようにと」
とっさにうまい嘘を思いついたものです。
「腕を組むのも佐伯、電源を切るのも佐伯。あいつの言う事はなんでも聞けるんだな、俺の言う事は何も聞けなくてもな」
「そんな事ありません」
「俺が死んでも、明子が死んでも お前には連絡が出来ない。佐伯に抱かれる方がお前には大事なんだ」
「抱かれてなんかいません」
明子の名前が効いたのでしょうか、妻は涙ぐみます。
「貴方、昨日はどうして大阪へ?」
「解りきった事だ、お前たちが乳繰り合っているところを見たくってな」
「そんな事はしていません」
その時、家の電話が鳴ります。
--------------------
まだ7時前です、余程緊急でない限りこんな時間に家の電話は鳴りません。
「お前が出てくれ」
妻が電話に出ます。佐伯からです。
「貴方に替わって欲しいって」
「どうして俺が出なけりゃならない」
「お願いします」
仕方なく出る事にします。
「宮下だが」
「ご主人、昨日は申し訳ない。大人気なかった。つい奥さんに無理言ってしまった」
「そうか」
それだけ言って電話を切ります。二人で打ち合わせたのが見え見えです。
「貴方、済みませんでした」
「まぁそう言う事なら仕方がないか」
妻は一応安心したようです。
茶番は此処までです。そろそろ本題に入らなければいけません。
「ところで、お前に見せたい物がある」
2階の仕事場から報告書を持ってきます。
「これだ」
報告書を妻の目の前のテーブルに置きます。
「・・・・・」
表紙の興信所の名前が目に入ったのでしょうか、妻の顔は青ざめています。
中身を見ようともしません。全てを悟ったのでしょう。
「これは違います」
「何が違う。まだ中身を見ていない。見たらどうだ」
報告書のページをめくっています。
先週の月曜日から土曜日までの妻と佐伯の記録が写真と共にあります。
妻は読んではいません、その目は空ろです。
「これは先週一週間だけのものだ。お前たちは相当前から続いていたな」
妻は返事が出来ません。
バッグを探り2枚のコピーされた写真を差し出します。
「何だ、これは」
「その写真が私を、私を」
その後は言葉になりません。
私はその写真を見つめます。
「僕と松下さんがホテルに食事に行った時の写真だな。これがどうした」
「時間が」
「時間が?」
写真に印字された時間を見ます。
入って行く時間は11:32.出てくる時間が14:23。
松下さんとは何度かホテルで昼食を取っています。
勿論、3時間も掛かる訳はありません。
記憶を辿ります。直ぐには思い出せません。
「3時間の間、何をされていたのですか」
「3時間も居る訳がない」
「松下さんがあんな嬉しそうな顔をして」
ホテルを出る時の写真、確かに松下さんは嬉しそうな顔をしています。
妻が何を思っているのか、この時解りました。
仕事部屋に行き ノートパソコンを開けます。
会社を始めてからのスケジュールは全て記録してあります。
写真の日付は7月11日 7月10日から7月13日まで台湾、10日、11日12日は台湾で泊まっています。
7月10日を見ます。
松下さんとホテルで昼飯を取っています。
松下さんが来てくれたのが その前の週、来てくれた御礼にと昼食に誘ったのです。
7月10日は台湾に発つ日、乗ったフライトはEG205、成田16:30発です。
市内を13時には出なければいけません。
ホテルからは、遅くとも13時前には出ている筈です。
ノートパソコンを持ってリビングに降ります。
「洋子、いいか。よく見ろ。11日は僕は台湾に居た」
えっと言う表情で私を見つめ返します。
「確かに松下さんとは食事をしている。但し7月10日だ。
7月10日は台湾に発つ日だ。
フライトは16:30、1時前にはホテルを出ている」
「・・・・・」
「しかも、11日に君は台湾のホテルに電話をくれている。忘れたか?めったに電話をくれない君が」
佐伯は時刻を改竄する時、日付けを11日にしてしまったのです。
妻は思い出します。
声を聞きたくなったからと、電話をしたのです。
佐伯に写真を見せられた時、時刻だけを見ていました。
どうして日付を確認しなかったのか。
しかし妻はまだ理解していません、何故こんな写真があるのかを。
「つまり佐伯が偽造したと言う事だ。ばれたら今度は泣き落としか。佐伯には余程可愛がってもらっているんだな、自分が電話した事さえ忘れているんだ」
暫く妻を眺めています。泣き伏している背中が震えています。
『どうしてこんな事になったんだ。洋子は どうしたんだ。俺たちの20年間がたったの3、4ヶ月の事で終わってしまうのか』
しかし、感傷に浸っている暇はありません。更に追い討ちをかけます。
「この写真は預かっておく、証拠品だからな。誰から渡された?」
「・・・・・」
「馬鹿な質問だったな。佐伯しか居ないからな」
「それから携帯も預かっておく」
妻は自分の携帯を差し出します。
「違う、これではない。佐伯から渡された方だ」
「そんなものもらっていません」
「いつも10時頃佐伯と連絡していた携帯だ。それと・・」
さすがに先々週の金曜日の事は言えません。
妻は頑なになっています。とうとう携帯を出しません。
「まあいい、お前たちも もう使うことも無いだろう」
「それから、これは佐伯のポケットから落ちたものだ」
ピンク色の小さな2つの箱をテーブルに置きます。
「これが何だか解るよな」
「解りません」
「お前たちが何時も使っていた物だろうが、飲む媚薬と塗る媚薬、しかも非合法。全くお前たちは変態か?」
「知りません、私そんな物知りません」
「知らないだと。塗られても気がつかないのか、お前は」
知っていたと言えば、それを材料にまた私は責めるでしょう。
知らないと聞けば、解らない程お前は気をやっていたのかと、また責めるでしょう。
--------------------
妻の泣き声は更に大きくなります。しゃくりあげるように泣いています。
その背中を見ていると怒りとは別の感情が出てきます。
この4ヶ月以上、妻の裸を見ていません。むらむらと欲情が湧いてきます。
「洋子、そこで裸になってみろ。服を脱げ」
「出来ません、許してください」
「夫の俺には出来ないのか」
「違います。こんな朝から出来ません」
出来ないのは解っています。朝でなくとも、こんな状況で出来る訳はありません。しかし、私は止める事が出来ません。
「朝だから出来ない?馬鹿かお前は。佐伯とは昼日中ラブホテルにしけこんでるだろ」
妻は脱ぎません。無理矢理脱がせにかかります。
先ずスーツの上着を取るとその下は薄いピンクのブラウスです。ブラウスを剥がします。妻は両手で胸を隠します。
「腕をどかせるんだ」
力ずくで腕を抉じ開けます。
妻は抵抗を止め両手で顔を覆います。ブラが現れます。
乳房の下を申し訳なさそうに細い帯状の物で支えているだけのブラ、乳首部分にカバーはありません。
「お前は、佐伯に弄ってもらい易いように こんな物着けてるのか」
妻の乳首は以前より若干黒ずんでいるようです。
スカートを脱がせます。
妻は足をばたつかせ激しく抵抗しますが男の力には敵いません。
スカートを脱がせると、ガーターとストッキングその下にはT-バックが現れます。
「なんと言うものを履いているだ、お前は」
この変わり様に私の言葉はありません。
「立ってみろ」
「立てません」
妻は赤子のように丸まって、横になっています。貴方には何も見せたくないと体で言っているようです。
その態度が気に入りません。妻の頬にビンタをはります。妻に手をあげたのは結婚以来始めての事です。
「いいから立て。立てって言ってるんだ」
妻はよろよろと立ち上がります。両手は顔を覆ったままです。
正面から妻を見ます。均整のとれた体に薄紫色のブラとT-バック、その上には黒のガーターとストッキング。
ブラから飛び出た乳首、申し訳程度の布切れで覆われた女陰、その布切れは女陰の割れ目を浮かべています。
「後を向け」
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