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水遣り
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「私の為にそんなに朝早く起きたのですか?」

「可愛い洋子の為だ。もう裸か?」


「いいえ、まだです」

「駄目だな、そんな事では。今日ご亭主は居ないんだろう?ご亭主が居ない時は何時も裸だ。解ったな」

「はい、申し訳ありません」


「小皿と昨日渡したお土産を持ってきなさい」

妻はその意味が良く理解できません。キッチンに降り小皿を持ち寝室に上がります。

バッグから紙箱を出し、全裸になるのです。


「はい、持って来ました」

「瓶の中身を皿にあけなさい」


ガラス瓶を取り出しまじまじと見つめます。粘度のある白い液体で満たされています。

蓋を取ります。妻の情欲を刺激する匂いです。

匂いを鼻一杯に吸い込みます。妻の情欲は一気に高まります。

「何か解ったか?」

「はい」

「舐めたいか? そうなら言ってごらん」


佐伯は妻から言わせたいのです。

「あぁ、貴方の精液を頂きたいです。舐めさせて下さい」

「舐めていいぞ。四つん這いになってな。少しだけだぞ、後でも使うから」
妻は両肘を床につき、尻を高く掲げ、犬のように小皿にあるものを舐めます。

全て舐め尽くしたい気持ちを押さえながら舐めるのです。

「全部舐めるんじゃないぞ。それくらいにしておけ」

妻は不満そうに鼻をならします。匂いが散るのが惜しいのでしょうか、精一杯匂いを吸い込みます。


妻は佐伯の次の指示を待っています。

佐伯の次の指示は妻の乳房に対してです。

「指で掬って、オッパイに塗れ。四つん這いのままでな」

不自由な姿勢です。不自由な姿勢がまた快感を呼ぶのです。

顔を横に向け床に付けなければ その姿勢を保てません。

妻の鼻先には小皿があります。匂いを嗅ぎながら、精液の付いた指先で乳首を擦ります。

妻は直ぐ達します。


佐伯の次の指示です。

「逝ったようだな、次はオマンコだ」

--------------------

8時50分、私は家の前でタクシーを降ります。

リビングの明かりが点いています。妻は居るようです。

二階を見上げますと、寝室の雨戸は閉まっていますが、その隙間から仄かな明かりが漏れています。普段は消しているいる筈です。

玄関ドアーの鍵が掛かっています。夜も遅いし当然の事でしょう。

玄関ドアーを開け中に入ります。


妻の通勤靴が玄関にあります。きちんと揃えられています。

いつもは、ここでただ今と声を掛けるのですが、今日は違います、無言です。


リビングのドアーを開けます。

ここに妻は居ません。

キッチン、バスの灯りは消えています。

もし居るとしたら二階しかありません。そっと階段に忍び寄ります。


今の借家は、表通りから かなり離れ 外からの音はありません。

妻の声らしきものが聞こえてきます。階下からでは内容まで解りません。携帯で誰かと話しているにしては小さな声です。

そろりそろと階段を上がります。


階段と二階の階段ホールの明かりは消えています。

後2,3段で二階というところで一旦止まります。

寝室の入り口は階段の直ぐ左にあります。入り口は引き戸です。

そろそろと引き戸を開けにかかります。


半分くらい開けても、妻は行為に夢中なのか気がついていません。

ここから覗けば寝室は丸見えです。寝室には仄かな明かりが点いています。

最初解らなかったほの白く蠢いているものが、妻の裸体だという事が解ります。

ここからだと声も はっきり聞こえます。


妻は四つん這いです。

尻を斜めにこちらに向け、横にした顔もこちらに向け床につけています。


「はい」

何やら携帯で話しています。
指示を受けているのでしょうか 妻は顔先にある黒い小皿に盛られた液体を指で掬っています。

そして高く掲げた女陰に擦りつけています。膣を捏ね回しています。

私との行為では決して許す事のなかったクリトリスをも擦っています。

それがクリトリスだと はっきり認識できた訳ではありません。妻の指のその位置からそうではないかと思うのです。


私は妻に声を掛ける事が出来ません。

こんな時、妻に声を掛ければどうなるか、妻は自分の醜態を恥じ入り 自殺しかねません。そんな女なのです。そんな風に信じていました。


「顔ですか」

携帯がテレビ電話になっているのでしょう。妻の痴態を見ているのです。

逝く顔が見たいと言われたのでしょうか、自分の顔が良く映るよう携帯の位置を変えます。


妻は達したようです。

「あぁ、逝きます、貴方、俊夫様」

女陰に添えた手を激しく動かし、舌は小皿の白い液体を舐めとっています。舌から小皿に白い糸が引いています。

この匂いと相まって、この液体が何であるか私は理解しました。



そっと階段を降ります。

玄関に向かい外に出ます。

『今日は家に帰れない。妻の顔を見る事が出来ない』

自分が悪い事をした訳ではありません。しかし、妻に何を喋って良いのか解りません。

今更、戻って問い詰める訳にもいきません。問い詰めるのなら、見た時 その現場でです。

自分にも黙って帰ってきた負い目がありました。

妻の気持ちも考えてしまいました。

優柔不断な自分が嫌になってしまいます。

これが妻と男が絡んでいたのなら、その場で飛び込み男をけり倒していたでしょう。

--------------------

何処をどう歩いたか覚えていません。

結局、向かった先は駅前のビジネスホテルです。

気力も何もありません。軽くシャワーを浴び、ベッドに寝転びます。

時間の早いせいもあるでしょうが眠れません。頭の中は真っ白です、何もありません。

浮かんでくるのは先ほどの妻の裸体、痴態ばかりです。

精液を舐めた妻。それも いつの物かは、知りませんが男から渡されたものに違いないものを皿から犬のように舐めた妻。

電話で男に指示され、女陰をクリトリスを男の精液塗れの指で擦り回した妻。

逝かせて下さい、舐めさせて下さいと男に懇願した妻。

あれは本当に私の妻だったのだろうか。もう一度帰って確認したい衝動に駆られます。


私と妻の20数年は何だったのだろう。ここ2,3ヶ月で妻のこの変貌振りは何なのだろう。

犬にも劣る妻の行為を見てしまった。何故、そこまで妻は落ちてしまったのか?

先程見た妻の痴態が振り払っても振り払っても出てきます。男との絡みを見た方が まだ楽だったかも知れません。自然と涙が出てきます。


どれ程泣いたでしょうか。我に返ると床に涙の水溜りが出来ていました。

これだけ変わった妻は もう私のもとへは、帰って来ないかも知れない。

否、これ程の痴態を見てしまった私は、例え妻が戻ってきても許す事ができるでしょうか。

どうしてもっと早く気がつかなかったのだろう。暫く終わってしまった事を悔やんでいました。


考えて居るうちに、嘆きが怒りに変わります。妻をこんな風にした男が憎い。


>>次のページへ続く
 
 


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