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水遣り
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豪華なマンションです。この近郊一番と言って良いでしょう。金回りの良いのが解ります。

玄関を開けた時から佐伯の態度は卑屈です。

「大会社の常務ともなると、さすがいい所に住んでるんだな」

「ご主人、本当に申し訳ない。ほんの出来心で、洋子と、いや奥さんと気が合ってしまって」

「何が出来心だ、何が気が合っただ。人の女房を名前で呼ぶな」

「すまん。しかしあれが初めてだったんだ。月曜日が初めてだったんだ」

佐伯は足掻きます。


「違うな。妻から聞いた。初めて大阪に出張した時から続いていたんだな」

「いや、違う」

「いい加減に認めたらどうなんだ」

「・・・・・」

「どうする。民事告訴してもいいぞ。弁護士を立てるか」

「慰謝料を払ってもいい」

「払ってもいいとはどう言う事なんだ。俺は慰謝料で済ませる積もりは無い」


この時、佐伯は身辺調査の事は知りません。専務の妹との婚姻が そのまま進むものだと思っているのです。

出来るだけ穏便に済ませたい、慰謝料で済ませたいと思っているのです。


「妻は今入院している。お前のお陰でな。

酷い体にしてくれたな。頭も体もぼろぼろだ。

今は眠りっぱなしだ。

告訴する時は医者の診断書も添える。
覚悟しておくんだな」


こんな事で民事告訴出切るかどうかは知りません。

出来たとしても妻の診断書まで世間に晒す訳にはいきません。

妻を そこまでは引きずり出せません。


私が強く出ると佐伯の態度が変わります。


「洋子は食事に誘っただけで、俺の唾を飲んだぞ。よほど飢えるていたんだな」

「うるさい。かたをつけてやる」


『佐伯には言いたい事と言った。何れ片がつくだろう。問題は妻だ』

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妻の入院中には話せません。退院してからにしようと思います。

妻も もう目が覚めた頃でしょう。妻に会ってみる事にします。

担当医に呼び止められます。

「宮下さん、心療内科はどうされますか?」

「入院の必要があるのですか?」

「今の状態を含めて後3日必要です。その後は通院になります」

「水曜日の退院と言う事ですね?」

「そうです」

「お願いします」

「奥さんは起きられています。会われますか?」

「会っていきます。何号室ですか」

「案内します」


随分妻を見ていない気がしますが、入院してからまだ2日しか経っていません。

顔が青白く、若干頬もこけたようです。上掛けに覆われた体も細くなったようです。

「あ、貴方。御免なさい、許して下さい」

只、泣くばかりです。後は言葉になりません。

言いたい事、聞きたい事が山ほどあります。死ぬほど妻を言葉で責めてやりたいのです。それが出来ないのです。

じっと妻を見つめます。

「飯は食べられるのか?」

「はい、食べています」

相手が病人だと思うと こんな言葉しか出てきません。


『早く元気になれ。俺に何か反論しろ、言い訳しろ。佐伯の方が良かったと言え』

心の中で毒づいています。妻が反論すれば私は言い返せるのです。言いたい事が言えるのです。

妻を眺めているだけではしょうがありません。

「これで帰る。来れれば又来る」


背中に妻の痛いほどの視線を感じながら帰ります。

--------------------

日曜日は何ほどの事もなく過ぎます。

月曜日、出社しますと松下さんが既にお茶の用意をしています。

「社長、お早う御座います。はい朝御飯」


私の目を真っ直ぐにみて言うのです。私の方が目を逸らしてしまいます。
味噌汁とお握りを頂きます。


「ここに今日の予定があります。書類は纏めておきました」

小さな会社です。予定を作るほどの事もありません。書類も自分で纏められます。

「僕の仕事を取らないで欲しい。する事がなくなる」

「社長は人と会うと言う大事な仕事があります。そっちにエネルギーを使って下さい」


その通りです。特別な技術も無く会社を切り回すには人と人との繋がりしかないのです。

信頼関係を構築するには膨大な時間が必要です。しかし、壊れるのは一瞬です。

小さな隙間から あっと言う間に崩れてしまいます。夫婦のそれもしかりです。

--------------------

火曜日の夕刻、所長から電話があります。

「今日午前中に報告書を依頼人に渡した。控えを君にも渡そう」

5時になり所長の所に伺います。


「取引関係の方は ここで見るだけにして欲しい。君に了解を貰わないで悪かったが、奥さんの事も報告書に入っている。これだけを外す訳にはいかなった」

「解っています。問題ありません」


「佐伯を会社として どうするか正式処分がでるまで、まだ時間が掛かるだろう。

特に取引関係は会社としての裏付け調査も必要な事だしな。

それまでは佐伯を今まで通り出社させるようだ」


私にも2冊の控えをくれます。

身辺調査には興味はありません。もう一冊の取引関係の報告書を見ます。

表紙に何々殿と依頼人の名前が書かれています。

やはりそうです、佐伯の会社です。社長である叔父が依頼したのです。

佐伯は長く関西地区の購買総責任者を勤めています。

業者から長年に渡り金銭の供与があったのです、それも大阪センターの建設が決まってから その金額は飛躍的に伸びています。

「多少の金額なら会社も目を瞑ったのだろう。この金額は目を瞑れる金額では無い。

あの社長は温情派だ。刑事告訴はしまい。またそれは影響が大きすぎる。

最大で佐伯の馘首。しかし、それも無いだろう。

どこか佐伯の息の掛かっていない関連会社に職を見つける事になるだろう。

勿論、専務の妹との結婚話はなくなるな」


「しかし、そんな調査が民間で良く出来たものだ」


「私は検察上がりだ。悪事を叩く時にはコネが使える。彼らも自分達の組織だけでは拾いきれない情報もある。

民間に協力者を欲しがっている。私がその一人と言うわけだ。

彼らが刑事事件になると思えば、彼らがやるだろうし、そうでなければ情報だけくれる。

今回は情報だけくれたと言う訳だ。

その後、刑事告訴するかどうかは会社の判断だ」


「そうですか、それにしても会社内での佐伯の処遇をどうして山岡さんは そんなに詳しく?」


「あそこの社長は大学の後輩だ。今も酒飲み友達だ」


「そうだったのですか」


これでは私の出る幕はありません。私だけの材料では精々慰謝料が関の山でしょう。

悔しいですが、反面 胸のつかえも降りるのです。


>>次のページへ続く
 
 


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