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悪戯
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断られた事に怒りを感じ、私は隣の部屋に行って更に追い討ちを掛けます。
やはり奈美さんに会いたい。私の事が信用出来ずに心配なら、人の多いファミレスでもいいから一目会いたい。例え5分でもいい。
同じ県内に住んでいると言っても、この機会を逃せばそうそう会える機会などありません。
本当にやめて下さい。
主人に黙っては会えないの。
分かって。
部屋を覗くと、妻は携帯を握り締めたまま考え込んでいます。
私はやっている事と想いが ばらばらで、私が妻を苦しめていながら妻が可哀想に思えて後ろから抱き締めました。
「やめて!本当に疲れているの!」
「ごめん」
「いえ・・・・・・私こそ大きな声を出してしまって・・・・」
そして翌日、妻からメールが入って来ました。
会いましょう。
その代わり、これが最初で最後ですよ。
それからの妻は、食事の用意をしながら鼻歌を口ずさんだりして明るさを取り戻したのですが、私と二人になると後ろめたい気持ちからか、目も合わせずに黙り込んでしまいます。
そしていよいよ約束の前日になり、私よりも遅く返って来た妻は美容院に寄ってきたのか髪が綺麗にセットされていて、手には大きな紙袋を下げています。
「何か買ってきたのか?」
「感じのいいスカートがあったから」
妻は言い辛そうに話を続けます。
「明日は送別会で遅くなります」
「誰か辞めるのか?」
「ううん。臨時で来ていた先生」
妻はメールで、30分だけなら会っても良いとメールしてきていました。
しかし、私には遅くなると言い、新しいスカートまで買って来たのです。
気になった私は、妻がお風呂に入り、いつもよりも入念に身体を洗っている隙に持っていた紙袋を覗くと、そこにはスカートの他に違うショップの紙袋が入っていたのでその紙袋も開けて覗くと、中には上下お揃いの新しい下着が入っています。
しかし、それは特別派手な物ではなく、北村とどうにかなろうという考えは無いようです。
これも女心なのかも知れませんが、私の嫉妬は最高潮を迎えていました。
「送別会は何処でするんだ?校長や教頭も出席するのか?会費はいくらだ?」
私は矢継ぎ早に質問をぶつけ、妻は言い難そうに嘘を吐き続けます。
妻が私に嘘を吐いている。必死に嘘を吐いて男と会おうとしている。
それも別れた彼に似た北村と。
当日、妻は早く起きて、いつもの倍の時間を掛けて化粧をし、買ってきた普段よりも随分短いスカートを穿いて出勤しました。
随分短いと言っても膝上10センチ程度のスカートなのですが、最近の妻がこのようなミニスカートを穿いているのを見た事がありません。
ましてや学校に行く時は、膝よりも上のスカートを穿いて行った事はないのです。
妻は北村と会うのを凄く楽しみにしていて、初めてのデートに向かう少女のようで少し可哀想な気もしましたが、流石に相手は私なので会わせてあげる事は出来ません。
奈美さんごめんなさい。
今朝から何となく気分が優れなかったのですが、そちらに向かう電車の中で具合が悪くなってしまって、会議にも出席出来ずに途中で引き返して来てしまいました。
私から無理なお願いをしておいてすみません。
詳しい事はまたメールします。
本当にごめんなさい。
別に心待ちにしていた訳ではないので、お気遣いご無用です。
お体を大切にして下さい。
妻の返事は冷たいものでした。
わざわざ楽しみにしていなかったと書かれてあった事で、逆に妻の落胆振りが見て取れます。
美容院に行き、新しい下着まで買ってお洒落して出掛けたのですから当然なのでしょう。
メールでは あのような事を書いてきていても、妻は時間が許す限り一緒にいたいと思っていたのが分かります。
もしも北村が宿泊先のホテルの部屋で話そうと言ったとしたら、妻はどのような反応を示したのでしょう。
怒って帰った。
ホテルの部屋で話すのは断わったが、その代わり違う場所で話をしようと言った。
話をするだけだと念を押して、ホテルの部屋について行った。
妻は私への罪悪感など忘れるほど、北村に会える事を楽しみにしていたのです。
ホテルの部屋で話そうと言われれば、今までの私なら間違いなく妻は怒って帰ると思ったでしょうが、新品の下着を穿いて行った事などを考えると自信が揺らぎます。
何より例え話すだけにしても、妻が私に嘘を吐いて男と会う事自体、今までの妻からは信じられない行為なのです。
私は妻が早く帰っていた事について どのような言い訳をするか楽しみで、いつもよりも早い時間に帰りましたが、北村と会えなくなって帰って来ていると思われた妻はまだ帰って来ていませんでした。
--------------------
送別会がなくなった理由が思い浮かばずに、どこかで時間を潰しているのかとも思いましたが一向に妻は帰っては来ずに、11時になっても帰って来ません。
妻は昔の彼の事を思い出し、その事を振り払う為に北村と会う気になったのかも知れません。
「明日は送別会で遅くなります」
「誰か辞めるのか?」
「ううん。臨時で来ていた先生」
妻はメールで、30分だけなら会っても良いとメールしてきていました。
しかし、私には遅くなると言い、新しいスカートまで買って来たのです。
気になった私は、妻がお風呂に入り、いつもよりも入念に身体を洗っている隙に持っていた紙袋を覗くと、そこにはスカートの他に違うショップの紙袋が入っていたのでその紙袋も開けて覗くと、中には上下お揃いの新しい下着が入っています。
しかし、それは特別派手な物ではなく、北村とどうにかなろうという考えは無いようです。
これも女心なのかも知れませんが、私の嫉妬は最高潮を迎えていました。
「送別会は何処でするんだ?校長や教頭も出席するのか?会費はいくらだ?」
私は矢継ぎ早に質問をぶつけ、妻は言い難そうに嘘を吐き続けます。
妻が私に嘘を吐いている。必死に嘘を吐いて男と会おうとしている。
それも別れた彼に似た北村と。
当日、妻は早く起きて、いつもの倍の時間を掛けて化粧をし、買ってきた普段よりも随分短いスカートを穿いて出勤しました。
随分短いと言っても膝上10センチ程度のスカートなのですが、最近の妻がこのようなミニスカートを穿いているのを見た事がありません。
ましてや学校に行く時は、膝よりも上のスカートを穿いて行った事はないのです。
妻は北村と会うのを凄く楽しみにしていて、初めてのデートに向かう少女のようで少し可哀想な気もしましたが、流石に相手は私なので会わせてあげる事は出来ません。
奈美さんごめんなさい。
今朝から何となく気分が優れなかったのですが、そちらに向かう電車の中で具合が悪くなってしまって、会議にも出席出来ずに途中で引き返して来てしまいました。
私から無理なお願いをしておいてすみません。
詳しい事はまたメールします。
本当にごめんなさい。
別に心待ちにしていた訳ではないので、お気遣いご無用です。
お体を大切にして下さい。
妻の返事は冷たいものでした。
わざわざ楽しみにしていなかったと書かれてあった事で、逆に妻の落胆振りが見て取れます。
美容院に行き、新しい下着まで買ってお洒落して出掛けたのですから当然なのでしょう。
メールでは あのような事を書いてきていても、妻は時間が許す限り一緒にいたいと思っていたのが分かります。
もしも北村が宿泊先のホテルの部屋で話そうと言ったとしたら、妻はどのような反応を示したのでしょう。
怒って帰った。
ホテルの部屋で話すのは断わったが、その代わり違う場所で話をしようと言った。
話をするだけだと念を押して、ホテルの部屋について行った。
妻は私への罪悪感など忘れるほど、北村に会える事を楽しみにしていたのです。
ホテルの部屋で話そうと言われれば、今までの私なら間違いなく妻は怒って帰ると思ったでしょうが、新品の下着を穿いて行った事などを考えると自信が揺らぎます。
何より例え話すだけにしても、妻が私に嘘を吐いて男と会う事自体、今までの妻からは信じられない行為なのです。
私は妻が早く帰っていた事について どのような言い訳をするか楽しみで、いつもよりも早い時間に帰りましたが、北村と会えなくなって帰って来ていると思われた妻はまだ帰って来ていませんでした。
--------------------
送別会がなくなった理由が思い浮かばずに、どこかで時間を潰しているのかとも思いましたが一向に妻は帰っては来ずに、11時になっても帰って来ません。
妻は昔の彼の事を思い出し、その事を振り払う為に北村と会う気になったのかも知れません。
しかし、その北村は彼に似ている。
そうなると妻が一番会いたかったのは別れた彼なのでしょう。
不安になった私が電話を掛けてみると妻は出ずに、10分後に妻の方から掛け直してきました。
「ごめんなさい。盛り上がってしまっていて聞こえなかったの」
「その割に静かだが何処にいる!」
「喧しくて聞こえないから外に出て来ました。もうすぐ帰りますから」
妻が帰ってきたのは、その後一時間も経ってからでした。
「名残惜しくて二次会まで付き合ってしまって遅くなりました。ごめんなさい」
「明日は休みだから遅くなるのは別に構わないが、それにしても遅過ぎないか?」
私が騙した事なので、嘘を吐くなとは言えません。
「ごめんなさい」
妻の顔を見ていると少し落ち着いてきて、やはり何処かで時間を潰していたのだと思う事にしましたが、
この日を境に妻の帰宅が遅くなる日が度々あり、北村に成り済ました私のメールへの返信も激減しました。
「最近帰りの遅い日が増えたな」
「色々問題が起きてしまって、懐疑や家庭訪問をしたりしていて遅くなってしまうの」
しかし妻は私と目を合わさず、嘘を吐いている事は明らかです。
最近メールをくれないけれど何かあったの?
学校の事で何かあったのなら、私で良ければ相談に乗るよ。
いいえ、仕事の事では無いから。
教育の事なら北村に相談したでしょうが、妻からの返信は一行だけで、やはり生徒の事で遅くなっているようではありませんでした。
私は何とか聞きだそうと一日に何度もメールしましたが、妻は打ち明けて来ないどころか、ほとんど返信もしてきません。
妻は私に隠れて北村とメール交換している事に罪悪感を持ち、このような事は避けようとしているのか。
いいえ、どちらかと言うと北村に興味が無くなったように感じます。
嫌いで別れた訳ではない彼に似た、北村よりも惹かれる存在が出来たのだとすれば、それは彼本人しかありません。
私は その様な事を心配していましたが、まだ妻に限ってという気持ちの方が大きくて、妻と話し合ったり動いたりする事はありませんでした。
何よりも話し合うには、私がこのような卑劣な事をしていた事も話さなければなりません。
そうこうしている内に、妻は毎週のように決まった曜日に遅く帰るようになり、休みの日も色々な理由をつけて出掛ける事が増えていきます。
今までありがとう。
これを最後にさせて頂きます。
さようなら。
このメールを境に一切返事をして来ないようになったのですが、妻は相変わらず隠れてメールをしているようです。
そして終に、私は妻の携帯を覗いてしまいました。
--------------------
疑いながらも、まさかとは思っていましたが、そこには別れた彼と会っている事が分かる内容や、彼や妻の想いが沢山書き込まれていました。
>>次のページへ続く
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