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突然の海外赴任
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妻と話が食い違わないように、よく思い出して答えろ。
ただ、気を付けて話した方がいいぞ。
俺にとって何よりも大事な家庭を壊された以上、もう何も怖い物は無い。」
「・・・・・・・・はい。」
「女房とはいつからの関係だ?」
「奥様にして頂いたのが、こちらに赴任して来て3ヶ月ほど経った頃で、結ばれたのは その一ケ月ほど後かと。」
して頂いたというのは何をして貰ったのか聞きたいのですが、妻が全て話したと言った手前聞けません。
「結ばれた?お互い既婚のくせに、独身の恋人同士の様な事を言うな。
お前達のしていた事を美化するな。不法行為、不貞を犯していたのだろ。」
「すみません。言葉を間違えました。」
「まあいい、最初どちらから誘った?」
「私からです。」
妻が私を裏切った事に変わりは無いのに、この事は私の気持ちを少し楽にしました。
どちらが誘おうと、どちらの非が大きかろうと、妻が私を裏切って、私だけにしか開かない筈の身体を開き、私だけにしか見せない筈の顔を見せていたという事実は変わりません。
いいえ、私にも見せた事の無い顔を、この男には見せていたのかも知れません。
それでも、どちらが誘ったかという小さな事にも拘ってしまいます。
結局、私は、まだ妻に未練が有るのです。
「あいつはおまえのアパートに何回ぐらい泊まった?」
「月に1回ぐらいかと・・・・・・・。いえ、2回の月も有ったかも知れません。」
「旅行には何回行った。」
「すみません。2回行かせてもらいました。」
「それら全ての時に女房を抱いたのだな?」
「はい、申し訳無かったです。許して下さい。」
「謝るな。謝ったところで許す筈がないだろ?他の日も残業だと嘘を言って帰りが遅かった時は、女房を抱いていたのだな?」
「毎回では有りません。食事だけの時も有りましたし、私の帰りが予定よりも遅くなってしまい、ただ待たせてしまっただけで、電話して帰ってもらった事も有りましたから。」
「そんな細かな事を言うな。そんなのは数回だけだろ?毎回の様に抱いたのだろ?」
「はい、すみません。そのとおりです。」
自分で訊いておきながら吐き気を覚えてきますが、訊かずにはいられないのです。
本当は、どの様なセックスをしたのか気に成っていましたが、その事を訊くと、稲垣が腹の中で私を小さな男だと馬鹿にしないか気になり、それを訊く事はプライドが許しませんでした。
「女房を抱いたのは、旅行以外は おまえのアパートでだけか?」
「いいえ、私の車でラブホテルに行く事も有りました。」
やはり、どの様な行為をしていたのか気になり、その物ズバリは訊けなくても、それらしい事を訊いて、その事から想像出来ないかと迷っていた時。
「私から この様なお願いが出切る立場では無いのですが、今夜お伺い致しますので、ここでこれ以上は許して下さい。」
ここに来る前は、稲垣を社会的に失墜させてやる事ばかり考えていましたが、色々聞き出している内に、私の知りたい欲求を満たす為には、それは今やらない方が得策だと思う様になり、
「分かった。家で待っているから6時に来い。ただ、今日は もう女房を連れて帰るぞ。文句は無いな?」
「勿論 奥様の事は構いませんが、私の仕事が早くても7時迄は掛かりそうなので、6時にお伺いする事は無理かと・・・・・・。出来れば8時、せめて7時30分にして頂け無いでしょうか?」
「仕事?俺は仕事も手に付かない状態なのに仕事だ?
俺の家庭を壊しておきながら、それよりも大事な仕事とは どの様な仕事だ?
俺は頼んでいる訳でも、相談している訳でも無い。6時に来いと言ったのだ。
俺に合わせる気が無いなら もういい。やはり今から話そう。
今のおまえの対応で、このまま2人だけでいると何かしてしまいそうだから、ここから出て皆のいる所で話そう。」
「すみませんでした。必ず6時にお伺い致します。」
「出来るのなら、最初からそう言え。
今後は全て俺の都合に合わせろ。
俺は、おまえに合わせる気は無い。仕事中で有ろうが、夜中で有ろうが、俺が来いと言ったら すぐに来い。
嫌なら今後、話は全てここでしよう。
行員どうしの不倫だから、銀行事態にも何らかの責任は有る。
話し合いの場として、ここを貸してもらえる様に、俺が本店に行って直談判してもいい。」
「私が立場も考えずに、勝手な事を言いました。ご主人のご都合に合わせますから、どうか許して下さい。」
私は、妻と稲垣に打ち合わせをされるのが嫌で、妻を連れて一緒に銀行を出ました。
「久し振りに喫茶店にでも行くか?」
一瞬、妻は嬉しそうな顔をしましたが、すぐに俯いて黙って頷きました。
喫茶店では気まずい空気が流れ、何を話していいのか分からずに黙っていると妻が、
「あのー。支店長とは何をお話になったのですか?」
「おまえには関係ない。俺とあいつの話だ。」
「はい。ごめんなさい。」
妻には、稲垣と話した内容は勿論の事、今夜来る事さえ話しませんでした。
「そんな事より、どうして今日も銀行へ行った?あいつに逢いたいからか?
あいつに今迄の様に逢えなくなると思うと不安になったか?
俺の事が、愛する2人の仲を邪魔する悪魔に見えるだろ?」
「逢いたいだなんて、そんな事は絶対に有りません。あなたは仕事に行ったのに、あなたに こんな思いをさせてしまった私が、何もしないで家にいるのが悪い気がして。」
「俺に悪い?俺が今、あいつに会われる事が一番嫌だと分からないのか?
逆の立場になって考えた事は無いのか?
そうか、あいつに夢中のおまえに俺の気持ちなんて考える気も無いだろうし、考えたところで分かる訳が無いよな。
俺を思う気持ちが少しでも有れば、最初からこんな事はしないか。」
妻は、泣きそうになるのを堪えている様で、黙ったまま俯いてしまいました。
そんな妻を見ていると付き合いだした頃を思い出します。
妻と喫茶店に行って向かい合わせに座ると、恥ずかしいのか必ず今の様に俯いていました。
しかし、今俯いている理由は全然違います。
あの純情だった妻が、あの誠実な妻が、あの恥じらいを持った妻が、私以外の男に恥ずかしい姿を見せ、恥ずかしい声を聞かせ、気を遣った時の恥ずかしい顔を晒していたのです。
このまま妻を見ていると私が泣いてしまいそうになり、急いでレシートを掴んで立ち上がると、妻も慌てて席を立ちました。
--------------------
家に着くと妻を前に座らせて話しました。
「俺は、節約の為に電話一本我慢していたのに、あの派手な服は おまえが買った物か?」
「支店長がいつも付き合わせているお詫びだと言って、プレゼントしてくれました。」
「何着も有ったが、全てあいつからのプレゼントか?ミニスカートも。」
「・・・・・・はい。」
妻は、消え入りそうな声で返事をしました。
「俺が昔、たまにはミニスカートを穿いて欲しいと頼んだ時も、恥ずかしいと言って絶対に買わなかったし、
一緒に買物に行った時、似合うと思って俺が選んだ少し派手な服も、こんな派手なのは嫌だと言って買わなかったおまえが、随分気に入って着ていたらしいな?」
「それは・・・・・・・。」
「化粧も派手にして髪の色も そんな明るい色にしたのは、稲垣がそうしろと言ったからなのか?
おまえは、あいつの着せ替え人形か?あいつの好みに合わせるのが、そんなに楽しかったのか?」
「いいえ、折角のプレゼントを着ないのも悪いと思って。」
「着ないと悪い?
それならその化粧は、どんな言い訳をするつもりだ?
化粧品もプレゼントされて、使わないと悪いので派手な化粧をしましたか?
それに卑猥な下着も沢山有ったが、あれもプレゼントだろ?
>>次のページへ続く
「あのー。支店長とは何をお話になったのですか?」
「おまえには関係ない。俺とあいつの話だ。」
「はい。ごめんなさい。」
妻には、稲垣と話した内容は勿論の事、今夜来る事さえ話しませんでした。
「そんな事より、どうして今日も銀行へ行った?あいつに逢いたいからか?
あいつに今迄の様に逢えなくなると思うと不安になったか?
俺の事が、愛する2人の仲を邪魔する悪魔に見えるだろ?」
「逢いたいだなんて、そんな事は絶対に有りません。あなたは仕事に行ったのに、あなたに こんな思いをさせてしまった私が、何もしないで家にいるのが悪い気がして。」
「俺に悪い?俺が今、あいつに会われる事が一番嫌だと分からないのか?
逆の立場になって考えた事は無いのか?
そうか、あいつに夢中のおまえに俺の気持ちなんて考える気も無いだろうし、考えたところで分かる訳が無いよな。
俺を思う気持ちが少しでも有れば、最初からこんな事はしないか。」
妻は、泣きそうになるのを堪えている様で、黙ったまま俯いてしまいました。
そんな妻を見ていると付き合いだした頃を思い出します。
妻と喫茶店に行って向かい合わせに座ると、恥ずかしいのか必ず今の様に俯いていました。
しかし、今俯いている理由は全然違います。
あの純情だった妻が、あの誠実な妻が、あの恥じらいを持った妻が、私以外の男に恥ずかしい姿を見せ、恥ずかしい声を聞かせ、気を遣った時の恥ずかしい顔を晒していたのです。
このまま妻を見ていると私が泣いてしまいそうになり、急いでレシートを掴んで立ち上がると、妻も慌てて席を立ちました。
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家に着くと妻を前に座らせて話しました。
「俺は、節約の為に電話一本我慢していたのに、あの派手な服は おまえが買った物か?」
「支店長がいつも付き合わせているお詫びだと言って、プレゼントしてくれました。」
「何着も有ったが、全てあいつからのプレゼントか?ミニスカートも。」
「・・・・・・はい。」
妻は、消え入りそうな声で返事をしました。
「俺が昔、たまにはミニスカートを穿いて欲しいと頼んだ時も、恥ずかしいと言って絶対に買わなかったし、
一緒に買物に行った時、似合うと思って俺が選んだ少し派手な服も、こんな派手なのは嫌だと言って買わなかったおまえが、随分気に入って着ていたらしいな?」
「それは・・・・・・・。」
「化粧も派手にして髪の色も そんな明るい色にしたのは、稲垣がそうしろと言ったからなのか?
おまえは、あいつの着せ替え人形か?あいつの好みに合わせるのが、そんなに楽しかったのか?」
「いいえ、折角のプレゼントを着ないのも悪いと思って。」
「着ないと悪い?
それならその化粧は、どんな言い訳をするつもりだ?
化粧品もプレゼントされて、使わないと悪いので派手な化粧をしましたか?
それに卑猥な下着も沢山有ったが、あれもプレゼントだろ?
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