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鬼畜
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「お母さん。仮に身体の関係が無いとしても、俺を裏切った事に変わりは無いのです」
そう言いながらも母の言葉で少し冷静になると、もう一度妻を信じたい私がいます。
「分かっています。それは これから一生掛かっても償わせます。だからお願い。子供達の為にも、もう一度だけ」
母の言う通り子供達の事を考えれば、勢いだけで軽率な行動も取れません。
「裕子、嘘は無いな?今の話に少しでも嘘が有れば、俺達は本当に終わりだぞ」
「ありがとう。一生掛かっても償わせて下さい。ありがとう。ありがとう」
私は暫らく様子を見ようと思いましたが、全て信じて許した訳では有りません。
妻に限って、そこまではやっていないと信じたいのですが、例え身体の関係が無かったとしても妻の言った『彰君が好き』と言う言葉が、頭の中から消えないのです。
身体でも、妻の愛を確かめたいのですが、完全に信用する事など出来ない私は、2人が裸で絡み合っている姿ばかりが浮かび、とても抱く気には成れません。
「今日は学校に行かないのか?」
「行ってもいいのですか?」
当然、大学は辞めさせる気でいたのですが、このまま彼との接点が無くなっては、一生、妻の真意が闇の中に葬り去られる気がして、妻の本当の気持ちを探りたくて続けさせる事にしました。
(安定した家庭や子供達を捨てる事が出来ないだけで、本当は彼を愛してしまったと確認出来れば、俺は満足なのだろうか?)
妻と彼が顔を合わす事は最も嫌なはずなのに、私は壊れ始めていたのでしょう。
「奴とは一切言葉を交わすな。メールも駄目だ」
「・・・・・はい」
仕事中も、2人がラブホで抱き合っている姿が浮かび、早く帰って妻に今日1日の事を聞きたくて仕方が有りません。
「一言も言葉は交わしていないだろうな?携帯を見せてみろ」
携帯には、妖しい物は有りません。妖しい物が無いと言うよりは全て削除されていて、彼とのメールは何も残っていないのです。
「奴との今までのやり取りは、その都度消していたのか。この調子だと、今日のも消したかも知れないな」
「ごめんなさい。今日メールは来ませんでした。勿論私からもしていませんし、話もしていません」
「でも、奴の電話番号とメールアドレスは消せないようだな」
「それはゼミの連絡用に・・・・。彼だけで無く、ゼミの仲間は全て入っています」
そのことが面白くない私は、そのまま妻の携帯から彼に電話を掻けました。
「裕子か?旦那とはどうなった?」
「裕子?何を言っている!今からすぐに来い。慰謝料の話をしたい」
「あなたやめて!もう彼には関係ない。私が悪いの。私が償って行きます」
妻の彼を庇う態度で、更に私は壊れて行きます。
--------------------
彼がやって来たのは、それから2時間も経ってからで、しかも父親と母親が一緒です。
「おうおう。やる事は一人前なのに、責任を問われれば、パパとママが一緒か」
「責任はとります。裕子と一緒になって、2人で償って行きます」
その言葉で私が立ち上がろうとすると、その前に中学の教頭をしているという父親が、平手で頬を叩きました。
「まだそんな事を言っているのか!その話は出て来る前に終っただろ!」
「彰ちゃんに これ以上付き纏わないで。あなたの様な、夫も子供もいながら何人と浮気しているか分からないような女で、彰ちゃんの経歴に傷を付けられたくないの。あなたの様な女に引っ掛かった彰ちゃんが可哀想だわ」
小学校の教師をしているという母親は泣きながら、その後も妻に罵声を浴びせ続けました。
「馬鹿息子を庇う、親馬鹿の話は もう済んだか?慰謝料として500万。不服なら裁判をする。話は以上だ」
「何を馬鹿な事を。息子は何も悪い事をしていないのに、何が慰謝料だ」
「2人は旅行に行った事は認めている。あんた達は、本当に何も無かったと信じているのか?」
「あなた、私達は本当に・・・・・・」
「喧しい。そんな事は裁判長が判断してくれる」
「お前達夫婦は美人局だな」
「そう思うなら、告訴してみろ。本当は慰謝料なんかどうでもいい。ただお前の馬鹿息子が、人妻にこう言う事をしたと公にしたいだけだ。美人局でも脅迫でも何でもいいから訴えろ。警察沙汰になって事が大きくなれば、逆に俺は嬉しい」
「あなた。彰ちゃんの将来には代えられないわ。手切れ金を払いましょう」
「そうだな。悪い事はして無いから慰謝料ではなくて、手切れ金として明日30万持って来る。これで文句は無いな」
「それで、もう彰ちゃんに関わらないで」
「言っただろ?俺は金が目的では無いと」
「欲の深い奴だ。20万上乗せして50万くれてやる。これ以上の脅しには乗らない。だいたい夫婦が上手く行っていれば、こんな事には成らなかった。これは旦那にも責任は有るのだぞ。旦那がしっかりしていないから、女房が男に走ろうとする」
「俺が何をした。俺は被害者だ。お前達の馬鹿息子に家庭を壊された被害者だ」
大事な一人息子を散々馬鹿息子と言われて気に触ったのか、父親の顔が見る見る真っ赤に成って行きます。
携帯には、妖しい物は有りません。妖しい物が無いと言うよりは全て削除されていて、彼とのメールは何も残っていないのです。
「奴との今までのやり取りは、その都度消していたのか。この調子だと、今日のも消したかも知れないな」
「ごめんなさい。今日メールは来ませんでした。勿論私からもしていませんし、話もしていません」
「でも、奴の電話番号とメールアドレスは消せないようだな」
「それはゼミの連絡用に・・・・。彼だけで無く、ゼミの仲間は全て入っています」
そのことが面白くない私は、そのまま妻の携帯から彼に電話を掻けました。
「裕子か?旦那とはどうなった?」
「裕子?何を言っている!今からすぐに来い。慰謝料の話をしたい」
「あなたやめて!もう彼には関係ない。私が悪いの。私が償って行きます」
妻の彼を庇う態度で、更に私は壊れて行きます。
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彼がやって来たのは、それから2時間も経ってからで、しかも父親と母親が一緒です。
「おうおう。やる事は一人前なのに、責任を問われれば、パパとママが一緒か」
「責任はとります。裕子と一緒になって、2人で償って行きます」
その言葉で私が立ち上がろうとすると、その前に中学の教頭をしているという父親が、平手で頬を叩きました。
「まだそんな事を言っているのか!その話は出て来る前に終っただろ!」
「彰ちゃんに これ以上付き纏わないで。あなたの様な、夫も子供もいながら何人と浮気しているか分からないような女で、彰ちゃんの経歴に傷を付けられたくないの。あなたの様な女に引っ掛かった彰ちゃんが可哀想だわ」
小学校の教師をしているという母親は泣きながら、その後も妻に罵声を浴びせ続けました。
「馬鹿息子を庇う、親馬鹿の話は もう済んだか?慰謝料として500万。不服なら裁判をする。話は以上だ」
「何を馬鹿な事を。息子は何も悪い事をしていないのに、何が慰謝料だ」
「2人は旅行に行った事は認めている。あんた達は、本当に何も無かったと信じているのか?」
「あなた、私達は本当に・・・・・・」
「喧しい。そんな事は裁判長が判断してくれる」
「お前達夫婦は美人局だな」
「そう思うなら、告訴してみろ。本当は慰謝料なんかどうでもいい。ただお前の馬鹿息子が、人妻にこう言う事をしたと公にしたいだけだ。美人局でも脅迫でも何でもいいから訴えろ。警察沙汰になって事が大きくなれば、逆に俺は嬉しい」
「あなた。彰ちゃんの将来には代えられないわ。手切れ金を払いましょう」
「そうだな。悪い事はして無いから慰謝料ではなくて、手切れ金として明日30万持って来る。これで文句は無いな」
「それで、もう彰ちゃんに関わらないで」
「言っただろ?俺は金が目的では無いと」
「欲の深い奴だ。20万上乗せして50万くれてやる。これ以上の脅しには乗らない。だいたい夫婦が上手く行っていれば、こんな事には成らなかった。これは旦那にも責任は有るのだぞ。旦那がしっかりしていないから、女房が男に走ろうとする」
「俺が何をした。俺は被害者だ。お前達の馬鹿息子に家庭を壊された被害者だ」
大事な一人息子を散々馬鹿息子と言われて気に触ったのか、父親の顔が見る見る真っ赤に成って行きます。
「何が被害者だ。被害者は息子だ。何も知らない初心な息子を誘惑して、おまけに夫婦の揉め事に巻き込み、本当にいい迷惑だ。話は終った。もう帰る」
一方的にそう言い残すと、息子を引っ張るように連れ帰りました。
--------------------
彼等が帰った後も私の怒りは収まらず、何も言わずにただ泣いていただけの妻に当たってしまいます。
「どうして俺が、美人局呼ばわりをされなければ成らない。お前が浮気したのは俺のせいか? 俺が何かしたから奴と旅行に行ったのか?」
「ごめんなさい。私が悪いの。ごめんなさい」
妻を責め続けていて1時間ほど経った時、妻の携帯が鳴ったので私が見ると、清水君と表示が出ています。
「おい、携帯に出ろ」
恐る恐る妻は出ると、すぐに私に携帯を渡しました。
「彼が、あなたに、代わって欲しいと・・・・」
「僕と裕子は愛し合っています。償いはして行きますから、2人の愛を邪魔しないで下さい。おねがいですから裕子と別れて、自由にしてあげてください」
「正気か?だいたい、本当に償いをする気が有るなら、今すぐ死んで詫びろ」
「裕子。奴は裕子と愛し合っているから、別れてやってくれと言ってきたぞ」
「嘘です。私が愛しているのは、あなただけです。彼が一方的に、そう思い込んでいるだけです。電話を切って。お願いですから、電話を切って」
妻は携帯を取り戻そうと、必死の形相で私に掴み掛かってきます。何か話されては、不味い事が有るのだと思った私は、妻を片手で突き飛ばしました。
「おい、聞いたか?裕子はお前など好きでは無いと言っているぞ」
「そんな筈は無い。僕達は約束したんだ」
「約束?」
「これは絶対に誰にも言わないと約束していたけれど・・・・・・・。
これを知られたら僕とは終ってしまうと言われたけれど・・・・・・・。
僕達は1ヶ月以上前から身体でも愛を確かめ合っていた。
旅行で泊まったホテルでも、朝まで何度も確かめ合った。
その時、僕の腕の中で裕子は言ってくれたんだ。
いつか旦那と別れて、僕と一緒に成ってくれると言ってくれたんだ。
だから僕を愛していないなんて嘘だ」
私はあまりの事に持っていた携帯を床に落してしまい、携帯を拾おうとした妻の頬を張り倒しました。
「奴が全て話した。1ヶ月以上前から身体の関係が有ったのだな。
旅行では朝までしていたそうだな。
その時、将来奴と結婚する約束までしたそうじゃないか。嘘ばかり吐きやがって。
上手に騙せたと、腹の中で俺を笑っていたのだな」
頬を押えて座り込んでいた妻を心配して、駆け寄っていた母は大きな声を出して泣き出しました。
「裕子、そうなの?私も騙していたの?裕子、裕子ー」
「ごめんなさい。ごめんなさい。
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