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バイクで日本一周してる女の子と仲良くなった話
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14 :譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:02:30.57 ID:DP/9YheF0
1号2号のサンダーヘッダー×2の爆音が遠ざかり、駐車場にはポツンと俺一人。

さーて、俺も出かけるかね、その前にコーヒー沸かして、と。そんな事を思ってたら 冬美が駐車場にやってきた、潰れていたわりには早起きだな・・・。

冬美『おはようございます、昨日は楽しかったですね、次は私がおごりますからね〜』

俺『おーありがとう、でも俺これからすぐ移動するからよ、また縁が有ったら、な』

冬美『え・・・もう行くんですか?、そうですか・・・それでどこに?』

俺『おー、あんま時間も無いし、ボロバイクにあんま無理させたくないからな、奥尻にでも行って二、三日ノンビリしよかと思ってんだわ』

冬美『奥尻とはまた渋いですね、ハーレーなんだから道東とかの方が楽しそうなのになんでまた?』

俺『まあ、なんとなくね、じゃあ俺もう準備すっから、ここでお別れだな』

冬美『そうですか、じゃあ、気をつけて行ってくださいね・・・』


そういって小一時間でパッキングと朝飯を済ませ、サンダル履きの冬美に手を振って奥尻に向かった。

少し寂しい気もするけど、いつもの事だ、なんてこたーない、真っ直ぐ前を見てトップギアに入れて前に進むだけだ。

ズパ、ズパパン、ズパパパパパアアアアンン!(シャベルの音)、あ、しまった、アドレス交換してなかったorz

折角仲良くなれたのになあ、まあいいか、遅れそうになりつつもギリギリで何とか船に乗れた。

夕方には小高い岬のキャンプ場(無料)でテントを張り・・・・盆だっちゅーのに俺一人だったorz



15 :譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:08:09.12 ID:DP/9YheF0
奥尻最初の夜は一人キャンプだが、一人でもネイチャーストーブの火を見ながらウイスキー飲んだり。

まあ少し寂しいのは いなめないが、携帯もテレビも何もない夜もなかなか乙なもんだ。

自然と早寝して早起き、ゆっくり朝飯を食ってインスタントコーヒーをズルズルと飲む。

小一時間で一周できるくらいの島だが、あちこち見ながら半日かけてまわった。

トコブシ入りのシーフードカレーで昼飯を済まし、午後からは津波の記念館だか資料館だかを見学することにした。

一通り見学して、順路の最後にあった子供の作文を目を真っ赤にして見終わった後、再びローライダーに火を入れて走り出し、青い空と若干荒れ模様の海を見ながら当ても無く適当に走った。

気が付いたらフェリー乗り場にバイクを停めていた、情けない話だが人恋しくなって居たのだろう。

とにかく人がたくさん居る所に居たかった、見知らぬ他人しか居ないと分かっていても。

丁度今日最後の船が着く時間だったのだろう、お盆時期の奥尻港は それなりに賑わっていた。

道東だの函館だのの賑わいには比べられないが、バイクも何台か停まっているのが見える。

といっても三台くらいかwww、ヤマハのテネレと、カワサキ色のSSと、トンボみたいなライトのオフ車・・・・んんんんええええ!!!!?

あの過積載のバハは・・・いやまさかね、奥尻島の〜奥尻港で

〜こんな場所に居るはずもないのに〜www



16 :譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:10:08.01 ID:DP/9YheF0
桜木町だろうが何処だろうが居るはずもないのだが、どうやら冬美その人が居るようだ。って言うか、奥尻逝くって有言実行してるから、当たり前といえば当たり前。

周りを見渡すと、土産物屋の店先で上下赤のFOXハケーン!

もう間違いないわ、とっくに俺の存在に気付いチラ見しているみたいだが、何故だか気付かないふりをしている様だ。

うーんどうすっかなー、こっちから行くべきか、来させるべきか・・・俺も冬美もアホかww、さっさと声掛けよっと。

バイクを停めて最短距離で冬美に近づき、挙動不審なFOX 女に声を掛けた。


俺『おう、奇遇だな、こんなとこで何してんだw』

冬美『あっれ譲二さん何でここに そういえば奥尻逝くって行ってましたね 忘れてました あたしも気が向いたんで来て見たんですけど』

俺『昨日の朝言ったこともう忘れんのかよw、まだ芋焼酎残ってんのか?www、それに なんで一息に喋ってんだよwww』

冬美『あたし、べ、別に譲二さんが居るからって来たわけじゃないですYO!』

うっはwwwツンデレktkrwww

俺『まー何でもいーよ、今からキャンプ場探すのマンドクサだべ、俺がテント張ってる場所案内するから付いて来いよ』

冬美『わたしまだキャンプするって決めたわけじゃないですYO!、温泉が近くにある所じゃないとキャンプしたくないんです』

俺『温泉が近くにあるキャンプ場って、この島じゃ自動的に俺が居る場所しかねーんだよ、昨日 観光案内所で聞いたから間違いないYO〜』

冬美『そうなんですか!じゃあ仕方ないかな、・・・・付いていっていいですか』

俺『何だよ その仕方ないって、人に物頼むときの心遣いに付いて小(ry』

冬美『・・・・・スミマセン、連れて行って下さい、おながいします。』


多少の脚色wwはあるが、こんな風に最初の再会を果たした俺と冬美。

この時の俺、もう冬美に惚れかけてたな、間違いない。



17 :譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:11:49.58 ID:DP/9YheF0
俺『さてどうする、すぐ移動するか?それとも どっか見ていくか?』

冬美『いやー、とりあえずテント張って、それから考えます』

俺『んじゃー行くか、場所は島の反対側だけど、真ん中あたり大体真っ直ぐ行ける道あるから そっちいくべ』

冬美『はい、んじゃ後ろ付いて行きますね〜』


キャンプ場までの最短距離(だと思う)道を行き、出会ってから二回目の千鳥走行だ。

俺が路片側を走り、冬美がセンターライン側だった。

付かず離れず、決して右ミラーの視界から外れる事はない。やっぱり上手いな・・・、安心して前を走れる。

以前から ずっと一緒に走っているような気さえする、確か三十分もしない内にサイトに着いた。

小高い岬の上にテント10張り位で一杯になるくらいのサイトだが、洗面所もトイレも清潔で申し分ない、充分過ぎる位だ。

一番奥の海側に張った自分のテントの前で停車し、そのすぐ後ろに冬美が停まった。

俺が居ない間に札幌ナンバーの四人家族、自転車で来ている若いカップルのが それぞれひと張りずつ増えていた。

冬美『ここですか〜うわー海のすぐ側なんだ!眺めすっごくいいですね!』

俺『んじゃ好きな所にテント張って、それから温泉にでも行くか』

冬美『そうですね、どこに張ろうかな・・・・・』


と言いながら俺のテントの横辺りをガン見してる、曖昧に何かを訴えている冬美ワロスwww。

でも黙って見ているほうが面白いので、マドロス風に水平線を眺めるフリをしてすっとぼける俺。

三分ほど悩んだ末 冬美は結局ちょっと離れた場所に、でも間には もう別のテントが入れない位の微妙な近さにテントを設営した。

俺『さてちょっと早いけど温泉でも行くか、小奇麗だけど高いホテルと、建物は古いけど地元民向けの安いのとどっちにする?』

冬美『もちろん安い方、もー疲れたから観光は明日にしますよ』

俺『一瞬も考えないのなwwwだよなー、んじゃ行くか』



19 :譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:36:16.50 ID:DP/9YheF0
二台で遊歩道のような迷路のような道を下り、五分ほどで漁港の横にあるローカル御用達の温泉に着いた。

玄関の横に並べてバイクを停め、三十分後にバイクの前で落ち合うことにして温泉に浸かった。

ここは建物も風呂も綺麗ではないが、茶色でしょっぱい日本海側特有(だよな?)の泉質。

秋田や青森の海岸沿いの温泉とよく似た感じだ、不老不死とかあんな感じ(だったと思う)。

海流で繋がる海はもちろん、マクロに視ると陸も繋がっているのだなと感じながら浸かる。

きっかり二十五分後にバイクの前に戻り、五分間をストレッチにあてる。

風呂上りのストレッチは日課なのだ、やるとやらないとじゃ翌朝のキレがぜんぜん違う。

きっかり三十分で冬美はやってきた、

湯上りの時間を守れる女は珍しい、やはり男前だwww


冬美『夕飯どうします?、どっかで買い物して行きたいんですけど』

俺『この辺に店らしい店は無いと思ったな、でも俺が買出ししてあるから大丈夫だYO』

冬美『えーでもまたご馳走になっちゃうのは悪いですよ、今度は私におごらせて貰いたいなあ。』

俺『じゃあビールだけ奢ってくれよ、今夜が道内最後の夜だからな、残った食材で大盤振る舞いだ』

冬美『え・・・、もう帰っちゃうんですか、でもまだ ほとんど何も見てないじゃないですか』

俺『いや、もう見たいモンは見たし、八幡平辺りにもゆっくり寄りたいから、明日の午後には函館から船に乗ろうと思ってんだわ』

冬美『そうですか・・・・、じゃあ また今夜でお別れかあ・・・』


2人とも言葉少なにバイクに跨り、ビールを調達してテントに戻る。

小一時間の間にもう一つテントが増えていた、どうやら俺らと同じバイク旅のようだ。



20 :譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:39:16.13 ID:DP/9YheF0
サイトに着いて、とりあえず黒ラベルロング缶をカシュンとね。

俺『カンパーイ!』

冬美『はーい、カンパーイ!』


さてと、晩飯の支度だな、あるのはエノキ1パック、ボイル済みホタテ六個、パスタ一袋200g、調味料各種。

少し考えてエノキ半分とホタテ2個をコンソメスープにして、残りをパスタの具にする事に決定。

まずは丸型飯盒に湯を沸かして、真っ二つにぶち折ったパスタを投入。

茹で上がったら適当に湯を切って そのまま放置、フライパンにオリーブ油を少々、エノキとホタテを投入。

クレイジーソルトで下味をつけて、具に火が通ったらパスタをフライパンに投入、少々水っぽいがキニシナイ!

パスタと具を混ぜ合わせて主食は完成、飯盒に残りのエノキホタテと固形コンソメと水でスープ作成。

これで三十分弱ワンバーナークッキング終了、チビチビやってたロング缶が丁度1本無くなった。

冬美『ちょwwwなにその手際の良さwwww嫁にしてえwwww』

俺『嫁とか意味わかんねーよwww、まー一人暮らし長いからな、大雑把な料理は得意なんだよ』

冬美『一人暮らしなんですか?、アパートとか借りて?』

俺『いや俺田舎のでけー農家、しかも4世代10人同居の大家族で育ったからな、狭苦しいアパートなんてハナから無理』

冬美『10人とは また凄いですね、あたし親子三人だったから憧れちゃうなー、じゃあ今は どんなとこに?』

俺『離農した農家をその辺のアパートより安い家賃で借りてるよ、農機具小屋をガレージにしてバイクとクルマ置いてな』

冬美『エー凄い裏山・・・・、あたしはマンションで育ったから・・・・・あーんうらやましい』

俺『冬とか雪寄せで大変だし、いい事ばかりじゃねえぞ。それから正確に言うと一人じゃねえな、ぬこが一匹住み着いてるww』



21 :譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:41:19.09 ID:DP/9YheF0
冬美『ふーん、ぬこって・・・・動物学的に言うところの、所謂イエネコの事ですよね?』

俺『他にどんなぬこがいるんってんだよ』

冬美『いやその、メタファーとしてのぬことか、かな・・・・と』

俺『なんだよそのメタファーって、高卒ハレ珍で機械屋の俺に分かる様に今北産業で説明汁』

冬美『いや その日本語で言うと暗喩って意味で、あなたが噛んだ小指が痛いとかそんな感じ』

俺『あーなるほどね、女ならいねーよ、ここ一年くらいでウチに入ったのは実の姉ちゃんとお袋だけ』

冬美『いや そんな女がいるかなんて聞いたわけじゃ

あの その私ぬこがいるなら会いに行きたいなとか思ってフジコ』

俺『何で急に点も丸も無くなるんだよwww

来たいんなら来いよ、ぬこもオスぬこだから女っけはカケラもねーYO』



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カテゴリー:男女・恋愛  |  タグ:青春, 胸キュン, すっきりした話,
 

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