俺のある夏の思い出を話そうと思う
俺はバスケが好きだ。
中学からやっていて、高校でも途中までやってた。
一人で練習するのが好きで、よく近所の公園で練習してた。
高校入ってからは、時間がなく、学校でできたので、あまり行かなくなっていたが、部活をやめてしばらくしてまた行くようになってた
その公園は広場と遊具があり、ちっちゃい子もたくさんいた。
いつも3時ごろに公園について、1~2時間汗を流していた。
地元の中学生、つまり俺の後輩なんかもたまに混ざって一緒にやっていた。
ある日、いつも通りバスケをしていたら、ブランコに一人でゆられている女の子がいた。
思い返せば何度も見た顔ではあったが、話したのはその日が初めてだった。
リングに弾かれたボールがその子に向かって転がっていって、拾ってくれた。
ありがとう、とお礼を言うと、「お兄さん上手ですね」と少女が口を開いた。
そんなことないよ、と返して、俺はコートに戻った。
それからもシューティングしたりしていたが、少女は ずっとこちらを見つめていた。
休憩がてら、少女の方に近寄り、一緒にやるかい?と誘った。
少女は満面の笑みでうなずき、それから20分ほどやっていたが、少女がばててしまったため、ベンチで話をすることにした。
夏美と名乗ったその子は中学1年生だった。
少し体格がよく、ジーパンにシャツというシンプルな格好をしていて、あまりオシャレをするようなタイプではなさそうだった。
一人で何をしていたの?と聞くと、特に何も・・・と、言葉を濁した。
俺は明日もいると思うからよかったらまたやろうよ、と言ってその日は別れた。
それ以来2人でよくバスケをするようになった。
俺が公園に姿を見せる日はいつも夏美もいたので、毎日公園にいたのかもしれない。
夏美は初心者だったし、あまり運動しないようなので、最初はすごく下手だったけど、楽しくプレイするところを見るのが俺は好きだった。
ある日、いつものようにバスケをしていると夏美がやってきた。
よく見ると靴を履いていなかった。学校の友達に隠されたと言って泣き始めた。
夏美が泣きやむまで背中をさすってあげた。
隠された靴を探しに行こうよと言って、俺は自転車の後ろに夏美をのせた。
俺の母校でもある中学校に入って靴を探し始めた。
俺にはそういうのに心当たりがあったため、靴はすぐに見つかった。ゴミ収集場所に埋もれていた。
先生方につかまるのも面倒だと思い、すぐ学校を出て近くの川の河川敷の階段に腰を下ろした。
夏美が話し始めた。小学校のころからいじめられていて、中学に入って少しエスカレートした、と言ってまた泣き始めた。
俺はただ話に耳を傾けた。
空が赤くなるころに、夏美を家まで送った。
その足で俺は近所のホームセンターへ向かった。
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女 スペック
>>9
当時中学1年生
身長は160ないくらい少しふっくら体型
その時は別に可愛いという感じじゃあなかった
次の日、公園に行くと夏美がそこで待っていた。
制服を着ていなかった理由を聞くと、学校に行かなかったから、と少しばつの悪い顔で答えた。
俺も今日はサボってるから、と笑うと、夏美の顔も晴れた。
それに安心した俺は、夏美にバスケットボールを手渡した。
夏美はきょとんとしていたから、プレゼントだと教えてあげると、すごくうれしそうな顔をして、シュートを打ち始めた。
「バスケを教えてください。夏美、バスケで見返してやりたい」
少しうるんだ瞳で、はっきりとこう言われた。俺はいいよ、でも厳しいよ、と言って、二人で笑った。
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二人が初めて話をしてから、3か月が立つ頃、夏美は すっかり痩せて、体も少したくましくなった。
最初は全然持たなかったのに、今では1時間バスケをしても大丈夫になった。相変わらずいじめは続いていたけれど、
「夏美にはバスケがある」
「放課後はお兄ちゃんに会える」
そう思うだけで、毎日が楽しかった。もらったボールで一人で練習も続けた。
季節が秋に変わり、学校では球技大会の話で持ちきりだった。
夏美は なんとかバスケに出たかったけれど、男バスにイケメンの人がいるからか、女子は皆バスケに出たがった。
中学に入学してから初めて意見をいったから、周りのみんなは驚いていた。
先生の前では女子たちも夏美に嫌がらせできないので、じゃんけんでメンバーを決めることになった。
じゃんけんで勝った夏美をまたいじめたけれど、決して折れることはなかった。