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俺のある夏の思い出を話そうと思う
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23 :夏美:2012/03/06(火) 23:08:25.45 ID:gQbeS8/c0
2回目だけど、今回はお兄ちゃんに抱きついた。顔を背中に寄せると、汗と土のにおいがした。
お兄ちゃんはバッシュについてのウンチクを、嬉しそうに語ってたけど、あんまり覚えてない。すごく夢みたいな時間だった。
スポーツショップでは、お兄ちゃんが店員さんにあれこれ聞いてくれて、なんかデートしてるみたいだった。
バッシュは買ってもらったけど、値段を見たら8000円もして申し訳なかった。
お兄ちゃんは「バスケに金使わないで何に使うのさ?」って笑ってたけど。
26 :夏美:2012/03/06(火) 23:09:52.53 ID:gQbeS8/c0
帰り際、夏美の家の前でお兄ちゃんが「ボールの中には何が入ってると思う?」って聞いてきた。
夏美は分からなかったから、「空気?」って答えたらお兄ちゃんは、「夢が詰まってるんだよ」って言ったのがおかしかった。
「だから、そのボールをいつもパンパンにするんだよ。部活では辛いこともあると思うけど」
お兄ちゃんはそう言って行ってしまった。
その日は寝れなかった。
バッシュを見て、ボールを見て、お兄ちゃんの顔を思い浮かべた。
大好きです、って何度もつぶやいた。
嬉しくてうれしくてたまらなかった。
--------------------
27 :夏美:2012/03/06(火) 23:11:36.30 ID:gQbeS8/c0
その日は雨が降っていた。
地下鉄を降りて、階段を上り、傘をさした。歩きながら今日の面接のことを思い出す。
高校中退であることを暗にバカにされることは、慣れているとはいえ好ましいものではなかった。
2日後に電話がかかってきて、俺はメモ帳に18本目の×を書いた。
ため息をつくが、すぐにまた電話をかけた。カレンダーに時間を書き込んで、俺はコンビニに向かう。
2回目だけど、今回はお兄ちゃんに抱きついた。顔を背中に寄せると、汗と土のにおいがした。
お兄ちゃんはバッシュについてのウンチクを、嬉しそうに語ってたけど、あんまり覚えてない。すごく夢みたいな時間だった。
スポーツショップでは、お兄ちゃんが店員さんにあれこれ聞いてくれて、なんかデートしてるみたいだった。
バッシュは買ってもらったけど、値段を見たら8000円もして申し訳なかった。
お兄ちゃんは「バスケに金使わないで何に使うのさ?」って笑ってたけど。
26 :夏美:2012/03/06(火) 23:09:52.53 ID:gQbeS8/c0
帰り際、夏美の家の前でお兄ちゃんが「ボールの中には何が入ってると思う?」って聞いてきた。
夏美は分からなかったから、「空気?」って答えたらお兄ちゃんは、「夢が詰まってるんだよ」って言ったのがおかしかった。
「だから、そのボールをいつもパンパンにするんだよ。部活では辛いこともあると思うけど」
お兄ちゃんはそう言って行ってしまった。
その日は寝れなかった。
バッシュを見て、ボールを見て、お兄ちゃんの顔を思い浮かべた。
大好きです、って何度もつぶやいた。
嬉しくてうれしくてたまらなかった。
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27 :夏美:2012/03/06(火) 23:11:36.30 ID:gQbeS8/c0
その日は雨が降っていた。
地下鉄を降りて、階段を上り、傘をさした。歩きながら今日の面接のことを思い出す。
高校中退であることを暗にバカにされることは、慣れているとはいえ好ましいものではなかった。
2日後に電話がかかってきて、俺はメモ帳に18本目の×を書いた。
ため息をつくが、すぐにまた電話をかけた。カレンダーに時間を書き込んで、俺はコンビニに向かう。
28 :夏美:2012/03/06(火) 23:12:48.04 ID:gQbeS8/c0
>>27
スマンここから俺視点です
声をかけられたのはその帰り道だった。
振りかえると、高校時代の友人がいた。
今日暇か?と聞かれたから、そうだと答えると、じゃあ飲みに行こうぜ、と言う。
友人について居酒屋にはいった。
久々の友達との再会に喜んで、思い出話に花が咲いた。髪を茶色く染めた友人は、大学生活を謳歌しているようで、少しうらやましかった。
30 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:13:54.71 ID:gQbeS8/c0
「お前は何してんの?」と聞かれても返答に困るが、
それを察した友人は、「息してんだろ?」と言って笑ってごまかしてくれた。
店を出て、家に向かう道すがら、友人は合コンを提案してきた。
「どうせ彼女いないんだろ?」と言われるのは少し腹が立ったが、それでもその通りなので、行かせてもらうことにした。
家に帰ってカレンダーに印をつける。無職なのに忙しくなったな、と息をもらした。
31 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:15:03.95 ID:gQbeS8/c0
翌日、昨日の友人から電話があって、俺はバーに向かった。
着いてみると友人はすでに席についていて、隣には女性が一人座っていた。
彼女さんらしい。なかなかに可愛い子で、それでいて知的な印象を受けた。
俺も自己紹介を済ませ、モスコミュールを頼んだ。
32 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:16:10.89 ID:gQbeS8/c0
「特に用事はないんだけど」と言われ少し拍子抜けしたが、こいつらしいな、と少しほほえましくもあった。
彼女さんは合コンのことは知っているようで、「絶対人気でしょ」とか、「彼女いないとか嘘だよね?」とかしきりに褒めるので、俺はついついにやけてしまう。
友人はマスターと知り合いなようで、俺の知らないゲームの話なんかしたりして盛り上がっていた。
33 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:17:15.82 ID:gQbeS8/c0
3杯目にダニエルロックを頼むころになると、友人は顔を真っ赤にして、彼女さんにあーでもないこーでもないと説教していた。
彼女さんはそれを静かに聞いていたし、マスターもにやけながらその光景を眺めていたので、普段からそうなのかもしれない。
友人が眠ってしまい、彼女さんは、「いつもの事なの」とほほ笑みながらこちらに振り返った。
34 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:18:20.12 ID:gQbeS8/c0
「こいつはバカだけど、かっこいいバカなんだよね。
今日だって、高校時代の友人の話をし始めたかと思ったら、会わせるからついてこい! って言うもんだから、ついてくるしかないよね。
見守ってあげたくなるの。」
彼女は話し始めた。
「分かる気がする。」
「そうそう、合コンの話だけど、相手高校生らしいよー」
「え?嘘?」
35 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:19:00.42 ID:gQbeS8/c0
「ホント。そう言ってたもん。何か、後輩なんだって。」
「なんの?高校の?」
「そうみたいだよ。こいつが他の女に手を出すようだったらうちに教えてねー。」
「わかったよ。ところで こいつどうするんだ?」
「いつものことだから気にしなくていいよ。多分すぐ起きるから」
時計を見ると終電の時間が迫っていたため、先に料金を払って店を出た。
高校生と合コンと言うことは、4歳差?最悪6歳差か・・・・。
そんなことを考えながら、地下鉄に揺られていた。
ほろ酔い気分気持ちよく、知らない間に目を閉じて、夢の中へと落ちていく。
--------------------
36 :夏美:2012/03/06(火) 23:20:00.79 ID:gQbeS8/c0
目を覚まして時計を見ると、正午を回っていた。
部活を引退してからすごく気が抜けてるなあと最近は感じる。
服を着替えて、外に出る。部活が終わってからもランニングは欠かさずやっていた。
体力の維持と人には言っていたけれど、実際は太らないようにするためだった。
37 :夏美:2012/03/06(火) 23:21:09.44 ID:gQbeS8/c0
昔は見た目なんか気にしなかったなあ、なんて思いながら土手の上を走る。
出身の中学の生徒がぞろぞろ歩いてるのが見えた。心の中で、部活がんばれ!と応援する。
折り返して家に向かって走っているところで携帯が鳴った。
来週の合コンの話についてのメールだった。合コンなんて初めてだから、ちょっとドキドキした。
部活終わってから、みんながずいぶんアクティブになったのが、少し可笑しい。
相手が誰とか、詳しい話はあんまり聞いていないから、今日優子に会って話を聞く予定だった。
38 :夏美:2012/03/06(火) 23:22:18.41 ID:gQbeS8/c0
ランニングを終えて、シャワーを浴びる。
時間はまだあったから、借りていたDVDを見て時間を潰した。
そのうちに外が暗くなってきて、待ち合わせ場所の居酒屋に向かう。普段お酒を飲んだりしないけど、酒豪の優子と遊ぶ時は大体居酒屋だった。
オレンジジュースと生ビールで乾杯をして、普段通りの他愛もない話が始まった。
優子が話すのは もっぱら彼氏のことだったが、最近は愚痴しか聞かない。
「もう愛想尽きたから、合コンでいい人がいたら別れるんだー」と言う優子が少し怖い。
39 :夏美:2012/03/06(火) 23:23:20.56 ID:gQbeS8/c0
話していると、男2人の席を挟んで二つ隣りにぞろぞろ大学生らしき人たちがやってきた。
聞き耳を立てていると、どうやら合コンの様だった。
「合コンってはたから見ると滑稽だよねー」と優子は言う。
「そういえば相手はどんな人たちなの?」
「大学生だって。あんまり知らないんだよねー」
「え、そうなの?なにで知り合ったの?」
「ほら、Mixi。なんかうちの高校の卒業生らしいよ」
40 :夏美:2012/03/06(火) 23:24:10.91 ID:gQbeS8/c0
「へーそうなんだー・・・」
「ところで夏美、いいの?」
「なにが?」
「好きな人とかいないの?夏美もてるじゃない。あんまりそういう話聞かないけど」
「あんまり興味なくて。好きな人はいないし」
「ひろ君とはどうなったの?」
「結構前の話じゃん。とっくに別れたよ」
「へー・・・・なんで?」
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