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俺のある夏の思い出を話そうと思う
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41 :夏美:2012/03/06(火) 23:25:03.27 ID:gQbeS8/c0
自分で言うのも何だけど、高校入ってから夏美はもてる方だった。

ただ付き合うことは ほとんどなかったし、一回付き合ってもキスもしないで別れた。

優子はその度に、理由を問い詰めた。

正直自分でもわかってはいるけれど、認めたくはなかった。

どうしようもないことだから忘れよう、とずっと自分に言い聞かせていた。

優子は高校で一番仲がいい友達だけど、その事を話したことはなかった。

それでも、相手が高校のOBと聞いて、期待してしまったのは認めざるを得なかった。



42 :夏美:2012/03/06(火) 23:26:02.42 ID:gQbeS8/c0
合コンの人たちの盛り上がりが最高潮に達するころ、優子も限界に近かったから、会計を済まして店を出た。

夜になっても夏の暑さは衰えず、肩に手を回す優子は汗臭かった。

吐かないだけましかな、と思った矢先、優子がうずくまった。

優子が嘔吐するのは部活以来で、思い出してちょっと笑ってしまった。


--------------------


43 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:27:03.87 ID:gQbeS8/c0
友人が嘔吐するのは入部以来で、驚いて目を見開いてしまった。

「珍しいな」と言うと「昨日負けたしな」と言ってまた吐いた。

山が赤く色づきはじめ、夏服から学ランに着替える生徒が多い中、バスケ部は滝の様な汗を流していた。

大会が近いから、練習も張りつめた空気が漂っていた。

普段は適当が服を着て歩いているようなだらしないこの男ですら、懸命に体を動かしていた。



44 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:28:23.46 ID:gQbeS8/c0
ベンチ入りギリギリの俺みたいなやつらは大会前はいつもギスギスしている。

俺はこの大会では絶対にベンチ入りすると心に決めていた。

だから いつにも増して練習に力を入れた。


週末になると練習試合があり、平日は練習、週末になるとまた練習試合が続いた。

強豪校ではありがちだが、ベンチに入れないメンバーは普段の練習であまり目をかけてもらえないため、見せ場は練習試合にしかなく、週末になるとあまりお互い口を利かなかった。



45 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:29:31.06 ID:gQbeS8/c0
ピリピリした空気の中で、みんなチャンスを狙っていたし、俺もそうだった。

はっきり言って自信はあった。

練習試合でもいい活躍はできていたと思うし、普段の努力も褒められたものだったと思う。

実際にコーチもそれは認めていた。

だからこそ、納得がいかず、大会前日に俺はコーチに食ってかかった。「なんで俺がメンバーじゃないんですか?」



46 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:30:51.10 ID:gQbeS8/c0
「下手糞が何言ってんだ?」

「確かに俺は下手ですが、あいつやあいつよりはうまい自信があります」


「それはそうだ。だからなんだ」

「それならなんで俺がメンバーじゃないんですか?」


「お前は背が小さい。下手でもあいつらは背がでかいからだ」

「そんなの納得いきません!」


「これはバスケなんだ。背が高い奴は有利で貴重なんだ。お前は確かにうまくなってきているが、お前の身長でそれくらいの実力の奴なんて腐るほどいるんだよ」


「でも俺はそいつらよりうまくなる自信があります!」



47 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:31:37.81 ID:gQbeS8/c0
「はっきり言って、お前を選手として使うことはない。春になればお前くらいうまい1年が入ってくる。お前より1年時間が多いんだ。俺はそういうやつらを鍛える。チームを強くするためにな」


「つまり・・・・俺が努力しても無駄だってことですか!!」


「そんなことはない。ただ高校の3年の間は我慢するということだ」


「そんなの・・・納得いくわけないじゃないですか!!ふざけないでください!!」


「ふざけてんのはどっちだ!!努力すれば何でもうまくいくわけじゃないんだぞ!!」


「うるさい!!もう2度と来るか!!!」



48 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:32:33.42 ID:gQbeS8/c0
それから学校をやめるまでの間はあっという間だった。

それまで自分のすべてだったものがなくなって、何もかもに絶望してしまった。もう2度とバスケをしたくないとも思った。


日増しに俺はあれていった。

チームメイトと言葉を交わすこともなくなった。

最後に友人と口を聞いたのは学校をやめる日だった。

「よぉ・・・学校やめるんだってな」

「今日で終わりだ」


「淋しくなるわ・・・」

「俺はそうは思わない」


「・・・・・もうバスケはしないのか?」

「分からない。でもしばらくはしたくない」



49 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:33:36.24 ID:gQbeS8/c0
「そうか・・・・恨んでるか?あいつのこと」

「当たり前だろ。あんなのはコーチ失格だ。スタメンのお前には分からないだろうが」

「そうだよなあ・・・・・なあ」

「なんだ」

「もしお前がコーチだったらどうしたよ?」

「・・・・・バスケが嫌いになるような指導はしない。絶対だ。弱くてもいい。」

「そうか・・・・これからどうするんだ?」

「分からない。何も俺には分からない」

「いつでも連絡して来いよ。お前は俺の味方だからな」

「分かった・・・・・ありがとう。じゃあな」

「ああ、じゃあな・・・・」



50 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:34:15.34 ID:gQbeS8/c0
俺は校門を出て、振り返って校舎を眺めたが、淋しさ一つ感じなかった。

これからのことに思いを馳せても、心は沈むばかりだった。

もしこれが運命なら、こんなに残酷なことはないじゃないか、と思った。



51 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:35:25.20 ID:gQbeS8/c0
ちょっと一回休憩します

今日は2時からPCに張り付いてたんで目がすごい痛いwww



53 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:41:32.85 ID:xBvyMIB20
創作ってこと?(´ω`)


54 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:43:21.51 ID:DyMXW+VS0
夏美の心の声まで聞こえちゃってるしなw


55 :名も無き被検体774号+:2012/03/06(火) 23:44:43.94 ID:gQbeS8/c0
>>53>>54最後まで読んでくれればどういうことか分かるよ

じゃあ続き書くね


--------------------


57 :夏美:2012/03/06(火) 23:46:02.12 ID:gQbeS8/c0
夏美は、もしこれが運命なら、こんなにうれしいことはないじゃないか、と思った。

まさか、とは思ったが何度見直しても本人にしか思えなかった。

しゃべり方、声、仕草、どれをとっても、初恋の人を思い出させた。

合コンが進んでいく中で、慣れない夏美は、なかなか話しかけられずにいた。

向こうに気づいてる素振りはない。もしかしたらもう忘れているのかもしれない。

そう思うと胸が張り裂けそうだった。優子に合図を送って、トイレに呼んだ。



58 :夏美:2012/03/06(火) 23:47:13.21 ID:gQbeS8/c0
「なになに〜?気になる人いたの?」

「まあ、そんな感じ」


「お!珍しいねえ。どの人?」

「端でずっとタバコ吸ってた人」


「え?・・・・何か冴えない人選ぶね・・・」

「うん、まあ」


「うーん、よし!まかせんしゃい!この優子ちゃんに!」



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:男女・恋愛  |  タグ:青春, 胸キュン,
 


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