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63 :名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 23:01:09.40 ID:8WsrSH1N0
二人で階段に座って、しばらく黙り込んでた。

磨り硝子から差し込むオレンジ色が、後ろから夏を照らしていた。

日が落ちるの早くなったな、とぼんやり思いながら、「なんで言うのやめたん?」早速直球を投げたw

夏はヘラヘラ笑って、黙り込んで、頭を抱えた。

「土壇場でビビった…」

蚊の泣くような声で そう呟いた夏の肩が震え始めた。

「告れんかった…」「情けねぇ」って嗚咽混じりに呟く夏。

ビックリしたけど、夏の足の間にポツポツ落ちていく涙の滴を見てたら、何故かこっちも視界が滲んだ。


64 :名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 23:03:01.26 ID:8WsrSH1N0
「ぜっがぐ応援じでぐれだのにごめん」って言うから、「泣くほどのことでもないでしょ!振られたら泣け!」って肩ポンポンしながら返した。

「うん」って頷きながら、「でも告るのこえぇー」って、夏は少し泣き止んで言った。

「解る…」としか言えなかった。

「え、解る?」って聞かれて、意味もなく頭はたいたw


夏に笑顔が戻ったから、「でも、嬉しかったよ、俺ら永久に不滅なりってヤツ」そう伝えられた。

「スベッてたけどw」って付け加えると、アアアアアア…って呻いてたw


65 :名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 23:04:20.39 ID:8WsrSH1N0
少し暗くなった頃、ハルと雪もやってきた。

雪が「ありがとー」って言いながら夏に駆け寄ってた。

夏は またばつが悪そうに笑ってたけど、どこか嬉しそうだった。

でも多分一番喜んでたのは雪だ。雪はこういう、友情を感じられる言動に滅法弱いから。

ハルはヌボーっとしながらも笑ってた。

そんな高2の学祭だった。


66 :名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 23:06:06.94 ID:QKJVj6GO0
俺もこんな青春してぇ………



67 :名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 23:09:05.30 ID:8WsrSH1N0
それから今まで通りの日常に戻って、12月に入った頃だったかな。

変わらない関係に、ついに痺れを切らした人間がいた。

意外にも雪だった。

「頑張ってメールしても絶対返事返してくれるし、何度か二人で帰ったこともあるし、賭けてみる…

私ハル君に告白する。」


覚悟を決めた雪の行動は早かった。

次の日の放課後にはハルを空き教室に呼び出して、告白した。

私は教室でドキドキしながら待つしかなかった。

その時、雪の言葉をずっと思い返してた。


68 :名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 23:13:23.55 ID:8WsrSH1N0
「私、ハル君に告白する」の前に、雪は言った。

「勘違いやったら言ってくれて構わんのやけど、
夏君って、私のこと好き?」

突然の振りに私は言葉に詰まってしまって、雪はそれで全てを察したようだった。

「やっぱりそうか」と呟く雪に、「バレバレよね、あいつ…」としか言えない私。

「だいぶ気付かない振りしてたんだけど、やっぱりかぁ」

雪はいつから気付いてたんだろう。

「でも、私、ちゃんと断るからね」

雪が私と目をそらしながら言った。

動揺してしまった私は「なんで私に言うん?」と強い口調で雪に訊ねた。

私は、夏が好きだということを、雪に伝えてなかった。

何故か、言えなかったんだ。

自分では上手く隠せているつもりだった。


70 :名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 23:17:40.21 ID:8WsrSH1N0
「なんで私に言うん?」の返事は、「四人の関係を壊さないためだよ」だった。

そして雪の言葉は「ハル君に告白する」に続いたんだ。


そんな事をぐるぐると考えていると、夏が教室に入ってきた。

「なぁ、もしかしてさぁ…」って言いながら。

もしかして、の続きはなんとなく予想が付いていたから、「そうだよ」って答えた。

夏は大きく息を吐きながら、空いてる席に座った。


71 :名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 23:21:02.19 ID:8WsrSH1N0
「いや、ふられるよ、雪ちゃん」

夏が苦しそうな声で呟いた。

そうはなってほしくないと願っていた私には重い一言だった。

「なんでよ」って強い口調で聞いたけど、夏は言葉を濁らせるだけだった。

それから二人で雪を待った。

会話は特になかった。


72 :名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 23:23:09.71 ID:8WsrSH1N0
書き溜めてくる(`・ω・´)


74 :名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 23:27:08.84 ID:m0kNzr3Y0
切ないねー


76 :名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 23:39:27.18 ID:E+Aq0yLX0
いいなあ



77 :名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 23:42:29.47 ID:zYe/9aOY0
スレタイみたら振られる(と夏が言った)理由がわかった気がする


78 :名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 23:48:32.09 ID:E+Aq0yLX0
>>77
スレタイでいくと
夏→雪→ハル→アキ→夏
だな

でもなんで冬じゃなくて雪なんだろう?


80 :名も無き被検体774号+:2013/03/23(土) 23:51:17.45 ID:DDmXJZbB0
名前っぽくないからじゃない?


81 :アキ:2013/03/24(日) 00:06:50.60 ID:8WsrSH1N0
>>80
正解(`・ω・´)

書いてゆく


82 :アキ:2013/03/24(日) 00:09:29.79 ID:pmN8elV80
ハルと雪が上手くいくことを願いながらも、私は何となく この後の流れを予想していた。

もし夏の言うとおり雪がふられしまったら。

夏は、雪を精一杯慰めるだろう。

もしかしたら その時告白するかもしれない。

でも雪は「断る」と言ってくれた。

ほだされないと、約束してくれた。

だから夏もふられる。


雪の言うように、このまま四人の関係が壊れないなんて、有り得るのだろうか。

言いようのない不安な気持ちに襲われた。



83 :アキ:2013/03/24(日) 00:11:36.30 ID:pmN8elV80
そんなことをぐるぐる考えていると、教室のドアが開いた。

雪が「あれ、夏君もいたんだ」とぎこちなく笑った。

まだ教室にクラスメートが数人いたから、私は雪を引っ張って、カーテンの中に連れ込んだ。

入った途端、雪の両目からぼろぼろと涙がこぼれた。

そして「ダメだったぁ」と呟いたんだ。

「なんで?」と聞いてしまった私に、「好きな人がいるんやって」と嗚咽混じりに答える雪。

「誰か聞いた?」と続けると、首を横に振って一層泣き出してしまった。

雪を抱きしめて撫でてあげることしかできなかった。



84 :アキ:2013/03/24(日) 00:16:32.18 ID:pmN8elV80
少し落ち着いた頃、雪が言った

「ふられるだろうなーって、思ってたんよ」

そうなん?て聞く私に、力無く雪は笑った。


カーテンから出ると、夏が何とも言えない顔でこっちを見てた。

そして「雪ちゃん、帰ろう」って言った。


私なんて夏の眼中に入っていないようだった。

その証拠に夏は言った。

「アキはハルに付いてやって」



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:男女・恋愛  |  タグ:青春,
 


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