ギフテッドの彼女と付き合ってた話
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38 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:05:37 ID:MXx0ba1si
はじめてデートしてみて分かったんだけど、彼女は異常なほどに世間知らずだった。
アイドルも知らない、バンドも知らない。
映画館とかゲームセンターに行ったことないってのはパニック症だから分かるとしても、テレビすら見ないというから驚いた。
「でもさ、学校とかでテレビの話とかする時 困らない?」
「私 先生としか話さなかったからなぁ… 研究室の人とは仲良くないし あんまり」
「気になってたんだけどさ、…友達いる?」
「君はカウントする?」
「友達だと思うならカウントしてください」
「じゃあ2人」
つまり、俺が含められたとして、他に1人しか友達がいないことになる。
喫茶店で話をしてる時は基本映画か数学の話だったので、プライベートの話は避けてたわけじゃないけど全然してこなかった。
俺は面白くて たくさん聞いた。
「出身は?」
「生まれたのは東京だけど育ったのはイギリス」
「お父さんとお母さんは何してるの?」
「どっちも研究者」
「は?」
このあたりから 俺は今話してるこの人は もしかして、天才なんじゃないか?と思いはじめた。
39 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:06:57 ID:MXx0ba1si
映画はあんま面白くなかったから割愛。何見たのかも覚えてない。
彼女はチケットカウンターの人とか売店の人とかと話すのも緊張するらしく、人と接する時は「貴方に一任します」って言って離れて行った。
道端でティッシュを配られてもキョドるし、あげくのはてには路上で
「桃がこれだけで1000円!安いよー!」
とか言ってる奴に対して
「あの人、もしかして私に言ってるのかな?私は無視してたことになるの?」
とか言い始める。
映画が終わってから、夕食に誘って一緒に居酒屋に行った。
家庭のこととか、プライベートのことを聞くとあまり答えたがらなかったけれど、俺は もっと彼女のことを知りたかった。
そのためにも、酔わせる必要があると思ったんだ。
「酒、飲んだことある?」
「お父さんとなら」
「そとで飲むのは?」
「お父さんとなら」
「飲みに行かない? やっぱり、酒飲みながら話した方が楽しいよ?」
40 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:07:56 ID:ug2olLIZw
wkwkしてきた
はじめてデートしてみて分かったんだけど、彼女は異常なほどに世間知らずだった。
アイドルも知らない、バンドも知らない。
映画館とかゲームセンターに行ったことないってのはパニック症だから分かるとしても、テレビすら見ないというから驚いた。
「でもさ、学校とかでテレビの話とかする時 困らない?」
「私 先生としか話さなかったからなぁ… 研究室の人とは仲良くないし あんまり」
「気になってたんだけどさ、…友達いる?」
「君はカウントする?」
「友達だと思うならカウントしてください」
「じゃあ2人」
つまり、俺が含められたとして、他に1人しか友達がいないことになる。
喫茶店で話をしてる時は基本映画か数学の話だったので、プライベートの話は避けてたわけじゃないけど全然してこなかった。
俺は面白くて たくさん聞いた。
「出身は?」
「生まれたのは東京だけど育ったのはイギリス」
「お父さんとお母さんは何してるの?」
「どっちも研究者」
「は?」
このあたりから 俺は今話してるこの人は もしかして、天才なんじゃないか?と思いはじめた。
39 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:06:57 ID:MXx0ba1si
映画はあんま面白くなかったから割愛。何見たのかも覚えてない。
彼女はチケットカウンターの人とか売店の人とかと話すのも緊張するらしく、人と接する時は「貴方に一任します」って言って離れて行った。
道端でティッシュを配られてもキョドるし、あげくのはてには路上で
「桃がこれだけで1000円!安いよー!」
とか言ってる奴に対して
「あの人、もしかして私に言ってるのかな?私は無視してたことになるの?」
とか言い始める。
映画が終わってから、夕食に誘って一緒に居酒屋に行った。
家庭のこととか、プライベートのことを聞くとあまり答えたがらなかったけれど、俺は もっと彼女のことを知りたかった。
そのためにも、酔わせる必要があると思ったんだ。
「酒、飲んだことある?」
「お父さんとなら」
「そとで飲むのは?」
「お父さんとなら」
「飲みに行かない? やっぱり、酒飲みながら話した方が楽しいよ?」
40 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:07:56 ID:ug2olLIZw
wkwkしてきた
41 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:08:21 ID:MXx0ba1si
居酒屋に入って、しばらく飲むと、彼女はいい感じに酔いはじめた。
俺は聞きたいことを片っ端から聞いた。
「イギリスの頃の学校の友達とかいないの?」
「いない。その学校は普通の授業がなくて、先生と個別にお話するだけ」
「それって学校じゃなくない?」
「頭のいい人だけが行く塾って言った方が近いかも。」
「へー。じゃあ頭いいんだ?」
「周りはそう言う。自分ではそうは思わないけど。私、ギフテッドらしいんだ。」
「へ? 何?」
「ギフテッド」
「何それ?」
酔わせていたと思ったのに、彼女は「ギフテッド」と言った瞬間にシラフに戻ったかのようだった。
まるで、禁句を言ってしまったかのように。
「…私が質問する番ね!」
「いいですよ」
「どうやったら、人と話せるの?」
「…難しい質問だね 逆に、なんで上手く話せないの?」
「だって、何考えているか分からないじゃない?」
「人って他人について あんま考えてないから、気にしなくていいと思うよ。というわけで、酒注文しといて!トイレいって来る!」
「…え…何頼めばいいの?」
「あなたに一任します」
42 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:11:03 ID:MXx0ba1si
結局 頼んでなかったけど。
店を出たのは2:00くらいで終電は当然ないので一緒にタクシーに乗って彼女を自宅まで送り、それから家に帰った。
俺は翌日、ギフテッドについて調べた。
wikiにも載ってるし、知ってる人もいると思うけど一応説明。
ギフテッドは先天的にIQの高い人のことで、いわゆる天才ってこと。
自分の興味のある分野については とことん調べ、学び、理解するが、興味のないことはまったく知ろうとしない。
これがギフテッドっていう明確な定義はないんだけど、IQテストとかで分かるらしい。
俺が天才だと思っていた人は文字通り、天才だったわけ。
それからしばらくたって、夏の終わりくらいに彼女からメールが来た。
親が会いたいと言っているから、夕飯を食べにウチに来ないか という誘いだった。
酔わせたことを怒られるのか…
でも、確かに仕方ないよな…俺が悪いし。
俺は土産を持って彼女の家に行った。
43 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:12:30 ID:MXx0ba1si
最寄駅で待ち合わせて、彼女の自宅に行く。
「ただいまー」
「お邪魔します…」
ドタドタドタ
「君か!君か!上がって上がって!何これ お土産!?ありがとうね!わざわざ!さ、さ、上がりなよ!」
伊東四朗似のおっさんがハイテンションで迎えてくれた。
彼女が自宅に友達を連れてくるのは史上初らしく、豪勢な夕食が用意されていて、ほんとに友達いないんだなぁ と思った。
お母さんは竹内結子がめちゃくちゃ太ったみたいな感じの人で、お父さんは ぽちゃってしてるだろ? って言ってたけど どうみてもデブでした。
でもすごい気さくで、「本当にありがとうね。このまま友達でいてやってね」って何度も言ってた。
夕食を食べ終わって、彼女とお母さんが片付けをしている時に俺はお父さんに別室に呼ばれた。
44 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:15:02 ID:MXx0ba1si
何故かは分からないけど その別室には『イチゴ白書をもう一度』っていう曲が流れていた。
(お父さんが聞け聞け言うから今iPodに入ってる)
俺は先に謝った方が感じがいいと思い、
「このあいだは娘さんを酔わせてすいませんでした。」
「え? いいよ全然! むしろもっと誘ってやってよ。あいつ友達いないからさぁ。最近は君の話しばっかりするよ。急に映画を買うようになったと思ったら それも君の影響らしいし。」
てっきりTSUTAYAとかで借りていると思ったら さすが真性コミュ症、ネットで買っていたのだ。
「それでね、ここだけの話だよ…?あ、メアド教えて」
突如メアド交換。
直後メール受信。
文には あいつ実は他人とうまく話せないんだ!!!!! て書いてあった。
実は知ってます。 って返信した。
このあと この謎のメール送受信が ちょっとの間繰り広げられた。
お父さんは彼女のことを全て話した。
ギフテッドであること、コミュ症であること、日本に戻って入った高校の頃にイジメにあって人間不信になり、最近は治りつつあるけど まだ人が怖いこと、
友達がいないこと、だから娘とずっと友達でいて欲しいこと、娘はカラオケにも一緒に行ってくれないから俺と行きたいこと…などなど。
本当に、この人は娘のことが可愛いんだなぁと思った。
45 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:17:13 ID:MXx0ba1si
それから ちょくちょくあっては映画を見て、夕食を食べて、彼女を家まで送り、俺とお父さんとお母さんと彼女で晩酌をするっていうデートが続いた。
11月くらいに、付き合って下さいと言った。
もうその頃は ほぼ付き合ってるようなものだったけど。
彼女は冗談で「その理由を論文にしたらね」と言い、俺は真に受けて論文を書き、よろしく付き合うことになった。
彼女とのデートのバリエーションも増えていった。
映画がメインに変わりはなかったけど、俺が好きなバンドのライブに付き合ってもらったり、彼女が行きたかったのに友達がいなくて行けなかった博物館とか科学館とかに行った。
研究所の手伝いが終わると夜遅くなるので、ちょくちょくルームシェアしてる友達がいない時に俺の家に泊まったりもした(親公認)
ケンカもした。
相変わらず数学系は全然だったので、彼女に教えてもらっていたのだが、
彼女は「本当にどうしてこんなのが分からないのか不思議でたまりませんな」とかいいながら教えるから
「どーせ教えるんならバカにしないで教えてよ」みたいなことを俺が言って開戦。
だいたい そういう日は俺がメールを無視して、日が変わる直前に彼女が電話で
「仲直りしなさいってお母さんに言われた」
ってしぶしぶ謝ってきた。
お母さんが〜ってのは もちろん嘘。日が変わるまでは俺が謝るのを待っているらしい。
頭はいいけど精神的には小学生くらいだったと思う。
46 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:19:41 ID:MXx0ba1si
彼女と過ごす日は すべて楽しかった。
世間知らずもいいとこだったから、牛丼屋とか、ファミレスとか、ゲームセンターとか、ボーリングとか、この年齢じゃ当たり前に経験してることが彼女にとっては新鮮で、だからこそ自分も、楽しみを再発見出来たというか。
ゲーセンってこんな面白かったっけって びっくりした。
彼女のパニック症もだいぶ やわらいできたみたいで、カウンセラーの人にも自分じゃ治せない速度で治ってきてる、本当に感謝してるみたいなメールをもらったこともあった。
そんな中、事件が起こる。
三年生になってから生活が落ち着いてきた四月、まえまえから彼女が行きたがってたディズニーランドにつれてってあげることにした。
その時は もう彼女は大学を卒業してて働いていたけど、研究者っていう職業は びっくりするほど融通がきくらしく(そして給与がすごい)毎日のように会っては遊んでいた。
俺は というと、決して裕福じゃない家庭で、親父の会社が経営困難で破産して、奨学金を借りなきゃ通えない程度まで悪化していた。
親は働き始めてから仕送りすればいいと言っていたけど、国立に落ちて私立に入学した後ろめたさから、教科書とか生活用品とかをケチって仕送りしてた。
彼女とのデートもなるべく金のかからないTSUTAYAで借りたDVDを見るとかに切り替えて、外出することが減ってった。
だからこそディズニーは久々のお出かけで、俺も彼女も すごい楽しみにしてたんだ。
47 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:21:03 ID:MXx0ba1si
リサーチを重ねて人が もっとも少ない日を調べて、彼女がパニックにならないように最善をつくした。
人とのコミュニケーションがなければパニックを起こす可能性は低いけど、せっかくのディズニーだから楽しい思い出だけにしてあげたかった。
お金はチケットだけは俺が出して、園内は割り勘とあらかじめ決めておいた。
彼女は おごってもらうことをあんまり快く思ってないみたいだった(今までのデートは基本的に割り勘だった)けど、男は そういうもんだって言い聞かせて納得させた。
彼女のパニック症に関しては、ほんとにケースバイケースで俺も分からないことがたくさんあるけど、とりあえず頼れる人間がいれば大丈夫らしい。
それが親だったんだけど、常に親がついていくわけにもいかないから なんとか頑張ろうと思って俺がバイトしてる喫茶店にきたってわけ。
研究所には お父さんの友達で古くから彼女のことを知ってる人がいるから大丈夫らしい。
人ごみとかも極力避けたいけど その頼れる人といれば平気とのこと。
ちなみにその頼れる人のことを彼女は なぜか知らないけどコアと呼ぶ。
48 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:23:29 ID:MXx0ba1si
当日、彼女の実家に泊まらしてもらい、朝早くからでかけた。
「早起きは〜♪ 辛いけど〜♪ ディズニーが〜♪ 待っている〜♪」
機嫌のいい時のくせで、思っていることをすぐ歌にする。
久々の俺の運転で 死にそうになりながら やっとの思いでディズニーに着いた。
コンビニで事前に買っておいたチケットを彼女に渡す。
「普段なんも買ってあげられなくてごめん。今はこんくらいしかしてあげられないけど、仕事したらちゃんと俺が出すから」
ちょっとかっこよすぎたかな?
「貧乏だってことは気にしてない。その分私が出せばいいんだし。ディズニー代も返すよ」
俺がアホだったのかもしれない。
俺のほうがよっぽど子供だったのかもしれない。
期待してたのは、
「ありがとう!今日はほんとに楽しもうね!」
って目をうるわせて言う彼女の姿だった。
世間の女の子が持ってる感覚とはギャップがあるのは理解してたし、それも魅力だと思っていた。
だけど、バカにならない値段のチケットをサプライズで買っておいたのに、感動されることもなく、貧乏って切り捨てられたことに、俺は傷ついた。
金に関して敏感になってたし、デートが割り勘になってたのも俺は負い目に感じてた。それもあって、俺は もうどーしようもなかった。
彼女は一万円を差し出してた。
俺はボロボロと泣いてた。
「一万円が、そんなに嬉しいの?泣くほど?」
「ふざけんな!!!!!」
49 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:26:37 ID:MXx0ba1si
そっからの記憶はない。気がついたら家に1人で帰って寝てた。
たぶん彼女をおいて、1人で車で帰ってきたんだと思う。
起きたら五時くらいで、電話には彼女のお父さんから何十件という着信が残されてた。
今になってはパニック症の彼女を あんな人ごみに置き去りにするなんて とても恐ろしいことがよく出来たもんだと思う。
でも、俺は自分のプライドがギッタギタにされたことに怒ってたから、反省することはなく、電話を折り返さなかった。
日が変わるか変わらないかぐらいに彼女のお父さんからメールがきた。
ムスメはパニックになってもう少しで倒れるところだった、
私は仕事だったのに中断して千葉まで迎えに行かなくちゃいけなかった、
ムスメは治ってきてるとはいえパニック症なんだから気を使って欲しい、信用してたのに、失望した…
俺は返信しなかった。
ムスメが可愛いのはわかるけど、俺の気持ちはどーなるんだよ、傷つけられたこの気持ちは なんなんだよって思った。
お父さんすらウザくなった。
彼女から連絡がくることは無かった。それもツラかった。
本人の連絡じゃなくて、来るのは全部お父さんからだったから。
俺と彼女は、こうして終わりを迎えた。
その翌日の大学の講義でもらったプリントに ギフテッドはサイコパスでもあるのかなぁ。 みつを って書いたのを覚えてる。
彼女がいればいいと思ってたから、大学に友達は少なくて、俺は くっそつまんないキャンパスライフをたんたんとこなした。
講義にはフルで出席、成績もオールA、カテキョのバイトに本気を出して(自分なりの指導要項とかをまとめて塾長に出したらすげぇ引かれたけど そっから仕事増えた)、楽しみは映画だけの毎日を過ごした。
3年の終わりから なんとなく就活を始めて、4年の夏くらいまでは就活に夢中になれた。
成績も悪くなかったし、ゼミ長のコネで そこそこの会社に就職が決まった。
単位は足りていたので、ルームシェアしていた奴に別れを告げて実家に帰って半年ゆっくり過ごすことにした。
>>次のページへ続く
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