彩とは中学が同じで、その頃から割と仲が良かった。
高校も同じだった。
けれど高校では俺が少し内向的になったこともあり、そこまで絡みは多くなかった。
大学で同じ学科になり、お互い周りに知り合いもいなかったから、行動を共にするようになった。
それで自然と仲良くなり、向こうから告白された。
中学の時から好きだったと言われて驚いた。
「というかるっきー(俺)が いたからこの学部にした、みたいなとこあるからね」
「マジで?」
「うん。大学も最初は他のとこ行こうかと思ってた」と言われた。
彩は俺のことを『るっきー』と呼んだ。
俺は大学で新しい友人が出来なかった。
俺が多少コミュ症ということもあるが、半分以上は彩のせいでもあった。
学科が同じだから卒業に必要な単位も同じ。だから全く同じ授業を登録して、大学では いつも一緒だった。
必修以外の授業は合わせる必要はなかったけど、彩が同じほうがいいと言って、一緒に授業を組んだ。
「だって そのほうが一緒にいられるじゃんクロードヴァンダム」
「レポートも二分の一の労力で済むしね」
「あー、そんなこと言う〜? ならレポート見してあげないよ」
「逆に彩が見せてって泣きついて来そうな気がするんですが……」
「助け合いは大事だと思いますはい」
俺は公衆の面前で あまりイチャツキたくなかったが、彩が俺にべったりだった。
人前でも平気で腕を絡めて来たりした。
最初は少し恥ずかしかったけど、正直悪い気はしなかったので強くは拒まなかった。
そして慣れって怖いもので、そのうち あまり恥ずかしいとも思わなくなって来た。
周りから見ればバカップルだったと思う。
授業で一番後ろの席に座った時のこと。
隣の席の彩が、体を密着させてきた。
それと同時に足を絡めてくる。太ももと太ももが擦れてくすぐったい。
「なんかドキドキするね」
すぐそこのニーソとスカートの間から見える白い肌が気になって授業どころではない。
彩が太ももをこすり付けるように小刻みに動かしてくる。
授業中なのにムラムラしてしまう。
彩は悪戯っぽい笑みを浮かべている。
「あれれぇー、るっきーのここ、硬くなってない?」
ズボンの上から やさしい手つきで下腹部をさすってくる。かなりヤバい。
「授業中なのに勃起しちゃったんだ〜?」
お前のせいだよと言いたくなる。綾の手が気持ち良くてますます硬くなる。
「どんどん硬くなって来てるね」
さらに体全体をこっちにもたれさせて、耳元で囁いた。
「私も……変な気分になってきちゃった…………」
こちらを挑発するような声色。
もうたまらんと思い、二人で授業を抜け出し彩の家に向かった。
俺は実家から通っていたけど、彩は大学近くのレ○パレスで一人暮らしをしていた。
彩の家に着くとすぐに押し倒した。
「やんっ! るっきー大胆!」
鍵もかけずに そのままセックスした。
かなり燃えて、二、三回戦までやった。
こんなことばかりしていたから、必修以外の単位をかなりの数落としてしまった。必修だけは頑張った。
彩はバカだから必修の授業も関係なく、授業中にちょっかいをかけてこようとしたから軽く叱った。俺だって我慢するの大変なのに。
「だってるっきーがイジリたくなるような顔をしてるからいけないんだもん」
よくわからない拗ね方をしていた。
正直俺達はちょっと浮いていた。
けれど他にもっとヘンテコな学生がいたので助かった。田舎のヤンキーみたいな学生もいた。ビジュアル系目指してんのかってやつもいた。もちろん普通のやつも大勢いたけど。
ホントに自由な学科だった。
留学生も そこそこいた。
韓国からの留学生のカン君は とても優秀な学生だった。というか日本に来る学生って ほとんどが優秀な気がする。俺が大学で会った留学生は全員優秀だった。
カン君は顔が映画俳優みたいに整っていて、背も高かった。背が高いから細く見えるけど、筋肉もついていた。いわゆる痩せマッチョだった。
しかも四カ国語が喋れた。韓国語、英語、中国語、日本語。あとドイツ語が ほんのちょっと。でも日本語が時々おかしい時があった。もしかすると英語と中国語も そのレベルなのかもしれない。
コミュニケーション能力は すごく高かった。いつも人の輪の中心にいた。
授業でも、積極的に質問していた。他の学生は誰も質問しないのにカン君だけが質問するから教員からも気に入られていた。
アジアの学生って勤勉だけど おとなしい学生が多かったからカン君は珍しいタイプだと思う。
真面目だけど陽気で おとぼけたところがあって、みんなから愛されるキャラだった。
俺にとってもカン君は、大学の中で話しやすいほうだった。