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ギフテッドの彼女と付き合ってた話
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39 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:06:57 ID:MXx0ba1si
映画はあんま面白くなかったから割愛。何見たのかも覚えてない。

彼女はチケットカウンターの人とか売店の人とかと話すのも緊張するらしく、人と接する時は「貴方に一任します」って言って離れて行った。

道端でティッシュを配られてもキョドるし、あげくのはてには路上で

「桃がこれだけで1000円!安いよー!」

とか言ってる奴に対して

「あの人、もしかして私に言ってるのかな?私は無視してたことになるの?」

とか言い始める。

映画が終わってから、夕食に誘って一緒に居酒屋に行った。

家庭のこととか、プライベートのことを聞くとあまり答えたがらなかったけれど、俺は もっと彼女のことを知りたかった。

そのためにも、酔わせる必要があると思ったんだ。

「酒、飲んだことある?」

「お父さんとなら」

「そとで飲むのは?」

「お父さんとなら」

「飲みに行かない? やっぱり、酒飲みながら話した方が楽しいよ?」



40 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:07:56 ID:ug2olLIZw
wkwkしてきた



41 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:08:21 ID:MXx0ba1si
居酒屋に入って、しばらく飲むと、彼女はいい感じに酔いはじめた。

俺は聞きたいことを片っ端から聞いた。


「イギリスの頃の学校の友達とかいないの?」

「いない。その学校は普通の授業がなくて、先生と個別にお話するだけ」

「それって学校じゃなくない?」

「頭のいい人だけが行く塾って言った方が近いかも。」

「へー。じゃあ頭いいんだ?」

「周りはそう言う。自分ではそうは思わないけど。私、ギフテッドらしいんだ。」

「へ? 何?」

「ギフテッド」

「何それ?」


酔わせていたと思ったのに、彼女は「ギフテッド」と言った瞬間にシラフに戻ったかのようだった。

まるで、禁句を言ってしまったかのように。


「…私が質問する番ね!」

「いいですよ」

「どうやったら、人と話せるの?」

「…難しい質問だね 逆に、なんで上手く話せないの?」

「だって、何考えているか分からないじゃない?」

「人って他人について あんま考えてないから、気にしなくていいと思うよ。というわけで、酒注文しといて!トイレいって来る!」


「…え…何頼めばいいの?」

「あなたに一任します」



42 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:11:03 ID:MXx0ba1si
結局 頼んでなかったけど。

店を出たのは2:00くらいで終電は当然ないので一緒にタクシーに乗って彼女を自宅まで送り、それから家に帰った。


俺は翌日、ギフテッドについて調べた。

wikiにも載ってるし、知ってる人もいると思うけど一応説明。

ギフテッドは先天的にIQの高い人のことで、いわゆる天才ってこと。


自分の興味のある分野については とことん調べ、学び、理解するが、興味のないことはまったく知ろうとしない。

これがギフテッドっていう明確な定義はないんだけど、IQテストとかで分かるらしい。

俺が天才だと思っていた人は文字通り、天才だったわけ。


それからしばらくたって、夏の終わりくらいに彼女からメールが来た。

親が会いたいと言っているから、夕飯を食べにウチに来ないか という誘いだった。


酔わせたことを怒られるのか…

でも、確かに仕方ないよな…俺が悪いし。

俺は土産を持って彼女の家に行った。



43 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:12:30 ID:MXx0ba1si
最寄駅で待ち合わせて、彼女の自宅に行く。

「ただいまー」

「お邪魔します…」


ドタドタドタ

「君か!君か!上がって上がって!何これ お土産!?ありがとうね!わざわざ!さ、さ、上がりなよ!」

伊東四朗似のおっさんがハイテンションで迎えてくれた。

彼女が自宅に友達を連れてくるのは史上初らしく、豪勢な夕食が用意されていて、ほんとに友達いないんだなぁ と思った。


お母さんは竹内結子がめちゃくちゃ太ったみたいな感じの人で、お父さんは ぽちゃってしてるだろ? って言ってたけど どうみてもデブでした。

でもすごい気さくで、「本当にありがとうね。このまま友達でいてやってね」って何度も言ってた。


夕食を食べ終わって、彼女とお母さんが片付けをしている時に俺はお父さんに別室に呼ばれた。




44 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:15:02 ID:MXx0ba1si
何故かは分からないけど その別室には『イチゴ白書をもう一度』っていう曲が流れていた。

(お父さんが聞け聞け言うから今iPodに入ってる)

俺は先に謝った方が感じがいいと思い、

「このあいだは娘さんを酔わせてすいませんでした。」

「え? いいよ全然! むしろもっと誘ってやってよ。あいつ友達いないからさぁ。最近は君の話しばっかりするよ。急に映画を買うようになったと思ったら それも君の影響らしいし。」


てっきりTSUTAYAとかで借りていると思ったら さすが真性コミュ症、ネットで買っていたのだ。

「それでね、ここだけの話だよ…?あ、メアド教えて」


突如メアド交換。

直後メール受信。


文には あいつ実は他人とうまく話せないんだ!!!!! て書いてあった。

実は知ってます。 って返信した。

このあと この謎のメール送受信が ちょっとの間繰り広げられた。

お父さんは彼女のことを全て話した。


ギフテッドであること、コミュ症であること、日本に戻って入った高校の頃にイジメにあって人間不信になり、最近は治りつつあるけど まだ人が怖いこと、

友達がいないこと、だから娘とずっと友達でいて欲しいこと、娘はカラオケにも一緒に行ってくれないから俺と行きたいこと…などなど。

本当に、この人は娘のことが可愛いんだなぁと思った。



45 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)01:17:13 ID:MXx0ba1si
それから ちょくちょくあっては映画を見て、夕食を食べて、彼女を家まで送り、俺とお父さんとお母さんと彼女で晩酌をするっていうデートが続いた。


11月くらいに、付き合って下さいと言った。

もうその頃は ほぼ付き合ってるようなものだったけど。

彼女は冗談で「その理由を論文にしたらね」と言い、俺は真に受けて論文を書き、よろしく付き合うことになった。


彼女とのデートのバリエーションも増えていった。

映画がメインに変わりはなかったけど、俺が好きなバンドのライブに付き合ってもらったり、彼女が行きたかったのに友達がいなくて行けなかった博物館とか科学館とかに行った。


研究所の手伝いが終わると夜遅くなるので、ちょくちょくルームシェアしてる友達がいない時に俺の家に泊まったりもした(親公認)

ケンカもした。

相変わらず数学系は全然だったので、彼女に教えてもらっていたのだが、

彼女は「本当にどうしてこんなのが分からないのか不思議でたまりませんな」とかいいながら教えるから

「どーせ教えるんならバカにしないで教えてよ」みたいなことを俺が言って開戦。

だいたい そういう日は俺がメールを無視して、日が変わる直前に彼女が電話で

「仲直りしなさいってお母さんに言われた」

ってしぶしぶ謝ってきた。


お母さんが〜ってのは もちろん嘘。日が変わるまでは俺が謝るのを待っているらしい。

頭はいいけど精神的には小学生くらいだったと思う。




>>次のページへ続く
 
カテゴリー:男女・恋愛  |  タグ:純愛, 青春, 胸キュン,
 


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