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「娘さん下さい!」って言いに行くww
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190 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 16:14:07.56 ID:4QDc0c6v0
小学校は普通小学校に入学をした。

障害者に対するある程度の理解と内容があったからだった。

それに将来的に「ろう者」と位置づけられるか「難聴者」と位置づけられるかは今のところどの小学校に通ったかで分類されてしまうらしい。これは母親の意向が大きかった。

小学校に入学。

低学年1〜3年までは学校の対応も そしてユウ自身の勉強も順調だった。

昨今大学の講義で見られるノートテイクはなかったが黒板に書かれた文字、そして教科書を目で追えば十分だった。

しかし四年になると勉強の複雑化からクラスに追いつけなくなり軽度のイジメが起こった。

いずれは起こる事態だと母親は そこまであたふたしなかった。イジメもひどくはなく担任からの注意で収まる程度だった。

しかし勉強がダメ。

担任も大変面倒見がいい人だったのだが限界はある。

そして五年生にあがると同時に俺より一年先に例の塾に通いだす。


204 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 16:21:22.93 ID:4QDc0c6v0
しかし一向に改善されない。

面談の時に渡される学習プラン表には「よく出来ています」「GOOD」なんて書かれているもののいまいち納得が出来ない。

まぁ、酷いもんだよ。適当だったもの、あの塾。

しかしユウの母親は気の弱い人なのか、長い目で見ようと思ったのか。ユウ自身も行きたくないとも言わないので通塾を続行させた。


そして一年が経ち・・未だに四年生の範囲が終わっていない。さすがに母親は辞めようと思ったと言う。

六年生になり四月分の月謝を払ってしまったので五月から休会をしようと思っていた。

その矢先に俺が登場したわけだ。

「じゅくたのしい」

その一言で母親は満足だったという。

それに自主的に勉強をし始めた娘の姿に感動のあまり倒れそうになったともw

塾から帰ってくるたびに俺のことを話していたと。


聞いていて正直こっぱずかしかったw

中学校も出来るならば公立に行かせたかったようだが。

障害に対する訓練の充実を重視すべきだということから ろう学校に入った。

そして今に至る。




206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 16:23:06.88 ID:4QDc0c6v0
俺は一時間弱話を聞いていたと思う。

人の話をダラダラと聞くのは好きなほうではないのだが聞き入った。

もっと詳しく聞かせてほしい気持ちもあったが「ユウの方は平気かしら?」という母親の一言で俺が何しにここに来たのかを思い出した。

「すいません!」と言ってユウの部屋に戻った。

「終わった?」

机を見るとユウの頭が乗っていた。

近づいても気づかない。

そっと傍に寄って見た。

「すぅ・・すぅ・・」

と小さな寝息を立てている。

あちゃ・・寝ちゃったのかよwと思いそっとテキストを手に取った。

指定した問題の先もこなしていた。

丸付けすると ほぼ満点。

俺が教えていない範囲の問題も ほぼ満点。

文法、知識的な部分を除いてはね。


209 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 16:27:54.82 ID:4QDc0c6v0
ここで疎い俺は気づいた。

考えてみれば英語を教えてなんて おかしな話なわけで。

映画を英語字幕で見ることも出来るし結構難しい英語のテキストもなんなくこなしていたしね。

家庭教師なんてのは俺と会う口実だ、たぶん。

(自意識過剰でさーせんw)


ユウは好意以上のものを俺に抱いているのではないかと・・。

でも同時に無理だと思っていた。

歳が離れている。

これは表面上の言い訳。

本当は、俺はこの子を支えてあげられるほど強くないってこと。障害を理解するのとは別の話だ。



しばらくするとユウが目を覚ました。

机に押し付けられたほっぺたが赤くなっていた。


212 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 16:30:27.12 ID:strTKhqnO
やばい泣ける

仕事中なのに


213 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 16:31:12.37 ID:U0heHJxiO
久しぶりの良スレで涙腺崩壊しそう…



215 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 16:32:12.34 ID:4QDc0c6v0
俺は おもわず笑ってしまった。

「ねてた?」

「うん」

俺はテキストを彼女に渡す。

「せんせがこないからたよ」

「ごめん」


俺は彼女に帰ると告げた。

いつものように玄関まで見送ってくれた。

普通は会話をして帰って行くんだけど俺は無言だった。

一度だけ後ろを振り返った。

ユウの姿はない。しかしすぐに何かを抱えて戻ってきた。

「せんせ、これ」

その日はバレンタインデーの数日前。白い包装に包まれたチョコだった。

「ありがとう」

いつも以上に口をはっきりと開けユウにお礼を言った。

生まれてこの方バレンタインチョコなど貰ったことが ほとんどない俺はここでテンションマックスwwになって然るべきところ。

でもこの時は重かった。例え義理チョコだとしても。

ユウは俺の言葉に照れたように笑う。

「せんせ、きょうもありがとう」

「うん」

いつもなら手を振って帰るのに それ以上は何も答えずに玄関を出てしまったのを思い出す。


219 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 16:33:40.44 ID:4QDc0c6v0
家に帰って中身を見た。

『リンツには負けるけれど・・』と小さなメモが。

確かにw

すこし苦かった。でもおいしい。甘くなくていい。

しかし何故か心は晴れない。

考えても無駄だと その日は眠りについた。


225 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 16:36:14.54 ID:4QDc0c6v0
俺は次の日曜から家庭教師のバイトを休むようになった。

『転職先を見つけるため忙しくなる』とユウには言った。

ユウに会うことが出来なかった。気持ち的に。

事実、仕事先を見つける動きもみせていた。

そろそろ貯金もやばい・・。

しかし そうはいってもやっぱり探すだけで応募しようとはしなかった家で引きこもることが多くなった。

相も変わらず付き合っていた彼女とは数回会うだけ。

会っても お互いの笑顔も減った。

性欲なんてのも彼女に対してわかず飯を食っては帰っていくだけ。

「仕事は順調?」といわれても「まぁ」と答えるだけ。


そんな感じでgdgdと過ごして年度も変わり桜も散った五月。

ユウがちょっと時間を作ってくれとメールで寄越してきた。

俺は渋々承諾した。

駅近くの喫茶店で待ち合わせをした。


227 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/04(木) 16:40:34.45 ID:4QDc0c6v0
「せんせ」

ユウはいつも俺より早く到着している。

「どうしたの?」

「しんろのことてそうたんがあるの」

ユウがそう言うと近くに座っていた他の客が数名俺達の方を見るのが分かった。

「だいがくに、すすむのか?」

「よねんせいはむり」

「どうして?」

「はやくしゅうしょくしておかあさんをらくに」


就職・・。痛い響きだった。

それ以上に気になったのが周りの視線。

構わず続けた。



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:人生・生活  |  タグ:感動・泣ける話, 結婚, すっきりした話, 純愛, 胸キュン,
 


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