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バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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188 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:22:42.66 ID:Q5UKg1qg.net
「・・・」

ただ悩んでいるよりいいと散歩をして川沿いの道で欄干に寄りかかりながら考える。

正直 白石があの発言をしてから少しギクシャクしている。

というかあれから白石とは顔を合わせていない。

電話は出てくれないし、メールも一応は帰ってくるが俺がバイト中とかの時に意図的に返されている気がする。

一応の所、白石の目標が それだというのだから否定なんかはしていない。

単純な話、白石になんて言えば良いのかが分からなかった。

白石がやりたいことなら応援してやるべきだと思う。

だがそれでも「がんばれ」は無責任すぎる気がした。


そして この時になってふと思い出す。

いつの日か何か悩んでいそうな素振りを見せて、それでも俺には言わなかったあの日の事を。

情けなさに頭を掻く。

ひとまずは成人して それなりに成長したと思っていたのに中身なんか何も変わってなくて、「やりたいことは何だ」って聞いたのは俺なくせに、いざ答えられたら解決策どころか返す言葉にすら困った。



190 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:25:47.09 ID:Q5UKg1qg.net
夢、といえば聞こえはいいが現実味がないと言えばより近しいだろう。一番最初に考えてしまったのがそんなことだった。

「夢は何ですか?」なんて聞かれたのは結構昔の、そう、小学校の文集くらいだろうか。

そう聞かれていたかと思えばいつの間にやら親や教師でさえ、「現実を見ろ!」と頭ごなしに言うようになっていた。

「大人になったんだから」なんて理由をつけて無理やり現実を見るようになってしまったのかと思うと自分に嫌気も起こる。

幸いにも明日は休日。あの日からちょうど一週間である。

『明日うちに来れるか?』

内容は簡潔に、ただそれだけの文章を入力して、送信するのに入力の何倍も時間をかけて、煙草一本をフィルターギリギリまで吸ってからようやく送信した。

返信がきたのは その日の就寝前に最後に見た時の事。

『4時過ぎに行くよ〜!』

その一言だけだった。



192 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:30:45.41 ID:Q5UKg1qg.net
いつもよりも念入りに掃除をして、いつもよりも何割か増しで緊張しながら、白石を待っていると予定とほぼ同時刻で白石はやってきた。

「お邪魔しま〜す!!」

「おう・・・」

「あれ、どうしたのお兄さん?元気ないね?」

「いや、そうか?」

いつも通りの、いや、いつもよりもより元気な白石に多少驚きながら対応する。

「あ、そうだお兄さん!この前の事なんだけどね!同じ部活の子がね!」

「まぁ待てって・・・茶淹れるから・・・」

茶を淹れて一息つきながら雑談をする。少しすると間が空いた。

「なぁ、白石・・・」

「ん?何?あ、そういえばね!さっきの子の話なんだけど!」

「白石・・・白石!」

白石の話を切るために語気を強める。

本当は分かっているのだ。

白石が何故いつも以上にハイテンションで俺を聞き役に回らせようとするのかも、俺が少しでもそういう雰囲気を見せると強引に話題を変えるのかも、全て分かったうえで、その上で俺は切り出す。



191 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:28:53.69 ID:Q5UKg1qg.net
「進路のことは…実際どうするんだ?」

「・・・・」

先程と打って変わって伏し目がちに俺を見る白石。

この話題を先延ばしにすることもできる。でもそんなことは刹那的なものだ。それは、逃げだ。それに何より一番影響があるのは白石本人だ。


自分に喝を入れなおし白石に言葉を続ける。

「別に怒ってるわけでも無ければお前に対して何か言いたいわけでも無いんだが・・・その、何ていうかお前にとってもこの一年は今後の進路を決めるわけでだな?

早めに道を固めておいた方が良いと思うんだよ。お前が本気でそうしたいって言うなら俺はどんな目標でも出来る限り応援するつもりだからさ、現時点でお前がどうしたいのかをちゃんと示してくれよ。」

言い訳っぽくなってしまって自分で思い直したくせに気まずさを覚えながら白石の方を見る。

きっと答えは決まっているんだろうけれど、あえて聞くことにした。

言葉にするってことはやっぱりとても重要なことだと思う。



193 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:33:55.58 ID:Q5UKg1qg.net
「音楽で、生きていきたい・・・」

「・・・そっか。」

白石の答えは変わってなかった。心から行きたいんだと白石の意思の強さをその目から感じる。

そのまっすぐさが眩しい。夢に向かって進める人間が放つ生き生きとした輝きだ。

「でも、大学は行くよ。やっぱりそれだけじゃ駄目かもだし。」

「・・・ん・・・分かった。」

「さて・・・じゃあ お兄さん、改めて勉強教えてねww」

この話はここで終わった。だからこそ、白石の言葉に俺も笑顔で頷いた。



194 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:35:32.36 ID:LEl0AWdo.net
エロ描写しっかりお願いしますよ・・・・


195 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:38:35.65 ID:Q5UKg1qg.net
>>194
書いた方がいい?wあんまりエロ展開無いんだけど



一年の中で一番短い月はいつの間にか終わって3月を迎えていた。

とはいってもここは津軽。

春なんて雪が降らなくなった時のことを言うのであって、つまりそれは4月の上旬あたりだ。

つまりそれは白石がうちに入り浸る状況は続くことを意味する。

「おにいさーん!お茶切れてるよー!」

「え?マジで?」

「あー、ホントだ…どうすっかな…コーヒーでいいか?」

「むぅ…今日は仕方ないかぁ…砂糖と牛乳は入れてね?」

「はいはいww」

コーヒーは俺、お茶は白石という暗黙の了解ができたのもいつだったか。それだけ白石が入り浸っているということか。

(そういや3月か・・・)

白石の誕生月だ。と言っても3月の30日までは結構時間がある。考える時間があるということだ。

しかし ふとここで気づいたことがある。そう、誕生日なんて女子に何を贈ればいいのだろうかということだ。



196 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:41:02.71 ID:Q5UKg1qg.net
「ねぇ店長、仮に誕生日に贈られたら嬉しいものって何ですかね?」

駅の近くとはいえ街に人が少ないから結果的にこの店は意外と客足が少ない。

機を見て自分よりも大人な店長に聞いてみた。

「もしかして何か贈り物かい?」

「ええ、まぁ・・・」

目線を逸らしながら答える。内訳としては気恥ずかしさ二割、輝くジャムさんの眼から逃れるため八割だ。

「そうかいそうかい。いやーそうかーww」

「あの、アドバイスを・・・」

「ああ!そうだね!」

あの薄笑いのなかで他に何を考えていたのだろうか。

「そうだね・・・私はプロポーズの時に花を渡したけどね・・・」

「花、ですか・・・」

「うん、誕生日の花っていうのもあったりするものでね?僕がプロポーズしたときは そうしたんだ。でも後で花を買ったのと違う店に行ったときに店員さんに聞いたら別の花が誕生花だって言われてね。あの時はびっくりしたなぁww」

「花・・・」

案としては良いと思う。後で調べておくとしよう。



197 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:42:42.42 ID:Q5UKg1qg.net
「そこまで大層なものじゃなくて・・・誕生日なんですよ。」

「あー、そっかそっか・・・ごめんね?そうだな・・・僕はアクセサリーだったかな?」

「なるほど・・・」

妥当なものだと思う。だが白石は意外とアクセサリーとかをしない。

曰く、「ギターを弾くときにいちいち外すのは面倒。」とのこと。

そうであればペンダントとかが良いのだろうか?

結局バイト中は そんなことをずっと考えていた。



198 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:44:48.93 ID:Q5UKg1qg.net
「お兄さんさ、今日何の日か分かる?」

いつものように うちに来ていた白石が俺に聞いてきた。

3月の末。新学期を間近に控えて浮き足立ったりする季節。雪もほとんど溶けかかった頃。

この日は勿論、白石の誕生日だ。

「んー?んー…マフィアの日だな…」

あらかじめ調べておいた答えを答えて白石の反応を伺う。

「え!?嘘!?」

「ホントだ。調べてみろ。」

「…ホントだった。」

「ほらな?w」

「そうじゃなくてさ!こうさ!何かあるでしょ!?」

むくれる白石をなだめるように、「はいはいwそう慌てんなってwちょっと待ってろ」

少し白石を待たせて隠しておいたプレゼントの箱を持ってくる。



199 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:47:03.59 ID:Q5UKg1qg.net
「え!なにこれ!」

「いや、だからプレゼントw」

「嘘!え、ホントに!?」

「自分で何の日かって振っといていうセリフか?それwまぁでも、あんまり期待するなよ?」

「開けるよ?」

手だけでどうぞと促すと白石は箱のリボンをこれでもかと言うほど丁寧にほどいて箱を開けた。

「・・・時計・・・?」

「ごめん。嫌だったか?」

「ううん、そんなことない!すっごく嬉しい!つけていい?」

確認するように俺を見るので頷くと白石は左手の時計をはずしプレゼントに付け替えた。

「・・・ちょっと大きいか?」

手首につけてみると僅かに大きいのが判る。

何度か握ったことのある太さだけが頼りではやはりぴったりのものは作れなかった。

「お店の方行ったら後でも修正してくれるらしいから今度行くか?」

「うん・・・うん!ありがと!大好き!」

抱き着いてくる白石に悪い気はしなくて、現金だなぁなんて言って俺は笑った。



200 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:50:07.80 ID:Q5UKg1qg.net
白石の受験が近づいていくと必然だが それまでよりも白石と会う機会は減って行った。

春先は三日に一回くらいだったのが、夏休みを挟むと一週間に一、二回になり、秋にもなると数週間に一度程度になっていた。

連絡は取るようにしていたので距離感が離れたと感じることはほとんどなかった。

それでも時間は過ぎていって、気が付けばすっかり季節が巡っていて、随分と昔に溶けたと思った雪がもう少ししたらまた降り出す時期になった。

「お兄さんさ、最近どう?」

その数週間に一度の日に、白石は出会ったときのように夜の公園でギターを手に俺に話しかけてきた。

「どうってのはまた抽象的な聞き方だな?・・・そうだな・・・」

思い返してみる。

大学に行ってそれなりに勉強して、空いた時間はバイトだったり伊達らと どこかに車で行ってみたり、十分に充実はしていると思う。

これ以上は贅沢だと思うほどに充実はしているものの・・・

「何か、物足りない・・・かな?」



201 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:52:47.93 ID:Q5UKg1qg.net
不思議なものだ。つい一年半前は知り合いですらない人間が、今ではいないと違和感を感じるほどになっているなんて。

「そっか・・・ふふ・・・そっかww」

「何だよ・・・不気味だなぁ」

「いや・・・同じこと考えてるんだなぁって思ってさww」

「・・・そうだな・・・」

きっと一緒に居られる時間は、もうそう長くない。少なくとも白石がここに居られる時間は。

それでも今は、少なくとも今は、現実から目を逸らしていることを分かっていながら俺は何も言わずに、ただ微笑んでいた。



202 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:55:24.77 ID:Q5UKg1qg.net
「じゃあ お兄さん!一年とちょっとを祝して・・・」

「それでいいのか?」

「じゃあ何に乾杯するの?」

「白石の合格を願おうぜ?w」

「じゃあそれで!」

『かんぱーい!』

白石はノンアルコールのジュース、俺はそんなに強くない日本酒を片手に乾杯する。

今日は聖なるリア充たちの日。

クリスマス・イブ。

本来であればキリスト教徒たちがキリストの生誕を祝う日の前夜祭である。日本においてはリア充の日でもいいじゃないかと個人的に思う。


「しかし受験生がこんなところでこんなことしてていいのかね?もう追い込みの時期だろ?」

「だいじょぶだいじょぶ。今日ぐらいはいいじゃんw」

「まぁ、白石が大丈夫っていうんならだいじょぶ何だろうが・・・じゃぁそうだな・・・今ぐらいは受験忘れて楽しむか。」

「ん?愉しむ?」

「おいこらそこww」

どうしようもない会話をしながら二人で笑いあう。



203 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:58:15.78 ID:Q5UKg1qg.net
抑圧からの解放からか白石の機嫌も いつもよりも幾分か良いようだ。

「どした?なんかいいことあったか?」

「んー?いや、何だかんだで一年以上も一緒に居たんだなぁって思ってさぁw」

「まぁ・・・そうだな・・・」

「それにその・・・」

「?」

「去年は、ほら、あんな感じだったじゃない?だから、今年はこういう風に居られて良かったなぁって・・・ww」

少し もじもじしながら白石は恥じらうように、それでいてとても嬉しそうに微笑んでいた。眩しすぎて正視できないのは俺の気のせいではないだろう。

「来年からは、きっと会うのも結構大変になると思うけど、これからも、こんな風に過ごせたらいいな・・・」

白石が口にする言葉は、きっと真実でその上現実味があって、受け入れたくなくて、どこか寂しげだった。

「うん・・・」

彼女に何と言うべきなのかという答えを、俺は持ち合わせていなかった。

「お兄さん・・・月・・・綺麗だよ・・・」

室内の、その上雪の降るこの日に月なんか見えるわけなくて、だからきっと、言いたいことは一つなのだろう。

「ああ・・・俺もそう思うよ・・・」

雪が降っているせいだろう。部屋は切り取られたかのように静かで外の音がほとんど聞こえなかった。



205 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 14:16:26.43 ID:Q5UKg1qg.net
白石はその日から連絡が取れなくなった。正確には俺の方から連絡を取らないようにした。

センター試験まで二週間を切ったのだからしょうがないが、何もしてやれないのかという無力感と、俺の事でもないのに名状のしがたい緊張感と焦燥感に駆られていた。

「小島君、最近落ち着きないよね?」

「そう、ですかね?」

だからジャムおじさんのこの発言にドキリとしたのは事実だった。

直前の模試はどうやら自分の中で一番いい成績を出せていたらしい白石だったが、それでも油断することなく勉強をしているらしく、自己採点の報告以降ほとんど連絡がなかった。

「もしね、君が迷っているならゆっくりでもいいからしっかりやっていくといい。君以外の事で焦っているなら・・・時間が経つまで待つしかなかったりするものだ。」

年寄りの独り言だよ。苦笑気味に店長は俺を優しく見ていた。



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:読み物  |  タグ:青春, すっきりした話, 純愛,
 


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