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バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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283 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/09/10(土) 22:46:01.87 ID:y4H7mC4j.net
キャスター?


285 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 22:52:39.35 ID:Q5UKg1qg.net
>>283
やね。


いや、それにしてもいじりがいがありすぎる

先輩だし今後の業務に支障をきたすのは流石に不味い。今回はこのくらいで…

「…ない…」

「え?」

相変わらずゆっくりと紫煙を吐いて、さていつ切り出そうという余裕を持っていられるのはここまでだった。

「いない、よ」

振り向くとがっつりと水を飲み干す戸田さんが目に入る。

「…すみません。少し酔ってるみたいです…」

「う、うん…」

微妙に気まずくなって会話もないまま並んで座る二人。唯一の救いは そこからほぼ直後と言っていいタイミングで飲み会が終わったことだろう。



286 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 22:55:53.97 ID:Q5UKg1qg.net
こんなこともあってか社内で戸田さんと会うと微妙な空気になることが多くなった。

というか いつも通りに目で追っていると目が合う回数が多くなった。

そのたびに逸らされるので多少なりとダメージは負っていくのだが・・・



数日経ったある日。

上司から茶を淹れてこいと言われて給湯室にいくとまさしく茶を淹れていると戸田さんと出くわした。

「「あ」」

戸田さんは数秒視線をきょろきょろしてから、どうすることもなく作業を進めた。

「あの…」

「は、はい!?」

俺の方から声をかけると戸田さんの声がひっくり返った。

「俺、何か避けられてます?」

「いや、その…」

「この前のことは…その、すいませんでした…」

「あ…うん…」

「その、お詫びしたいんすけど…」

「い、良いよ別に!」

「いや、させてください。GWとか空いてますか?奢りますから」

「あ、う、っと…わ、分かりました…」

自分の中である程度けじめをつけたいという個人的な我儘でしかなかったが意外と押しに弱いようであっさりと申し出を受けてくれた。



287 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 22:58:30.23 ID:Q5UKg1qg.net
東京っていうのは便利だ。というか かっぺの俺からしたら少々便利すぎると思う。大衆居酒屋ではなく少し洒落た店が幾らでもある。少し田舎にも分けてくれ。

その店は値段的にあまり来れず行きつけというほどではないまでも、内装の落ち着き具合と喫煙が出来るという非常に気に入っている店だった。

「小島君…ここ高そうなんだけど…」

「ああ、気にしないでください。今日は俺出しますから」

「え!?悪いよ!?ていうか私先輩だし!」

「いえいえ、俺から誘ってますしww」

何度かこのやり取りを繰り返したが戸田さんは折れることがなかったので戸田さんが席を立った隙を見て会計を先に済ませた。

微妙に釈然としない戸田さんに、「次は戸田さんがどこか連れて行ってください」というと「あんまり高くないところね」と笑われた。



288 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:02:00.34 ID:Q5UKg1qg.net
そんな感じだったので一度誘ってしまえば後は流れというか誘いやすい感じになった。

といっても そんなに頻繁に行ったりはしない。

俺もそうだが戸田さんも余裕があるとは言い難いようであった。


何回か食事に行ったあとの帰り道。

家まで戸田さんを送っているときのことだった。

「今日もありがとね。逆方向なんでしょ?家。」

「ああ、まぁ、散歩だと思えば楽なもんですよw」

実際 東京の距離なんぞ田舎育ちの俺からしたら大したものではない。

「でも小島君意外と一杯お店知ってるのね?なんかどこもちょっと高級な感じで。」

「上司さんに教えてもらってるだけですよ。一緒に行ったことはあんまりないんですが、でもやっぱりああいうお店だとどうしても肩肘張っちゃうんですよねw」

「ああ、わかるなぁ。もっと落ち着いて飲める場所がいいよね。家みたいな。」

「ですねぇ・・・うちの周りとかは意外と静かなんですけど少し遠くて。」

「いいなぁ、今度小島君の家で飲もうか?」

「・・・え?」



289 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:06:17.70 ID:Q5UKg1qg.net
横を歩く戸田さんは すぐに気づいたのか それこそしまったという顔をして見せた。

「あ、ご、ごめん!い、嫌だよね!忘れて!」

「あ、いや、その、嫌じゃないんですが、戸田さんさえ良ければ今度・・・来ます、か?」

尻切れトンボな文章。嫌がられてもしょうがない。

しかし戸田さんは、

「じゃぁ、次は、小島君の、お家で・・・」

「は、はい・・・」

「あ!わ、わた、私ここまででいいから!じゃあね!」

「あ、お疲れさまで・・・」

皆まで聞かず逃げるようにマンションに入って行く戸田さん。

なんだかなぁ・・・

言葉にできない微妙な感情を覚えながらため息をついた。

本当にこれでいいのかなと口の中で言葉にする直前で口を閉じた。



290 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:09:24.56 ID:Q5UKg1qg.net
人間は「慣れ」の生き物だというのは耳にする話だが意外と真理だと思う。

大学で一人暮らしを始めれば いつの間にかそれに慣れて、電気のついてない家に帰ることに慣れて、横に居てくれる人がいることが当たり前になって、いなくなったことにすら慣れてしまう。

東京程そういったことを実感させてくれるところはないと思う。

壁の薄さに驚いたり、近隣住民との人づきあいの希薄さに驚いたりする。

それでも気づけば それらにすら慣れている。

だが何事にも例外はあったりする。

何となくふとした瞬間にテレビでもつけて、芸人たちが笑う声が部屋に驚くほどに響く。

胸の奥がざわついて、漠然と不安な感情に陥る。

孤独とか人恋しさが沸き上がってくるあの感覚に未だに慣れることが出来なくて、

伊達『未だに俺に頼ってると?いい加減もうちょい他に深い話出来る奴作れってwそれか独り立ちしろww』

俺「そういうなよ・・・それができないから困ってるんだろ?w」



291 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:12:23.59 ID:Q5UKg1qg.net
「・・・含みを感じるのは俺だけか?」

言いあぐねるような空気を一瞬だけ出した後に、『ホントに、いいのか?』

その言葉が小さいけど、確実に刺さった。確かに、ある程度は吹っ切れた。それはつまり、完全には吹っ切れていないってことで。

それなのに他に目を移していいのかと、こいつはそう言っている。

『まぁ他に目を向けること自体は悪くないことだとも思うんだよ。そうでもしないとお前は何だかんだ引きずりそうだし。ったくめんどくさい』

悪かったな・・・

しかしどうするか・・・

勿論綺麗だと思う。

好意もある。

白石の時のように年齢で引っかかるということもない。

それでもなお、どこかで「いいのだろうか?」と自分の中で渦巻く何かがある。



292 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:14:06.86 ID:Q5UKg1qg.net
『ま、俺に聞いても どうせすぐには答え出ないだろうから今回は悩め。決して女運良いお前に対して嫉妬してるとかじゃないからな?w』

「おい・・・まぁ分かったよ。進展あったら教える、じゃあな。」

通話が終わってしばらく何をするともなく呆然として、煙草に火をつける。嗅ぎ慣れた匂いがして、少し考えを巡らせる。

吸い慣れていたはずなのに嗅ぎ慣れたその匂いが鼻の奥を刺激して目の奥がわずかにがツンとした。



294 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:17:36.09 ID:Q5UKg1qg.net
数日後、戸田さんに書類を見てもらうタイミングがあった。

「相変わらず仕事早いね小島君。もう何年もやってるみたい。」

「いや、上司さんいないと全然で・・・」

書類のミスがないか見てもらいながらちょっとした雑談をする。

「あれ?戸田さん今日何か印象違いますね・・・メガネ変えました?」

「うん?うん・・・」

質問に生返事で返す戸田さん。

「髪もいっつも結ってるのに今日下ろしてますし。何かちょっと新鮮ですね・・・」

「うん・・・うん?どうしたのそんなに褒めて?なんかミスでもしたの?w」

「ああ、いえ、そういわけじゃ。」

「うん、特にミスはないかな?そうだ、小島君、今日大丈夫?」

「え、きょ、今日ですか?」

一応 掃除くらいはしてあるが唐突なことで驚いた。

「うん、何か呑みたい気分なんだよねー。金曜だし、宅飲みなら お金もかからないじゃない?」

「まぁ、ですね…」

「よし、じゃあ今日で決まり!残業無いようにねー。」



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:読み物  |  タグ:青春, すっきりした話, 純愛,
 


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