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バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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293 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:16:12.31 ID:y4H7mC4j.net
見てるよ


297 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:20:44.56 ID:Q5UKg1qg.net
>>293
ありがとう。もう終盤だからどうか最後まで・・・



「お邪魔しまーす!」

「どうぞ、あんまり綺麗にしてないんですが。」

最上級に綺麗にしておいても建前ってものが日本には存在する。

適当に買ってきた酒類をこたつ机に置いて、俺が買っておいた食材の調理を始める。

「すみません。今手早く何かつまみつくりますから座って待っててもらっていいですか?」

「あ、うん。小島君料理できるんだ…」

「一人暮らしして長いですしww エンゲル係数が一番削れますからね。」

梅干しと長いもを冷蔵庫から取り出す。

長いもは細切りにして小皿に、梅干しも種を取って二つをそのまま合わせる。

適当料理としては自信がある酒のつまみだ。名前なんぞないのだが。

「まぁどうぞ。おいしいかは保証しないんですけど。」

「あ、うん。ありがとう。」

「それじゃ・・・今週もお疲れさまでした。」

「「かんぱーい!」」

ささやかな声で乾杯をする。外の喧騒がどこか遠い。酒が入るとうるさいのは嫌になるあたり俺はきっと居酒屋は向いていないと思う。



296 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:20:22.24 ID:LEl0AWdo.net
JKはまだ出てくるんよな?


298 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:23:31.27 ID:Q5UKg1qg.net
>>295
>>296
ちょい長くなるけど見てくれると分かるはず。


「小島君てさ、彼女いないって言ってたじゃない?」

飲み始めて一時間半ほどだろうか。

俺が是非にと地元の銘酒を勧めていると酔いが回ったのか戸田さんは こんな事をいいだした。

「まぁ今はそうですね・・・」

若干言いよどんだ。酔ったとはいえこれは軽々に話したいことではない。

「にひひー私もいないって話したじゃない?二人ともフリーで小島君の家にいて、しかもお互い酔ってる。何も起こらない方がおかしいわよねー?」

中々嫌な突き方をしてくる。

「酔ってるんだから間違いがあってもおかしくないよね?」と俺に免罪符を出すあたりが特にキツイ。

「正直に言って戸田さんは魅力的です。お綺麗ですし仕事も出来て性格も悪くないと思っています。尊敬できる先輩です。」

「何々?おだてても出せるものなんて限られてるわよ?w」

「胸を寄せながら言わないでください・・・ですから、冗談でも そういうことを言うべきじゃないと思います。俺なんかじゃなく もっといいあいてならいくらでも…」

「なに、それ・・・」

言い方を気にするほどの余裕は酔った頭には残っていなかったらしい。戸田さんの眼が据わる。



300 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:26:57.54 ID:Q5UKg1qg.net
「あ、の・・・」

身を乗り出して俺に迫る。戸田さんの顔が目の前に。

心拍数が上がる。

「誰のせいでこんなこと言ってると思ってるの?分かってる?こんな歳になってから こんなこというのなんて恥ずかしいけど、しょうがないじゃない好きになっちゃったんだもん!」

言葉と同時に戸田さんの唇が近づいてくる。スローモーションのような感覚。

避けようと思えば避けられたはずなのに、体が動かなかった。

何年かぶりにするキスは、白石のとはまた違った感触がした。白石の薄い唇とはまた違って、少し厚い。

ほんの数秒で離れる。

戸田さんはそのまま俺を見てはにかむ。

「へへ、しちゃった、ね・・・」

可愛い。

「・・・俺でいいんですか?さっきも言いましたけど、もっと相応しい人が・・・ッ!」

指で唇を抑えられる。

無粋。

ただそれだけを目で訴え、そのまま何とも言えない目つきで俺を見つめてくる。俺をとがめるような、それでいて どこか興奮したような不思議な眼。

そっとその手を取って下ろす。



301 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:28:34.56 ID:Q5UKg1qg.net
「あの、戸田さん、これ以上、はちょっと・・・」

「小島君はしたくないの?い・い・こ・とww」

耳元で囁かれる。

鳥肌が立つ。

同時に心がざわめく。

「・・・これ以上は流石に、我慢できないですよ?」

「きゃーこわーいww」

「そういいながら脱がせないでください!」

・・・ああ、もう好きにしてくれ。

思考を停止させながらなけなしに残った理性で俺から襲うといったことをしなかったのが小さな矜持だろうか。



302 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:32:02.20 ID:Q5UKg1qg.net
順番がぐちゃぐちゃだったけど、結局戸田さんとは付き合うことになった。

「小島君は あんまり積極的じゃないけど付き合ってたら変わるかもしれないじゃない。」

戸田さんは あっけらかんとそう言って笑った。

今日もその戸田さんからの提案で「デートしよ!デート!」と言われてきたのは

「水族館ですか…」

「何か来たくなったんだよねー。小島君は無いかな?」

水族館に来るたびに思い出すとかまででも無いが何となく近づかなくはなっていた。

別に日常生活で来ることもないから大して考えていなかったが。

「…そうですね…あんまり水族館とかは、特に自分は地方から出てきた人間ですから休日一緒に過ごす人間がいないんですよねw」

「そっか…じゃあ、」

これからは一緒に居よう?そう言って一歩前を行く戸田さんがクルリと振り向き俺に微笑む。

笑顔で応えた。心の底から笑顔で応えようとはした。



303 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:33:38.75 ID:Q5UKg1qg.net
いつか見た日と同じように、けれど隣に立つ人が違うそんなデートだった

一々何かを見て驚いたように はしゃぐ表情が、ほんの一歩だけ俺の前を歩く姿が、ちょっとした仕草が、心を揺さぶる。

「戸田さん…」

「んー?どしたの?」

「…いえ、楽しいですか?」

「うん!とっても!」

何を言おうとしているのだ俺は。喉元まで上がってきた言葉を嚥下する。

「そうですか、よかったですww」


笑えているのだろうか。果たして俺は、心の底から。



305 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:36:33.49 ID:Q5UKg1qg.net
そんな感じで戸田さんといると心に引っかかりを覚えたりして仕事の業績が目に見えて落ちていった。

今まできっちり定時上がりかましていたのに そのときからはサービス残業をするようになった。



その日も数時間のサービス残業を終えた俺は もうすっかり慣れた電車内での吊革につかまりながらの、ちょっとした居眠りをしていた。

が、それがいけなかった。立ち寝にしては長々と寝ていたらしい。気付けば乗り換えの駅から二駅も通過していた。

金曜日なので明日に影響するということもないが、乗り過ごしたことに対する苛立ちを覚えてとりあえず電車から降り煙草を吸いに行こうとした。

手前勝手な話だが俺は煙草の煙をかけられるのがどうも苦手だ。だが自分が吸うのはあまり我慢したくないという何とも我儘な考えを持っている。

その駅の分煙ルームは生憎とすし詰め状態であり、そんな中では吸いたくないと駅からも出て少し歩き人通りの少ない方に歩こうとした。



306 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:39:44.95 ID:Q5UKg1qg.net
「ん?」

歩いていく方向に小さく人だかりができている。

東京に来てからは面倒なことがいろいろあるからと人が集まるところには近づかないようにというのを決めていたが、耳を澄ますと風に乗って音が聞こえてくる。

ギターの音色だ。

どうやらストリートパフォーマンスのようだ。

そういや白石と会った時もたまたまギターの音に誘われたんだったか。

今となって何もかも懐かしいと思いながら何の気なしに足はその人だかりに向いていく。

酔狂だなぁ。自嘲的に自分をなじる。

彼女をつくるなんて見切りをつけたはずなのに、自分の選択に後悔したりなんかしているから こんなに尾を引いているのだ。

俺も俺で社会人なのだから新しい出会いに目を向ければいいじゃないか。

人だかりの最後尾にたどり着く。

聞き馴染みのあるギターの音。

どこかで聞いた曲だ。

曲名を思い出す。

PRINCESS PRINCESSの『M』だ。



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:読み物  |  タグ:青春, すっきりした話, 純愛,
 


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