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バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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23 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 20:55:22.65 ID:V7RNIziR.net
「いや、ごめんねww お兄さんに迷惑かけたみたいでww」
店長からの尋問をかいくぐり逃げおおせると店の前で待つ彼女と合流した。
確実に確信犯な少女は笑いながら謝罪した。
中々いい性格である。伊達と同じ匂いだ。
が そうなると共通する弱みがあるはず。恐らくハプニングに弱いだろう。
後で試そう。
「いや、まあ、そういうこともあるよ・・・」
しかし今は怒る気力すら湧かない。今後のバイトが憂鬱だ。
「でもお兄さん あのコンビニでバイトしたんだね。私よく行くけど会ったことなかったから知らなかったよ。」
「ああ、シフトによって結構変わるからな。」
「いつもカッコいい店員さんだから あそこ行くんだけど偶然だね。」
「カッコいい店員ねぇ・・・」
福士君(福士蒼汰似のイケメン同僚)だろうか。何とも言えない敗北感を味わう。
やはり顔か・・・
24 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/09/09(金) 20:57:27.45 ID:V7RNIziR.net
こんなとりとめのない会話をしながら公園へ。距離にすると公園はバイト先から徒歩で三分ほどの距離だった。
いつものように彼女は ほとんど光が差さないベンチに腰掛ける。
「そういえばさ、お兄さんって小島って名前だったんだね。」
ギターをケースから出してチューニングしながら少女は思い出したように言った。
「ん?そうだけど・・・俺 名乗ったっけ?って、ああ、そうか名札か。」
「そうそう、よくよく考えたら私たち名前も知らないで二日間も当たり前に喋ってたんだよね、ちょっと不思議だね。」
言われてみれば ちょっと―というか かなり―不思議な関係だ。
「一応 私も名乗っておくね、白石、白石麻衣(しらいしまい、後々伊達がAKBだかの白石って子に似ているらしいので便宜上)。
お兄さんの下の名前は?」
「雅人(まさひと、本名です)まあ、好きなように呼んでくれ。」
「う〜ん…お兄さんかな?」
「名前知っても意味ないじゃんww」
笑いあう俺と少女―白石―。
今でも思うことだが似ている部分の少ない俺らだがどうやら波長は合うらしい
「いや、ごめんねww お兄さんに迷惑かけたみたいでww」
店長からの尋問をかいくぐり逃げおおせると店の前で待つ彼女と合流した。
確実に確信犯な少女は笑いながら謝罪した。
中々いい性格である。伊達と同じ匂いだ。
が そうなると共通する弱みがあるはず。恐らくハプニングに弱いだろう。
後で試そう。
「いや、まあ、そういうこともあるよ・・・」
しかし今は怒る気力すら湧かない。今後のバイトが憂鬱だ。
「でもお兄さん あのコンビニでバイトしたんだね。私よく行くけど会ったことなかったから知らなかったよ。」
「ああ、シフトによって結構変わるからな。」
「いつもカッコいい店員さんだから あそこ行くんだけど偶然だね。」
「カッコいい店員ねぇ・・・」
福士君(福士蒼汰似のイケメン同僚)だろうか。何とも言えない敗北感を味わう。
やはり顔か・・・
24 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/09/09(金) 20:57:27.45 ID:V7RNIziR.net
こんなとりとめのない会話をしながら公園へ。距離にすると公園はバイト先から徒歩で三分ほどの距離だった。
いつものように彼女は ほとんど光が差さないベンチに腰掛ける。
「そういえばさ、お兄さんって小島って名前だったんだね。」
ギターをケースから出してチューニングしながら少女は思い出したように言った。
「ん?そうだけど・・・俺 名乗ったっけ?って、ああ、そうか名札か。」
「そうそう、よくよく考えたら私たち名前も知らないで二日間も当たり前に喋ってたんだよね、ちょっと不思議だね。」
言われてみれば ちょっと―というか かなり―不思議な関係だ。
「一応 私も名乗っておくね、白石、白石麻衣(しらいしまい、後々伊達がAKBだかの白石って子に似ているらしいので便宜上)。
お兄さんの下の名前は?」
「雅人(まさひと、本名です)まあ、好きなように呼んでくれ。」
「う〜ん…お兄さんかな?」
「名前知っても意味ないじゃんww」
笑いあう俺と少女―白石―。
今でも思うことだが似ている部分の少ない俺らだがどうやら波長は合うらしい
25 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 21:00:25.91 ID:V7RNIziR.net
「さて、じゃあ弾こうかな。」
たまには邦楽を、といって彼女が歌いだしたのはコブクロの「赤い糸」だった。
歌い終わった彼女は一息つくと、「じゃあ お兄さん。練習しようか。」
昨日言ったことは どうやら本気だったようで彼女は俺に手招きをした。それに従って近づく俺。
「はい、ここ座る!」
座っているベンチの空いている部分を手でぺちぺち叩く仕草がかわいい。
「はいはい。」
「はい、持って。で、持ち方はこう・・・」
と言って遠慮する様子もなく俺の手に触れてくる
一瞬強張る俺。
座ったまま俺のほうに身を乗り出すような姿勢なので距離が異様に近い。
仲のいい女友達ならいるが こんなに近づいたことはないし、ここまで接触すら そんなにしないため俺は大分緊張していた。
「まずAがこう人差し指をこうして・・・」
彼女の指が俺の指を弦の決まった位置に促していく。男の手とは違う柔らかさが確かにあった。
目の前にある髪から良いにおいがする。考えないようにして心臓が逆に跳ね始める。
リアルにシロクマ効果なんて初めてかもしれない。白石の声がどこか遠く感じる。
「で、これで弾くと・・・この音がA、覚えてね。で、次がE、今度はこうして・・・」
27 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 21:02:04.04 ID:V7RNIziR.net
こうしてギター講座は二十分ほど続いてから「時間だから」の一言を残して白石は いつものように去って行った。
左手に残る感触がいやに現実的だった。
「なぁ、小島よ・・・」
どこかで見ていたであろう伊達がいつの間にか背後にいた。
そして一言、俺の肩に手を乗せながら、「爆発してくれない?」
数年の付き合いの中で指折りの笑顔を浮かべて言い放った。
きっと これから伊達の部屋で酒盛りが始まるだろう。主に俺への怨嗟の声で充ちるだろうが。
28 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 21:05:44.46 ID:V7RNIziR.net
こんな感じでバイトのある時は帰りがけに、無い時も出来るだけ余裕を作って白石に会いに公園に足を向けるようになった。
公園には ほとんど毎日行っていたが そこで彼女に会えなかったのは数えるほどしかなかった。
そのぐらい日課になっていたといってもよかった。
その時の彼女に恋愛感情が全く無かったと言えば嘘になる。
俺が行くと彼女が公園に居るというのがほとんどだった。
大体の流れとしては彼女が一曲歌う→リクエスト→ギター教室という流れだった。
その日もバイト帰りに公園によると見慣れた格好の白石が座っていた。
「ん、お疲れ。ほれ、差し入れ。」
コーヒーとスコールの二択で白石は後者を取った。
「あ、お兄さんだ。うん?気が利くね、褒めて遣わす!ww」
「そりゃどうも・・・隣良いか?」
「あ、うん…お疲れ?」
いつもは立ちっぱなしで曲を聴く俺がいきなり座ったからだろう、意外そうといった声で俺に問う白石。
29 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 21:07:31.38 ID:V7RNIziR.net
「ん?ああ、期末に向けて やらなきゃいけないこともあるし、今日は違うが最近、夜勤入れられてるから朝キツイしで、まあ少しは疲れてるかな。」
「へぇ、大学生って大変なんだね。高校生で良かった。」
「再来年あたりは お前も大学生だろ?今のうちに遊んどけww」
「うん・・・そだね。」
いつもは溌剌として冗談を口にする彼女にしてはどことなくぎこちない答え方に感じた。
「どうかしたのか?」
「ん?どうして?」
「いや・・・なんとなく・・・」
「お兄さんの気のせいだよ、きっと。」
そういって白石は持っていたスコールを喉に流し込んでいく。
俺には なんとなく、本当に何となくだが喉から出かかった言葉を無理やり飲み込んだように見えた。
30 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 21:09:22.70 ID:V7RNIziR.net
「そっか、疲れてるなら早めに切り上げようかな。じゃあ私の曲をカットして…」
「いやいやいや お前の歌聞きに来てるんだから。ギター教えてもらうのは おまけみたいなものだろww」
「そんなに私の歌好きなの?ww」
「好きだな。そして冗談じゃなくて その辺のライブハウスでライブしたら金とれると思うぞ。」
「嘘だよww下手じゃないとは思うけど そんなに上手くないのは分かってるよ。」
「結構本気なんだがな…」
「まあいいや、じゃあ僭越ながら一曲・・・」
いつものように歌いだす白石。
この日だけは何をうたったか覚えていない辺りきっと本当に疲れていたんだろう。
その日は そのあとに少し雑談をして帰った。
自分でも後になって気づいたことだが、当時の俺は彼女の曲を聴くのが、より正確に言えば彼女に会いに行くのが一種の精神安定剤的なものだったんだと思う。
何度も言うが あまり話の合わないサークルの奴らといるより白石と軽口を叩いているほうが ずっと有意義だった。
31 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 21:11:16.56 ID:V7RNIziR.net
その日は七夕だったが生憎の天気で、そんな空の上でまでリア充が湧く日にも非リアな俺はバイトだった。
傘で上半身が濡れるのは ある程度防いだが下半身、特に足元は絞れるだけ濡れていた。
スタッフルームに入って行くと店長がタオルを渡しながら笑いかけてきた。
「大分濡れたね。色男に成ったんじゃないかい?」
「水が滴っても所詮俺は俺ですがねw」
自虐したところで痛くも痒くもない。客観的な事実だ。
ハハッ、っと店長は笑う。
「君は君であればいいんだよ」
ニコニコ顔でジャムさんは言い切る。
「・・・何気に深い発言ですね・・・」
「だろう?だから この前の子のことを私にだね・・・」
「さぁ!仕事しますよ。店長!」
「ああ、待ちたまえ小島君!」
俺のバイト先は天候がどうであれにぎやかだった。
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