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バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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384 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:12:48.32 ID:NvS4gIBG.net
口から出た言葉は緊張することもなく零れるようだった。
息をのむような空気と、そのあとに少し白石が口の中で小さく呻くような声を出したのが聞こえた。
「もう一回、付き合ってください。」
「お、お兄さん…だ、ダメだよ!だって私の勝手で終わらせたのに・・・お兄さん今の彼女さんの方が絶対いいよ…」
「でも、好きだ。白石の事。」
理由なんて、これ以外必要ない。小難しい事なんて後で全部処理してやる。
今一番伝えたいことは、伝えなきゃいけないことはこれなんだ。
「そんな、だって…でも…あ、ぅ」
数年前から何も変わっちゃいない。とても単純なのだ。一番大事で、大切で、幸せにしたい女の子はやっぱり目の前にいる白石なのだ。
「また」
「ん?」
「また、私の勝手で突き放しちゃうかもしれないのに?私よりお似合いの彼女がいるのに?私、わたしが…またきずつけちゃうかも…」
ほとんど光がない海岸。月明りが映す白石の顔に涙の跡が残る。
それでも、
「好きなんだ。白石が。」
「う、うぅ…」
すすり泣く白石が泣き止むまでひたすら耐える。
386 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:15:22.90 ID:NvS4gIBG.net
「落ち着いたか?」
「…うん…ごめん…」
泣き声が収まってきてから数分。落ち着いてきた白石に声をかけた。
「気にすんな。今更だ。」
「…ふふ」
小さく二人で笑いあう。
「…お兄さん。」
「ん?」
「私からも言うね…大好きです。私と、もう一度付き合ってください。」
そう来るとは思っていなくて驚いて、次の挙動が遅れた。白石が抱き着いてくる。
「!?ちょ!?おいって!」
慌てて離れようとするが白石はなおも離れようとしない。
「さてはお前…まだ泣いてる?」
「〜〜〜〜ッ!!」
顔を見られたくないのだろう。今更過ぎる気がするが。本当に意地っ張りな奴だ。
そんな時にふと思い出す。
「白石さ、俺が東京から帰る時に指切りしたよな?」
白石が俺の胸の中で無言で頷く。
「破った時に何するか決めてなかったから今決めていいか?」
再び頷く。
何にしようかと考えて、2秒で決めた。
口から出た言葉は緊張することもなく零れるようだった。
息をのむような空気と、そのあとに少し白石が口の中で小さく呻くような声を出したのが聞こえた。
「もう一回、付き合ってください。」
「お、お兄さん…だ、ダメだよ!だって私の勝手で終わらせたのに・・・お兄さん今の彼女さんの方が絶対いいよ…」
「でも、好きだ。白石の事。」
理由なんて、これ以外必要ない。小難しい事なんて後で全部処理してやる。
今一番伝えたいことは、伝えなきゃいけないことはこれなんだ。
「そんな、だって…でも…あ、ぅ」
数年前から何も変わっちゃいない。とても単純なのだ。一番大事で、大切で、幸せにしたい女の子はやっぱり目の前にいる白石なのだ。
「また」
「ん?」
「また、私の勝手で突き放しちゃうかもしれないのに?私よりお似合いの彼女がいるのに?私、わたしが…またきずつけちゃうかも…」
ほとんど光がない海岸。月明りが映す白石の顔に涙の跡が残る。
それでも、
「好きなんだ。白石が。」
「う、うぅ…」
すすり泣く白石が泣き止むまでひたすら耐える。
386 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:15:22.90 ID:NvS4gIBG.net
「落ち着いたか?」
「…うん…ごめん…」
泣き声が収まってきてから数分。落ち着いてきた白石に声をかけた。
「気にすんな。今更だ。」
「…ふふ」
小さく二人で笑いあう。
「…お兄さん。」
「ん?」
「私からも言うね…大好きです。私と、もう一度付き合ってください。」
そう来るとは思っていなくて驚いて、次の挙動が遅れた。白石が抱き着いてくる。
「!?ちょ!?おいって!」
慌てて離れようとするが白石はなおも離れようとしない。
「さてはお前…まだ泣いてる?」
「〜〜〜〜ッ!!」
顔を見られたくないのだろう。今更過ぎる気がするが。本当に意地っ張りな奴だ。
そんな時にふと思い出す。
「白石さ、俺が東京から帰る時に指切りしたよな?」
白石が俺の胸の中で無言で頷く。
「破った時に何するか決めてなかったから今決めていいか?」
再び頷く。
何にしようかと考えて、2秒で決めた。
387 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:16:27.04 ID:NvS4gIBG.net
悩んだところで仕方ない。
白石の肩を掴んで俺の胸から剥がす。
「?」
声も出さないで俺を見る白石は困惑したような顔をしている。
「…避けるなよ?ww」
白石に顔を近づける。白石はほとんど拒まなかった。軽く触れ合うとすぐに離れる。
「…キザすぎww」
「ああ、流石に思ったww」
半泣きのまま俺を見て白石は笑う。こんなに嬉しそうに笑う白石を久しぶりに見た。出来ればこれからもずっと見ていたいと思う、そんな笑顔だった。
388 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:18:25.02 ID:NvS4gIBG.net
帰り道は行きの時よりも速度を落として走った。
袖口に掴まる白石の手が、背中に伝わる白石の感触が、その全てがどこか懐かしくて新鮮だった。
その感触を少しでも感じていたかった。
上機嫌な鼻歌が背後から聞こえる。
どこかで聞いたことがあるフレーズに気づいてはいたが曲名を思い出すのに時間がかかった。
DREAMS COME TRUEの「未来予想図Ⅱ」だとちょうど気づいた時にヘルメットが五回ぶつかった。
信号で止まった時に
「愛してるって?ww」と聞くと「『ありがとう』だよww」なんて笑われた。
389 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:19:42.58 ID:NvS4gIBG.net
白石をマンションの前で下ろして、何となく名残惜しかったけど微妙に赤い顔を二人ともそれ以上そうしていられなくて俺が帰るというと白石がこちらを何とも言え無い目で見てきた。
半笑いでそれにこたえて曲がり角の少し手前で一時停止し後ろを振り返ると まだこちらを見ている白石が見えた。
それを見てまた少し笑って、左折するときに五回ブレーキランプを点滅させた。
『こちらこそ』だったけど上手く伝わったのかな。
ま、たとえそれがちゃんと伝わらなくてもいいんだ。だって結局、愛してるってのが伝わればいいんだから。
391 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:21:18.57 ID:NvS4gIBG.net
さて、長々とこんなに話したがこれにはちょっとした理由がある。
実はこの話をしたのは昨日がちょうど俺と白石が復縁した日なのだ。
そんな感じで白石とまた付き合いだしたわけだけど実はこれらは3年前の話。
最近の話を少しして、長かったこの話の〆にしようと思う。
393 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:23:05.00 ID:NvS4gIBG.net
戸田さんによくないと思って会社を辞めて、転職先は給料が少し下がったけど土日祝日は きっちり休ませてくれるからありがたい。
お陰で週末は狭いキッチンで二人で料理を作って、食べて、何もなく ただ家で本読んだりDVD見たりゲームしたりギターいじったりしてのんびりする。
最近も休日の時間のある時は だいたいこうしている。
たまには出かけたりもするが どうしても俺も白石もどこかしらで東京は住みにくく感じている。
人が多すぎるからだろう。その反動で休日は引きこもりがちになる。
395 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:24:15.70 ID:NvS4gIBG.net
「お兄さんさ、今日何の日か分かる?」
「誕生日、は違うな、うわ、やべぇ、何の日だ?」
白石の家でいつものように だらだらしていると不意にこんなことを言われた。
無論分かっちゃいるがにやけそうになる顔をグッと抑える。
「お兄さんに分かるかなぁw」
「んー…ダメだ!分からん!教えてくれ!」
「えー?どうしよっかな?ww」
「いいじゃん。てか白石から言ったんだし。」
「ふふ。実はね…今日で付き合い始めて2年目なんだよ!」
「あ!?マジで!?」
今気づいたかのようにカレンダーを見てみる。今日は九月十日。確かに白石と復縁して2年目になっていた。
「マジマジ。いやー早いねーもう2年だってww」
「そっか…じゃあそんな俺から白石さんにプレゼントでもしようかなwwギター借りていい?」
「うん…え?え?え?」
カウンターパンチを喰らって慌てる白石。
白石はたぶん俺に対するサプライズのつもりだったのだろう。
だが生憎と俺は俺で用意周到にこの日を迎えているのだ!
397 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:26:57.98 ID:NvS4gIBG.net
「えー、こほん。ん、んん!今日は俺主催のリサイタルにご参加いただきありがとうございます!
えー次で最後の曲となります…あれ?惜しむ声が聞こえないぞ?ww」
「ええーーwww」
先程まで何が何だか分かっていなかった白石だがすぐに俺のノリについてくる。そこらへんは流石である。
「はい!じゃあ今日最後の曲はback numberの「花束」をお送りします!」
そう言って少しだけチューニングをするとこの日の為だけに練習してきた曲を弾き始める。
初めてこの曲を聞いた時、歌詞が優しすぎると思っていたがサビと二番がぴったりだと思ったんだ。
ここで聞いたことのない人のために一部分だけ抜粋。
・・・法律とか引っかかるのかな・・・?
まぁ書くんだが・・・
『何回だって何十回だって
謝るし感謝の言葉もきっと忘れないから
ごめんごめんありがとうごめんくらいのバランスになる危険性は少し高めだけど許してよ』
俺らにはぴったりの曲を、上手くなんかない俺が歌って、歌い終わってから白石を見ると小さく笑いながら、微かに泣いていた。
>>次のページへ続く
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