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妻が隠れて喫煙するようになった理由
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そう言われると、次の言葉を飲み込むしかありません。
鏡台に座り、化粧を落とした妻はベッドに入ってきた、その時、窓に置いたタバコに気づき、
「また戻したの、タバコ?」
「なんとなく、吸いたくなって。」
「ごめんなさい、今日は疲れたからお先するね。」
「風呂は入らないのか?」
「明日シャワー浴びる、お休み。」
アルコールの勢いも手伝ってか、妻はすぐに寝息を立てて眠ってしまった。
寝息を立てる妻に体を寄せみると、自分もさっきガラムを吸った為か、識別はしにくいがタバコのにおいと、微かでは有るが石鹸の匂いがした。
一日バスで揺られて働いて来た人間が、昨日の夜の石鹸の匂いを維持できるはずも無く、風呂に入らずにすむ理由は、私にとって想像する必要も無かった。
ここまで来ると、私の妻に対する疑いは、かなりの確立で的中しているのは、疑う余地も無い。
でも私は、日ごろ見たことも無い妻のバックを除き見たい感情に掻き立てられた。
-------------------------
妻の眠りの深いことを確認すると、クローゼットを静かに開け、妻がさっき持ち帰りクローゼットの隅に無造作に置いてある手提げのバックを持って、子供部屋へ向かった。
長女の机の電気をつけてバックの中身を見てみた。
多少の罪悪感は有ったが、それ以上に私は、さっき寝室で探しきれなかったものが、このバックの中に有る、あって欲しいと願う気持ちが強かったように思う。
中身を見ていくと、財布、定期入れ、アドレス帳、ハンカチ等、在り来たりのものが目に入った。
取りあえず財布の中身は領収書やキャッシュカード,現金と特に気になるものは無い。
次にアドレス帳、あ行から順に追っていっても、私の知っている知人親戚等これと言って怪しいものは無い。
バックの中身を一度全部出してみると、手前の部分にファスナーで仕切られた部分があるのに気づき、ファスナーを開け中を見た瞬間、目的は達せられました。
中身は、タバコ(もちろんガラム)に女性用の高級そうなライターそして、ポケットベル。今でこそ、携帯電話が当たり前ですが、当時はまだ携帯電話は一般的ではありませんでした。
目的を果たした私は、元通りにバックを帰し、ベッドに入りこれからの事を考え始めました。
不思議なものです、自分の考えが裏付けされた今、怒りは頂点に達している筈なのに、妻に対する復讐より先に、我が家の今後のを考える自分がいるのです。
その時、私は思いました。世の奥さんは亭主の不貞が発覚したとき、私のように子供のことや家の事を複雑な思い出、考えあぐねるのだろうと。
妻は相変わらず、隣で寝息とも鼾ともつかい音を立てて寝ていました。
その時私は、妻の髪の毛を掴み揺り起こし、その顔に平手を食らわしてやりたい気持でしたが、奥歯が痛くなるほど悔しさをかみ締めてこらえていました。
-------------------------
悔しさでほとんど眠れなかった私は、朝食もとる事が出来ませんでした。
それにしても、妻の行動は余りにも不用意で、もう少し用意周到さがあっても良いのではと思う気持ちも有りました。
何故なら、私は先日妻の同僚の佐藤さんと二人きりで飲んでおり、それは彼女と妻の関係から、妻に伝わっている筈。
その時の内容を聞けば、自分の秘密の一部が私に解ったしまったということで、他の秘密を守るために何らかの動きがあって然るべき。
私はその日、妻の会社の前で佐藤さんを待ちました。
夕方5時半過ぎ、妻が会社を出ました、それから待つこと1時間、佐藤さんが出で来ました。
何気ない振りをして、私は彼女に近づき声を掛けました。
「佐藤さん。」
「びっくりした!、どうしたんですか?」
「これから帰るの?」
「そう、○○さんは?」
「実は佐藤さんを待ってたんだ。」
「私?」
「ちょっと聞きたいことが有って、都合悪いかな?」
「別にかまわないけど、何か怖いな。」
歩きながら、彼女は何の話か有るのか必要に聞いてきましたが、私は、話をはぐらかして先日の蔵に向かいました。
店の入り口に近いて中を見たとき、有ろうことか店の奥まった席に、妻が一人で座っているではありませんか。
私は振り向きざま、佐藤さんの肩に両手を添えて、そのまま後ろ向きにさせると、店の中を見れないようにもと来た道に彼女を追い立てました。
「どう(どう)したんですかしたんですか?」
「満席。」
「へー、そうなんだ!」
予期せぬ遭遇とは言え、自分の不用意さを反省しながら別の店へと足を運びました。
そこの店は私が何度か足を運んだことのある店で、私よりも若い人たち(20〜25才位)が集まる店でした。サーファーが多くトロピカルな雰囲気の店。蔵とは違い、目抜き通りに近い店にもかかわらず、彼女は抵抗無く付いてきました。
「ここで良かったかな?」
「私も来たこと有るから!、妹もよく来るし。」
「妹さんいたっけ?」
「ん、それより、話って何ですか、気になるんですけど?」
私は、先日二人で飲んだことを、妻に話したかどう(どう)かを単刀直入に質問した。
彼女から帰ってきた答えは、NOだった。
「だって、あの時、私もちょっと喋り過ぎたし、それに麻美さん焼餅焼きだし、麻美さんにばれちゃいました?」
「そうじゃないんだけど、まだ隠れて吸ってるみたいだから。」
目的を果たした私は、元通りにバックを帰し、ベッドに入りこれからの事を考え始めました。
不思議なものです、自分の考えが裏付けされた今、怒りは頂点に達している筈なのに、妻に対する復讐より先に、我が家の今後のを考える自分がいるのです。
その時、私は思いました。世の奥さんは亭主の不貞が発覚したとき、私のように子供のことや家の事を複雑な思い出、考えあぐねるのだろうと。
妻は相変わらず、隣で寝息とも鼾ともつかい音を立てて寝ていました。
その時私は、妻の髪の毛を掴み揺り起こし、その顔に平手を食らわしてやりたい気持でしたが、奥歯が痛くなるほど悔しさをかみ締めてこらえていました。
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悔しさでほとんど眠れなかった私は、朝食もとる事が出来ませんでした。
それにしても、妻の行動は余りにも不用意で、もう少し用意周到さがあっても良いのではと思う気持ちも有りました。
何故なら、私は先日妻の同僚の佐藤さんと二人きりで飲んでおり、それは彼女と妻の関係から、妻に伝わっている筈。
その時の内容を聞けば、自分の秘密の一部が私に解ったしまったということで、他の秘密を守るために何らかの動きがあって然るべき。
私はその日、妻の会社の前で佐藤さんを待ちました。
夕方5時半過ぎ、妻が会社を出ました、それから待つこと1時間、佐藤さんが出で来ました。
何気ない振りをして、私は彼女に近づき声を掛けました。
「佐藤さん。」
「びっくりした!、どうしたんですか?」
「これから帰るの?」
「そう、○○さんは?」
「実は佐藤さんを待ってたんだ。」
「私?」
「ちょっと聞きたいことが有って、都合悪いかな?」
「別にかまわないけど、何か怖いな。」
歩きながら、彼女は何の話か有るのか必要に聞いてきましたが、私は、話をはぐらかして先日の蔵に向かいました。
店の入り口に近いて中を見たとき、有ろうことか店の奥まった席に、妻が一人で座っているではありませんか。
私は振り向きざま、佐藤さんの肩に両手を添えて、そのまま後ろ向きにさせると、店の中を見れないようにもと来た道に彼女を追い立てました。
「どう(どう)したんですかしたんですか?」
「満席。」
「へー、そうなんだ!」
予期せぬ遭遇とは言え、自分の不用意さを反省しながら別の店へと足を運びました。
そこの店は私が何度か足を運んだことのある店で、私よりも若い人たち(20〜25才位)が集まる店でした。サーファーが多くトロピカルな雰囲気の店。蔵とは違い、目抜き通りに近い店にもかかわらず、彼女は抵抗無く付いてきました。
「ここで良かったかな?」
「私も来たこと有るから!、妹もよく来るし。」
「妹さんいたっけ?」
「ん、それより、話って何ですか、気になるんですけど?」
私は、先日二人で飲んだことを、妻に話したかどう(どう)かを単刀直入に質問した。
彼女から帰ってきた答えは、NOだった。
「だって、あの時、私もちょっと喋り過ぎたし、それに麻美さん焼餅焼きだし、麻美さんにばれちゃいました?」
「そうじゃないんだけど、まだ隠れて吸ってるみたいだから。」
「そうなんだ、今日のことも内緒が良いかな?」
「特に問題は無いけど、言う必要も無いかな。」
佐藤さんとの二人の飲み会が、妻に伝わっていなければ、妻の行動に変化が起こるわけも無い筈である。
妻が焼餅焼きという言葉には、いささか驚きました。
何時の時点までなのか、いまだにそうなのかは解りませんでしたが、少なくとも他の男と関係を持つまでの妻は、同僚から見れば私に対して嫉妬深い女だったのでしょう。
カウンターを含め15席程度の店内は、既に2、3席を残し満員状態、入店してから30分位取り留めの無い話をしていると、店のドアが開き二十歳ぐらい女性が一人入ってきました。
「由香!」
「お姉ちゃん!」
「由香里さんじゃないですか。」
「知り合いですか?(佐藤さん)」
「仕事の関係で、ちょっと。」
その女性は、佐藤さんの妹でした。驚いたことに、その女性は私も面識のある女性だったのです。
小さな町ですが、偶然というものは恐ろしい、と言うよりは個々の人の情報を知らな過ぎたのかもしれません。
彼女は同じ系列の販売店に勤める、いわば私の同業者でした。
その後もう一人女性が入って来ましたが、妹さんの連れでした。
二人は、ちょうど開いていた席に私たちを両脇から挟むように座ろうとしたため、私が席を移動しようとしたとき、彼女達に肩を抑え
られ、上げた腰を同じ席に沈めました。
「そのままで良いですよ。」
「特に積もる話も無いですから、○○さんさえ良ければ、ここに座って良いですか。」
「私は良いですけど。」
連れの女性は、佐藤さんとはかなり親しいようで、座った瞬間から何の抵抗も無く会話をしていて、私は必然的に妹の由香里さんと話
をするしかなかった。
元々、今日の目的は済んでおり、由香里さんとの会話は新鮮味を感じることが出来たのも事実である。
彼女とは、店舗も近いと言うことからメーカーのイベントなどでも度々話す機会があったため、飲みながら話をしていると、杓子定規な話からプライベートの話に移行するには、時間を必要とはしなかった。
この女性「由香里さん」が妻と私の関係に微妙な役割を持ってくるのは、それから間もなくの事でした。
-------------------------
時間を忘れて、辛さから逃れるように由香里さんと飲み続けていたのでしょう。
「○○さん、そろそろ、明日もあるし?(佐藤さん)。」
私もかなり飲みすぎたようで、時計の針もろくに読めない程でしたが、佐藤さんの問いかけに返事をして、マスターに会計を済ませ店を出ました、
皆に挨拶をして少し歩き始めた時、不覚にも吐き気を覚え道路脇で戻してしまいました。
吐き気も治まったころ、背中を摩る手に気づき、すみませんと言いながら振り返るとそこには、今別れたばかりの由香里さんが、中腰の彼女は眉尻を下げて私の顔を覗き込んでいました。
由香里さんは、後ろから私の肘を掴むように支えてくれて、深夜喫茶に連れて行ってくれました。
「少し酔いを覚まして。」
「すみません、少し楽になりました、すみません。」
「そんな姿を、可愛い娘さんが見たら心配しますよ。」
「もう寝てます。」
時計を見ながら答える私、由香里さんが頼んでくれたらしいコーヒーがテーブルの上に差し出されました。
私はまた、すみませんを連呼していました。かなりの醜態を見せてしまっていた筈です。
水を一気に飲み干し、コーヒーに手を伸ばし一口啜ると、すぐに皿にカップを戻しました。
元々とコーヒーは好んで飲む方で無かった私は、コーヒーの熱さも手伝って、そのカップをまた手にすることは無かった。
タイミングを見ては由香里さんが頼んでくれた、水を3杯程飲んだころには、多少酔いも冷めて来た。
>>次のページへ続く
「特に問題は無いけど、言う必要も無いかな。」
佐藤さんとの二人の飲み会が、妻に伝わっていなければ、妻の行動に変化が起こるわけも無い筈である。
妻が焼餅焼きという言葉には、いささか驚きました。
何時の時点までなのか、いまだにそうなのかは解りませんでしたが、少なくとも他の男と関係を持つまでの妻は、同僚から見れば私に対して嫉妬深い女だったのでしょう。
カウンターを含め15席程度の店内は、既に2、3席を残し満員状態、入店してから30分位取り留めの無い話をしていると、店のドアが開き二十歳ぐらい女性が一人入ってきました。
「由香!」
「お姉ちゃん!」
「由香里さんじゃないですか。」
「知り合いですか?(佐藤さん)」
「仕事の関係で、ちょっと。」
その女性は、佐藤さんの妹でした。驚いたことに、その女性は私も面識のある女性だったのです。
小さな町ですが、偶然というものは恐ろしい、と言うよりは個々の人の情報を知らな過ぎたのかもしれません。
彼女は同じ系列の販売店に勤める、いわば私の同業者でした。
その後もう一人女性が入って来ましたが、妹さんの連れでした。
二人は、ちょうど開いていた席に私たちを両脇から挟むように座ろうとしたため、私が席を移動しようとしたとき、彼女達に肩を抑え
られ、上げた腰を同じ席に沈めました。
「そのままで良いですよ。」
「特に積もる話も無いですから、○○さんさえ良ければ、ここに座って良いですか。」
「私は良いですけど。」
連れの女性は、佐藤さんとはかなり親しいようで、座った瞬間から何の抵抗も無く会話をしていて、私は必然的に妹の由香里さんと話
をするしかなかった。
元々、今日の目的は済んでおり、由香里さんとの会話は新鮮味を感じることが出来たのも事実である。
彼女とは、店舗も近いと言うことからメーカーのイベントなどでも度々話す機会があったため、飲みながら話をしていると、杓子定規な話からプライベートの話に移行するには、時間を必要とはしなかった。
この女性「由香里さん」が妻と私の関係に微妙な役割を持ってくるのは、それから間もなくの事でした。
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時間を忘れて、辛さから逃れるように由香里さんと飲み続けていたのでしょう。
「○○さん、そろそろ、明日もあるし?(佐藤さん)。」
私もかなり飲みすぎたようで、時計の針もろくに読めない程でしたが、佐藤さんの問いかけに返事をして、マスターに会計を済ませ店を出ました、
皆に挨拶をして少し歩き始めた時、不覚にも吐き気を覚え道路脇で戻してしまいました。
吐き気も治まったころ、背中を摩る手に気づき、すみませんと言いながら振り返るとそこには、今別れたばかりの由香里さんが、中腰の彼女は眉尻を下げて私の顔を覗き込んでいました。
由香里さんは、後ろから私の肘を掴むように支えてくれて、深夜喫茶に連れて行ってくれました。
「少し酔いを覚まして。」
「すみません、少し楽になりました、すみません。」
「そんな姿を、可愛い娘さんが見たら心配しますよ。」
「もう寝てます。」
時計を見ながら答える私、由香里さんが頼んでくれたらしいコーヒーがテーブルの上に差し出されました。
私はまた、すみませんを連呼していました。かなりの醜態を見せてしまっていた筈です。
水を一気に飲み干し、コーヒーに手を伸ばし一口啜ると、すぐに皿にカップを戻しました。
元々とコーヒーは好んで飲む方で無かった私は、コーヒーの熱さも手伝って、そのカップをまた手にすることは無かった。
タイミングを見ては由香里さんが頼んでくれた、水を3杯程飲んだころには、多少酔いも冷めて来た。
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