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嫁童貞の自分がビッチと出会って恋をした
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186 :ゆうじ:2013/10/31(木) 18:28:54.89 0
「ん・・・終わり☆」
(・・・何が終わりなんだ?)
「さ、帰るよ☆」
(・・・今までここで何してたんだ?)
意識は戻った。しかし理解するに至らない状況。
…なぜ、キスをした?
…なぜ、今、キスをした?
…なぜ、今、この状況でキスをした?
真っ白な頭、真っ白な心。何も考えられない。何もわからない。
代行で帰るかおりさんに手を振る自分。
「じゃ、明日また会社でねー☆」
かおりさんの車が見えなくなる。
すると真っ白だった自分の中から一気に、赤黒いような、紫紺のような、理解不能な感情が頭を、心を染め上げた。
187 :ゆうじ:2013/10/31(木) 18:37:25.97 0
近くにあった駐車止めのコーンを蹴り飛ばす。壁を殴る。叫びたかった。しかし、声を押し殺した。
歯を食いしばる。眉間にしわが寄る。拳を握る。足が震える。
頭の中で、今までのことがリフレインする。
「お別れしよー☆」
(…今、何て言った?)
「だってあいつ、かっこいんだモン☆」
(…男の前で、別の男の話すんのか?)
「イチャイチャ話、聞いてねー☆」
(…聞くわけねーだろ?)
破壊の衝動。ぶつけようのない感情。とにかく押し殺す。感情を、自分を、とにかく殺す。
既婚者のくせに女を作り、最初の男に寝取られ、最後は捨てられた男の姿。本当に情けなかった。
「ん・・・終わり☆」
(・・・何が終わりなんだ?)
「さ、帰るよ☆」
(・・・今までここで何してたんだ?)
意識は戻った。しかし理解するに至らない状況。
…なぜ、キスをした?
…なぜ、今、キスをした?
…なぜ、今、この状況でキスをした?
真っ白な頭、真っ白な心。何も考えられない。何もわからない。
代行で帰るかおりさんに手を振る自分。
「じゃ、明日また会社でねー☆」
かおりさんの車が見えなくなる。
すると真っ白だった自分の中から一気に、赤黒いような、紫紺のような、理解不能な感情が頭を、心を染め上げた。
187 :ゆうじ:2013/10/31(木) 18:37:25.97 0
近くにあった駐車止めのコーンを蹴り飛ばす。壁を殴る。叫びたかった。しかし、声を押し殺した。
歯を食いしばる。眉間にしわが寄る。拳を握る。足が震える。
頭の中で、今までのことがリフレインする。
「お別れしよー☆」
(…今、何て言った?)
「だってあいつ、かっこいんだモン☆」
(…男の前で、別の男の話すんのか?)
「イチャイチャ話、聞いてねー☆」
(…聞くわけねーだろ?)
破壊の衝動。ぶつけようのない感情。とにかく押し殺す。感情を、自分を、とにかく殺す。
既婚者のくせに女を作り、最初の男に寝取られ、最後は捨てられた男の姿。本当に情けなかった。
188 :ゆうじ:2013/10/31(木) 18:43:09.05 0
時は前に進む。人間がどうあがいても。その日は寝れなかった。
興奮してた?・・・違う。
苛立ってた?・・・違う。
悲しかった?・・・違う。
嬉しかった?・・・違う。
嫌いだった?・・・違う。
好きだった?・・・・・。
自問自答を繰り返す・・。
朝は来る。世の中のほとんどの人は、朝が来るのを願ってる。それが当然だし、1日の始まりだから。
でも今は違う。朝が嫌だった。会社に行かないと、かおりさんに会わないといけないから。
189 :ゆうじ:2013/10/31(木) 18:47:41.01 0
足取りが重い。
寝てないってのもあるけど、正直行きたくなかった。
昨日までの笑顔と、今日からの笑顔。
意味が違う。
笑う点では同じだが、そこに付加される感情は違う。
会社に着く。
かおりさんの車がある。
胸がドンと鳴る。悪魔のように黒い感情が、血のように赤い衝動に包まれる。
会社に入る。
かおりさんがいる。
「おはよー☆」
普段と変わらない。知らない人が見れば。
自分には伝わってくる。全てがリセットされているような感覚。なぜか涙が出そうになった。
190 :ゆうじ:2013/10/31(木) 18:52:28.06 0
眠くはない。でも頭がボーっとする。
コーヒーでも飲もうと給湯室に行く。
かおりさんが来る。小声でこう言ってきた。
「…昨日はありがとね☆」
何を感謝する?何に感謝する?俺にか?これ以上、俺に何を求める?
『こっちこそ、昨日は楽しかったっすね!ちょっと飲み過ぎたけどwww』
今しゃべったのは、誰だ?俺か?
本当の気持ちには、分厚い仮面がかけられていた。
(…よくもまあ、そんなこと言えるな、おい)
自分に囁く。
『また飲みに行きましょうね♪』
(…お前は死にたいのか?)
自分がわからなくなっていた。
191 :ゆうじ:2013/10/31(木) 18:59:52.70 0
席に着く。少しすると、メールが来る。
「今日も頑張って仕事しよー☆」
また少しすると、メールが来る。
「エクセルの操作なんだけどさ・・・」
今までと変わらないメール。でも、もうそのポジションに俺はいないんだろ?
生殺し。生きながら、皮をはがされ、肉をそがれ、殺される感覚。
モワッとした、果てしなく黒い、絶対に染まりたくない感情が押し寄せる。
モノクロ、赤と黒、灰色、セピア。これらが混ざった世界にいるような感覚。会社の先輩に話しかけられれば、一気に切り替わる。
現実の世界、色鮮やかな世界。仕事に没頭すれば、忘れられる。
でも、かおりさんが近くを通るたびに懐かしい匂いがする。ちょっと前まで、物凄く近いところにいた匂い。
狂う。何かが狂う。いや、すでに狂っている。
192 :ゆうじ:2013/10/31(木) 19:05:28.43 0
数日が経った。相変わらず、表面上は何も変わっていない。
「明日、休もうかなー☆?」
(…彼氏に抱かれに行くのか?)
「だって体ダルいしー☆」
(…あのホテルに行くのか?)
抑えきれない衝動。なぜそこまで何気なくメールを送れる?
昼休み、自分の車の中で声をだした。吠えた、といったほうが正しいか。
怒りのような、悲しみのような、苛立ちのような。感情をすべて出し切った。涙が出る。
このままでは壊れる。自分が壊れる。
この日、メールを返すのをやめた。
193 :ゆうじ:2013/10/31(木) 19:08:54.52 0
メールを返すのをやめると、向こうからもメールは来なくなった。まあ、当然だろう。
できる限り、話すのもやめた。
自分が給湯室にいるとき、かおりさんが来る機会も少なくなった。
何が正しくて、何が間違っていたのか。
何が普通で、何が異常だったのか。
今でもよくわからない。
でも、かおりさんと付き合ってから変わったことがあった。
194 :ゆうじ:2013/10/31(木) 19:16:14.06 0
まず、見た目を気にするようになった。
別にもともと汚いわけではなかった。でもより一層、清潔感を与えるような服装を心掛けた。
髪の毛もボサボサだった。でも短く切ってセットして会社に行くようになった。
今まで以上に筋トレも頑張った。カッコいい体、健康な体を目指した。
何より、体を動かして汗をかく。この瞬間は全てを忘れさせてくれた。
仕事にも自信が湧いた。意欲が湧いた。
自分のために頑張ろう・・・これでは限界があった。
誰かのために頑張ろう・・・こう思えば、よりいい仕事ができることを知った。
別れた後の話だが、何名か女性の方と飲みに行ったりもした。久々に会った大学の後輩や、別の会社の女性。
全て向こうからお誘いがあった。でも、酒を飲むまでで終わらせた。
そして、嫁を愛した。今まで以上に愛した。
こいつのために、いい男でいようと。
そう心に決めた。刻んだ。誓った。
>>次のページへ続く
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