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小学生の時から知ってる女の子のこと想い過ぎたら大変なことになった
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27 :名無しさん@おーぷん :2015/09/29(火)00:11:48 ID:PDj(主)
この近くに自分がいないことをすごく切なく感じた。

中学のあのときから、俺と綾子の道は完全に別れきっていたのだと実感がもてる。

たまらず、携帯をスリープモードにした。

綾子はもう、俺との約束を覚えてないのかもしれない。

初めて、諦めそうになった。



28 :名無しさん@おーぷん :2015/09/29(火)00:12:47 ID:PDj(主)
それからというもの、我武者羅に働いた。何かを忘れたくて、働きに働き続けた。

職場にも慣れてきて、仕事も覚えてきて、綾子のことを忘れていられる時間も増えた。


これでいいんだ。

別の素敵な人といつか巡り会える。

そして素敵な家庭を築いてやるんだ。

何度も諦めようとした。


だけど、小学校のときの出逢いや、中学での思い出が脳裏に流れてくる。

時間が経てば経つほど、思い出って綺麗に思えるし切なくもなると知った。


結局俺は諦めることに失敗して、綾子のページをたまにみるようになった。

とはいっても綾子はあんまり近況を投稿したりせず、就職活動や資格取得が忙しいのか大して情報は入ってこなかった。

ストーカー紛いだが、ギリギリセーフだと思いたい。


こんなことするなら、綾子にさっさと友達申請して、アプリ内のメッセンジャーで連絡を取ればいいというのに、俺はそれだけはしなかった。

連絡を取り合えば、更に傷つくような気がしたからだ。

臆病だった。

どうすればいいかも、動くこともできず、まるで牢屋に閉じ込められているようだ。


時は残酷にも進んでいき、綾子は無事に看護師になり、男の影も感じられるようになってきた。

21歳の時だ。

綾子のSNSのページに男と二人っきりで仲良くお祭りに行っている写真が張られていた。

心に深い傷を負うというのはまさにこのことかも知れない。





29 :名無しさん@おーぷん :2015/09/29(火)00:13:49 ID:PDj(主)
結局俺は綾子を思うだけで、なにも行動できず、ただただ流れていく時間を過ごしていただけ。

あの写真に写る綾子の笑顔を思い出すだけで苦しくなった。


人は苦しいことを進んでする生き物じゃない。

だから俺は自然と綾子のSNSのページをそのころから見なくなる。

仕事にひたすら明け暮れる日々を過ごした。

進んで会社に残り、資格取得の勉強をする。


3年ぐらいしてから、それなりに資格を獲得し、仕事もできるようになった。

給料も安定してきたし、人間関係もよくなる。

当然女性の知り合いも増えていった。

よくいく小さな居酒屋の看板娘と友達になり、二人で遊びに行くことも。

業務中によく話すCAと食事にいくようになったした。

本当にただの友達みたいなもので、お互い彼氏彼女の関係になろうとは思っていない。

彼女達と二人でいると、どうにも綾子のことを思い出してしまう。

別にもう綾子には興味はないし、向こうだって俺のことなんて覚えていないだろう。

いつかの約束なんて所詮、そんなものなんだ。



30 :名無しさん@おーぷん :2015/09/29(火)00:14:33 ID:PDj(主)
それなのにどんなに拒絶しても考えてしまう。

綾子はどんな反応するだろうか。

どんな声で話すのだろう。

デートの時にはどんな服を着て来てくれるんだろう。


だからデートに行くたびにやや微妙な空気になる。

俺ももう24歳だ。

結婚とか子孫とか、いろいろなことを考えなくちゃいけない。

ぶっちゃけ童貞をなんとかしなければいけない。



ある日、とうとう綾子の夢をみてしまった。

前を走っている成長した姿の綾子に走って追いかけるだけの夢。

綾子を追いかけていた筈がいつの間にか俺は綾子を追い抜いてしまった。

追い抜いたときに、綾子が何か喋っていたような気がして、耳を澄ましたとこで夢は終わる。


目覚めてからものすごく変な夢だと思った。

途端にこれがきっかけになったのだろう。

綾子にたまらなく会いたくなって、我慢ができなくなった。


ここで、中学の時から綾子と仲がよかった女子にメールを送る。

SNSで仲よさそうにしていたから、連絡先を知っているものだと思った。

綾子のSNSは2年ぐらい前から更新がとまっており、きっともう放置している。

1時間ぐらいしてから送ったメールに返事がくる。

「久しぶり!いきなりメール送ってきてどうしたの?普通LINEじゃない?笑」

そのまんまこの文章できた。



33 :名無しさん@おーぷん :2015/09/29(火)00:20:01 ID:PDj(主)
LINEがいいらしいので、仕方なくLINEに切り替えて返事する。

「いきなりでごめんな。綾子って覚えてる?連絡先知ってたら教えてほしいんだけど」

綾子はきっと東京にいるのだろう。

幸いにも俺は空港があるところならどこにでもいける。

すぐにメッセージに既読がつき、返事がくる。


友「覚えてるけど・・・まさかあんた何も知らないの?」

俺「え?なにかあった?」


友「綾子、交通事故で亡くなったんだよ」



37 :名無しさん@おーぷん :2015/09/29(火)00:22:25 ID:Rtl
まじか…



38 :名無しさん@おーぷん :2015/09/29(火)00:22:45 ID:3WW
oh...


39 :名無しさん@おーぷん :2015/09/29(火)00:23:14 ID:ODJ
言葉がでない


42 :名無しさん@おーぷん :2015/09/29(火)00:23:56 ID:PDj(主)
まったく全てのことにやる気を見出せなくなった。

十年以上想い続けていた人は、車に轢かれもうこの世にはいなかったのだ。

彼女は遅番あがりの帰り道、飲酒運転のドライバーにより轢かれてしまった。

運転手は人を轢いた事に気付かず、綾子は約50メートル引きずられた。

痛かっただろう。

助けてほしかっただろう。

交通事故現場はすでに綺麗になっており、ここで人が轢かれたなんて想像もできない。

それでも、綾子はこの場所で轢き殺されたのだ。

事件が起きたのは夢を見た日の丁度1年前。

葬式も終わっており、綾子はすでに墓の中にいた。



44 :名無しさん@おーぷん :2015/09/29(火)00:26:24 ID:PDj(主)
俺は仕事ができなくなった。

だからやめた。

綾子に追いつきたくて頑張った毎日。

綾子に釣り合うような男になろうとした。

綾子が尊敬してくれるような仕事を始めた。

いつか、いつか綾子との約束を果たしたかった。



全ては奪われた。

よりにもよって、俺が日々いじっている乗り物という物にだ。車も船も、飛行機も関係ない。

俺たちは運転手の安全の願って整備をし続けている。

整備士のミスで運転手が危険な目に逢う。

運転手の行いで誰かが傷つき、死ぬことだってある。

人が利便の増進を願って作った乗り物は凶器だったのだ。俺はそんな凶器を日々整備している。綾子の命を奪ったそれを。


手を動かすことができなくなった。

目の前にある仕事をこなすことができなくなってしまったのだ。

だから俺はやめた。

仕事ができなくなった。




>>次のページへ続く
 
カテゴリー:男女・恋愛  |  タグ:青春, 純愛, 胸キュン,
 


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