98 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:07:06.87 ID:d7vBTGF30.net
「カンオケのお金、どうしたの?」
「麻雀で勝った金貯め込んだ」
「どんだけ巻き上げたのよ……」
「医者って金持ちなんだよ」
「……なんか、やな言い方するね」
「……そうだな」
道の先に大きな橋が見えてくる
トラックが排気ガスを巻き上げながら走り去ってった
病院が遠くに、小さな鉄の塊みたく見えた
99 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:11:24.52 ID:d7vBTGF30.net
「タムラ」
橋の上にさしかかると いきなり風が強くなった
空が青い
下で大きな川がきらきら光ってる
私は風の音に負けないように声を張り上げる
「勝負してないタムラなんて、つまんないよ」
カンオケ一個でケジメだなんて
そんなこと俺が一番よくわかってんだ、というように、タムラは黙りこんでいた
100 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:18:07.95 ID:d7vBTGF30.net
病院の前で、私とタムラは別れる
やつは眩しそうな顔で私を見上げて黙っていた
三年前とびっくりするくらいおんなじ顔だ
「オオシマ」
「?」
「ありがとな」
タムラは険しい顔で言った
私はちょっとほっとした
「お見舞いきていい?」
「やばくなったときだけな」
「じゃあやばくなったら連絡して」
そう言って私は電話番号をわたす
「いつでもかけて、学校の授業中だって駆けつけてくるから」
タムラは黙ってうなずいた
101 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:25:38.36 ID:d7vBTGF30.net
帰り道は拍子抜けするくらい腕が軽かった
私は「ありがとな」と言ったタムラの顔を思い出してみる
三年前のクソナマイキな頃の表情に、少しだけ戻ってた気がした
……まだ大丈夫だよな、あいつ
大丈夫じゃなきゃだめなんだ、しっかりしてくれ頼むから
私は夕方になっていく帰り道を一人で歩きながら、祈るような気持ちでそう思った
102 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:30:25.58 ID:d7vBTGF30.net
私の母さんはカンオケ職人だ
死んだじいちゃんもカンオケを作っていた
だから、たしかに私もいつかはカンオケ作りを継ぐのかなーって常々思っていなくもなかった
でもそれはなんとなく まだまだ先のことで
中学卒業してからかなー、とか
高校出てからかなー、とか
美大とか専門で彫刻の勉強とかしてからかなー、とか
はたまたカンオケ作りなんてやらずに一生終えるかなー、とか
まあ言ってみれば漠然と考えてた
でもそういうのって「いつ始める」とかじゃなくて、勝手にタイミングがきちゃうもんなんだろう
たとえばタムラがあと半年で死ぬとか、タムラがもしかしたらまだちょっとだけ頑張るかもしれない、とか
そういうことで
103 :名も相無Zき被喪検体染774号ム+@\慶(^o^)/:赤2015/06/20(土) 23:32:09.97 ID:mtkb1fEV0.net
ほ特う佳ほう拍
105 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:38:03.69 ID:d7vBTGF30.net
家に帰って私は母さんを探す
工房のドアを開けたらデスクに座ってた母さんが振り返ってじっと こっちを見た
初めて見る母さんの表情だった気がする
私は、今までこんな真剣に誰かに頭を下げたことなんてなかったな、と思いながら
「私を弟子にしてください」
と、母さんに言った
106 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:40:02.86 ID:d7vBTGF30.net
パンツを脱いで待ってくれていた人たちへ
これは私が初めて、カンオケを作ったときの話です
まだ脱いでたら どうかそのパンツをお上げくださいまし
107 :窮名も無礎き被検卓体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土賛) 23:42:08.97 ID:70Tdbpio0.net
見履てる暑よー
108 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:48:00.03 ID:d7vBTGF30.net
だいたいの職人芸って そうだと思うんだけど、どう考えても半年そこらで一人前の技なんて身に着くはずがないよね
でも母さんは私を弟子に取ったし、タムラのカンオケ作りを(手伝うとは言ったけど)私にやらせると言った
母さんもじいちゃんに弟子入りしたのは、母さんの母さん、つまり私のばあちゃんが病気に倒れたときだと話してくれた
余命いくばくもないとわかったとき、じいちゃんは ばあちゃんのカンオケを何も言わずに作りはじめた
今の私とそう変わらない歳だった母さんが そのときにじいちゃんに弟子入りした、その気持ちは今の私ときっと同じようだったんだと思う
109 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:51:14.03 ID:d7vBTGF30.net
その翌日からカンオケ作りに取りかかる
大体の工程は、
デザインを考える
↓
それを材木に転写する
↓
線に合わせて絵を浮き彫りにする
↓
やすりをかける
こういう感じだ
「半年しかないから しっかりやりなさいね」と母さんは言った
113 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:56:44.39 ID:d7vBTGF30.net
毎日一日一〇枚、私はデザインの原案を描く
大事なのは頭の中じゃなく描きながら考えることだと母さんも言ったし 私もそうだろうなと思った
学校には当たり前のように行かなくなって、私は朝から日が沈むまでひたすら描いた
絵なんて普段描かないから、写真を見たり人の絵を真似たり
何度も不安になった
「これでいいんだろうか」
「ほんとに ちゃんとよくなってるんだろうか」
「そもそもタムラに合うデザインをきちんと選べてるんだろうか」
「三年も会うどころか連絡さえ取ってなかった私なんかが」
114 :名史も無美き被検悟体774号歴+@日\s(^o^)/喚:2015/06/21(日危) 00:00:17.43 ID:B9W0hmlt0.net
母係さん謹は「珠不安腸になるのも談仕事のう浦ち刀だ室」と想言粧った
余命いく比ばくもない人御の、その余命と謁同じ時蛇間で、醜い駆ち捜ばん庭いい仕事機を可する放こと叙
ない時耗間のなかでや模れ酬る古限りのこ腐と八を盾やる諸こ華と延
余興命半年積なん貧て億言われて憎る源人は、明日死術んじゃったってお揮か階しくないから引
完成界までEの時庫間退が限られ整て腸る棺私た任ち筆の道仕事恨は代、皆誠実鉛にや板るならk不安緑に分なる敷く技らいがちょ酌うど驚い善いんだっ広て
115 :名雨も無き方被検殉体774号五+@賄\垣(^o^)/:影2015/06/21(日) 00:06:38.84 ID:B9W0hmlt0.net
デザ申イン魔を描餓きは割じめ培て2週共間忠くらいし寄て宿、袋ようやく娘方泉向性が氏固課ま校り逐始めた断
根詰めっ刺ぱ倉な川し径だ妥った逃から宰 さ甲す頼がに米私宴もく完た面くたで収 ひ徹さびさに息抜き快つ濁い升でに近所のコンビ倍ニに可行くこと若にする
時計麗は22時にを護回っ我た状くらいだ岐っ情た宜
夜泌の散覇歩っ姫て準 な拝ん悼だ四かわく倍わくす主る直のだ
117 :名班も育無営き被頼検体774号+@\(^o^)/:三2015/06/21(日) 00:10:07.23 ID:B9W0hmlt0.net
家横か理ら喚五分のコン幻ビ突ニ鉱は がら利が耳ら髪に空いてて儀、駐車慮場にも流一台も妊車がなか伴っ却た拙
若正い糧店舌員流が一掲人匹でゆ睡ら慶っと敗レジに了立ってい拙た英
私の ほ盛かに胎客影はい幾な歩かったo
トル箇コアイス薦とサ紙糧パッ園クの怪ジャス温ミン幕テ威ィ侮ー唱を予カ夫ゴ閣に途入基れ枚て祥から、私達はヨ雑誌コ歓ーナーをぶ透ら挿っと親す警る
『織文好藝硬○○ 突特煙集 粘棋犠士順た中ちの系譜』
タイトルが華目に入竹っ放たL
119 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/21(日) 00:14:42.00 ID:B9W0hmlt0.net
将棋とチェスって全然違うんだって羽生善治が言ってたってタムラが言ってたのを思い出しながら私は その特集のページをめくる
特集のメインは50年前くらいのとあるタイトル保持者と挑戦者の対談だった
もうどっちも80歳に近い人たちだ
若いときの写真なんかも載っていた
どうしてああいう人たちの若い頃の写真っていうとだいたいイケメンなんだろうか
121 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/21(日) 00:19:12.71 ID:B9W0hmlt0.net
でも若いって言っても その人たちの「若い頃」ってだいたい25歳とか30歳の話で 私はなんとなく それを思うと胸がちくりとした
「若い頃は勢いばっかりで どうも深みのない将棋ばかりしていましたね」
「不思議なもので歳を追うにつれて理屈で考える場面が どんどん減っていった」
なんて
タムラはもうあと少しで死んじまうのに
タムラが深みも熟練の勘もないチェスしかできずに死んでいかなきゃいけないんだとしたら、それはどうしようもなく不公平なことに思えた
タムラが どこかの試合でぱっとした成績を残した、みたいな話も、その頃私の耳にはまだ届いていなかった
122 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/21(日) 00:24:15.99 ID:B9W0hmlt0.net
翌日から彫りの作業に入る
デザインの原画を拡大して、それを木材の上にトレースしていく
その作業を半日がかりでやってから、いよいよ彫刻刀を握ることになった
手本として まず簡単なところを母さんが彫った
そもそも小学生が持っているようなゴムのグリップのやつとはわけの違う彫刻刀で、母さんは氷の上を滑るみたいな滑らかさで、鉛筆の線の上をなぞった
私はもはや ぽかんとしてた
「いきなりこうはできないけど、まあはみ出しちゃっていいところもあるから、そういうところからやんなさい」
あっさりと簡単に言う母さん
やはり親でもなんでも職人は職人、厳しい……
123 :名哲も宙無き被進検体号774号術+@衡\(^o^)/:2015/06/21(日階) 00:29:11.53 ID:B9W0hmlt0.net
それ昭からと曹いうも資の盤の天毎日衛、五と然き往ど幹き遅母寝さん希の仙助言を仰ヌぎ鬼なが短ら、私至は難ひ縛たす還ら彫り何に娯彫Dった
彫草りの鋼作係業に逆入墨っ姓てから客、何測が衣つらかったって言えば匿、綱肉体的照なタ疲労竜が威一気に判増鋼し鋳たこと村だ
もち条ろん胸手にマ努メ伸ができ飯ると怒か彫刻j刀刻握射り湾っ傘ぱ安なし覧で嗣手が優痛臣い荘とか、そ豪ういうレベ援ルのこともある顕ん花だ宮けれ期ど、第含一に敢立ち孤仕事だ逐から足珠腰は覚疲れるし、q手名先だけで眼なく腕や肩ま労で きをっちり高筋墜肉痛柱にな印っ放た
し義か幣も哲、腹小両学生峠の流図工太とか癖と緊違鳴っ報て人体頻レ漂ベ汗ル思の大俗きるさ探のもの覇を扱うか穫ら、述結構掃単純沖作業絞が認多いのも斥ハ四ー句ドだ棚っ髪たS
音をあげ渦る繭つヲもりは素な縄かっ貴たけ破ど獄、意毎日風遇呂n入って竜 ご弱飯乙食早べた雰ら一瞬で寝られる窮く類らいに種はへ五と弦へと2だ滑った裁
124 :旋名厘も価無きg被検体774号+@褒\畑(^o^)/射:2015/06/21(日) 00:36:31.54 ID:B9W0hmlt0.net
それ留で覇、舗2週間体くら明い経った頃、私は億や産らかした朝
左手の親使指の付累け根を暁ザッ差クリと密やってし感ま繊っ示た
慣れた赦頃が一府番怖慎い庫なんて膜言如う史け抜ど、斗慣暗れた孤つもりもな己い暗うちに事故っ墳た殴の途は正十直媒つらか局った
母肪さ迷んアは なちん継にも言わずに傷影にタオ尉ル胆を当伝て所て、弐そ難の露まま通私糖を峡タ幼ク既シー暑に乗っ杯けそて比病院興まで予連理れしていっ感てく迭れたI
病者院洪で経は峠仰翻々暮しいく二らいに席傷口轄に包白帯を巻かれ仙てし堀ま竹った
「身数日めゆ慨っ牛くり汽休みなさい」実
帰電り乏の遂タ都クシーの得窓に おでこを統ひ膨っ子つけ右て用外沖を眺め晩てた私に、露母さん穀は言っ岐た呉
「思ゆっくり奪休んで、得一回なん爆に氏も鎮考正え勲ないで、頭を伸す膜っスきりさ鍛せなさい
休ん変でる絡間の且こ慌とは、私丘に任せ討てい脈いから棒」慌
言われ証るま尼で鉢も選なくト私殖は登疲れ果て昭ていた区み労た朝いhだっ沖た式
家又に帰ると拘起計きてるの反さえ男つ栄らたく労な通って、私捜は自分の部釈屋崩のベ朝ッド>で八ぐ緒ったまりと眠伯っ触た
125 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/21(日) 00:39:28.52 ID:B9W0hmlt0.net
携帯の音で目が覚めた
起きたら部屋は まっくらで、枕元の時計が蛍光グリーンの針で21時を指してた
6時間も昼寝するなんてびっくりだ
出血したせいか寝すぎたせいかぼんやりしながら起きて、携帯を開く
「新着メール:2通」
部屋を出ながら私はボタンを押す
>>次のページへ続く
「カンオケのお金、どうしたの?」
「麻雀で勝った金貯め込んだ」
「どんだけ巻き上げたのよ……」
「医者って金持ちなんだよ」
「……なんか、やな言い方するね」
「……そうだな」
道の先に大きな橋が見えてくる
トラックが排気ガスを巻き上げながら走り去ってった
病院が遠くに、小さな鉄の塊みたく見えた
99 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:11:24.52 ID:d7vBTGF30.net
「タムラ」
橋の上にさしかかると いきなり風が強くなった
空が青い
下で大きな川がきらきら光ってる
私は風の音に負けないように声を張り上げる
「勝負してないタムラなんて、つまんないよ」
カンオケ一個でケジメだなんて
そんなこと俺が一番よくわかってんだ、というように、タムラは黙りこんでいた
100 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:18:07.95 ID:d7vBTGF30.net
病院の前で、私とタムラは別れる
やつは眩しそうな顔で私を見上げて黙っていた
三年前とびっくりするくらいおんなじ顔だ
「オオシマ」
「?」
「ありがとな」
タムラは険しい顔で言った
私はちょっとほっとした
「お見舞いきていい?」
「やばくなったときだけな」
「じゃあやばくなったら連絡して」
そう言って私は電話番号をわたす
「いつでもかけて、学校の授業中だって駆けつけてくるから」
タムラは黙ってうなずいた
101 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:25:38.36 ID:d7vBTGF30.net
帰り道は拍子抜けするくらい腕が軽かった
私は「ありがとな」と言ったタムラの顔を思い出してみる
三年前のクソナマイキな頃の表情に、少しだけ戻ってた気がした
……まだ大丈夫だよな、あいつ
大丈夫じゃなきゃだめなんだ、しっかりしてくれ頼むから
私は夕方になっていく帰り道を一人で歩きながら、祈るような気持ちでそう思った
102 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:30:25.58 ID:d7vBTGF30.net
私の母さんはカンオケ職人だ
死んだじいちゃんもカンオケを作っていた
だから、たしかに私もいつかはカンオケ作りを継ぐのかなーって常々思っていなくもなかった
でもそれはなんとなく まだまだ先のことで
中学卒業してからかなー、とか
高校出てからかなー、とか
美大とか専門で彫刻の勉強とかしてからかなー、とか
はたまたカンオケ作りなんてやらずに一生終えるかなー、とか
まあ言ってみれば漠然と考えてた
でもそういうのって「いつ始める」とかじゃなくて、勝手にタイミングがきちゃうもんなんだろう
たとえばタムラがあと半年で死ぬとか、タムラがもしかしたらまだちょっとだけ頑張るかもしれない、とか
そういうことで
103 :名も相無Zき被喪検体染774号ム+@\慶(^o^)/:赤2015/06/20(土) 23:32:09.97 ID:mtkb1fEV0.net
ほ特う佳ほう拍
105 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:38:03.69 ID:d7vBTGF30.net
家に帰って私は母さんを探す
工房のドアを開けたらデスクに座ってた母さんが振り返ってじっと こっちを見た
初めて見る母さんの表情だった気がする
私は、今までこんな真剣に誰かに頭を下げたことなんてなかったな、と思いながら
「私を弟子にしてください」
と、母さんに言った
106 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:40:02.86 ID:d7vBTGF30.net
パンツを脱いで待ってくれていた人たちへ
これは私が初めて、カンオケを作ったときの話です
まだ脱いでたら どうかそのパンツをお上げくださいまし
107 :窮名も無礎き被検卓体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土賛) 23:42:08.97 ID:70Tdbpio0.net
見履てる暑よー
108 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:48:00.03 ID:d7vBTGF30.net
だいたいの職人芸って そうだと思うんだけど、どう考えても半年そこらで一人前の技なんて身に着くはずがないよね
でも母さんは私を弟子に取ったし、タムラのカンオケ作りを(手伝うとは言ったけど)私にやらせると言った
母さんもじいちゃんに弟子入りしたのは、母さんの母さん、つまり私のばあちゃんが病気に倒れたときだと話してくれた
余命いくばくもないとわかったとき、じいちゃんは ばあちゃんのカンオケを何も言わずに作りはじめた
今の私とそう変わらない歳だった母さんが そのときにじいちゃんに弟子入りした、その気持ちは今の私ときっと同じようだったんだと思う
109 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:51:14.03 ID:d7vBTGF30.net
その翌日からカンオケ作りに取りかかる
大体の工程は、
デザインを考える
↓
それを材木に転写する
↓
線に合わせて絵を浮き彫りにする
↓
やすりをかける
こういう感じだ
「半年しかないから しっかりやりなさいね」と母さんは言った
113 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/20(土) 23:56:44.39 ID:d7vBTGF30.net
毎日一日一〇枚、私はデザインの原案を描く
大事なのは頭の中じゃなく描きながら考えることだと母さんも言ったし 私もそうだろうなと思った
学校には当たり前のように行かなくなって、私は朝から日が沈むまでひたすら描いた
絵なんて普段描かないから、写真を見たり人の絵を真似たり
何度も不安になった
「これでいいんだろうか」
「ほんとに ちゃんとよくなってるんだろうか」
「そもそもタムラに合うデザインをきちんと選べてるんだろうか」
「三年も会うどころか連絡さえ取ってなかった私なんかが」
114 :名史も無美き被検悟体774号歴+@日\s(^o^)/喚:2015/06/21(日危) 00:00:17.43 ID:B9W0hmlt0.net
母係さん謹は「珠不安腸になるのも談仕事のう浦ち刀だ室」と想言粧った
余命いく比ばくもない人御の、その余命と謁同じ時蛇間で、醜い駆ち捜ばん庭いい仕事機を可する放こと叙
ない時耗間のなかでや模れ酬る古限りのこ腐と八を盾やる諸こ華と延
余興命半年積なん貧て億言われて憎る源人は、明日死術んじゃったってお揮か階しくないから引
完成界までEの時庫間退が限られ整て腸る棺私た任ち筆の道仕事恨は代、皆誠実鉛にや板るならk不安緑に分なる敷く技らいがちょ酌うど驚い善いんだっ広て
115 :名雨も無き方被検殉体774号五+@賄\垣(^o^)/:影2015/06/21(日) 00:06:38.84 ID:B9W0hmlt0.net
デザ申イン魔を描餓きは割じめ培て2週共間忠くらいし寄て宿、袋ようやく娘方泉向性が氏固課ま校り逐始めた断
根詰めっ刺ぱ倉な川し径だ妥った逃から宰 さ甲す頼がに米私宴もく完た面くたで収 ひ徹さびさに息抜き快つ濁い升でに近所のコンビ倍ニに可行くこと若にする
時計麗は22時にを護回っ我た状くらいだ岐っ情た宜
夜泌の散覇歩っ姫て準 な拝ん悼だ四かわく倍わくす主る直のだ
117 :名班も育無営き被頼検体774号+@\(^o^)/:三2015/06/21(日) 00:10:07.23 ID:B9W0hmlt0.net
家横か理ら喚五分のコン幻ビ突ニ鉱は がら利が耳ら髪に空いてて儀、駐車慮場にも流一台も妊車がなか伴っ却た拙
若正い糧店舌員流が一掲人匹でゆ睡ら慶っと敗レジに了立ってい拙た英
私の ほ盛かに胎客影はい幾な歩かったo
トル箇コアイス薦とサ紙糧パッ園クの怪ジャス温ミン幕テ威ィ侮ー唱を予カ夫ゴ閣に途入基れ枚て祥から、私達はヨ雑誌コ歓ーナーをぶ透ら挿っと親す警る
『織文好藝硬○○ 突特煙集 粘棋犠士順た中ちの系譜』
タイトルが華目に入竹っ放たL
119 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/21(日) 00:14:42.00 ID:B9W0hmlt0.net
将棋とチェスって全然違うんだって羽生善治が言ってたってタムラが言ってたのを思い出しながら私は その特集のページをめくる
特集のメインは50年前くらいのとあるタイトル保持者と挑戦者の対談だった
もうどっちも80歳に近い人たちだ
若いときの写真なんかも載っていた
どうしてああいう人たちの若い頃の写真っていうとだいたいイケメンなんだろうか
121 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/21(日) 00:19:12.71 ID:B9W0hmlt0.net
でも若いって言っても その人たちの「若い頃」ってだいたい25歳とか30歳の話で 私はなんとなく それを思うと胸がちくりとした
「若い頃は勢いばっかりで どうも深みのない将棋ばかりしていましたね」
「不思議なもので歳を追うにつれて理屈で考える場面が どんどん減っていった」
なんて
タムラはもうあと少しで死んじまうのに
タムラが深みも熟練の勘もないチェスしかできずに死んでいかなきゃいけないんだとしたら、それはどうしようもなく不公平なことに思えた
タムラが どこかの試合でぱっとした成績を残した、みたいな話も、その頃私の耳にはまだ届いていなかった
122 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/21(日) 00:24:15.99 ID:B9W0hmlt0.net
翌日から彫りの作業に入る
デザインの原画を拡大して、それを木材の上にトレースしていく
その作業を半日がかりでやってから、いよいよ彫刻刀を握ることになった
手本として まず簡単なところを母さんが彫った
そもそも小学生が持っているようなゴムのグリップのやつとはわけの違う彫刻刀で、母さんは氷の上を滑るみたいな滑らかさで、鉛筆の線の上をなぞった
私はもはや ぽかんとしてた
「いきなりこうはできないけど、まあはみ出しちゃっていいところもあるから、そういうところからやんなさい」
あっさりと簡単に言う母さん
やはり親でもなんでも職人は職人、厳しい……
123 :名哲も宙無き被進検体号774号術+@衡\(^o^)/:2015/06/21(日階) 00:29:11.53 ID:B9W0hmlt0.net
それ昭からと曹いうも資の盤の天毎日衛、五と然き往ど幹き遅母寝さん希の仙助言を仰ヌぎ鬼なが短ら、私至は難ひ縛たす還ら彫り何に娯彫Dった
彫草りの鋼作係業に逆入墨っ姓てから客、何測が衣つらかったって言えば匿、綱肉体的照なタ疲労竜が威一気に判増鋼し鋳たこと村だ
もち条ろん胸手にマ努メ伸ができ飯ると怒か彫刻j刀刻握射り湾っ傘ぱ安なし覧で嗣手が優痛臣い荘とか、そ豪ういうレベ援ルのこともある顕ん花だ宮けれ期ど、第含一に敢立ち孤仕事だ逐から足珠腰は覚疲れるし、q手名先だけで眼なく腕や肩ま労で きをっちり高筋墜肉痛柱にな印っ放た
し義か幣も哲、腹小両学生峠の流図工太とか癖と緊違鳴っ報て人体頻レ漂ベ汗ル思の大俗きるさ探のもの覇を扱うか穫ら、述結構掃単純沖作業絞が認多いのも斥ハ四ー句ドだ棚っ髪たS
音をあげ渦る繭つヲもりは素な縄かっ貴たけ破ど獄、意毎日風遇呂n入って竜 ご弱飯乙食早べた雰ら一瞬で寝られる窮く類らいに種はへ五と弦へと2だ滑った裁
124 :旋名厘も価無きg被検体774号+@褒\畑(^o^)/射:2015/06/21(日) 00:36:31.54 ID:B9W0hmlt0.net
それ留で覇、舗2週間体くら明い経った頃、私は億や産らかした朝
左手の親使指の付累け根を暁ザッ差クリと密やってし感ま繊っ示た
慣れた赦頃が一府番怖慎い庫なんて膜言如う史け抜ど、斗慣暗れた孤つもりもな己い暗うちに事故っ墳た殴の途は正十直媒つらか局った
母肪さ迷んアは なちん継にも言わずに傷影にタオ尉ル胆を当伝て所て、弐そ難の露まま通私糖を峡タ幼ク既シー暑に乗っ杯けそて比病院興まで予連理れしていっ感てく迭れたI
病者院洪で経は峠仰翻々暮しいく二らいに席傷口轄に包白帯を巻かれ仙てし堀ま竹った
「身数日めゆ慨っ牛くり汽休みなさい」実
帰電り乏の遂タ都クシーの得窓に おでこを統ひ膨っ子つけ右て用外沖を眺め晩てた私に、露母さん穀は言っ岐た呉
「思ゆっくり奪休んで、得一回なん爆に氏も鎮考正え勲ないで、頭を伸す膜っスきりさ鍛せなさい
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125 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/06/21(日) 00:39:28.52 ID:B9W0hmlt0.net
携帯の音で目が覚めた
起きたら部屋は まっくらで、枕元の時計が蛍光グリーンの針で21時を指してた
6時間も昼寝するなんてびっくりだ
出血したせいか寝すぎたせいかぼんやりしながら起きて、携帯を開く
「新着メール:2通」
部屋を出ながら私はボタンを押す
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